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二章
第30話 会議
しおりを挟む「……そこで、ミランダ皇妃殿下の疑いについてですが…」
今日は、会議ーー私とアレクシス様も参加している。そして、リカのおかげで皇妃が疑われた。
こちらとしても、優勢なのだが。
「…陛下は、どうお考えで?」
臣下の一人が聞く。
もちろん皆じっと黙って、陛下が答えるのを今か今かと待っている。
「…それはない。否定しよう、ミランダ皇妃はこの件には一切関わっていない」
…………え?
それは、どういうことだ。皇帝はとても公正な方で、少し弱気だが客観的に物事を見ることができると、アレクシス様やミカは言っていた。
それなのに、庇ったーー。
ミランダは、私とアレクシス様を見て、にたぁ、と笑っていた。
ーーそういうことか。この人が、卑怯な手を使ってーー。
「…証拠はあるのでしょうね」
帝国内有力で、皇室の右腕と言われる大臣が少し辛口に問う。もちろん、ミランダは勝ち誇ったままだ。
「…ああ。まず、目撃者についてだが、すんなりと白状してくれた。彼が見たと嘘をついたのは、単なる恨みからのようだ。今は亡き母である皇太后に恨みの念を抱いていたらしくてな。代わりにミランダを…。おぞましいことだ」
これには反対できない。
そもそも皇帝が提出した証拠に難癖はつけられるものではないし、皇太后は贅沢な貴族令嬢で街に行っては散財し、民をこき使ったり…と悪い評判が、コーネリアにも伝わってきていた。
そして、皇太后の機嫌をとらねばコーネリアの未来はないものと結論づけられ、どうにかして気に入られようと多くの美しく若い男が使者として遣わされた。まことに気の毒だが、結局無事に成功したのはたったの数人である。
「…では、誰が盗んだというのです?」
大臣は少しイライラしながら聞いた。
もちろん、それは誰しもが思うことよねーー。
「…本当に、盗まれたのでしょうか?」
えっ、と皆私の方を向く。
もちろん、この説得力が効くかどうかはわからないが、やってみる価値はあると思う。
「もしかしたらーークレア邸にあったまま、誰かが他の場所に移したとか。たまたまそれを「盗まれた」と勘違いなさった可能性もなくはないでしょう」
「確かに…」
皆考え込んでいると、急に甲高い声が響いた。
「祝福の真珠は簡単に触れていいものではありません。だいたい、いつ動かすのですか!」
「…例えば、客人が来れば盗まれないように別の場所へ移動せざるを得ないでしょう。もしくは、使用人が清掃するときに動かしたとか。いくらでも可能性はでてきます」
「……っ」
悔しそうだ。
さっきはあんなに勝ち誇っていたのに。
結局ミランダは何も反論できず、何も結論づけられないままこの件は匙を投げられたーー。
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