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第9話 本当の気持ち
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「それでルーカスをこの目で見た時に、一目惚れしちゃって……」
「―――」
なるほど。
そういう理由があって、初めて会ったのにも関わらずに俺に気づいて貰えるようにアタックしていたのか。
俺がアンラに対して恋愛感情を持っていないと考えて、少しでも振り向いて欲しかったんだろうな。
「はは……馬鹿だなぁ」
「ふぇ?」
「俺がアンラに対して何も思っていないだなんてずっと思っていたのか?」
「えっ? えっ?」
俺の予想外の言葉に、アンラは困惑している。
俺は今まで誰にも語らなかった事を、アンラに伝えた。
「俺は……俺はお前のことが好きだ」
「―――えっ」
これは本心だ。
正直に言うと、俺もアンラと同じく、一目惚れしてしまったのだ。
モンスターに捕らわれ、連れられて初めて見た魔王という存在。
しかも容姿がとても美しくて、笑顔がとても似合う。
流石に最初から、あんなに接近してくるとは思ってなかったけどな……。
でも、それが初対面でも―――嬉しかった。
「俺はアンラが好きだ。勿論、女性としてな」
「―――う、嘘じゃない、よね?」
「嘘だったらこんなストレートに言えるわけないよ」
そういうとアンラは大粒の涙を流し始めた。
それは今まで見た中で、一番嬉しそうな表情だった。
「だからアンラ、俺はずっとお前の傍にいるから」
「いいの? わたし信じちゃうよ? もう止められないよ?」
「あぁ、信じていいよ」
「ルーカス!」
アンラは俺の名前を呼んで、ギュッと強く抱きしめてくる。
俺も返してあげた。
細くて柔らかい黒髪を撫でてあげながら、俺はアンラにもうひとつ、一目惚れした理由を伝えてあげた。
「アンラは市民のことを、自分より気を配ってるんだろ?」
「え? なんでそれを知ってるの?」
「そんなの、アンラの普段の行動を見ればわかるよ。
この前、俺と一緒に街に降りた時に、積極的に市民に話しかけてる所を見た。
生活している上で困っていることはないか、不満はないか―――とか。
アーリア王国なら絶対にそういうことをしない。放ったらかしだ」
だからアーリア王国民は、日々不満を抱えている。
上の者が自己中だらけだからな。
でもアンラは違う。
「アンラは凄いよ。そんな人、この世界でもアンラだけだと思う。
それだから市民から絶大な人気があるわけだ」
「そんなに褒められたら……ふふ、嬉しい」
アンラは俺に頬ずりしてくる。
俺の心臓は破裂しそうなくらいバクバクいっている。
でも、俺の頭の中にはそんなことは考えていない。
2人きりのこの時間をもっと楽しみたいことで頭がいっぱいだ。
「ルーカス……こんなに近くで見ると、もっとかっこいい……。
ずっと見ていたいなぁ」
「俺もアンラが可愛すぎて仕方がないよ」
俺とアンラはお互い鼻が当たるくらいまで顔を近づけ……唇を重ねた。
10秒、20秒、いやそれ以上かもしれない。
お互い唇を離すと、アンラが顔を真っ赤にしながら、俺の手の上に手を乗せる。
「夢みたい。ルーカスとこんなことしちゃったなんて……」
「アンラって甘えたい系?」
「そうね」
「そうか。じゃあ今日はとことん甘えていいぞ!」
アンラの顔がパァっと明るくなると、強く抱きしめてきた。
そして視線が合うと、また唇を重ねる。
もう俺死にそう。
こんなに幸せな気持ちになったことなんて、何時ぶりだろうか。
「はぁ~。幸せ~……」
唇を離すと、俺の顔を上目遣いで見ながら、そして紅い瞳を潤わせながら言った。
やばい、可愛すぎます!
理性崩壊危険レベルまでもうすぐ。
でも、そこは極力抑えて抑えて……。
俺たち2人は一晩中、2人きりの時間を存分に楽しんだ。
「―――」
なるほど。
そういう理由があって、初めて会ったのにも関わらずに俺に気づいて貰えるようにアタックしていたのか。
俺がアンラに対して恋愛感情を持っていないと考えて、少しでも振り向いて欲しかったんだろうな。
「はは……馬鹿だなぁ」
「ふぇ?」
「俺がアンラに対して何も思っていないだなんてずっと思っていたのか?」
「えっ? えっ?」
俺の予想外の言葉に、アンラは困惑している。
俺は今まで誰にも語らなかった事を、アンラに伝えた。
「俺は……俺はお前のことが好きだ」
「―――えっ」
これは本心だ。
正直に言うと、俺もアンラと同じく、一目惚れしてしまったのだ。
モンスターに捕らわれ、連れられて初めて見た魔王という存在。
しかも容姿がとても美しくて、笑顔がとても似合う。
流石に最初から、あんなに接近してくるとは思ってなかったけどな……。
でも、それが初対面でも―――嬉しかった。
「俺はアンラが好きだ。勿論、女性としてな」
「―――う、嘘じゃない、よね?」
「嘘だったらこんなストレートに言えるわけないよ」
そういうとアンラは大粒の涙を流し始めた。
それは今まで見た中で、一番嬉しそうな表情だった。
「だからアンラ、俺はずっとお前の傍にいるから」
「いいの? わたし信じちゃうよ? もう止められないよ?」
「あぁ、信じていいよ」
「ルーカス!」
アンラは俺の名前を呼んで、ギュッと強く抱きしめてくる。
俺も返してあげた。
細くて柔らかい黒髪を撫でてあげながら、俺はアンラにもうひとつ、一目惚れした理由を伝えてあげた。
「アンラは市民のことを、自分より気を配ってるんだろ?」
「え? なんでそれを知ってるの?」
「そんなの、アンラの普段の行動を見ればわかるよ。
この前、俺と一緒に街に降りた時に、積極的に市民に話しかけてる所を見た。
生活している上で困っていることはないか、不満はないか―――とか。
アーリア王国なら絶対にそういうことをしない。放ったらかしだ」
だからアーリア王国民は、日々不満を抱えている。
上の者が自己中だらけだからな。
でもアンラは違う。
「アンラは凄いよ。そんな人、この世界でもアンラだけだと思う。
それだから市民から絶大な人気があるわけだ」
「そんなに褒められたら……ふふ、嬉しい」
アンラは俺に頬ずりしてくる。
俺の心臓は破裂しそうなくらいバクバクいっている。
でも、俺の頭の中にはそんなことは考えていない。
2人きりのこの時間をもっと楽しみたいことで頭がいっぱいだ。
「ルーカス……こんなに近くで見ると、もっとかっこいい……。
ずっと見ていたいなぁ」
「俺もアンラが可愛すぎて仕方がないよ」
俺とアンラはお互い鼻が当たるくらいまで顔を近づけ……唇を重ねた。
10秒、20秒、いやそれ以上かもしれない。
お互い唇を離すと、アンラが顔を真っ赤にしながら、俺の手の上に手を乗せる。
「夢みたい。ルーカスとこんなことしちゃったなんて……」
「アンラって甘えたい系?」
「そうね」
「そうか。じゃあ今日はとことん甘えていいぞ!」
アンラの顔がパァっと明るくなると、強く抱きしめてきた。
そして視線が合うと、また唇を重ねる。
もう俺死にそう。
こんなに幸せな気持ちになったことなんて、何時ぶりだろうか。
「はぁ~。幸せ~……」
唇を離すと、俺の顔を上目遣いで見ながら、そして紅い瞳を潤わせながら言った。
やばい、可愛すぎます!
理性崩壊危険レベルまでもうすぐ。
でも、そこは極力抑えて抑えて……。
俺たち2人は一晩中、2人きりの時間を存分に楽しんだ。
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