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二章
第19話 お姉様のせい
しおりを挟む◇◇◇
「ジークフリート様ぁ、どうか落ち着いて下さいっ!」
「うるさい!アメリア、お前は将来王妃になるんだ、私に相応しくなれっ!」
は?
なんで、ジークフリート様まで指図するわけ。せっかく、お姉様から奪ったと、そう思ったのにぃ……!
王太子妃になりたくて、お姉様が羨ましかった。
小さい頃から努力もせず王太子妃、そして王妃になることが決まってたのは、許せなかった。
「アメリア。間違いが多すぎます。これじゃ、いつまで経っても経済の勉強ができないではありませんか」
うるさい王妃!
私に向かって、なんでこんなにみんな厳しいの?私は、愛されるべきでしょ!みんな、私のことを可愛いって、言ってくれてたじゃない!
最近は、お父様もなんだかおかしいし。
「お父様ぁ……私、お庭で遊びたいの」
「だめだ。王妃様からの宿題は終えたのか?」
「えっと……はい、終わりました!」
「では、予習しろ。復習もだ。ああ、そうだ、ここで成果を見せなさい。できていれば、庭で遊んでいい」
なんでそんなこと言うのっ!?
お父様はいつも優しくて、セシリアお姉様よりも私を溺愛してくださってたじゃない!なんでよ、なんでーーーー!?
しかも、書斎の机で毎日ため息つくから入りにくくなったじゃない!
どれもこれも全部、お姉様のせいよ!!!
◇◇◇
「ラファエル公爵。今まで何をなさっていたのです、アメリアは淑女教育の基礎どころか何もできません。いつまでも背筋は曲がったまま、勉強は一問解いたらすぐに手遊びを始める。甘やかしすぎです!」
と言われ、自分でも自覚はあった。
アメリアにばかり愛情を注いでいたな、と。
今更セシリアに謝ったところで許してはもらえないだろう。これは、自業自得だ。
アメリアは残念ながら、王妃に相応しくない。
もっと言えば、貴族として「負け組」と言っても過言ではないだろう。
「……この家とこの国のためにアメリアを婚約者の座から下ろす必要がある」
きっとセシリアはアメリアに譲り、この国の安泰をアメリアに託すつもりでいただろう。立派にやってほしいと、そう思ったはずだ。
そんなセシリアには申し訳ないが。
明らかに、セシリアの方が努力していたし、相応しい。何より己の目的ではなく国のことを考えて動いていた。
「……潮時、だろう」
この国は、もはや滅亡したに等しいーー。
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