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第二章
第13話 村でのんびりと2
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バーブノウンの横で顔を洗うヤイイリス村長。
何回も手で川の水を掬い上げては顔に当て、十分に浴びたところで、タオルで顔についた水滴を拭った。
「はあ……今日も冷たくて気持ちがいいのぉ」
「ここの川って結構冷たいですよね?」
「おお、バーブノウンくんも気づいたかの? ここの地域は寒冷な気候なのじゃ。それに加えて……あそこに雪を被っている大きな山があるじゃろ」
ヤイイリス村長は右の向こう側を指した。
その指の方向を辿ると、そこにはこの時期には似合わない、雪に覆われていて雲の帽子を被った高い山があった。
その山は切り立った崖のような山で、直角になっているところは雪が積もらずに刺々しい岩肌がむき出しになっている。
「あの山のことをわしらは『アルバード聖山』と言っておる……」
「アルバード聖山……聖山と言うことは信仰している本山ということですか?」
「そうじゃ。わしらが信仰している神的な存在。アルバード聖山のおかげで、わしらのムスターヒ村が出来たのじゃよ」
「へえ……そうなんですね」
ムスターヒ村で暮らしている人達は、朝起きると必ずこの川で水浴びをし、感謝の意を伝える。
ただ、一度に全員が集まり、一緒に水浴びをするわけではなく、朝起きたら必ず行うようにという掟があるのだ。
そのくらい、アルバード聖山はムスターヒ村にとって大事な山なのである。
「バーブノウンくん」
「はい」
「君はしばらくここにいると言っておったが、行き先はまだ決まっておらんのかの?」
「はい。この村に訪れる前に色々ありすぎて、まだ気持ちの整理が出来てないんです。完全に落ち着いてから、決めようと思っています」
「ほう、色々あったというのはどういうことなのじゃ?」
「実は……」
バーブノウンはヤイイリス村長に、自分が勇者パーティーから追放されたことを話した。
原因はバーブノウンの莫大な魔力のせいだが、当時はそんなことは知らなかった。
病弱で寝込むことが多かった、それだけの理由で追放されてしまった。
「なるほど、そんなことが……。気の毒じゃのう……」
「でも、今はちょっとだけ落ち着いてきているんです。なんか、心に余裕が出来始めていると言うか……。そんな感じです」
「やはり、あの子の出会いが大きい、か……」
「えっ?」
ヤイイリス村長はアルバード聖山を眺めながら、そう呟いた。
しかし、バーブノウンの耳には届かなかった。
「いや、何もない。前も言ったが、絶対にフィーダちゃんを大事にするのじゃぞ。バーブノウンくんにとって、あの子はとても大事になってくるからのう」
「は、はい。心からそう誓います!」
バーブノウンは姿勢を良くし、そして何故か敬礼をした。
彼なりの精一杯の応え方だったようだ。
「それじゃあ、わしは先に戻るかのう。くれぐれも女の人をここで見かけないようにな」
「―――? は、はい分かりました」
ヤイイリス村長の最後の言葉に疑問を持ちながら、バーブノウンはヤイイリス村長を見送った。
そして、姿が見えなくなった途端に気づいた。
バーブノウンは、まさにこの場所で一度やらかしているということに。
「―――っ!」
(何も見ちゃだめ! 前を見たまま早く村に戻ろう!)
バーブノウンは顔を両手で挟み、顔を固定させた。
そして、その状態のまま村へ戻っていった。
◇◇◇
何とか被害に会わず、無事に村に戻って来ることが出来たバーブノウン。
村の入り口のゲートをくぐり抜けると、村の中心で何やら盛り上がっていた。
「おー! これが魔法か!」
「すごーい! わたしたちにも出来るのかな?」
「必ずみんなの体の中には魔力が流れてる。威力は出せなくても、生活で使うくらいなら出来る」
「ねえフィーダ! わたしにも教えて!」
「わたしも!」
「俺にも!」
フィーダは村の中心で、村人たちに魔法の披露をしていた。
銀竜《シルバードラゴン》であるフィーダが使えることが出来る魔法の種類は山ほどある。
バーブノウンも確かに魔法の素質があり、習得が極めて困難である上級以上の魔法だって扱える。
しかし、今まで初級魔法しか扱ってこなかった彼は、こなせる魔法の種類がフィーダより圧倒的に少ない。
そのため、フィーダはバーブノウンの姿が目に入った瞬間、ドヤ顔をした。
(確かにフィーダは何でも魔法を出せるし、みんなから褒められているのが嬉しいんだろうね)
フィーダのドヤ顔を見たバーブノウンは、そんなことを思いながら、ニコリと笑顔を見せた。
しかし……。
(むっ、あんな笑顔をわたしに見せるなんて、随分と余裕そうじゃん。今からバーブと勝負してみよう)
バーブノウンの笑顔の意味がフィーダには伝わらず、逆に闘争心を燃やしてしまったフィーダ。
フィーダはバーブノウンのもとへ、ずんずんと歩いて歩み寄った。
「―――」
「ど、どうしたの? もしかして……怒ってる?」
「怒ってない。でも、随分と余裕そうな顔を見せてきたからちょっと懲らしめてやろうかなって思って」
「なにそれ怖いんだけど! ぼ、僕何か気に触るようなことした……?」
「それはどうかな。バーブの想像におまかせする」
(絶対怒らせてるよー!)
心のなかで膝から崩れて叫ぶバーブノウン。
ニッコリと笑いながら自分を見るフィーダが恐ろしく見えた。
「な、なにかするの?」
「じゃあバーブ。わたしに向かって何か魔法放ってみてよ」
思いもよらないフィーダの発言に、2人の会話を聞いていた村人たちがどよめいた。
フィーダに魔法を放つ……それはバーブノウンがフィーダに向かって魔法攻撃を行うということだ。
バーブノウンは顔を青くし、手を大きく早く横に振った。
「えっ!? そ、それは出来ないよ! フィーダに向かってそんなことしたら……!」
「大丈夫。銀竜《シルバードラゴン》は、防御力に絶対的な自信があるから。だから気にしないでわたしに打ってみて。勿論わたしもバーブノウンに魔法を放つから」
「ええっ!? そうしたら今度は僕が大変なことになっちゃうよ!」
バーブノウンは体を仰け反らせながら、体をガタガタと震わせた。
しかし、フィーダはニヤリと怪しげに微笑む。
「良いから一回やってみて。きっと面白いことが起こるから……。みんな離れて! これからみんなに面白いもの見せるから」
フィーダは右腕をバーブノウンに向かって伸ばし、掌を見せた。
バーブノウンは、彼女が本気で自分に魔法を放とうとしていると確信した。
本当にフィーダに魔法を放っても良いのだろうか、もし放ってフィーダに当たってしまったら……。
最悪の展開しか想像できず、バーブノウンは戸惑ってなかなか腕を持ち上げて、フィーダに向けることが出来ずにいた。
「―――」
「フィ、フィーダ!?」
そうこう考えているうちに、フィーダは詠唱を始めた。
フィーダの詠唱は全く解読できない、未知の言葉を使っていた。
そう、フィーダは上級魔法を超える魔法をバーブノウンに放とうとしていたのだ。
(僕は……フィーダに裏切られてしまった……? 嫌だ……そんなの絶対に嫌だ!)
彼の心の中に絶望感が再び蘇ろうとしていた。
ロレンス率いる勇者パーティーにいた頃の記憶が、彼の頭の中にぐるぐると回り始め、彼をさらに苦しめていく。
「嫌だ! もう御免だよ! 僕の居場所はどこにあるんだ……!」
「―――!?」
バーブノウンは膝から崩れ落ち、大量の涙を流しながらそう叫んだ。
それを聞いたフィーダははっとして、腕を下げて詠唱をやめた。
(そ、そんなつもりじゃ……ないのに……)
フィーダのふざけで始めたつもりだったのに、バーブノウンの解釈違いで誤解が生まれ、最終的にバーブノウンを苦しめてしまうことになった。
「お、おい! 大丈夫かバーブノウン!」
「―――」
「ダメだ……。とりあえず、彼を運んで休ませよう」
村人2人が率先しバーブノウンの肩を叩くが、バーブノウンはうなだれたまま泣き、反応を示さなかった。
結局、バーブノウンは2人に肩を担がれていってしまった。
「バーブ……」
その時も、フィーダは俯いたバーブノウンの後ろ姿を見つめたまま、呆然と立ち尽くしていた。
彼女の口から出た言葉は、フィーダがいつも使う彼の呼び名だけだった。
何回も手で川の水を掬い上げては顔に当て、十分に浴びたところで、タオルで顔についた水滴を拭った。
「はあ……今日も冷たくて気持ちがいいのぉ」
「ここの川って結構冷たいですよね?」
「おお、バーブノウンくんも気づいたかの? ここの地域は寒冷な気候なのじゃ。それに加えて……あそこに雪を被っている大きな山があるじゃろ」
ヤイイリス村長は右の向こう側を指した。
その指の方向を辿ると、そこにはこの時期には似合わない、雪に覆われていて雲の帽子を被った高い山があった。
その山は切り立った崖のような山で、直角になっているところは雪が積もらずに刺々しい岩肌がむき出しになっている。
「あの山のことをわしらは『アルバード聖山』と言っておる……」
「アルバード聖山……聖山と言うことは信仰している本山ということですか?」
「そうじゃ。わしらが信仰している神的な存在。アルバード聖山のおかげで、わしらのムスターヒ村が出来たのじゃよ」
「へえ……そうなんですね」
ムスターヒ村で暮らしている人達は、朝起きると必ずこの川で水浴びをし、感謝の意を伝える。
ただ、一度に全員が集まり、一緒に水浴びをするわけではなく、朝起きたら必ず行うようにという掟があるのだ。
そのくらい、アルバード聖山はムスターヒ村にとって大事な山なのである。
「バーブノウンくん」
「はい」
「君はしばらくここにいると言っておったが、行き先はまだ決まっておらんのかの?」
「はい。この村に訪れる前に色々ありすぎて、まだ気持ちの整理が出来てないんです。完全に落ち着いてから、決めようと思っています」
「ほう、色々あったというのはどういうことなのじゃ?」
「実は……」
バーブノウンはヤイイリス村長に、自分が勇者パーティーから追放されたことを話した。
原因はバーブノウンの莫大な魔力のせいだが、当時はそんなことは知らなかった。
病弱で寝込むことが多かった、それだけの理由で追放されてしまった。
「なるほど、そんなことが……。気の毒じゃのう……」
「でも、今はちょっとだけ落ち着いてきているんです。なんか、心に余裕が出来始めていると言うか……。そんな感じです」
「やはり、あの子の出会いが大きい、か……」
「えっ?」
ヤイイリス村長はアルバード聖山を眺めながら、そう呟いた。
しかし、バーブノウンの耳には届かなかった。
「いや、何もない。前も言ったが、絶対にフィーダちゃんを大事にするのじゃぞ。バーブノウンくんにとって、あの子はとても大事になってくるからのう」
「は、はい。心からそう誓います!」
バーブノウンは姿勢を良くし、そして何故か敬礼をした。
彼なりの精一杯の応え方だったようだ。
「それじゃあ、わしは先に戻るかのう。くれぐれも女の人をここで見かけないようにな」
「―――? は、はい分かりました」
ヤイイリス村長の最後の言葉に疑問を持ちながら、バーブノウンはヤイイリス村長を見送った。
そして、姿が見えなくなった途端に気づいた。
バーブノウンは、まさにこの場所で一度やらかしているということに。
「―――っ!」
(何も見ちゃだめ! 前を見たまま早く村に戻ろう!)
バーブノウンは顔を両手で挟み、顔を固定させた。
そして、その状態のまま村へ戻っていった。
◇◇◇
何とか被害に会わず、無事に村に戻って来ることが出来たバーブノウン。
村の入り口のゲートをくぐり抜けると、村の中心で何やら盛り上がっていた。
「おー! これが魔法か!」
「すごーい! わたしたちにも出来るのかな?」
「必ずみんなの体の中には魔力が流れてる。威力は出せなくても、生活で使うくらいなら出来る」
「ねえフィーダ! わたしにも教えて!」
「わたしも!」
「俺にも!」
フィーダは村の中心で、村人たちに魔法の披露をしていた。
銀竜《シルバードラゴン》であるフィーダが使えることが出来る魔法の種類は山ほどある。
バーブノウンも確かに魔法の素質があり、習得が極めて困難である上級以上の魔法だって扱える。
しかし、今まで初級魔法しか扱ってこなかった彼は、こなせる魔法の種類がフィーダより圧倒的に少ない。
そのため、フィーダはバーブノウンの姿が目に入った瞬間、ドヤ顔をした。
(確かにフィーダは何でも魔法を出せるし、みんなから褒められているのが嬉しいんだろうね)
フィーダのドヤ顔を見たバーブノウンは、そんなことを思いながら、ニコリと笑顔を見せた。
しかし……。
(むっ、あんな笑顔をわたしに見せるなんて、随分と余裕そうじゃん。今からバーブと勝負してみよう)
バーブノウンの笑顔の意味がフィーダには伝わらず、逆に闘争心を燃やしてしまったフィーダ。
フィーダはバーブノウンのもとへ、ずんずんと歩いて歩み寄った。
「―――」
「ど、どうしたの? もしかして……怒ってる?」
「怒ってない。でも、随分と余裕そうな顔を見せてきたからちょっと懲らしめてやろうかなって思って」
「なにそれ怖いんだけど! ぼ、僕何か気に触るようなことした……?」
「それはどうかな。バーブの想像におまかせする」
(絶対怒らせてるよー!)
心のなかで膝から崩れて叫ぶバーブノウン。
ニッコリと笑いながら自分を見るフィーダが恐ろしく見えた。
「な、なにかするの?」
「じゃあバーブ。わたしに向かって何か魔法放ってみてよ」
思いもよらないフィーダの発言に、2人の会話を聞いていた村人たちがどよめいた。
フィーダに魔法を放つ……それはバーブノウンがフィーダに向かって魔法攻撃を行うということだ。
バーブノウンは顔を青くし、手を大きく早く横に振った。
「えっ!? そ、それは出来ないよ! フィーダに向かってそんなことしたら……!」
「大丈夫。銀竜《シルバードラゴン》は、防御力に絶対的な自信があるから。だから気にしないでわたしに打ってみて。勿論わたしもバーブノウンに魔法を放つから」
「ええっ!? そうしたら今度は僕が大変なことになっちゃうよ!」
バーブノウンは体を仰け反らせながら、体をガタガタと震わせた。
しかし、フィーダはニヤリと怪しげに微笑む。
「良いから一回やってみて。きっと面白いことが起こるから……。みんな離れて! これからみんなに面白いもの見せるから」
フィーダは右腕をバーブノウンに向かって伸ばし、掌を見せた。
バーブノウンは、彼女が本気で自分に魔法を放とうとしていると確信した。
本当にフィーダに魔法を放っても良いのだろうか、もし放ってフィーダに当たってしまったら……。
最悪の展開しか想像できず、バーブノウンは戸惑ってなかなか腕を持ち上げて、フィーダに向けることが出来ずにいた。
「―――」
「フィ、フィーダ!?」
そうこう考えているうちに、フィーダは詠唱を始めた。
フィーダの詠唱は全く解読できない、未知の言葉を使っていた。
そう、フィーダは上級魔法を超える魔法をバーブノウンに放とうとしていたのだ。
(僕は……フィーダに裏切られてしまった……? 嫌だ……そんなの絶対に嫌だ!)
彼の心の中に絶望感が再び蘇ろうとしていた。
ロレンス率いる勇者パーティーにいた頃の記憶が、彼の頭の中にぐるぐると回り始め、彼をさらに苦しめていく。
「嫌だ! もう御免だよ! 僕の居場所はどこにあるんだ……!」
「―――!?」
バーブノウンは膝から崩れ落ち、大量の涙を流しながらそう叫んだ。
それを聞いたフィーダははっとして、腕を下げて詠唱をやめた。
(そ、そんなつもりじゃ……ないのに……)
フィーダのふざけで始めたつもりだったのに、バーブノウンの解釈違いで誤解が生まれ、最終的にバーブノウンを苦しめてしまうことになった。
「お、おい! 大丈夫かバーブノウン!」
「―――」
「ダメだ……。とりあえず、彼を運んで休ませよう」
村人2人が率先しバーブノウンの肩を叩くが、バーブノウンはうなだれたまま泣き、反応を示さなかった。
結局、バーブノウンは2人に肩を担がれていってしまった。
「バーブ……」
その時も、フィーダは俯いたバーブノウンの後ろ姿を見つめたまま、呆然と立ち尽くしていた。
彼女の口から出た言葉は、フィーダがいつも使う彼の呼び名だけだった。
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