小鳥遊医局長の恋

月胜 冬

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戸惑い

変わらない距離

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「なんでお母さんまでアメリカに来るのよ!」

出発前に春が今泉のマンションを訪れた。

「シモーネのことも心配だったし、アパートだってどんなところか見ておきたいし…ここに来て 今泉先生にも会いたかったから♪」

…だってお父さんんも居なくって寂しかったんですもの。

キッチンで夕食を作っていた。

「トウコさんが居なくてもいつでも遊びに来てくださいね。」

今泉が微笑んだ。

「ええ…喜んで♪」

…ちょっと…普通は遠慮するものでしょう?

かずがいるとまた厄介な事件を起こしそうで嫌だった。

「良いじゃない。私がここに居ればご飯だって作ってあげられるんだから。」

「それは本当に嬉しいです。」

今泉は嬉しそうだった。

「しかも飛行機エコノミーだったのに、ビジネスに勝手にアップグレードしてるし…。」

「だって足を延ばせないし、疲れちゃうんだもの♪いーじゃない。私のおごりなんだから。」

春は笑った。

「もうっ!お風呂入って来るっ。」

冬が部屋を出て行くのを確認して冬は言った。

小鳥遊たかなし先生は?」

「色々ありまして、別れたみたいです。」

「えっ?そうなの。」

春は、暫く言葉が出なかった。

「ええ。トウコさんも随分辛かったんだと思います。泣いてましたから。」

春はじっと考えていた。

「あの子が良いって言っても2週間ぐらい居ようと思ってるの。生活が落ち着くまで時間が掛かるでしょうし。私は暇だからこれからもちょこちょこ行くつもり。それに兄のときも時々見に行ってくれるって言うし安心だわ。」

…ちょっと心配なのよね。と春は笑った。

「ええ僕も夏休みには行こうかと思っています。」

ーーー ピンポーン。

モニターで見ると大きな体がドア前に立っていた。

あ…。小鳥遊先生だ。春と今泉は顔を見合わせた。

「トーコさんにずっとお借りしてました。」

今泉にキンドルを手渡すと、では…と言って帰ろうとした。

「あら…あがっていきなさいよ。」

春がにこやかに出て来たので小鳥遊は一瞬驚いた。

「春さんですよ。」

今泉が笑った。

「もうお食事は済ませましたか?」

「…いえ…でも。」

「あら…じゃあどうぞ。ほらほら入って♩」

押しが強い春に小鳥遊も今泉も苦笑するしかなかった。

「…どうぞ。」

春はウキウキしていた。

「相変わらずお忙しいんでしょう?」

「ええ…まあ。」

春は小鳥遊をテーブルに座らせると、食事を並べた。小鳥遊は戸惑いながらも食事を始めた。

「沢山作ったから帰る時には持って帰ってね。」

そして、残っているおかずをタッパーにどんどん詰め始めた。

「トウコさんは今お風呂入ってます。」

今泉は囁いた。

「春さん…そんなに食べられませんよ。」

小鳥遊がタッパーの多さに、困ったように笑った。

「1週間は持つから、あとね冷凍すれば1ヶ月は持つの。またその頃になったら作りに来てあげるから♪」

小鳥遊は苦笑した。

「本当に来てくれるそうなんで、僕は楽しみにしてます♪」

今泉はにこにこしながら言った。

「お母さん!何であんなにきつい香りの入浴剤を使うのよ!お湯抜いたわよ。私だけじゃなくって静さんだって入るんだから、オペ室で臭…。」

冬が風呂から出てきて、小鳥遊の姿を見てぎょっとした。

「あら…小鳥遊先生…いらっしゃい。」

言い終わらないうちに、冬のスマホに電話が掛かって来た。いつもの冬とは違う甘い香りを漂わせていた。

…確かにオペ室でも匂いそうだ。

「もしも…シモーネ?」

(おかーさん!!何で番号知ってるの?)

「あーこの間聞かれちゃったのよ。」

「はいシモーネ。どうしたの? え?迎え?大丈夫お母さんも行くから。うん。何で便名まで知ってるの?」

とうこは春を睨んだ。

親子のドタバタを聞いていると、小鳥遊は、つい笑みが溢れてしまう。まるで暖かい家庭に帰ってきたような気分になる。

「だってお迎えが居た方が良いでしょう?」

春は悪びれもせずにおどけた顔をして見せた。

(もう信じられない…。)

「うん…うん…すぐ学校始まるから、遊んでる暇なんて無いわよ。」

冬は別室でシモーネと話をしていた。

「この間も病院に来て熱烈ハグされてましたトーコさん。」

小鳥遊が笑った。

「その日、レストランから帰れないからお迎えに来てって言われました。トウコさんがお迎えを頼むことなんて無かったからよっぽどのことですよ。」

小鳥遊は ぽつぽつと食事を始めた。相変わらず春の作った食事は美味しかった。冬が小鳥遊の元からいなくなってからは食事は専ら外食やコンビニで済ませていた。そんな時の春の手料理は、心に沁みた。

誰かが作ってくれた温かいご飯のありがたさを、今更ながらに小鳥遊は噛みしめていた。

「そうなのよね…ちょっと反省してるわ。ところで何で小鳥遊先生は別れちゃったの?原因は?あの子 結構煩いから、嫌になっちゃった?」

…また言いにくい事を。

今泉は苦笑するしかなかった。小鳥遊は箸をそっと置いた。

「僕の浮気です。」

一瞬 部屋が静かになり、冬が隣の部屋でシモーネと話す声が少し聞こえた。

「あら…そうだったの。」

春は残念そうに言った。

「はい…申し訳ありません。」

「冬に謝って仲直りしなさいよ。謝っても許して貰えなかったの?」

「結婚してるんでもあるまいし。たかが1度や2度の浮気ぐらいで了見が狭い子ね。」

コーヒーを煎れながら春が言った。

「それが…その機会も無くて。」

「えーっ。それ…駄目だわ。一番駄目なパターンね。」

今泉は春の歯に衣着せぬ言葉にドキドキした。

「…。」

「どーせ トーコの事だから、理由も聞かず、スパッとでしょ?」

流石 母親なだけあるなと今泉は思った。

「よし…今夜その機会を作ってあげましょう。」

春は完全にこの状況を楽しんでいた。

「…浮気のこともあるんですが、今思えば、結婚の話を出してしまった辺りから、既に拗れてしまったんです。とても反省しています。」

小鳥遊が深いため息をついたのを見て、春は急に真面目な顔になった。

「でも…二度と冬を悲しませるようなことはしないで。OK?」

「はい。」

「わかったわ。じゃあ早くご飯食べちゃいなさい。」

春は今泉に煎れ立てのコーヒーを渡しながら言った。冬は未だにシモーネに摑まっているようで、話し声が部屋から聞こえていた。

あ…そうそうこれ冬のアメリカの住所。春はふたりに渡しておくわねと住所を書いた紙を渡した。


冬がやっと部屋から出て来た。

「お母さんっ‼︎なんでシモーネが、住所まで知ってるの?近所に部屋借りたって言ってたわよ。」 

冬は怒っていた。

「だって手紙を書きたいって言ってたんですもの。」

冬は小鳥遊にコーヒーを出した。

「静さん お風呂に入って来たら?明日も早いんでしょう?」

春が言った。

「じゃあ ちょっと入ってきます。小鳥遊先生ごゆっくりどうぞ。」

「いえいえ…僕もそろそろこれで失礼します。」

春はタッパーの山を小鳥遊に持たせた。

「トーコ 持ちきれないから 小鳥遊先生の部屋まで持って行ってあげて。」

ほらこれも…これもとどんどん積み重ねた。

「お母さん こんなに作り過ぎだよ。」

「あら良いじゃない。冷凍して置けば良いんだから。ねぇ先生?」

「済みません…こんなに頂いて。助かります。」

小鳥遊はお礼を言った。

「今日はご馳走様でした。」

そう言うと小鳥遊は冬は玄関を出た。

「先生…要らない時は要らないって言わないと、母はずっと作り続けちゃいますよ?」

春が今泉のところに食事を作りに来ると言えば、本当に来るだろう思うと、冬はため息をついた。

「いいえ…僕は助かります。あなた達が作ったご飯は美味しいですから。」

部屋に入ると懐かしい小鳥遊の香りがした。何も変わらない部屋。冬は持ってきたものを冷蔵と冷凍に分けた。春が一食分ずつ綺麗に分けていたものを、以前自分が買い揃えた、保存容器へと移し変えた。

冷蔵庫の中は空っぽだったが、野菜ジュースが何本か入っていた。

…ちゃんと野菜ジュース自分で買ってたんだ。

それを見ると冬の鼻の奥がツンとした。何気なくリビングを見ると、冬がSandieに乗っている写真が飾ってあった。小鳥遊は冬にお茶を煎れた。

「お茶でも飲みませんか?」

冬は落ち着かなかった。
思い出があり過ぎる部屋だった。

「ありがとうございます。でも…どうぞお構いなく。これ片付けたら帰りますから。」

それこそ設楽したらが来たりしたら誤解されてしまう。

「少し話をさせて下さい。」

小鳥遊は冬の背中に向かって言った。

…駄目だ…聞いたら。

「先生…誰か来たら困るでしょう?だから帰ります。」

…そうだ。かずにも言っておかないと、そっくりだから勘違いさせてしまうかも知れない。

「ここには誰も来ません。あなた以外は。だから少し話をさせて下さい。」

小鳥遊はゆっくり静かに話した。

「私はお話することは何もありません。」

全てを入れ終えて、タッパーを纏め始めた。

設楽したらさんのことは…。」

小鳥遊が言い終わらないうち冬は言った。

「私は好きな人を見つけて結婚して下さいと言いました。だから先生は、私に説明する必要は無いんです。」

冬の胸がギシギシと音を立てて軋んでいた。

「僕は設楽さんと一度過ちを犯しました。あの時だけです。あなたを傷つけてしまったことを謝ります。」

…駄目だ…胸が痛い。

冬はタッパーを全て袋に入れて持ち玄関に向かった。

…でも今日よりも明日に引き延ばした方が、痛みは長引くから。

「トーコさん お願いです待って下さい。」

…ちゃんとお別れするのも優しさだ。

離れれば今はとても辛いけれど、今ならまだ忘れられるような気がした。

冬の手を掴んだ拍子に、袋からタッパーが零れ落ちた。小鳥遊は冬を強く抱きしめた。

「トーコさん本当にごめんなさい。許して下さい。」

…許すも何も、もうお別れしたじゃない。

「信じて貰えるかどうか判りませんが、設楽さんに突然キスをされたんです。彼女の香りがあなたと同じだったもので、ついクラクラとしてしまいました。」

「…。」

「そこからは理性が全く利かなくなってしまいました。」

「…。」

「本当にごめんなさい。どうか許して下さい。」

「…。」

「本当に反省しています。」

冬は小鳥遊からゆっくりと離れた。

「先生が…おっしゃりたいのは…それだけですか?」

そしてゆっくりと零れ落ちたタッパーを拾い集めた。

「…疲れました。」

冬は困ったように微笑んだ。

「色々なことがありすぎて…疲れました。“大人の関係”で終わらせるべきでした。」

…辛い…けれど、離れれば忘れられる気がする。

「僕はあなたを愛しています。」

冬は玄関で靴を履いた。


「あなたとはこれから先、もうお会いする事は無いと思います。本当にこれでさよならです。」

…これは先生の為。そして自分の為。そうだ簡単だ。浮気が許せなかったと言えば良いんだ。

「僕は嫌です。あなたと別れたくありません。」

小鳥遊の声は少し震えていた。

「私は、先生に必要では無かった…ただそれだけのことです。ワンナイト・スタンドでも、大人の関係でもどうぞお好きになさって下さい。」

…自由にしてあげよう。

小鳥遊は何も言えなかった。

「先生 さようなら。」

…私が信じる道を行けば良い。ただ前を向いて進もう。

「待って…待って下さい。お別れのキスをして下さい。」

小鳥遊が動揺を見せると、冬は逆に冷静になった。

…大丈夫…私なら言える。

「本当に誰かを好きになったら、“つい”や“うっかり”は無いことを、あなたと静さんが私に教えてくれたんじゃなかったんですか?だからあなたとはキスは出来ません。」

…これで良いんだ。別れるのなんて簡単だ。少しの痛みを我慢すれば良いだけ。

冬は大きな空のタッパーの音をカタカタさせながら、小鳥遊の部屋を出た。

+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:

家に帰ると春と今泉が驚いた。

「帰って来ちゃったの?てっきり…。」

春と今泉は顔を見合わせた。

「ううん。今度こそちゃんとお別れしてきたの。今日は疲れたからもう寝るわ。」

冬は歯を磨いて寝室へ行った。

春はため息をついた。

「後でトウコさんの様子を見て来ます。」

今泉は複雑な表情を浮かべた。

先ほどまであった胸の痛みは不思議と消え、すっきりとした気分だった。

今泉が寝室に入って来て、冬の隣に静かに潜り込んだ。

「…トウコさん。もう寝ちゃった?」

今泉は小さな声で囁いた。

「ううん…起きてる。」

背中を向けたまま冬が答えた。

「本当にそれで良いの?」

今泉は冬の黒い髪に優しく触れた。

「うん。もう色々煩わしいのは嫌になっちゃったの。」

冬はそっと体の向きを変え、今泉の唇に優しくキスをした。

「おやすみなさい。」

今泉は冬を抱き寄せた。

「ねぇ…したい…かも…とっても。」

耳元で囁かれると、冬の下半身は潤った。

「私も」

…ちょっと待っててね。飲んでくる♪

今泉はベットを離れてすぐに戻って来た。

「ねぇ…これ試してみよう♪」

PTから貰ったバイブレーターだった。

「静かにしないとお母さんに聞こえちゃうわ。」

「その方が何だか興奮するかも。」

お互いのパジャマのボタンを一つずつ外し、脱がせた。

「キスマーク付けても良い?」

今泉は頬から首筋へキスを這わせた。

「うん。私も静さんに付けたい。」

今泉の舌は、細やかに動き冬の肌にさざ波を立てさせた。

…ちょっとくすぐったい。

乳首をそっと口で含んだ。

「トウコさんの乳首可愛いし、美味しい」

今泉の長い舌は、冬の胸の突起に絡み付き執拗に愛撫を繰り返した。反対側の乳首は指で優しく摘まんだ。

…ああ。

「こうされるのが好きみたいだね。」

…うん。好きかも。

「今日はゆっくり愛してあげたい。」

冬の髪に優しく触れていた。

「静さんは どんな体位が好き?」

冬は小さな声で聞いた。

今泉の唇は胸から、下降し冬の真っ白で透き通るような肌にキスマークを付けながら、下腹部へと進んでいった。

「ロールス・ロイスかな…騎乗位も好き。」

「そうだったの?私も好きだけど…すぐ気持ちが良くなっちゃうからいっぱい出来ない…。」

冬は紅潮した顔で今泉を見つめた。

「すぐイッても良いよ。僕 トウコさんの感じている顔を眺めているのが好き」

指を冬の中に滑りこませた。

「とっても濡れてる。」

冬の秘部は既にこれから味わうであろう快感への期待で蜜を沢山蓄えていた。

…ぐちゅ…ぐちゅ…

「ね…聞こえるでしょう。」

腰をくねらせた。

「あん…恥ずかしい…。」

「こんな音たててエッチだね。ほら僕の指が3本も入ってるよ。」

大きく深く指を動かすと冬が甘い声で啼いた

「ああん…感じちゃう…。」

「…ねえ入れてみても良い?」

冬は恥ずかしそうに頷いた。今泉はバイブレーターを入り口にそっと押し付けた。それは無機質でひんやりとした。

…くぷ…くぷ…くぷ

いとも簡単に根元まで入ってしまった。今泉は出し入れをゆっくりと眺めた。

「なんか興奮しちゃうかも。」

紅潮した顔の今泉はおもむろにスイッチを入れた。

ーーー ウィーンウィーン。

それは、冬の体内でくぐもった音を出した。

「あぁ…静さん…駄目駄目…いっちゃう…あ…いやぁ。」

必死で声を堪えながら大きく体をのけぞらせた。

「僕…見たい…イクところ。」

冬を愛しそうに眺めていた。胸の長春色の突起はツンと締まり、その先端を今泉の細い人差指で優しく愛撫した。

「恥ず…かしい。あっ…あっ…」

冬は甘い声で喘ぎながら今泉の顔を見つめたが、快感が次々に襲い目を開けていることも出来なくなった。

「静さんので…いきたいのぉ。」

囁き声が少しづつ大きくなった。

「はぁん…声が…静さん…キスして。」

「とっても可愛い。」

今泉の顔を手で挟んで唇を塞いだ。

…ん…ん…ん…はぁ…はぁ。

そっとバイブレーターを抜いた。

「僕も…トウコさんが欲しくなっちゃった。」

今泉のそれは硬く大きくなっていた。今泉は枕もとのコンドームを取ったが、冬が止めた。

「そのままで…静さんがよければ。」

冬の顔をじっと見つめ抱きしめた。

「ありがとう。」

冬の体は快感で熱を帯び、少し汗をかき、体からは入浴剤の甘い香りがした。先ほどまでバイブレーターが入っていたその場所からは、温かなスープが流れ出していた。

「僕が綺麗にしてあげるからね。」

優しく呟くと今泉はゆっくりと下腹部へと舌を滑らせ、その流れ出た透明なスープを美味しそうに舐めとった。

花弁の中の小さかった突起は刺激でぷっくりと膨れていた。舌でそっとその周りを舐めると冬の腰がピクピクと反応した。指で突起を優しく愛撫しながら、白く柔らかい太ももの内側にもキスマークを何か所かつけた。

それは今泉だけが知っている秘密の場所。

「背中を向いて。」

冬は快感に翻弄された重い体をゆっくりと起こし、背中を向けた。背中にも唇を這わせると冬がくすぐったいと身もだえた。

「バックでしたい。」

冬は今泉にお尻を突き出した。

「挿れて欲しい?」

意地悪く冬に聞いた。熱い吐息が心地よい。

「うん…欲しい…とっても。」

冬の腰をそっと自分に引き寄せ四つ這いにさせた。

「ねえ…足閉じて。」

冬は足を揃えて臀部を今泉に突き出した。揃えた足を跨ぐようにして今泉は膝で立ち、ゆっくりと自分自身を冬に挿入した。

…あん。

「あーっ…全然違う。凄いよ…トウコさんに温かくて包まれてる。」

今泉は挿入したまま 暫く動かなかった。

「締まってる…気持ち…よすぎ…て」

冬の蜜を湛えたその場所は、今泉が動くたびにいやらしい音がした。

「もぅ…感じ…る…ぁぁ。」

冬の尻がピクピクと動いた。

「トウコさん。そんなに…きつく締めたら…。」

…ぁぁぁ…静さん…感じる…の。

吐息で冬が囁いた。膣が快感を感じるたびに不随意に今泉をじわじわと締めつけた。

「感じてるのが…僕にもわかるよ。」

…僕もとっても気持ち…いいよ。

今泉は冬の体を起こし抱え込み、乳房を愛撫した。

「それ…駄目ぇ…。」

冬の中はさらに今泉を絞るようにきつく締めつけた。

「僕も…駄目かも。」

今泉が激しく動くたびに、冬の中で快感は出口を求めて膨れ上がり、今にも冬を弾け飛ばしそうだった。

…うぅ…ぁあ…シズ…愛して…る。
…一緒に。

今泉は冬の肩をしっかりと掴み、何度も激しく突いた。

「あん…あん…そこは…駄目…いくぅ…いっちゃう。」

冬の体は大きくのけぞり痙攣した。ふたりはベットに倒れ込んだ。

「可愛いトウコさん…僕はあなたに夢中なんだ。」

「私も…愛してる。」

今泉が冬から離れると、艶やかな練乳がトロトロと流れ出た。ふたりは 快感の名残とともに眠りについた。


朝。
冬が目を覚ますと、今泉はまだ隣ですやすやと寝ていた。

…なんて素敵なんだろう。

カーテンから漏れる朝日にウェーブの少し掛かった髪が、茶色に光っていた。それは触れるととても柔らかくてしなやかだった。胸には昨日付け合った愛の跡が赤く点々と付いていた。

自分で決めたことであっても、日本を離れるのは辛かった。アメリカへ行く時はいつも、ワクワクして楽しみだった。今ほど日本に愛着は無かった気がする。

今までは一緒に当たり前のようにいた今泉が居ない生活が想像出来なかった。冬はスマホを出し、隣で眠る綺麗な今泉の顔と、適度に筋肉がついた肩と背中の写真を何枚か撮った。

「カッコ良い僕の写真を取るなら、トウコさんと一緒に撮ってほしいです。」

今泉がいつの間にか起きて笑っていた。

「アメリカに行って寂しくなったら写真見て我慢しようと思って。」

冬は今泉の胸に凭れ掛かった。

「ひとりエッチをする時に使って下さい♪」

今泉は嬉しそうに胸の中に居る冬を抱きしめた。

「うん…そうする。」

冬は笑って言った。

「じゃあ僕もヌードを撮らせて貰おっと♪」

今泉も自分のスマホを出した。

「えー。それは駄目…。恥ずかしいから。」

「そうだこの間ふたりでオペ室でお母さんに撮った写真メールで送って下さい。」

ちょっと待ってね…と写真を探すスマホのアルバムに、冬は自分の寝顔が沢山あるのを見つけた。

「あ…自分だって勝手に私の写真撮ってるじゃない!」

冬が無邪気に寝てる顔のアップの写真、嬉しそうに笑う今泉の胸に抱かれながら冬がすやすやと眠っている写真、しかもベットに横たわり眠るセミヌードもあった。


「これ消してー。なんか際どいし…。恥ずかしい。これ何時撮ったの?」

冬は今泉のスマホを取り上げようとしたが、失敗した。

「えーいやだ♪これは僕のお気に入りだから駄目。少しづつ撮りためたんだから。」

冬の手の届かないベットの端に置いた。

「じゃあいいもん。」

冬は今泉にキスをした。今泉はそれに答えて濃厚キスを求めた。その最中に写真を撮った。

「あー僕もそれ欲しい!!」

今泉が言った。

「だーめ。セミヌードとトレードするんだったら考えても良いよ♪そうだ一緒にベットで横になっている写真を撮ろ。」

そう言うと冬はさっと今泉と寄り添い、何枚か写真を撮った。微笑む今泉の胸には、冬が付けた赤いキスマークが点々と付いていた。

「これ 待ち受けにしーよーおっと♪」


冬はさっとスマホをしまった。

「あ…僕も欲しいです…お願いします。」

「セミヌードとトレード…。」

「お願いします。」

「嫌。」

「…。」

「静さん?」

「…。」

…え。

今泉は冬に背中を向けた。

「泣いてるの?」

「…僕に写真ぐらい置いてって下さい。」

「あぁ…泣かないで静さん。意地悪しちゃったの。ごめんなさい。」

冬は慌てて今泉を抱きしめた。こんなことで悲しませるとは思わなかった。

「…僕だって あなたと離れるのは寂しい。」

「わかったわ。意地悪してごめんなさい。」

冬は今泉に画像を送った。

「静さんそろそろ起きる時間でしょう?」

春がキッチンから大きな声で言った。

「はーい。もう起きてます。」

今泉が大きな声で叫んだ。

…え?

「どうもありがと♪トウコさん。」

冬の頭にキスをしてベットから起き上がった。背中には冬がつけたキスマークがついていた。

「静さん…騙したのね。もうっ…。びっくりしたわ。」

「うん♪」

今泉は嬉しそうに笑った。

「僕も待ち受けにしよーっと♪ねぇ一緒にお風呂に入ろう。」

今泉はズボンを履きシャツを羽織って冬の手を引っ張った。

「ちょっ…何か着ないと。」

冬も慌ててTシャツを着た。春が朝食を作った味噌汁とご飯の良い香りがした。

「お風呂入ってきます~♪」

今泉は笑った。

「静さん早くしないと遅れちゃうわよ。」

冬が今泉の弁当を手早く詰めていた。


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