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第31話 平和の再来
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王妃様は一旦深呼吸をして呼吸を整えた。
「失礼しました……そうでしたか。これでわたくしもシーアも安心して過ごすことが出来ますわ」
「それなら良かった、と言ってよろしかったでしょうか?」
「ええ、何度でも言っても構いませんわ!」
どうやら相当国王のことを嫌っていたようだ。
意外な王妃様の一面を見れた気がした。
「それで1つわたくしからご相談があるのですが……」
俺は王妃様にアーリア王国をシャイタンに吸収する話をした。
王妃様は真剣に耳を傾けてくれた。
「―――というのをアンラと計画していたんですが、いかがでしょう?」
「それなら大歓迎ですわ! 国王がいなくなった今、再びあの頃のアーリア王国のように蘇らせて頂けるのであればぜひ!」
「そうですか! ありがとうございます王妃様!」
「あ、ありがとうございます!」
俺とアンラは王妃様に深々と頭を下げた。
これで、俺が好きだったあの頃の国の状態に戻せる。
俺はこの後どう変わっていくのかが楽しみで仕方がない。
「ところで王妃様。アーリア王国が陥落した今、今後どこでお過ごしになるのですか?」
コウキは王妃様にそう質問した。
コウキの言う通り、アーリア王国が陥落した今、王妃様のような身分が高い者が暮らす場所がない。
王妃様は顎に手を当ててしばらく考えていると、王妃様は俺の足元にくっついているシーアお嬢様の方を見た。
「それなら……わたくしと娘は市民として過ごしていきますわ」
「えっ!?」
「王妃様!?」
「だ、大丈夫なのですか!?」
王妃様の口から出た衝撃の言葉に、俺たち3人は同時に驚いた。
アーリア王国の中でトップに君臨する王妃様とシーアお嬢様が、一般市民に成り下がってしまうのは、あまりにもリスクが高すぎるのではと思った。
しかし、王妃様はふふっと微笑むと、
「先程も言った通り、わたくしは元々一般市民です。別に気にしていませんですし、何よりシーアにはもっと多くのことを知ってほしいのです。いつまでも人にお世話されては今後のためにはなりません。多くのことを学ぶからこそ、人間は育っていくのです」
「その気持ち、すごくわかります!」
王妃様の話に食いついたのはアンラだった。
「わたしにはまだ子どもはいませんけど、その気持ちは同じ女性としてすごくわかる気がします。自分の子どもには立派に育ってほしいですものね」
「ふふ……アンラさんもよくわかっていますね。もし2人の間に子どもが出来たら、きっと幸せな家族になるでしょうね」
俺とアンラはお互い眼を合わせた。
確かに王妃様の言う通り、もし俺たちの間に子どもが出来たら……とても幸せな家族になるだろう。
アンラはきっと良い母親になるだろうな……。
「「―――っ!」」
どうやらアンラもそう考えていたらしく、2人で恥ずかしくなって顔を真っ赤に染めた。
戦いが終わったら結婚しようとはアンラに伝えたけど、やっぱりまだ恥ずかしくなってしまうところがある。
「あと、あなたたち以外の人たちにも伝えておいてほしいんだけど……わたくしとシーアが市民になるから、呼び方も普通に名前で呼んでほしいのよ。これは絶対に約束よ? 王妃って言葉も、名前の後に様ってつけるのもダメですからね?」
「じゃ、じゃあ王妃様のことはシャルロットさん、シーアお嬢様のことは――――」
「シーアちゃん! でよろしかったかしら?」
アンラはシーアお嬢様の顔を見てそう言った。
シーアお嬢様はアンラを見て、ぱあっと顔が明るくなると、
「おねえちゃん!」
と言って、今度はアンラへ駆け寄って行った。
アンラはシーアお嬢様を抱きしめると、そのまま彼女を抱っこする。
何だか、母親と娘のように見えた。
俺とアンラの間に子どもが出来たら、きっとこんな感じなんだろうか。
「良かったなアンラ」
「うん! シーアちゃんすごく可愛い……」
「おねえちゃんこれなーにー?」
「へ? あ、それ触られると……ちょっとシーアちゃん!? あっ、そこはダメぇ……!」
シーアお嬢様―――シーアが楽しそうにアンラの角を触っている横で、アンラは頬を赤く染めながら悶えている。
何だろう……アンラの表情がすごく色気ある。
「こらシーア! 手を離しなさい! アンラさんが困っているでしょ!?」
「ご、ごめんなさい……」
「だ、大丈夫よ。はあ、はあ……」
アンラはシーアをおろしてあげた。
シーアはシャルロットさんのもとに駆け寄って申し訳なさそうな顔をする。
「大丈夫か?」
「うん……大丈夫。はあ……はあ……」
もしかして感じてる、のか?
ペタンと座り込むと、体をビクビクと震わせ、快楽に溺れたような顔になってしまっている。
その表情はまるで、アーリア王国に向かっている途中の湖であったあの時と全く同じだった。
「―――」
「コウキ?」
「な、何でもない……」
後ろにいるコウキを見ると、彼も顔をほんのり赤くしていた。
誤魔化そうと横を見るが、全く隠し切れていない。
「と、とにかく! ここの国はシャイタンの領地に加わる。それで良いですね王妃様―――いや、シャルロットさん」
「ええ、それで良いわ」
これでシャイタンとアーリア王国の戦いに終止符が打たれた。
コウキも納得したようにコクコクと頷く。
これで……この国にまた平和な時が訪れることだろう。
シャイタンなら、きっとこの国を幸せにしてくれると俺はアンラを見ながらそう思った。
◇◇◇
「さて……じゃあ戻ろうかアンラ」
「えっ、もう良いの?」
「ああ、俺にはもうひとつだけやらなくちゃいけないことがあるんだ」
「なに?」
「目的地に向かいながら話すよ」
アンラは首を傾げた。
実は結構前からどうしてもやりたかったけど、戦いが終わってからにしようと決めていたこと。
それは後に話すとしよう。
ここで話したらまた騒がれる……。
「ではシャルロットさん、それと……シーア、また会いましょう。今度は同じ身分同士で」
「ええ、そうね。今度から気軽に来てくださいね。わたくしたちはいつでもお待ちしておりますわ!」
シャルロットさんは微笑みながらそう言った。
今までは身分の違いで関わりづらかったけど、今度会う時は市民と同じ身分になる。
少しは気が楽になるし、シーアがまた俺に会いたいって言ってくるだろうから、今まで以上に関わりが多くなるだろう。
「ルーカス」
「なんだい?」
シーアが俺も元に駆け寄ってきた。
俺はしゃがむと、
「また会える……?」
彼女は眼を潤せながらそう聞いてきた。
―――めっちゃ可愛いいい!!!
何だろう、こういうのが母性って言うやつなのだろうか?
甘やかしたくなるような……そんな感情が一気に襲い掛かってくる。
「ああ、また会えるさ」
「シーアね、ルーカスがシーアって呼んでくれたこと、すごく嬉しかったよ!」
「―――!」
シーアはニッコリと笑って俺の手を握った。
そうか、彼女にとって、シーアと呼び捨てにされたほうが親近感が湧くのかも知れない。
今までは王妃様のお嬢様として扱われてきた。
シーア自身からしたら、とても違和感しかなかっただろう。
しかし、今度からは普通の市民になることで俺たちと同じ身分になる。
その方が気持ちも楽になるのかも知れない。
これだけ楽しそうにしている彼女の顔を、俺は初めて見たのだから。
「―――シーア、これからは今までとは全く違う暮らしになる。だから、お母さんの言うことをしっかり聞くんだぞ?」
「うん! シーアお母さんの言うことちゃんと聞く!」
「よし! いい子だ!」
俺はシーアの頭を撫でた。
彼女は俺に頭を撫でられると、シャルロットさんに頭を撫でられるときと同じ表情をする。
彼女からしたら俺はお兄ちゃんのような存在だ。
俺からしても、彼女のことは妹のような存在。
だから甘やかしちゃうんだよな……。
「じゃあシーアとシャルロットさん、俺たちはこれで……」
「ええ、また会いましょう!」
俺は立ち上がって一礼すると、アンラも遅れてペコリとお辞儀する。
そして、扉を出ようとすると俺の横にはずっと立っていたコウキがいた。
「―――お前はこの後どうするんだ?」
「一旦あいつらと合流して話し合う。今後どうするかをな……」
「そうか」
俺とコウキはそんな短い会話を交わしただけだった。
俺とアンラはそのまま扉を出た。
「失礼しました……そうでしたか。これでわたくしもシーアも安心して過ごすことが出来ますわ」
「それなら良かった、と言ってよろしかったでしょうか?」
「ええ、何度でも言っても構いませんわ!」
どうやら相当国王のことを嫌っていたようだ。
意外な王妃様の一面を見れた気がした。
「それで1つわたくしからご相談があるのですが……」
俺は王妃様にアーリア王国をシャイタンに吸収する話をした。
王妃様は真剣に耳を傾けてくれた。
「―――というのをアンラと計画していたんですが、いかがでしょう?」
「それなら大歓迎ですわ! 国王がいなくなった今、再びあの頃のアーリア王国のように蘇らせて頂けるのであればぜひ!」
「そうですか! ありがとうございます王妃様!」
「あ、ありがとうございます!」
俺とアンラは王妃様に深々と頭を下げた。
これで、俺が好きだったあの頃の国の状態に戻せる。
俺はこの後どう変わっていくのかが楽しみで仕方がない。
「ところで王妃様。アーリア王国が陥落した今、今後どこでお過ごしになるのですか?」
コウキは王妃様にそう質問した。
コウキの言う通り、アーリア王国が陥落した今、王妃様のような身分が高い者が暮らす場所がない。
王妃様は顎に手を当ててしばらく考えていると、王妃様は俺の足元にくっついているシーアお嬢様の方を見た。
「それなら……わたくしと娘は市民として過ごしていきますわ」
「えっ!?」
「王妃様!?」
「だ、大丈夫なのですか!?」
王妃様の口から出た衝撃の言葉に、俺たち3人は同時に驚いた。
アーリア王国の中でトップに君臨する王妃様とシーアお嬢様が、一般市民に成り下がってしまうのは、あまりにもリスクが高すぎるのではと思った。
しかし、王妃様はふふっと微笑むと、
「先程も言った通り、わたくしは元々一般市民です。別に気にしていませんですし、何よりシーアにはもっと多くのことを知ってほしいのです。いつまでも人にお世話されては今後のためにはなりません。多くのことを学ぶからこそ、人間は育っていくのです」
「その気持ち、すごくわかります!」
王妃様の話に食いついたのはアンラだった。
「わたしにはまだ子どもはいませんけど、その気持ちは同じ女性としてすごくわかる気がします。自分の子どもには立派に育ってほしいですものね」
「ふふ……アンラさんもよくわかっていますね。もし2人の間に子どもが出来たら、きっと幸せな家族になるでしょうね」
俺とアンラはお互い眼を合わせた。
確かに王妃様の言う通り、もし俺たちの間に子どもが出来たら……とても幸せな家族になるだろう。
アンラはきっと良い母親になるだろうな……。
「「―――っ!」」
どうやらアンラもそう考えていたらしく、2人で恥ずかしくなって顔を真っ赤に染めた。
戦いが終わったら結婚しようとはアンラに伝えたけど、やっぱりまだ恥ずかしくなってしまうところがある。
「あと、あなたたち以外の人たちにも伝えておいてほしいんだけど……わたくしとシーアが市民になるから、呼び方も普通に名前で呼んでほしいのよ。これは絶対に約束よ? 王妃って言葉も、名前の後に様ってつけるのもダメですからね?」
「じゃ、じゃあ王妃様のことはシャルロットさん、シーアお嬢様のことは――――」
「シーアちゃん! でよろしかったかしら?」
アンラはシーアお嬢様の顔を見てそう言った。
シーアお嬢様はアンラを見て、ぱあっと顔が明るくなると、
「おねえちゃん!」
と言って、今度はアンラへ駆け寄って行った。
アンラはシーアお嬢様を抱きしめると、そのまま彼女を抱っこする。
何だか、母親と娘のように見えた。
俺とアンラの間に子どもが出来たら、きっとこんな感じなんだろうか。
「良かったなアンラ」
「うん! シーアちゃんすごく可愛い……」
「おねえちゃんこれなーにー?」
「へ? あ、それ触られると……ちょっとシーアちゃん!? あっ、そこはダメぇ……!」
シーアお嬢様―――シーアが楽しそうにアンラの角を触っている横で、アンラは頬を赤く染めながら悶えている。
何だろう……アンラの表情がすごく色気ある。
「こらシーア! 手を離しなさい! アンラさんが困っているでしょ!?」
「ご、ごめんなさい……」
「だ、大丈夫よ。はあ、はあ……」
アンラはシーアをおろしてあげた。
シーアはシャルロットさんのもとに駆け寄って申し訳なさそうな顔をする。
「大丈夫か?」
「うん……大丈夫。はあ……はあ……」
もしかして感じてる、のか?
ペタンと座り込むと、体をビクビクと震わせ、快楽に溺れたような顔になってしまっている。
その表情はまるで、アーリア王国に向かっている途中の湖であったあの時と全く同じだった。
「―――」
「コウキ?」
「な、何でもない……」
後ろにいるコウキを見ると、彼も顔をほんのり赤くしていた。
誤魔化そうと横を見るが、全く隠し切れていない。
「と、とにかく! ここの国はシャイタンの領地に加わる。それで良いですね王妃様―――いや、シャルロットさん」
「ええ、それで良いわ」
これでシャイタンとアーリア王国の戦いに終止符が打たれた。
コウキも納得したようにコクコクと頷く。
これで……この国にまた平和な時が訪れることだろう。
シャイタンなら、きっとこの国を幸せにしてくれると俺はアンラを見ながらそう思った。
◇◇◇
「さて……じゃあ戻ろうかアンラ」
「えっ、もう良いの?」
「ああ、俺にはもうひとつだけやらなくちゃいけないことがあるんだ」
「なに?」
「目的地に向かいながら話すよ」
アンラは首を傾げた。
実は結構前からどうしてもやりたかったけど、戦いが終わってからにしようと決めていたこと。
それは後に話すとしよう。
ここで話したらまた騒がれる……。
「ではシャルロットさん、それと……シーア、また会いましょう。今度は同じ身分同士で」
「ええ、そうね。今度から気軽に来てくださいね。わたくしたちはいつでもお待ちしておりますわ!」
シャルロットさんは微笑みながらそう言った。
今までは身分の違いで関わりづらかったけど、今度会う時は市民と同じ身分になる。
少しは気が楽になるし、シーアがまた俺に会いたいって言ってくるだろうから、今まで以上に関わりが多くなるだろう。
「ルーカス」
「なんだい?」
シーアが俺も元に駆け寄ってきた。
俺はしゃがむと、
「また会える……?」
彼女は眼を潤せながらそう聞いてきた。
―――めっちゃ可愛いいい!!!
何だろう、こういうのが母性って言うやつなのだろうか?
甘やかしたくなるような……そんな感情が一気に襲い掛かってくる。
「ああ、また会えるさ」
「シーアね、ルーカスがシーアって呼んでくれたこと、すごく嬉しかったよ!」
「―――!」
シーアはニッコリと笑って俺の手を握った。
そうか、彼女にとって、シーアと呼び捨てにされたほうが親近感が湧くのかも知れない。
今までは王妃様のお嬢様として扱われてきた。
シーア自身からしたら、とても違和感しかなかっただろう。
しかし、今度からは普通の市民になることで俺たちと同じ身分になる。
その方が気持ちも楽になるのかも知れない。
これだけ楽しそうにしている彼女の顔を、俺は初めて見たのだから。
「―――シーア、これからは今までとは全く違う暮らしになる。だから、お母さんの言うことをしっかり聞くんだぞ?」
「うん! シーアお母さんの言うことちゃんと聞く!」
「よし! いい子だ!」
俺はシーアの頭を撫でた。
彼女は俺に頭を撫でられると、シャルロットさんに頭を撫でられるときと同じ表情をする。
彼女からしたら俺はお兄ちゃんのような存在だ。
俺からしても、彼女のことは妹のような存在。
だから甘やかしちゃうんだよな……。
「じゃあシーアとシャルロットさん、俺たちはこれで……」
「ええ、また会いましょう!」
俺は立ち上がって一礼すると、アンラも遅れてペコリとお辞儀する。
そして、扉を出ようとすると俺の横にはずっと立っていたコウキがいた。
「―――お前はこの後どうするんだ?」
「一旦あいつらと合流して話し合う。今後どうするかをな……」
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