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親睦偏
キスをされています
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目の前から聴こえるツキの音。
今まで一番近いところにあるツキの顔。
唇に当たる初めての感触。
ただ唇を触れ合わせるだけの、特別な行為。
それを少しの間だけ続けて、やがてツキは顔を離した。
「んっ………あーあー……しちゃった……」
人の唇を不意打ちで勝手に奪っておきながら、略奪者は心底残念そうな顔をしている。
「人の初キスを奪っておいて、その言い草は最低すぎないか……」
「そうですよねー……せっかくのファーストキスだったのに……こんなやけくそな感じになっちゃうなんて……ほんとサイテー……はぁっ……んっ」
溜息を吐きながらも、ツキは躊躇なく再び唇を重ねてきた。
初めてのキスの余韻に浸る間も無く。
同性に初キスを奪われたショックにわななく余裕も無く。
ツキとキスをしたという事実を受け入れることもできず。
されるがままに、ツキとキスをしている。
「はむっ……んっ……っ……舌、入れますね?」
「っ……いや、そこまでは許容できなっ――!?」
なんのために断りを入れたのか。
こちらの返事も最後まで聞かずに、ツキはその粘膜の塊を入れてきた。
「ちゅっ……れろっ……んっ……」
ぬるぬるとした物体が、自分の口の中を這いずり回っている。
水音を立てながら、互いの唾液が混ざり合っている。
あまり気持ち良いとは思えない。
どちらかというと、不快でもある。
ツキのテクニックの問題ではないのだろう。
ツキがディープキスを不得手としているとはとても思えない。
今だって、ただされるがままの翠の舌相手に、ツキの舌は流暢に動いている。
きっと気持ちの問題だ。
だって、ツキも言っていた。
サイテーだって。
「っ……なんですか、その目は……。キスの最中は目を閉じるのが常識ですよ」
「そうなのか。童貞だから知らなかった」
「……本当は、キスだってアキラさんからしてもらう予定だったんですよ」
「そうか……そうだろうな……」
童貞を捧げてもらおうと画策しているくらいだ。
初キスも同様に考えていてもおかしくない。
「はーあー……アキラさんの初めてのキス……不慣れな舌遣いで、きっと可愛かったんだろうなー……れろっ」
ツキの舌に唇を舐められる。
濃厚に。
濃密に。
艶やかに、舌を絡めて。
淡々と。
粛々と。
作業感たっぷりに、ツキはキスをする。
「随分と大人しいんですね。状況わかってますか? アキラさんは今、男性とベロチューしてるんですよ?」
「それはわかってるよ……」
「……ホテルでは、涙を流して嫌がってたくせに」
「別に……今更抵抗したって、何も変わんないからな……」
「つまんない……。そこはせめて、相手が私だから、とか言えないんですか?」
「そんなこと、言うまでもないと思ってたけど」
ツキとはキスをしたかったわけではないけれど。
相手がツキだからキスを受け入れていることは間違いない。
「……言わなきゃ伝わんないですから。それに、そういうのもういいです」
「もういいって、何が?」
「……もう、アキラさんなんていりません。私のことを可愛がってくれないアキラさんなんて、さっさと逆レイプして、全部終わらせちゃいますから……」
今まで一番近いところにあるツキの顔。
唇に当たる初めての感触。
ただ唇を触れ合わせるだけの、特別な行為。
それを少しの間だけ続けて、やがてツキは顔を離した。
「んっ………あーあー……しちゃった……」
人の唇を不意打ちで勝手に奪っておきながら、略奪者は心底残念そうな顔をしている。
「人の初キスを奪っておいて、その言い草は最低すぎないか……」
「そうですよねー……せっかくのファーストキスだったのに……こんなやけくそな感じになっちゃうなんて……ほんとサイテー……はぁっ……んっ」
溜息を吐きながらも、ツキは躊躇なく再び唇を重ねてきた。
初めてのキスの余韻に浸る間も無く。
同性に初キスを奪われたショックにわななく余裕も無く。
ツキとキスをしたという事実を受け入れることもできず。
されるがままに、ツキとキスをしている。
「はむっ……んっ……っ……舌、入れますね?」
「っ……いや、そこまでは許容できなっ――!?」
なんのために断りを入れたのか。
こちらの返事も最後まで聞かずに、ツキはその粘膜の塊を入れてきた。
「ちゅっ……れろっ……んっ……」
ぬるぬるとした物体が、自分の口の中を這いずり回っている。
水音を立てながら、互いの唾液が混ざり合っている。
あまり気持ち良いとは思えない。
どちらかというと、不快でもある。
ツキのテクニックの問題ではないのだろう。
ツキがディープキスを不得手としているとはとても思えない。
今だって、ただされるがままの翠の舌相手に、ツキの舌は流暢に動いている。
きっと気持ちの問題だ。
だって、ツキも言っていた。
サイテーだって。
「っ……なんですか、その目は……。キスの最中は目を閉じるのが常識ですよ」
「そうなのか。童貞だから知らなかった」
「……本当は、キスだってアキラさんからしてもらう予定だったんですよ」
「そうか……そうだろうな……」
童貞を捧げてもらおうと画策しているくらいだ。
初キスも同様に考えていてもおかしくない。
「はーあー……アキラさんの初めてのキス……不慣れな舌遣いで、きっと可愛かったんだろうなー……れろっ」
ツキの舌に唇を舐められる。
濃厚に。
濃密に。
艶やかに、舌を絡めて。
淡々と。
粛々と。
作業感たっぷりに、ツキはキスをする。
「随分と大人しいんですね。状況わかってますか? アキラさんは今、男性とベロチューしてるんですよ?」
「それはわかってるよ……」
「……ホテルでは、涙を流して嫌がってたくせに」
「別に……今更抵抗したって、何も変わんないからな……」
「つまんない……。そこはせめて、相手が私だから、とか言えないんですか?」
「そんなこと、言うまでもないと思ってたけど」
ツキとはキスをしたかったわけではないけれど。
相手がツキだからキスを受け入れていることは間違いない。
「……言わなきゃ伝わんないですから。それに、そういうのもういいです」
「もういいって、何が?」
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