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結婚式への招待

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「私の大事な婚約者エラに協力してくれて、本当にありがとう。君のおかげで私は彼女に出会えました。男爵の爵位と男爵領は、私の感謝の気持ちとして、君に与えてくれるよう父王に頼みました」
 王子さまはまごころ込めてお礼を述べられた。
「そうだったんですね! 王子さまが国王さまに頼んでくだすったおかげで、私たち一家は以前よりももっと幸せになれました。家族がだれ一人、空きっぱらかかえてつらい思いをせずにいられるなんて、本当にありがたいことです。家族みんなを代表し、お礼申し上げます。本当にありがとうございます。私たち家族の心からの感謝を王子さまから国王さまにお伝えくださいますよう、お願いします」
 レオンは深々とお辞儀をして感謝の意を表した。
「はい。父王には必ず伝えておきましょう。それにしても、おなかが空くのはつらいですね。馬に乗って郊外にある狩り場まで、狐狩りや巻き狩りに行った時は、特におなかが空きます。昼食ができあがるまでの時間は、待ち遠しくておなかがきゅうっと鳴るんです。あんな思いはできるだけしたくないものです。ご家族がもうあんなつらい思いをしなくなったのですね。それは何よりです」
 レオンは思わず、下げていた頭を上げて答えた。
「はい! 俺ずっと、いや、いえ私はずっと、『家族をおなかいっぱいにしてやりたい』って思ってたんです」
 つい気持ちが高ぶって言葉づかいを間違えてしまったが、王子さまはそんなことはお気になさらず、レオンの話に優しくうなづいてくださった。レオンは更につづける。
「気の毒な境遇にあったエラ嬢に、なんとか幸せになってほしかったんです。幸せになるためのお役に立てて嬉しく思います。いつかそんな日が来るようにと、毎晩神さまにお祈りしてた甲斐がありました」
「私の大事なエラの幸せをそんなに強く願ってくれていたなんて、感謝に耐えません。『神への敬虔なる信仰』、『レディへの献身的な愛』、『弱者を守り、惜しみなく与える親切さ』、君は騎士道を見事に体現した立派な騎士です」
「そうなんですか? 私は騎士道という物を知りませんが、褒めてくだすってありがとうございます。王子さま、どうかエラ嬢を一生大事にして、必ず幸せにしてあげてください。どうかお願いします」
 レオンは言葉づかいに気をつけながら、それでも懸命に自分の思いを王子さまに伝えた。
「もちろん。私の命に変えても彼女を守り抜き、一生大事にします。彼女が幸せになれるよう、力を尽くします」
 王子さまは男らしく、はっきりと約束してくださった。

「私からもお礼を言うわね。私のために毎晩み父に祈ってくれていたなんて、涙が出るほど嬉しいわ。私が幸せになれたのはレオン、あなたの協力のおかげよ。どうもありがとう。これからもずうっと、私の大切なお友達でいてね。そして、私たちの結婚式には必ずいらしてね」
 エラ嬢は瞳を潤ませながらレオンに感謝し、結婚式に招待する。
「はい、お嬢さん。もちろん喜んで!」
 レオン・ヌッツェンマンは緊張しながらもはっきりと、未来の王太子妃さまからの招待をお受けした。
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