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第二章 〜手伝い、そして新たな出会い〜
第12話 少女の手伝い2
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少しだけ話をして、キシとレイは部屋を出た。
扉を開けると、そこにはアースィマがいた。
「ふふっ……昨晩はお楽しみだったようですね」
「「ち、違います!」違うよ!」
レイとキシは顔を真っ赤にしながら慌てて手を振って否定した。
しかし、アースィマはにやけが止まらなかった。
キシとレイが懸命に彼女に説明したが、なかなか信じてもらえなかったという。
◇◇◇
時刻はまた夜。
キシたちは前回訪れた墓場へ来ている。
除霊魔法をレイから教えてもらうためである。
「じゃあまずは、印の結び方を教えるね。まずは左手を出して手の甲を上にする。そして、左手はこの形にして」
「こうか?」
「うんうん、それで大丈夫」
左手の最初の型はどう考えても狐だった。
ただ親指、中指、薬指は指の腹をくっつけるのではなく握る形となる。
やはりレイは日本からの転生者なのかもしれないと思った。
「で、右手も左手と同じ形にして―――人差し指と小指を左手の人差し指に絡ませて……これで完成!」
「なるほどな、結構簡単だな」
キシはレイの指の動きを真似た。
最初に見たレイの除霊魔法の印象が強すぎたせいか、印の結び方も難しいかと思っていたが、意外と簡単だった。
「そして、頭の中でここにいる亡霊達を天に返してあげる感じのイメージを持って発動させれば魔法陣を展開させられるんだけど……。キシの場合は持ってる魔力量が少ないから……」
とても丁寧で分かりやすい説明だが、最後の説明で軽く傷ついている人物がいた。
カゲヤマ・キシとか、カゲヤマ・キシとか、カゲヤマ・キシとか……。
(くっ……レイじゃない誰かにすっげぇバカにされているような気がしてならない!)
「キシ、まずは鬼化してもらえる?」
「お、おっけー」
キシは鬼化を発動させた。
彼の額から青白く、鈍い光りを放つ角が現れた。
「うん、これで魔力は補えると思う! じゃあ、早速やってみよ!」
「よっしゃ!」
レイとキシは指で印を結び、頭の中でイメージする。
すると、数m先に魔法陣ができ始め、徐々に広がり始める。
(おぉ、すげぇ!)
キシは今回が初めてなので、ぎこちない感じでゆっくりと魔法陣が広がっていく。
前回レイの除霊魔法を見た時は、これよりもっと早く完成していた。
彼女が放つ魔法が、どれだけ凄いのかを良く実感できた瞬間だった。
◇◇◇
5分後、キシは寝転がっていた。
キシが鬼化を使っても魔力の供給が微妙に追いつかず、あっという間に立てることがやっとなほど疲労が溜まる。
除霊魔法はかなり魔力を消費することが分かった。
あの時、レイが汗をかいて肩で息をしながら、大の字になって倒れたのも納得出来た。
「レイって本当に凄いな。レイはこれよりもっと早く出来るんだろ? それがすごいわ」
「なんか褒められると照れちゃうよ……。でも、ありがとう」
「たぶんレイはその事をそうでもないって思っていると思うけど、絶対誇りに思ったほうが良い」
「うーん、自分はキシの言う通り、そうでもないことだと思ってるけど……キシが言うんだったらちょっとだけ誇りに思っても良いのかな?」
レイは微笑んでいたが、まだ納得してないような顔をしていた。
彼女は他の魔法は全く習得しておらず、除霊魔法しか使えない。
納得できないのも無理はない話だった。
「さてと、そろそろ宿舎へ戻ろうか」
「えっ、大丈夫? 立てる?」
「まあなんとか大丈夫そうだ。俺は慣れっこだからな~」
「でも無理はしないでね。もしだめだったら言ってね。わたしの魔力分けてあげるから」
「ああ、ありがとうな」
キシは鉛のように重たい体を起き上がらせ、ゆっくりと歩き出した。
レイはキシに何かあっても大丈夫なように、そっと彼の手を掴んだ。
何故かは分からないが、彼の手を繋いだ瞬間―――どこか安心感を覚えた。
「どうしたんだレイ。急にくっついてきて……」
「ううん、何でもない!」
扉を開けると、そこにはアースィマがいた。
「ふふっ……昨晩はお楽しみだったようですね」
「「ち、違います!」違うよ!」
レイとキシは顔を真っ赤にしながら慌てて手を振って否定した。
しかし、アースィマはにやけが止まらなかった。
キシとレイが懸命に彼女に説明したが、なかなか信じてもらえなかったという。
◇◇◇
時刻はまた夜。
キシたちは前回訪れた墓場へ来ている。
除霊魔法をレイから教えてもらうためである。
「じゃあまずは、印の結び方を教えるね。まずは左手を出して手の甲を上にする。そして、左手はこの形にして」
「こうか?」
「うんうん、それで大丈夫」
左手の最初の型はどう考えても狐だった。
ただ親指、中指、薬指は指の腹をくっつけるのではなく握る形となる。
やはりレイは日本からの転生者なのかもしれないと思った。
「で、右手も左手と同じ形にして―――人差し指と小指を左手の人差し指に絡ませて……これで完成!」
「なるほどな、結構簡単だな」
キシはレイの指の動きを真似た。
最初に見たレイの除霊魔法の印象が強すぎたせいか、印の結び方も難しいかと思っていたが、意外と簡単だった。
「そして、頭の中でここにいる亡霊達を天に返してあげる感じのイメージを持って発動させれば魔法陣を展開させられるんだけど……。キシの場合は持ってる魔力量が少ないから……」
とても丁寧で分かりやすい説明だが、最後の説明で軽く傷ついている人物がいた。
カゲヤマ・キシとか、カゲヤマ・キシとか、カゲヤマ・キシとか……。
(くっ……レイじゃない誰かにすっげぇバカにされているような気がしてならない!)
「キシ、まずは鬼化してもらえる?」
「お、おっけー」
キシは鬼化を発動させた。
彼の額から青白く、鈍い光りを放つ角が現れた。
「うん、これで魔力は補えると思う! じゃあ、早速やってみよ!」
「よっしゃ!」
レイとキシは指で印を結び、頭の中でイメージする。
すると、数m先に魔法陣ができ始め、徐々に広がり始める。
(おぉ、すげぇ!)
キシは今回が初めてなので、ぎこちない感じでゆっくりと魔法陣が広がっていく。
前回レイの除霊魔法を見た時は、これよりもっと早く完成していた。
彼女が放つ魔法が、どれだけ凄いのかを良く実感できた瞬間だった。
◇◇◇
5分後、キシは寝転がっていた。
キシが鬼化を使っても魔力の供給が微妙に追いつかず、あっという間に立てることがやっとなほど疲労が溜まる。
除霊魔法はかなり魔力を消費することが分かった。
あの時、レイが汗をかいて肩で息をしながら、大の字になって倒れたのも納得出来た。
「レイって本当に凄いな。レイはこれよりもっと早く出来るんだろ? それがすごいわ」
「なんか褒められると照れちゃうよ……。でも、ありがとう」
「たぶんレイはその事をそうでもないって思っていると思うけど、絶対誇りに思ったほうが良い」
「うーん、自分はキシの言う通り、そうでもないことだと思ってるけど……キシが言うんだったらちょっとだけ誇りに思っても良いのかな?」
レイは微笑んでいたが、まだ納得してないような顔をしていた。
彼女は他の魔法は全く習得しておらず、除霊魔法しか使えない。
納得できないのも無理はない話だった。
「さてと、そろそろ宿舎へ戻ろうか」
「えっ、大丈夫? 立てる?」
「まあなんとか大丈夫そうだ。俺は慣れっこだからな~」
「でも無理はしないでね。もしだめだったら言ってね。わたしの魔力分けてあげるから」
「ああ、ありがとうな」
キシは鉛のように重たい体を起き上がらせ、ゆっくりと歩き出した。
レイはキシに何かあっても大丈夫なように、そっと彼の手を掴んだ。
何故かは分からないが、彼の手を繋いだ瞬間―――どこか安心感を覚えた。
「どうしたんだレイ。急にくっついてきて……」
「ううん、何でもない!」
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