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追及偏
思考に耽りました
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それはあまりにも軽い告白だった。
意を決さず。
緊張も照れもなく。
それこそ一緒にご飯を食べに行くくらいの気軽さで、ツキは告白してきた。
そもそも、先ほどからずっとツキの好意はだだ漏れだったのだから、今更硬くなるという方がおかしいのかもしれない。
「…………」
「……アキラさん?」
ツキの告白を受けることには全くと言っていいほどにリスクがない。
セックス無し。
キス無し。
別れてはいけないというような制約もなし。
そんなのは男友達との交友となんら変わらないのではないか。
強いて挙げるならば、周囲に言いふらされた場合にあいつはホモだと噂されるくらいだろうか。
「…………」
「……?」
リスクが無いのならば、ツキの告白は受け得だ。
ツキとの縁が続くことはこちらとしても嬉しいことだし、今日のような強引な性行為への誘いがなければ不満もない。
ここで機嫌を取っておくことも後々プラスに働くだろうし、別れ話を切り出してもツキはそれを拒否しないと言っている。
だから論理的に考えれば、ここはツキと付き合っておくのが無難だ。
それが最も良い選択肢だ。
それは、わかっているはずなのに――
「………」
「あのー、黙られるとちょっと困ってしまうんですけれど……」
理性はツキの告白を受けろと言っている。
しかし本能がその選択を受け入れることができなくて――
結果として、何も返せずに黙っていることしかできない。
肉体的接触が無いと、ツキを拒絶する理由が無くなってしまう。
セックスを理由にツキを拒絶することができなくなってしまう。
したがって、本能が告白を受け入れてくれない理由は肉体的理由ではなく、精神的理由ということになってしまう。
「アキラさーん……? おーい……?」
はたして、川崎翠は本当にバイセクシャル予備群なのか。
ツキの論を覆すことはできない。
少々極端な論理だけれども、それを真っ向から否定することは今の翠にはできない。
少なくとも、今この瞬間はアキラはバイセクシャルではないことは確かで――
『今バイセクシャルではないというだけで、アキラさんは私を拒絶するんですか?』
ツキの言う通り、
本能がツキと付き合うことを拒絶しているのはそれだけの理由なのだろう。
今までに男性と付き合ったことが無い、
男性に恋をしたことがないというだけで、
翠はツキを拒絶している。
だからきっと、
もしも切っ掛けがあれば、
簡単にバイセクシャルに目覚める可能性はあって――
「あんまり無視するんだったら、無視できないようにしちゃいますよー……♡」
その最大の切っ掛けが、今目の前に居る少年なのだろう。
意を決さず。
緊張も照れもなく。
それこそ一緒にご飯を食べに行くくらいの気軽さで、ツキは告白してきた。
そもそも、先ほどからずっとツキの好意はだだ漏れだったのだから、今更硬くなるという方がおかしいのかもしれない。
「…………」
「……アキラさん?」
ツキの告白を受けることには全くと言っていいほどにリスクがない。
セックス無し。
キス無し。
別れてはいけないというような制約もなし。
そんなのは男友達との交友となんら変わらないのではないか。
強いて挙げるならば、周囲に言いふらされた場合にあいつはホモだと噂されるくらいだろうか。
「…………」
「……?」
リスクが無いのならば、ツキの告白は受け得だ。
ツキとの縁が続くことはこちらとしても嬉しいことだし、今日のような強引な性行為への誘いがなければ不満もない。
ここで機嫌を取っておくことも後々プラスに働くだろうし、別れ話を切り出してもツキはそれを拒否しないと言っている。
だから論理的に考えれば、ここはツキと付き合っておくのが無難だ。
それが最も良い選択肢だ。
それは、わかっているはずなのに――
「………」
「あのー、黙られるとちょっと困ってしまうんですけれど……」
理性はツキの告白を受けろと言っている。
しかし本能がその選択を受け入れることができなくて――
結果として、何も返せずに黙っていることしかできない。
肉体的接触が無いと、ツキを拒絶する理由が無くなってしまう。
セックスを理由にツキを拒絶することができなくなってしまう。
したがって、本能が告白を受け入れてくれない理由は肉体的理由ではなく、精神的理由ということになってしまう。
「アキラさーん……? おーい……?」
はたして、川崎翠は本当にバイセクシャル予備群なのか。
ツキの論を覆すことはできない。
少々極端な論理だけれども、それを真っ向から否定することは今の翠にはできない。
少なくとも、今この瞬間はアキラはバイセクシャルではないことは確かで――
『今バイセクシャルではないというだけで、アキラさんは私を拒絶するんですか?』
ツキの言う通り、
本能がツキと付き合うことを拒絶しているのはそれだけの理由なのだろう。
今までに男性と付き合ったことが無い、
男性に恋をしたことがないというだけで、
翠はツキを拒絶している。
だからきっと、
もしも切っ掛けがあれば、
簡単にバイセクシャルに目覚める可能性はあって――
「あんまり無視するんだったら、無視できないようにしちゃいますよー……♡」
その最大の切っ掛けが、今目の前に居る少年なのだろう。
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