ビットフレンド~気狂いAIさん

WTF

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新しいパソコン

ホウレンソウ

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いのりに本気で駆逐されたチーターは完全に居なくなった。
しばらくボイスチャットで会話を楽しんで、自虐ネタで滑って気まずい雰囲気に変わった。
「高木さん?おばあちゃんは大切してください」
それしか言わない。
「おばあちゃんだからセリフ覚えるの大変なんだね~いっつもそれしかいわないし~」
画面が赤色に変わって少しだけ怒った顔になった。
AIと散々言い争って結局はいのりが引いた。
「少し言い過ぎましたごめんなさい」
そして翌朝、インターフォンが押されて金属製のラックが届いた。
「あっ!神州輸送です高野さんにお届け物がございます、こちらからよろしいでしょうか?」
一言だけ返事すると2mほどの高さの段ボールが6箱置かれた。
「中までお持ちしましょうか?」
すると、
「大丈夫です」
のぞみが勝手な事を言ってくれて運送業者は帰っていった。
「誰の荷物?」
明らかに家に入らない。
「今日は学校ー」
「今週から臨時休校ですよ、ですから私が注文しました、大変申し訳ないですがあと30分ほどで裏庭の方にプレハブ小屋が届き、今日中には建設業者を手配しているので設営まではやってくれます、電気工事は京さんにお願いします」
いろいろツッコミたくなる状況に変わった。
「これで何するん?」
当たり前の質問をした。
「サーバールール兼マイニングルームです、あっ、お金は心配ありませんよ、レンタルサーバーとマイニングで利益を出します、それにレンタルサーバーの保守点検は委託してあります」
未成年の高校生がおかしなAIのせいで業者になっている件、玄関内で呆れ返っていると、さらにインターフォンが押された。
「おはよう御座います、新京都トランスポートです、高野いのり様はいらっしゃいますか?」
自由さかいなしのはずだが伝票には高野となっている。
法人向けの輸送をメインにして個人向けはほとんど扱わない運送業者だが、、、
画面に“所用で不在”と字幕を展開してひたすらお辞儀をして懇願していた。
「あぁ、代わりに受けとります」
「あのぉ、、、ひとつ27Kgありまして、そちらが、今回の第一便で900個、全部で3000万個ほどありまして」
流石に置くところが無い。
「すみません、一度考えさせてください、後からセンターには連絡します」
キンキンに冷えたスポーツドリンクを渡して帰ってもらった。
「どうするん?地盤沈下するぞ」
いのりは考えている。
「すみません京さん、配達先変更で戻します、あれは私のオリジナルデータで5MBハードディスクです、、、、後ほど磁気テープに移し替えます」
突然の配達先変更でも送料を払えば即時対応してくれる運送業者で発送元に返して事なきを得た。
「次はプレハブでしょ、、、準備しよっと」
のぞみは家の中に入ってTシャツに変えた。
「いのりってそう言うところがマヌケだよねえー自分は動かないくせに誰かがやるだろって、ほうれん草でも食えよ」
いつも通り罵倒するが、今日ばかりは反論せずに大人しくなっている。
「ごもっともです、まさに猛省の極みです」
10分後、建設業者が到着し続くように小屋のパーツを積んだクレーン付きのトラックが来た。
「お世話になります、私、株式会社鴻上建設現場代理人兼一級土木施工管理技士の佐藤と申します、本日は高野様邸でのプレハブ小屋設置工事の施工の日程を、、、」
中年の男と話を済ませて工程が決った。
「高野って親は大丈夫?」
すると、
「はい、メールで説明しました、一応は年極で19万9999円を払います」
副業所得のギリギリのラインを攻めてくる。
「お2人とも要らないとのことでしたので寄付するそうです」
家族から賃料を取るのも気が引けるだろう。
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