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第43話 七帝との雑談3
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ミライは揺らすのを止めると、掴む力を弱めると手を離した。
「期待していたっていうのはどういうこと?」
「七帝時代はお前らのことが大嫌いだった。俺がこの世界の生まれということだけで、お前らは俺を蔑んでいたのは今でもよく覚えている。でも、本当は良い奴らなんだなってようやく最近気づいたんだ」
「そ、それは悪かったって思ってるわよ。わたしもホムラも、この世界で生まれた人はみんな弱いって勝手に決めつけていたから……。あんたが聖帝だったのが許せなかったのよ。この世界の生まれのくせに、わたしたちと互角の戦いを繰り広げられるくらいの力を持っているんだから。今思えば、嫉妬よね。それはホムラも一緒だったわ。今はしっかりと反省してる」
ミライとホムラは性格上自分の主張が強いため、すぐに決めつけてしまうことが多い。
今の話でも分かるように、俺がこの世界の生まれだからという上辺の理由だけで決めつけて侮辱していた。
しかし、本当は良い奴らだということを最近知った。
荒々しい2人だが、シャイタンに来て2人と関わることが多くなったことで、実はものすごい人に対する思いやりがあるのだ。
「この国に影響されたのよね。人間より平和で協調性があるのが本当に驚いた。戦いに勝った国は大きくなって豊かになるけど、それだけじゃ国は成り立たないっていう当たり前のことを教えてくれた。結局、人間は知識はあるけど愚かな生き物よね……」
「―――」
「この国で暮らすようになってから、何だか気持ちが楽になった気がして……。だからここに来てから少し経った後に、わたしはホムラに想いを伝えた。まあ、ルーカスとアンラを見たというのもあるけど」
「俺とアンラを見たのが、ホムラに告白するきっかけになったのか?」
「もう! そんなストレートに言わないでよ!」
何をストレートに言ったのかは分からないが、恥ずかしさのあまりにミライは顔を赤く染めた。
やっぱりこいつの反応を見るのは面白いな。
ホムラもこんな感じで、ミライの反応を見て楽しんだりするのだろうか?
今度聞いてみるとしよう。
「ま、まあそういうこと……。あんたたちを見てたら羨ましくなったの。自分のことを大切にしてくれる人とずっと隣にいてくれたら、どれだけ楽しくて嬉しいんだろうって。その時にはもうすでにホムラに対する気持ちに気づいていたから、ホムラにちゃんと伝えることにしたのよ。だから、今はすごい楽しいし、幸せなのよね……」
ミライは夕焼けを見ながらそう言った。
彼女の横を見たらすぐに分かった。
言葉通り、幸せそうな笑みを浮かべていた。
「―――良かったな。良い人と出会えて」
「―――うん!」
俺はミライの表情に驚いてしまった。
俺に向かって、満面の笑みを見せるのは初めてだったからだ。
いつもは無愛想だが、これほどの笑顔を見せてくるということは、ホムラが傍にいてくれることが自分にとって一番の幸せということなのだろう。
本当に、ミライは変わったんだな……。
「じゃあ、俺はそろそろ戻る」
「ええ、じゃあまたね」
「ああ、頑張れよ。『ワラムカリス』!」
ミライに別れを告げた後、俺は城の中に戻った。
彼女とホムラが、これから先も幸せでいてくれることを俺は願った。
いや、ずっと幸せでいるだろうな、あの2人なら。
気づいたらこんな時間になってしまったな……。
とりあえず、サエイダのところに向かうとしよう。
ミライが前線にいるので、サエイダはアンラのもとにいるだろう。
階段を降りると、広間のところにアンラとサエイダがいた。
「おかえりなさいルーカス。遅かったわね」
「パパおかえり!」
「悪い悪い。結構話し込んでしまったよ」
「サエイダが、早く帰ってこないかなって言いながらずっと待っていたのよ?」
「そうなのか。それは悪いことをしてしまったな」
「もう、パパすぐに約束破る……」
サエイダは頬を膨らませて怒った。
可愛いが、本人は本気で怒っているので申し訳ないことをしてしまったな……。
「ごめんなサエイダ。その代わり、いっぱい遊んであげるから。な!」
「むす~……。パパがいっぱい遊んでくれるなら許してあげる」
「はは……。ありがとう。遊ぶ前にまずは夕ご飯食べようか」
「うん。もうお腹ペコペコ~」
「ふふっ! そうね、まずはご飯を食べてから遊ぼうね!」
サエイダはお腹を擦りながら、おなかが減ったことをアピールした。
その仕草に俺とアンラは思わず笑みが溢れた。
◇◇◇
「入っても良い?」
「ああ、大丈夫だ。遠慮なく入ってくれ」
ノックをし、俺の書斎に訪れたのはティフィーだ。
サエイダと十分に遊び、遊び疲れてしまったサエイダはまた寝てしまった。
彼女のことはアンラに任せ、俺は朝に約束していた、ティフィーに魔法を教えるために書斎に来ていた。
この書斎はアンラの父親、イムベラートールさんと共用で使っている。
彼も魔法については興味があり、俺の魔法にも関心を持ったこともあって、
『ルーカスよ、儂が使っているここを自由に使っておくれ。魔法の研究に熱心な其方なら十分に役立つだろうからな』
と言ってくれたのだ。
話の通り、並んでいる書物は興味深いものが多く、人間の国なら絶対に手に入らないような貴重なものもあった。
なので、頻繁にここに来ては書物を取り出し、魔法の研究をしている。
「ルーカスはいつも勉強熱心だよね」
「俺はこういうの好きだからな」
「本当に偉いと思う。わたしには絶対出来ないから」
ティフィーは俺の横から顔を出して書物を覗き込んだ。
俺は慣れてしまったため平然としているが、ティフィーは今になっても頬をほんのり赤くしている。
ティフィーの告白を断った俺は、絶縁となってしまうかもしれないと恐れていた。
彼女とは七帝の中で最も交流が深く、1人でいることが多かった俺に対して積極的に話してくれた。
もし彼女がいなければ、俺はずっと1人省かれていたに違いない。
それほど、彼女の存在は大きいのだ。
そんな大事な人物を失うのは本当に嫌で仕方がなかった。
俺にはアンラがいる。
シャイタンは妻を何人も持っても認められるらしいが、俺のプライドがそれを許さず、結果的にティフィーの告白を断ることとなった。
それが原因で二度と話せないことになってしまったら……と思っていたがそれは杞憂だった。
「ルーカス!」
「うおっと! いきなり抱きつくなよ……」
「良いじゃん別に。ルーカスは嫌じゃないんでしょ?」
「別に嫌じゃないが……。びっくりして書物に傷とか破れたりしたらどうするんだ」
「ご、ごめんね……」
こんな感じで、ティフィーは構わず俺に密着してくる。
もちろん、俺のことを今でも異性として好きでいることは知っている。
だが、俺はティフィーに対して特別な感情を持っているわけではない。
しかし、ティフィーは俺にとって恩人だ。
ティフィーとはこれからも友人として仲良くしていきたいと思っている。
だから、ティフィーがしたいことを、出来る限りちゃんと受け止めてあげようと努力している。
変なことは流石に出来ないが……。
「ねえねえ、早く昨日の続き教えて欲しい!」
「分かった。じゃあこの椅子に座って」
「うん! 先生、今日もご指導よろしくおねがいしまーす!」
俺は席を譲ってティフィーを座らせると、ティフィーは手を上げて声を張り上げてそう言った。
(全く、いつも元気だな。サエイダと変わらないなティフィーは……)
そんなことを思いながら、俺は早速ティフィーに魔法について教えていった。
「期待していたっていうのはどういうこと?」
「七帝時代はお前らのことが大嫌いだった。俺がこの世界の生まれということだけで、お前らは俺を蔑んでいたのは今でもよく覚えている。でも、本当は良い奴らなんだなってようやく最近気づいたんだ」
「そ、それは悪かったって思ってるわよ。わたしもホムラも、この世界で生まれた人はみんな弱いって勝手に決めつけていたから……。あんたが聖帝だったのが許せなかったのよ。この世界の生まれのくせに、わたしたちと互角の戦いを繰り広げられるくらいの力を持っているんだから。今思えば、嫉妬よね。それはホムラも一緒だったわ。今はしっかりと反省してる」
ミライとホムラは性格上自分の主張が強いため、すぐに決めつけてしまうことが多い。
今の話でも分かるように、俺がこの世界の生まれだからという上辺の理由だけで決めつけて侮辱していた。
しかし、本当は良い奴らだということを最近知った。
荒々しい2人だが、シャイタンに来て2人と関わることが多くなったことで、実はものすごい人に対する思いやりがあるのだ。
「この国に影響されたのよね。人間より平和で協調性があるのが本当に驚いた。戦いに勝った国は大きくなって豊かになるけど、それだけじゃ国は成り立たないっていう当たり前のことを教えてくれた。結局、人間は知識はあるけど愚かな生き物よね……」
「―――」
「この国で暮らすようになってから、何だか気持ちが楽になった気がして……。だからここに来てから少し経った後に、わたしはホムラに想いを伝えた。まあ、ルーカスとアンラを見たというのもあるけど」
「俺とアンラを見たのが、ホムラに告白するきっかけになったのか?」
「もう! そんなストレートに言わないでよ!」
何をストレートに言ったのかは分からないが、恥ずかしさのあまりにミライは顔を赤く染めた。
やっぱりこいつの反応を見るのは面白いな。
ホムラもこんな感じで、ミライの反応を見て楽しんだりするのだろうか?
今度聞いてみるとしよう。
「ま、まあそういうこと……。あんたたちを見てたら羨ましくなったの。自分のことを大切にしてくれる人とずっと隣にいてくれたら、どれだけ楽しくて嬉しいんだろうって。その時にはもうすでにホムラに対する気持ちに気づいていたから、ホムラにちゃんと伝えることにしたのよ。だから、今はすごい楽しいし、幸せなのよね……」
ミライは夕焼けを見ながらそう言った。
彼女の横を見たらすぐに分かった。
言葉通り、幸せそうな笑みを浮かべていた。
「―――良かったな。良い人と出会えて」
「―――うん!」
俺はミライの表情に驚いてしまった。
俺に向かって、満面の笑みを見せるのは初めてだったからだ。
いつもは無愛想だが、これほどの笑顔を見せてくるということは、ホムラが傍にいてくれることが自分にとって一番の幸せということなのだろう。
本当に、ミライは変わったんだな……。
「じゃあ、俺はそろそろ戻る」
「ええ、じゃあまたね」
「ああ、頑張れよ。『ワラムカリス』!」
ミライに別れを告げた後、俺は城の中に戻った。
彼女とホムラが、これから先も幸せでいてくれることを俺は願った。
いや、ずっと幸せでいるだろうな、あの2人なら。
気づいたらこんな時間になってしまったな……。
とりあえず、サエイダのところに向かうとしよう。
ミライが前線にいるので、サエイダはアンラのもとにいるだろう。
階段を降りると、広間のところにアンラとサエイダがいた。
「おかえりなさいルーカス。遅かったわね」
「パパおかえり!」
「悪い悪い。結構話し込んでしまったよ」
「サエイダが、早く帰ってこないかなって言いながらずっと待っていたのよ?」
「そうなのか。それは悪いことをしてしまったな」
「もう、パパすぐに約束破る……」
サエイダは頬を膨らませて怒った。
可愛いが、本人は本気で怒っているので申し訳ないことをしてしまったな……。
「ごめんなサエイダ。その代わり、いっぱい遊んであげるから。な!」
「むす~……。パパがいっぱい遊んでくれるなら許してあげる」
「はは……。ありがとう。遊ぶ前にまずは夕ご飯食べようか」
「うん。もうお腹ペコペコ~」
「ふふっ! そうね、まずはご飯を食べてから遊ぼうね!」
サエイダはお腹を擦りながら、おなかが減ったことをアピールした。
その仕草に俺とアンラは思わず笑みが溢れた。
◇◇◇
「入っても良い?」
「ああ、大丈夫だ。遠慮なく入ってくれ」
ノックをし、俺の書斎に訪れたのはティフィーだ。
サエイダと十分に遊び、遊び疲れてしまったサエイダはまた寝てしまった。
彼女のことはアンラに任せ、俺は朝に約束していた、ティフィーに魔法を教えるために書斎に来ていた。
この書斎はアンラの父親、イムベラートールさんと共用で使っている。
彼も魔法については興味があり、俺の魔法にも関心を持ったこともあって、
『ルーカスよ、儂が使っているここを自由に使っておくれ。魔法の研究に熱心な其方なら十分に役立つだろうからな』
と言ってくれたのだ。
話の通り、並んでいる書物は興味深いものが多く、人間の国なら絶対に手に入らないような貴重なものもあった。
なので、頻繁にここに来ては書物を取り出し、魔法の研究をしている。
「ルーカスはいつも勉強熱心だよね」
「俺はこういうの好きだからな」
「本当に偉いと思う。わたしには絶対出来ないから」
ティフィーは俺の横から顔を出して書物を覗き込んだ。
俺は慣れてしまったため平然としているが、ティフィーは今になっても頬をほんのり赤くしている。
ティフィーの告白を断った俺は、絶縁となってしまうかもしれないと恐れていた。
彼女とは七帝の中で最も交流が深く、1人でいることが多かった俺に対して積極的に話してくれた。
もし彼女がいなければ、俺はずっと1人省かれていたに違いない。
それほど、彼女の存在は大きいのだ。
そんな大事な人物を失うのは本当に嫌で仕方がなかった。
俺にはアンラがいる。
シャイタンは妻を何人も持っても認められるらしいが、俺のプライドがそれを許さず、結果的にティフィーの告白を断ることとなった。
それが原因で二度と話せないことになってしまったら……と思っていたがそれは杞憂だった。
「ルーカス!」
「うおっと! いきなり抱きつくなよ……」
「良いじゃん別に。ルーカスは嫌じゃないんでしょ?」
「別に嫌じゃないが……。びっくりして書物に傷とか破れたりしたらどうするんだ」
「ご、ごめんね……」
こんな感じで、ティフィーは構わず俺に密着してくる。
もちろん、俺のことを今でも異性として好きでいることは知っている。
だが、俺はティフィーに対して特別な感情を持っているわけではない。
しかし、ティフィーは俺にとって恩人だ。
ティフィーとはこれからも友人として仲良くしていきたいと思っている。
だから、ティフィーがしたいことを、出来る限りちゃんと受け止めてあげようと努力している。
変なことは流石に出来ないが……。
「ねえねえ、早く昨日の続き教えて欲しい!」
「分かった。じゃあこの椅子に座って」
「うん! 先生、今日もご指導よろしくおねがいしまーす!」
俺は席を譲ってティフィーを座らせると、ティフィーは手を上げて声を張り上げてそう言った。
(全く、いつも元気だな。サエイダと変わらないなティフィーは……)
そんなことを思いながら、俺は早速ティフィーに魔法について教えていった。
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