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第13話 アーリア王国に向かって 1
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俺の目の前には数え切れないほどの武装をしたモンスター、魔族たちがいる。
相変わらずこの国は凄いな……。
アーリア王国ならそこまで人が集まらない。
もともと人口があまりいないのもあるが。
「いよいよ出発の日です。これからわたし達はアーリア王国に向かって行きます」
アンラが演説台で出発式の司会をしている。
音声拡張の魔法を使い、みんなが聞こえるようにしているみたいだ。
「では……最後にルーカスから一言頂こうと思います!」
「えぇ!? お、俺!?」
アンラは口パクでお願いと言って顔の前で手を合わせていた。
あまり大勢の前で喋るのは苦手だが、アンラがそこまでするって言うのなら仕方ない。
「えー……見たことある人も初めての人もいるかもしれませんが、俺がアーリア王国で聖剣の肩書きを持っていたルーカス・アンワルだ」
一気に俺に視線が集まった。
実はめちゃくちゃ緊張している。
おかげで手汗がすごいことになっている。
「俺はアーリア王国出身でこの世界では珍しい光属性を持っている。おかげで七帝になることが出来た。ただ、俺はひとつの出来事で全てを失った。みんなは知ってはいると思うがアーリア王国は異界人を積極的に取り入れて軍事力にしている国だ。俺はこの世界の出身という理由だけで追放された」
みんな深刻そうな顔をして俺の話を聞いてくれている。
いい者達ばかりだなほんと……。
「俺は倒れてしまったところを発見されてこの国に編入することになったが、俺はすごく感謝してるんだ。もしあの時捕らえられていなかったら、俺はもうこの世にはいなかっただろう……」
俺はあの時を思い出していた。
短い期間ではあるが毎日が楽しかった。
みんないい人で出店に顔を出したらサービスしてもらったりとか、他所から来たとか関係なく話仲間として接してくれた。
「今回の戦いは元々は俺のわがままだった。追放されたことを許せない、絶対にあの国を滅ぼすという願望だった。でもみんながアーリア王国をよく思ってなくて、いつの間にか俺と同じ意見になってしまった……。あの時は呆気に取られたよ」
みんなから笑い声があがった。
俺も頭を掻きながら苦笑した。
「長話をしてしまったからこれで最後になるけど―――」
俺は深く息を吸った。
これだけは大声でみんなに伝えたかった。
「俺はこの国が大好きだ!」
気がつくと俺は額から汗が出ているのに気づいた。
観衆達は歓声をあげ、拍手を送っていた。
臣下達も、そしてアンラも。
俺は演説台から降りると、アンラが来てくれた。
「凄く良かったよ」
「ありがとうアンラ」
「ううん、こっちの方がありがとうって言いたい。この国が大好きだって言ってくれたこと、凄く嬉しい」
俺は観衆の方を見た。
まだ歓声はあがっていた。
これから戦いが始まるっていうのに、緊張感すら感じない。
「じゃあ行きましょう」
アンラはいつの間にか演説台の上に立っていた。
「アーリア王国へ出発です!」
「「「「おおおおぉぉぉぉぉぉ」」」」
そうしてアーリア王国に向かって俺たちは歩き始めた。
これから七帝と俺たちとの戦いが始まる。
相変わらずこの国は凄いな……。
アーリア王国ならそこまで人が集まらない。
もともと人口があまりいないのもあるが。
「いよいよ出発の日です。これからわたし達はアーリア王国に向かって行きます」
アンラが演説台で出発式の司会をしている。
音声拡張の魔法を使い、みんなが聞こえるようにしているみたいだ。
「では……最後にルーカスから一言頂こうと思います!」
「えぇ!? お、俺!?」
アンラは口パクでお願いと言って顔の前で手を合わせていた。
あまり大勢の前で喋るのは苦手だが、アンラがそこまでするって言うのなら仕方ない。
「えー……見たことある人も初めての人もいるかもしれませんが、俺がアーリア王国で聖剣の肩書きを持っていたルーカス・アンワルだ」
一気に俺に視線が集まった。
実はめちゃくちゃ緊張している。
おかげで手汗がすごいことになっている。
「俺はアーリア王国出身でこの世界では珍しい光属性を持っている。おかげで七帝になることが出来た。ただ、俺はひとつの出来事で全てを失った。みんなは知ってはいると思うがアーリア王国は異界人を積極的に取り入れて軍事力にしている国だ。俺はこの世界の出身という理由だけで追放された」
みんな深刻そうな顔をして俺の話を聞いてくれている。
いい者達ばかりだなほんと……。
「俺は倒れてしまったところを発見されてこの国に編入することになったが、俺はすごく感謝してるんだ。もしあの時捕らえられていなかったら、俺はもうこの世にはいなかっただろう……」
俺はあの時を思い出していた。
短い期間ではあるが毎日が楽しかった。
みんないい人で出店に顔を出したらサービスしてもらったりとか、他所から来たとか関係なく話仲間として接してくれた。
「今回の戦いは元々は俺のわがままだった。追放されたことを許せない、絶対にあの国を滅ぼすという願望だった。でもみんながアーリア王国をよく思ってなくて、いつの間にか俺と同じ意見になってしまった……。あの時は呆気に取られたよ」
みんなから笑い声があがった。
俺も頭を掻きながら苦笑した。
「長話をしてしまったからこれで最後になるけど―――」
俺は深く息を吸った。
これだけは大声でみんなに伝えたかった。
「俺はこの国が大好きだ!」
気がつくと俺は額から汗が出ているのに気づいた。
観衆達は歓声をあげ、拍手を送っていた。
臣下達も、そしてアンラも。
俺は演説台から降りると、アンラが来てくれた。
「凄く良かったよ」
「ありがとうアンラ」
「ううん、こっちの方がありがとうって言いたい。この国が大好きだって言ってくれたこと、凄く嬉しい」
俺は観衆の方を見た。
まだ歓声はあがっていた。
これから戦いが始まるっていうのに、緊張感すら感じない。
「じゃあ行きましょう」
アンラはいつの間にか演説台の上に立っていた。
「アーリア王国へ出発です!」
「「「「おおおおぉぉぉぉぉぉ」」」」
そうしてアーリア王国に向かって俺たちは歩き始めた。
これから七帝と俺たちとの戦いが始まる。
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