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ポリガミー・スタイル
二重生活
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「本当?」
今泉は予想外のOKに驚いたようだった。
「私の方が、ふたりより恥ずかしいかも…。」
「僕も手伝うから、平気だよ。」
今泉は嬉しそうに笑った。
…ひゃー緊張。静さんとガクさんと一緒だなんてドキドキしちゃう。
場所は小鳥遊の部屋に決まった。
「先生の所のベッド無駄に大きくて、3人でも余裕がありそうだから。」
…変態エロが、一番拘ったのはベッドなのは一目瞭然。
「無駄に広いって…。」
今泉は笑ったが、実物を見た時に声を出してわらった。
「確かにこれはトウコさんが言っていた通り、無駄に広いですね。うん。やる気を感じさせるね。」
それに対していえ…こんな日もあろうかと大きいのにしていたんですよ。
小鳥遊は真面目な顔で言ったので、今泉と冬は顔を見合わせて笑った。
―――その日。
冬は緊張し過ぎて…ワインを飲んだ結果エッチなトーコに変身していた。小鳥遊にしな垂れかかり、甘えていた。
「トーコさん…あなたって人は…。」
小鳥遊は笑った。
「僕たちより緊張していたのがトウコさんだったなんて…。」
冬は二人の手を引いて小鳥遊の寝室へと向かっていた。
「エッチなトーコさんの方が進めやすいと言えばそうなのですが…。」
小鳥遊は苦笑した。
「小鳥遊先生…僕が助けた時もこんな感じでしたが…お酒を飲むといつもですか?」
今泉は笑った。
「ええ…飲むとこんな感じですね。」
冬は小鳥遊をベッドに押し倒しキスをせがんで居た。
「せんせぇ…キスしてぇ。」
ちょっと…待って今泉先生と話してるんだから…と抱きついて来る冬を押えた。
「あの時…僕はトウコさんって呼んでいたんで、もしかしたらあなたと勘違いしたのかも知れません。“いつものように~”って言ってましたから。」
今泉は笑っていた。
「そうかも知れませんね…あなたを疑って済みませんでした。」
小鳥遊は冬のブラウスのボタンを外していく。
「トーコさん…どのくらい飲みました?」
白いブラが現れた。いつもは真っ白な冬の皮膚はピンク色になって居た。
「ワイングラス半分程…」
今泉がグラスを確認した。
「先生…静さん…。」
潤んだ目で二人を見つめていた。
「多分彼女はこのことを…。」
冬に顔を両手で抑えられた小鳥遊は愛しそうに冬を見つめながら言った。
「ええ…多分覚えて居ないでしょうね。」
今泉も微笑んでいた。
小鳥遊はスカートのジッパーを下した。上下お揃いの可愛らしいレースの白い下着が現れた。小鳥遊がブラのホックを外すと形の良い胸が現れた。
「トウコさん綺麗です。」
今泉はため息をついた。
「せんせ…キスして…。」
冬はブラの肩ひもを外しつつ甘い声を出した。
「はてさて…一体どちらの先生でしょう?」
小鳥遊は意地悪く笑い、冬のショーツを脱がせるとつるつるとした双丘が現れた。
「そんな意地悪な先生にはキスしません。今泉せんせ…。」
冬は今泉に手を伸ばすとキスをせがんだ。傍観者としているつもりだった小泉は、小鳥遊が気を悪くするのでは無いかと慌てた。
「いけません。小鳥遊先生にして貰って下さい。」
今泉は少し困った様に小鳥遊を気にした。
「…僕は構いませんよ。」
小鳥遊はゆっくりと冬の下腹部に唇を流していた。
今泉がベッドに近づくと冬はしっかりと抱きつきキスをした。小鳥遊は冬の足の間に割って入り、ふたつの丘の間にある小さな突起を舌先でクルクルと舐めると、すぐにとろりとした愛液で潤い始めた。冬は今泉と濃厚なキスを交わしていたが、蕾への甘美で鋭い刺激に太ももがふるふると震えた。
「…うぅ…あぁ…。」
塞がれた口の端から冬が小さな声で喘ぐと、小鳥遊も今泉も興奮を隠しきれなくなった。冬のワインと快感の間でふわふわとしている視線は、虐めたくなる程に可愛らしかった。
「トウコさん…なんていやらしい声で啼くんだ。そのとってもエッチなその顔を僕にもっとよく見せて。」
今泉が冬の髪を優しく梳くと、冬は大きく細い指先が頬に触れて貰えるように顔を横に向け誘導した。流線状の顎のラインをその指は冬の思惑通りに優しく何度も行き来した。ふたりで愛を確かめ合う時よりも冬が妖艶に見えた。小鳥遊はゆっくりと指を冬に沈めていく。
…くぷ…くぷ。
既に冬の入り口はたっぷりと潤い,愛に飢えてひくひくと蠢いた。
「トーコさん…とっても濡れてます。」
指を少し曲げ、冬が大好きなスポットを小鳥遊は優しく擦った。ざらざらとしているのに纏わりつく壁は、指の動きに合わせ吸い付くように形を変えて小鳥遊の指にフィットした。
「気持ち…いい。…静さん…お願い…手を…繋いで…いて。」
小鳥遊の指は躊躇する事なく快感を与え続けいやらしい音が部屋に響いた。
「とってもエロい顏してるよ。」
「そんな…こと…うぅ…はぁ。恥ずかし…。」
今泉と繋いでいる手に力が入る。M字に開かれた冬の白い足の間で、小鳥遊はじゅるりと音をたてながら蜜を吸うと、冬は切なく喘ぎ、腰がビクビクと
小鳥遊の舌技に合わせて波打った。
「トウコ…綺麗だよ。」
冬は手を今泉のスウェットの中に滑り込ませ、力無いそれの先端を指の腹で撫でていた。
「ガク…キスして…。」
小鳥遊の顔を引き寄せキスをした。紅潮した冬の顔は、とても熱くそして艶かしかった。
「トーコさん…僕たちに見られて…感じているなんて…いやらしい…ひと…だ。」
いつもより興奮している小鳥遊は意地悪く冬に囁いた。
「ええ…嬉しいの…大好きなふたりに見て貰えて…ぁぁ。」
「…駄目だ…トーコさん…もう挿れたい。」
小鳥遊はため息をついた。
「いっぱい…欲しいの…。」
手は小鳥遊としっかり繋がれていた。充分に満たされた冬にゆっくりと差し込んでいく
「ぅうう…はぁぁ。」
冬の腰がくねくねと動き、真っ白な腹部が波をうつ。今泉とキスを交わしながらため息が漏れる。
「もっと…喘いで…いやらしい声を聴かせて…僕たちに」
今泉が口づけの間に囁いた。小鳥遊は 大きな動きで深く深く冬を突いた。
「…ぁあ…いっちゃう…から…いや。」
ふたりと繋いだ手に力が入り小鳥遊の腰に絡んだ足からピクピクと動いた。
「…気持ちが…良くなって…きちゃった…。」
快楽に半分溺れながらも冬は,小鳥遊を見つめていた。
「トーコ…こんなに締め付けて…ああ…イイ。」
冬の中は温かでぬめり気を増し,小鳥遊の巨根にますますフィットし引き抜こうとする度に陰圧が掛かり、小鳥遊を絡め取ろうとしていた。
「あなたのココは僕を狂わせる。ぁあ…とても官能的で、いやらしいよ。」
スピードを増す小鳥遊の腰使いに,冬の嬌声はますます大きくなった。
「あぁん…はぁん…感じてるの…いやらしいトーコをもっと見てぇ…お願いいぃぃ。」
潤んだ目で今泉を見つめ、そして小鳥遊に向けて優しく微笑んだ。今泉の手が、優しく胸の突起を愛撫した。
「もう…我慢できない…」
「トーコ…愛してる…くっぅうう。」
小鳥遊は冬の太ももをガッチリと押え激しく何度も突いた。
「ふたりとも…愛してる…ぅぅぅ…」
「トウコさん…」
今泉は弓なりになる冬の胸の上の突起を強く摘まんだ。その瞬間、冬の体はビクンビクンと大きく震えた。
…ぁぁ…ぁぁ…
小さく長く喘いだかと思うと、ゆっくりと体から力が抜けた。小鳥遊が冬から離れると、小鳥遊が今まで貫いていた穴から、トロトロと白い液体がクリームの様に流れ出た。
力が抜けた冬を横に向かせた。いったばかりの冬を休ませず、今度はバックで小鳥遊はゆっくりと突いた。冬と向かい合わせに寝ている今泉は乳房をゆっくりと愛撫した。
「あぁ…だめ…休ませて…でないと…おかしくなっちゃう…ぅぅ。」
今泉の顔を引き寄せ激しく唇を貪りながら、喘いだ。
「駄目です…トーコさん…そのいやらしい顔をちゃんと見て貰いなさい。」
小鳥遊は囁いた。
「喘ぐ姿が…感じているトウコさんが…好きだ。」
唇の間から言った。冬は、小鳥遊を不随意に締めつけ、快感の放出を再び待っていた。
「気持ちが良いんだね…僕も感じる。」
今泉は熱のこもった目で冬を見つめた。
「感じる…」
冬は白く汗ばんだお尻を小鳥遊に突き出した。
「もっと…もっと…欲しい…深く…突いて…」
両手は硬く繋がれ、今泉が冬の唇を塞ぐ。
「気持ちよすぎて…壊れ…ちゃう。」
冬は顔を快感でゆがめながら今泉をトロンとした目で見つめている。
「駄目だ…もう我慢…できない…。」
小鳥遊は、冬の腰をしっかりと掴み、激しく突いた。乾いた音が部屋に響いた。今泉は、快感に身を任せているふたりの様子を凝視していた。
「せんせ…あぁ感じる…愛してる…はぁ…はぁ」
「トウコさん…その顔を見せて下さい。あぁ…なんて…エッチな顔。」
冬の髪は乱れ、顔に張り付き、小鳥遊が突くたびに形の良い胸が揺れた。
「中は…気持ちが…良い…吸い付いてくるみたいだ…。」
「…また…感じてる…見てて…。」
「うんちゃんと見てる。綺麗だし…いやらしいなぁ。」
今泉は優しく胸の上の突起を指の先で指の腹で優しく潰し、転がした。
「あぁ…ぁあ……んん…。」
冬の喘ぎ声はますます大きくなり、それに合わせて、小鳥遊の動きが早くなっていく。
「くっ…イク…。」
「一緒に…いこう…キスして…トーコに触れてぇ…ぇ。」
冬は今泉に激しい口づけをせがんだ。
「うぅっ…。」「くっ。」
ふたりは同時に果てた。冬の下半身は快感の余韻でビクビクと痙攣し、今泉に額を付けたまま、冬は気を失っていた。
「ふたりとも…ありがとう。」
今泉は冬の唇にキスをした。翌朝小鳥遊のベットで起きた冬は、二日酔いだった。
「昨日は3人で楽しかったですよ。ありがとう。」
ふたりに言われたが、案の定 冬は全く覚えて居なかった。
絶倫小鳥遊は、朝晩2回ずつ毎日冬を抱いた。今泉はその生活スタイルをはたから見ていて感動すら覚えていた。
翌日オペでも冬と深夜過ぎまで愛し合い、昼間は素知らぬ顔でダンディなイケメン医者のふりをして過ごすDrエロス。
「彼の方が、Dr.辺縁系肥大のニックネームがぴったりです。」
今泉は笑ったのと同時に、冬が大変そうだなとも思った。平和に過ごしていた冬達だったが、小鳥遊が独身と聞き、時々、医師達が小鳥遊の部屋に押しかけ酒盛りを開いた。
「その間、僕がトウコさんを大切に預かりますから。」
今泉は笑ったが、小鳥遊は不機嫌だった。
「僕は先生達と飲むより、トーコさんと愛し合いたいのに。」
「あら良いじゃない…朝はいつもしてるんだし。」
…私だって少しは休みたいわよ。
「そんなんじゃ足りない…。」
小鳥遊はいじけた。
「なんのために先生には手があるの?オペと自慰をするためでしょ!少しは我慢して下さい。」
冬が叱ると今泉が爆笑した。
「そうやってすぐ僕を虐めるんですから…。」
…いや…トウコさんの言う通りだ。
再び笑う今泉だった。
「久しぶりに今日はゆっくり出来そうです。」
朝からオペ室でも機嫌が良かった小鳥遊を見て、今泉は可笑しくて仕方が無かった。
ほぼ定時で帰宅し、久しぶりに冬の作った温かい夕食をゆっくりと食べ、一緒にお風呂に入りひとしきりいちゃいちゃし、その後小鳥遊と冬は営み始めた。久し振りの行為に二人とも、激しく求め合い、貪りあった。
突然インターフォンが鳴った。
「…ちょっと待って。」
冬は自分の洋服をかき集め、玄関で自分の靴を拾い、玄関から一番近い部屋に逃げ込んだ。
そこには小峠が立っていた。
「済みません…文献を貸して貰いたくって連絡もしないできちゃってすいません。」
…無毛助手…変なタイミングで来やがって。
少々不機嫌にちょっと待ってて下さいねと言い、小鳥遊は書斎へと引っ込んだかと思うとすぐに出て来て文献を小峠に手渡した。
「僕は出かけていることが多いので、今度から連絡を下さってから来て頂いた方が確実です。」
「はい…済みませんでした~♪そうだ!今度またソープへ連れてって下さい。」
…ソープ…だと?
小鳥遊は変な爆弾を置いて帰った無毛無能助手にいらだちを感じつつ、隣の部屋で、確実に聞いていたであろう冬の反応が怖かった。
…へぇぇぇぇ、…ソープねぇぇぇ。
ドアが閉まった瞬間からおしゃべりになるDr.Eros。
「あの…弁解をしますと…外科医局長に丁度、トーコさんと別れてすぐの時に誘われまして…。」
「そう…。」
冬は別に風俗へ行くくらい、素人に手を出すよりはましだと思っていたが、小鳥遊の慌てふためく姿が可愛いのでちょっと弄ってみようと思った。
ベッドに戻って来て先ほど慌てて着たスウェットを脱いだ小鳥遊はなかなか冬と目を合わせようとしなかった。
…なんで私の目を見て話さない?
「丁度、新年会的なものがありまして…。」
冬の隣に戻ってきてベッドの端に腰掛けた。やけにたどたどしく話す小鳥遊は動揺していた。
「あのですから…他の医局長さん達との親睦会的なことになったわけで…。」
…あ…さっきまでのデカチンがショボチンになった。
それを見ると冬は噴き出しそうになったが必死で堪えた。
「うちの病棟からは、僕と小峠先生と…。」
と口ごもった。
…やっぱり二人だけじゃ無かったんだな。さては若手も呼び出したな。
冬は直感的にそう思った。
「二次会的なものが、その場所だったんですけれど…。」
病院で見る素敵な小鳥遊とは、大違い。
「1時間ぐらいで、その後は各々で解散になり…。」
その姿も何だか、可愛らしくて仕方が無い。
冬は、言い訳ばかりする小鳥遊の口を塞いだ。
「センセ?私は先生の言い訳よりも、先生が欲しいの。」
冬は、小鳥遊をベットの上に押し倒すと、馬乗りになって甘く囁いた。
「言い訳してる暇があったら、私を抱いて、気持ちよくさせて?」
「ああ…トーコさん。」
冬が挑発したことで、久しぶりに激しい夜になった。
+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:
ここ1-2週間程、冬は気もそぞろで様子がおかしかったが、今朝の冬は特に変だった。今泉に今日は弁当持ちなのかどうか、同じことを2度も聞いた。
(なんかちょっとトウコさんおかしいですね?)
今泉は朝食を慌ただしく食べながら、ちょうど反対側に座り食後新聞を読んでいる小鳥遊と眼で会話をした。
(ええ…何かおかしいですね。)
「今日ちょっと早めに出ます。行ってきます。」
それぞれ二人とキスを交わし、出かけた冬。玄関のドアが閉まった途端に今泉が、言った。
「昨日は自分の部屋で誰かと電話を長くしていたんですよね…。」
小鳥遊は新聞を読みながら、
「そうですね…あの人の長電話なんて、今まで一度だって見たことが無いですね。」
ふたりとも冬の行動がおかしいことに気が付いていたが、原因が特定できなかった。窓を覗いた今泉が小鳥遊に言った。
「先生…ほら…また電話してる。」
駅の方へ歩く冬は、携帯で誰かとしゃべっているようだった。
「暫く様子を見てから本人に聞いてみましょうか…。」
小鳥遊が言った。
「でも…トウコさんの事だから、何かあっても、僕達には相談しないんじゃないですかね?」
(もしかして…浮気。)
二人で顔を見合わせた。
…ないない…トウコさんに限っ…て。
澱んだ沈黙
「僕は一日中病棟に居ますから、トーコさんを観察してみます。何か分かったらメールします。」
いつもなら、患者を待たせない冬だったが、担当患者のコールも取らずぼっーとしていた。
「月性さん?ナースコール。山田さんがまた頭が痛いって。」
患者のお迎えの連絡をCT室から受けていたのにも関わらず、すっかり忘れていた。
「月性さんだったらいつもすぐ来てくれるのに、病棟忙しのかな…と思って。」
技師が病棟まで患者を連れてきた。患者をリハビリに連れて行くのも忘れ、PTが病棟まで迎えに来たり、いつもの冬ならしないミスだった。
(ねぇ…今日の月性さんおかしくないですか?)
(なんかボーっとして変よね?)
看護師同志からのささやきが小鳥遊にも聞こえた。いつもならすぐに終わらせるカルテの記入も、PCの前で暫く物思いに耽っている様子だった。
そんな調子で冬は何とか昼まで過ごした。
「お昼行ってきます。」
小鳥遊は冬に声を掛けようとしたが、弁当を持ちさっさとどこかへ消えた。
(小鳥遊:大丈夫ですか?)
(大丈夫です。)
(小鳥遊:今どこですか?)
その後、返事は来なかった。休憩から戻って来て、少し良くなったようだった。家に帰って来てからも冬は何となく元気が無いように見えた。
そろそろ今年も夏休みの予定を決める時期だった。夕食の時間。二人が話している間も、聞いていない様に見えた。
小鳥遊と今泉は、冬が気が付くまで沈黙を続け、その顔を眺めていた。1-2分程経って、冬はやっと気が付いた。
「毎年ホストファミリーの所へ行ってるの。もう今年で最後にしようと思って。2週間ならマイアミかカルフォルニア辺りへ行こうかと思って。」
冬はふたりの心配をよそににっこりと笑った。
「ヌーデストビーチのメッカですね。」
小鳥遊は満面の笑みを浮かべた。
…さすがはエロ大王。鋭いな…。
「別にヌードにならなくても良いんですよ。それに、60-70代の人が多いですし、若い人はちらほらでしたし、そんな想像する様な素敵な場所でも無いですよ。」
冬は話し出すといつもの冬に戻っていた。
「え!トーコさん行ったことがあるんですか?」
小鳥遊がその話にすぐ食いついたので、今泉も笑った。
「ええ…そんなに多くは無いですが、友人がビーチの割と近くに住んでいたものですから。」
「小鳥遊先生。目がキラキラし過ぎですよ。」
今泉は笑った。
「トーコさん…ぜひ一緒に行き…。」
小鳥遊がウキウキしだしたのを見て、冬は言い終わらないうちに話し出した。
「あー…非常に残念なお知らせがあります!私が行ってたところは、Dr.Erosは即出禁ですね。」
今泉が爆笑した。
「見た目で戦闘態勢に入ってる人はビーチに入れないんで♪ビーチによって細かいルールは違うんですが、私が行ってたところはそうでした。」
「じゃあ僕なら平気ってことですね。」
今泉が笑った。
「はい。入りたい放題ですね。」
冬が言うと、今泉は声を出して笑った。
「やった…ムラムラしても、分からないってこういう時はラッキー♪」
…なんか…静さんもはしゃいでる?
ふたりのはしゃぎようを見て冬は笑った。
「酷い…僕だけのけ者…。」
小鳥遊は少し寂しそうだった。
「小鳥遊先生はどうするんですか?」
今泉が小鳥遊に聞いた。
「僕はトーコさんと一緒が良いですけれど…。」
「えーっ。去年で分ったでしょう?田舎だし何も無くて面白く無かったでしょ?ジェスとジェフは喜ぶと思うけれど…。」
…また来るのか…。メンドクサイな。
冬がため息をついた。
「あーーーーーー!!!!そう言うことかっ!!」
今泉が突然大きな声を出したので冬と小鳥遊は飛び上がった。
「日本人カップル…後で国籍不明のアジア人って変わってましたが…もしやあれって。」
小鳥遊が笑って言った。
「実はそのもしやだったんです。」
よくそんな大胆なことが出来ましたねと今泉は驚いた。
「うわー凄げー。1年後に知った真実。僕感動しました。鳥肌立った~!!」
今泉は、興奮していた。ちょっと後でもう一度動画見て確認してみよう♪とはしゃいでいた。冬は慌てて絶対秘密にしておいて下さいねと念を押した。
「いやぁ…これホント誰かに言いたくて仕方がねーって感じです。」
早速携帯を出して、動画サイトをチェックし始めた。
「絶対だめです。」
小鳥遊と冬が同時に言った。
冬が早朝と、深夜にどこかへ電話を毎日掛けている謎は深まるばかりだった。
「最近何か悩んでいることでもあるんですか?」
1週間程過ぎたある日小鳥遊はいよいよ気になって冬に聞いた。
「何でですか?別に何も無いですよ。」
そう言って笑ったが、ここ最近は夜も余り眠れて居ないようだった。真夜中にキッチンでお茶を飲んでぼーっとしている姿をよく見かけると今泉も話して居た。
「そうですか。」
小鳥遊はそれ以上は聞かなかった。今泉も冬に聞いたが、返事はいつも同じだった。家に居る時は、自分の部屋にこもりがちになり、声を掛けると、少し疲れているのと答えるだけだった。一緒に居る時間が長い今泉も何か考え込むような冬をよく見かけたため、そのたびに声を掛けたが、何でもない大丈夫と言うだけで、何も聞き出せなかった。
小鳥遊と冬がいつものように愛しあった後、冬は小鳥遊の胸で眠っていた。真夜中過ぎに、小鳥遊はふと誰かの話声で目が覚めた。そっと覗くとキッチンで冬が電話で話していた。
「そう…私が行くまで頑張って欲しいと思っていたけれど…。ねえ…あの子の傍に電話を持っていて欲しいの…声が聞きたい。」
冬は流暢な英語で話した。待っている間に段々と冬の声が涙で湿っていく。
「本当に毎日電話してごめんなさい。」
冬はティッシュで鼻をかんだ。
「Sandie?聞こえてる?もう…頑張らなくて良いのよ。エリックやあなたのママがお迎えに来てくれるわ。心配…ない…わ。I love you so much.
bye…Sandie.あなたは…とっても…いい子…だわ。
ジェス? お別れ…させてくれてあ…りが…とう。苦しまない様に…してあげて。私…ホントに…一人になっちゃったわ…今でも…辛い…の。今年も…行くから……いやよ!何で…そんなこと言うの?ジェス酷いわ…お願い…もう来るな…なんて…そんなこと言わないで…。お願い…だから…。」
携帯を持ったまま冬が声をあげて泣いていた。
「トーコさん…?」
小鳥遊が声を掛けた。冬が電話を切り振り返った。
「Sandieが…死ん…じゃうの。ジェスは…もう私に来るなって…。私が…来るところじゃ…ない…って。あなたにはGakuが…いる…って。」
冬の眼からは、大粒の涙がポロポロと頬から零れ落ち、それを拭こうともしなかった。その顔は悲痛で歪んで痛々しかった。
「先生…私はどうすれば良いの?どうしたら良いの?」
そう言うと冬は再び泣き崩れた。ここ数週間で、Sandieの具合が突然悪くなり、獣医に連れて行くと、悪性腫瘍で余命宣告をうけたこと。
Sandieはエリックと冬が出産に立ち会った馬であり、エリックが亡くなった後は、冬が毎日面倒をよく見て、訓練も付きっきりでしていたことなどを小鳥遊に話した。
冬はエリックとの最後の思い出が消えてしまうことに深い悲しみを感じていた。ジェスは夏までSandieが持てば冬に最後に合わせてあげたいと思っていたらしいが、それもかなわず、痛みが酷いため、安楽死をさせることにしたと。ジェスにとっても非常に辛い選択だった。
冬は去年もジェスにもうここには来なくて良いと言われ、情緒不安定になっていたことを小鳥遊は思い出した。
「トーコさん…僕も静さんもついてますから...。」
小鳥遊は、冬の肩をしっかりと抱きしめた。
…こんな取り乱した冬を見るのは初めてだ。
子供のようにいつまでも泣いていた。
「さぁ…もう…寝ましょう。」
小鳥遊は冬を抱き上げベッドへ連れて行った。
…そうだ去年の夏、冬がSandieに乗っている動画があった。
小鳥遊は、携帯で撮った動画を冬に見せた。朝もやの中を冬とSandieが走る姿が、まるで映画のワンシーンの様に美しく映し出されていた。それを見ると、冬は再び泣いた。
「…せんせ?」
見上げた冬の目は涙で濡れていてきらきらとしていて、まるで頼りない少女の様に思えた。
「…はい。」
「私が…寝るまで抱きしめていて…。」
小鳥遊は静かに頷いた。
「僕はあなたの傍に居ますから。」
冬は小鳥遊にぴったり体をくっつけて眠った。そんな冬を見てとても愛おしく、いじらしく思った。
今泉は予想外のOKに驚いたようだった。
「私の方が、ふたりより恥ずかしいかも…。」
「僕も手伝うから、平気だよ。」
今泉は嬉しそうに笑った。
…ひゃー緊張。静さんとガクさんと一緒だなんてドキドキしちゃう。
場所は小鳥遊の部屋に決まった。
「先生の所のベッド無駄に大きくて、3人でも余裕がありそうだから。」
…変態エロが、一番拘ったのはベッドなのは一目瞭然。
「無駄に広いって…。」
今泉は笑ったが、実物を見た時に声を出してわらった。
「確かにこれはトウコさんが言っていた通り、無駄に広いですね。うん。やる気を感じさせるね。」
それに対していえ…こんな日もあろうかと大きいのにしていたんですよ。
小鳥遊は真面目な顔で言ったので、今泉と冬は顔を見合わせて笑った。
―――その日。
冬は緊張し過ぎて…ワインを飲んだ結果エッチなトーコに変身していた。小鳥遊にしな垂れかかり、甘えていた。
「トーコさん…あなたって人は…。」
小鳥遊は笑った。
「僕たちより緊張していたのがトウコさんだったなんて…。」
冬は二人の手を引いて小鳥遊の寝室へと向かっていた。
「エッチなトーコさんの方が進めやすいと言えばそうなのですが…。」
小鳥遊は苦笑した。
「小鳥遊先生…僕が助けた時もこんな感じでしたが…お酒を飲むといつもですか?」
今泉は笑った。
「ええ…飲むとこんな感じですね。」
冬は小鳥遊をベッドに押し倒しキスをせがんで居た。
「せんせぇ…キスしてぇ。」
ちょっと…待って今泉先生と話してるんだから…と抱きついて来る冬を押えた。
「あの時…僕はトウコさんって呼んでいたんで、もしかしたらあなたと勘違いしたのかも知れません。“いつものように~”って言ってましたから。」
今泉は笑っていた。
「そうかも知れませんね…あなたを疑って済みませんでした。」
小鳥遊は冬のブラウスのボタンを外していく。
「トーコさん…どのくらい飲みました?」
白いブラが現れた。いつもは真っ白な冬の皮膚はピンク色になって居た。
「ワイングラス半分程…」
今泉がグラスを確認した。
「先生…静さん…。」
潤んだ目で二人を見つめていた。
「多分彼女はこのことを…。」
冬に顔を両手で抑えられた小鳥遊は愛しそうに冬を見つめながら言った。
「ええ…多分覚えて居ないでしょうね。」
今泉も微笑んでいた。
小鳥遊はスカートのジッパーを下した。上下お揃いの可愛らしいレースの白い下着が現れた。小鳥遊がブラのホックを外すと形の良い胸が現れた。
「トウコさん綺麗です。」
今泉はため息をついた。
「せんせ…キスして…。」
冬はブラの肩ひもを外しつつ甘い声を出した。
「はてさて…一体どちらの先生でしょう?」
小鳥遊は意地悪く笑い、冬のショーツを脱がせるとつるつるとした双丘が現れた。
「そんな意地悪な先生にはキスしません。今泉せんせ…。」
冬は今泉に手を伸ばすとキスをせがんだ。傍観者としているつもりだった小泉は、小鳥遊が気を悪くするのでは無いかと慌てた。
「いけません。小鳥遊先生にして貰って下さい。」
今泉は少し困った様に小鳥遊を気にした。
「…僕は構いませんよ。」
小鳥遊はゆっくりと冬の下腹部に唇を流していた。
今泉がベッドに近づくと冬はしっかりと抱きつきキスをした。小鳥遊は冬の足の間に割って入り、ふたつの丘の間にある小さな突起を舌先でクルクルと舐めると、すぐにとろりとした愛液で潤い始めた。冬は今泉と濃厚なキスを交わしていたが、蕾への甘美で鋭い刺激に太ももがふるふると震えた。
「…うぅ…あぁ…。」
塞がれた口の端から冬が小さな声で喘ぐと、小鳥遊も今泉も興奮を隠しきれなくなった。冬のワインと快感の間でふわふわとしている視線は、虐めたくなる程に可愛らしかった。
「トウコさん…なんていやらしい声で啼くんだ。そのとってもエッチなその顔を僕にもっとよく見せて。」
今泉が冬の髪を優しく梳くと、冬は大きく細い指先が頬に触れて貰えるように顔を横に向け誘導した。流線状の顎のラインをその指は冬の思惑通りに優しく何度も行き来した。ふたりで愛を確かめ合う時よりも冬が妖艶に見えた。小鳥遊はゆっくりと指を冬に沈めていく。
…くぷ…くぷ。
既に冬の入り口はたっぷりと潤い,愛に飢えてひくひくと蠢いた。
「トーコさん…とっても濡れてます。」
指を少し曲げ、冬が大好きなスポットを小鳥遊は優しく擦った。ざらざらとしているのに纏わりつく壁は、指の動きに合わせ吸い付くように形を変えて小鳥遊の指にフィットした。
「気持ち…いい。…静さん…お願い…手を…繋いで…いて。」
小鳥遊の指は躊躇する事なく快感を与え続けいやらしい音が部屋に響いた。
「とってもエロい顏してるよ。」
「そんな…こと…うぅ…はぁ。恥ずかし…。」
今泉と繋いでいる手に力が入る。M字に開かれた冬の白い足の間で、小鳥遊はじゅるりと音をたてながら蜜を吸うと、冬は切なく喘ぎ、腰がビクビクと
小鳥遊の舌技に合わせて波打った。
「トウコ…綺麗だよ。」
冬は手を今泉のスウェットの中に滑り込ませ、力無いそれの先端を指の腹で撫でていた。
「ガク…キスして…。」
小鳥遊の顔を引き寄せキスをした。紅潮した冬の顔は、とても熱くそして艶かしかった。
「トーコさん…僕たちに見られて…感じているなんて…いやらしい…ひと…だ。」
いつもより興奮している小鳥遊は意地悪く冬に囁いた。
「ええ…嬉しいの…大好きなふたりに見て貰えて…ぁぁ。」
「…駄目だ…トーコさん…もう挿れたい。」
小鳥遊はため息をついた。
「いっぱい…欲しいの…。」
手は小鳥遊としっかり繋がれていた。充分に満たされた冬にゆっくりと差し込んでいく
「ぅうう…はぁぁ。」
冬の腰がくねくねと動き、真っ白な腹部が波をうつ。今泉とキスを交わしながらため息が漏れる。
「もっと…喘いで…いやらしい声を聴かせて…僕たちに」
今泉が口づけの間に囁いた。小鳥遊は 大きな動きで深く深く冬を突いた。
「…ぁあ…いっちゃう…から…いや。」
ふたりと繋いだ手に力が入り小鳥遊の腰に絡んだ足からピクピクと動いた。
「…気持ちが…良くなって…きちゃった…。」
快楽に半分溺れながらも冬は,小鳥遊を見つめていた。
「トーコ…こんなに締め付けて…ああ…イイ。」
冬の中は温かでぬめり気を増し,小鳥遊の巨根にますますフィットし引き抜こうとする度に陰圧が掛かり、小鳥遊を絡め取ろうとしていた。
「あなたのココは僕を狂わせる。ぁあ…とても官能的で、いやらしいよ。」
スピードを増す小鳥遊の腰使いに,冬の嬌声はますます大きくなった。
「あぁん…はぁん…感じてるの…いやらしいトーコをもっと見てぇ…お願いいぃぃ。」
潤んだ目で今泉を見つめ、そして小鳥遊に向けて優しく微笑んだ。今泉の手が、優しく胸の突起を愛撫した。
「もう…我慢できない…」
「トーコ…愛してる…くっぅうう。」
小鳥遊は冬の太ももをガッチリと押え激しく何度も突いた。
「ふたりとも…愛してる…ぅぅぅ…」
「トウコさん…」
今泉は弓なりになる冬の胸の上の突起を強く摘まんだ。その瞬間、冬の体はビクンビクンと大きく震えた。
…ぁぁ…ぁぁ…
小さく長く喘いだかと思うと、ゆっくりと体から力が抜けた。小鳥遊が冬から離れると、小鳥遊が今まで貫いていた穴から、トロトロと白い液体がクリームの様に流れ出た。
力が抜けた冬を横に向かせた。いったばかりの冬を休ませず、今度はバックで小鳥遊はゆっくりと突いた。冬と向かい合わせに寝ている今泉は乳房をゆっくりと愛撫した。
「あぁ…だめ…休ませて…でないと…おかしくなっちゃう…ぅぅ。」
今泉の顔を引き寄せ激しく唇を貪りながら、喘いだ。
「駄目です…トーコさん…そのいやらしい顔をちゃんと見て貰いなさい。」
小鳥遊は囁いた。
「喘ぐ姿が…感じているトウコさんが…好きだ。」
唇の間から言った。冬は、小鳥遊を不随意に締めつけ、快感の放出を再び待っていた。
「気持ちが良いんだね…僕も感じる。」
今泉は熱のこもった目で冬を見つめた。
「感じる…」
冬は白く汗ばんだお尻を小鳥遊に突き出した。
「もっと…もっと…欲しい…深く…突いて…」
両手は硬く繋がれ、今泉が冬の唇を塞ぐ。
「気持ちよすぎて…壊れ…ちゃう。」
冬は顔を快感でゆがめながら今泉をトロンとした目で見つめている。
「駄目だ…もう我慢…できない…。」
小鳥遊は、冬の腰をしっかりと掴み、激しく突いた。乾いた音が部屋に響いた。今泉は、快感に身を任せているふたりの様子を凝視していた。
「せんせ…あぁ感じる…愛してる…はぁ…はぁ」
「トウコさん…その顔を見せて下さい。あぁ…なんて…エッチな顔。」
冬の髪は乱れ、顔に張り付き、小鳥遊が突くたびに形の良い胸が揺れた。
「中は…気持ちが…良い…吸い付いてくるみたいだ…。」
「…また…感じてる…見てて…。」
「うんちゃんと見てる。綺麗だし…いやらしいなぁ。」
今泉は優しく胸の上の突起を指の先で指の腹で優しく潰し、転がした。
「あぁ…ぁあ……んん…。」
冬の喘ぎ声はますます大きくなり、それに合わせて、小鳥遊の動きが早くなっていく。
「くっ…イク…。」
「一緒に…いこう…キスして…トーコに触れてぇ…ぇ。」
冬は今泉に激しい口づけをせがんだ。
「うぅっ…。」「くっ。」
ふたりは同時に果てた。冬の下半身は快感の余韻でビクビクと痙攣し、今泉に額を付けたまま、冬は気を失っていた。
「ふたりとも…ありがとう。」
今泉は冬の唇にキスをした。翌朝小鳥遊のベットで起きた冬は、二日酔いだった。
「昨日は3人で楽しかったですよ。ありがとう。」
ふたりに言われたが、案の定 冬は全く覚えて居なかった。
絶倫小鳥遊は、朝晩2回ずつ毎日冬を抱いた。今泉はその生活スタイルをはたから見ていて感動すら覚えていた。
翌日オペでも冬と深夜過ぎまで愛し合い、昼間は素知らぬ顔でダンディなイケメン医者のふりをして過ごすDrエロス。
「彼の方が、Dr.辺縁系肥大のニックネームがぴったりです。」
今泉は笑ったのと同時に、冬が大変そうだなとも思った。平和に過ごしていた冬達だったが、小鳥遊が独身と聞き、時々、医師達が小鳥遊の部屋に押しかけ酒盛りを開いた。
「その間、僕がトウコさんを大切に預かりますから。」
今泉は笑ったが、小鳥遊は不機嫌だった。
「僕は先生達と飲むより、トーコさんと愛し合いたいのに。」
「あら良いじゃない…朝はいつもしてるんだし。」
…私だって少しは休みたいわよ。
「そんなんじゃ足りない…。」
小鳥遊はいじけた。
「なんのために先生には手があるの?オペと自慰をするためでしょ!少しは我慢して下さい。」
冬が叱ると今泉が爆笑した。
「そうやってすぐ僕を虐めるんですから…。」
…いや…トウコさんの言う通りだ。
再び笑う今泉だった。
「久しぶりに今日はゆっくり出来そうです。」
朝からオペ室でも機嫌が良かった小鳥遊を見て、今泉は可笑しくて仕方が無かった。
ほぼ定時で帰宅し、久しぶりに冬の作った温かい夕食をゆっくりと食べ、一緒にお風呂に入りひとしきりいちゃいちゃし、その後小鳥遊と冬は営み始めた。久し振りの行為に二人とも、激しく求め合い、貪りあった。
突然インターフォンが鳴った。
「…ちょっと待って。」
冬は自分の洋服をかき集め、玄関で自分の靴を拾い、玄関から一番近い部屋に逃げ込んだ。
そこには小峠が立っていた。
「済みません…文献を貸して貰いたくって連絡もしないできちゃってすいません。」
…無毛助手…変なタイミングで来やがって。
少々不機嫌にちょっと待ってて下さいねと言い、小鳥遊は書斎へと引っ込んだかと思うとすぐに出て来て文献を小峠に手渡した。
「僕は出かけていることが多いので、今度から連絡を下さってから来て頂いた方が確実です。」
「はい…済みませんでした~♪そうだ!今度またソープへ連れてって下さい。」
…ソープ…だと?
小鳥遊は変な爆弾を置いて帰った無毛無能助手にいらだちを感じつつ、隣の部屋で、確実に聞いていたであろう冬の反応が怖かった。
…へぇぇぇぇ、…ソープねぇぇぇ。
ドアが閉まった瞬間からおしゃべりになるDr.Eros。
「あの…弁解をしますと…外科医局長に丁度、トーコさんと別れてすぐの時に誘われまして…。」
「そう…。」
冬は別に風俗へ行くくらい、素人に手を出すよりはましだと思っていたが、小鳥遊の慌てふためく姿が可愛いのでちょっと弄ってみようと思った。
ベッドに戻って来て先ほど慌てて着たスウェットを脱いだ小鳥遊はなかなか冬と目を合わせようとしなかった。
…なんで私の目を見て話さない?
「丁度、新年会的なものがありまして…。」
冬の隣に戻ってきてベッドの端に腰掛けた。やけにたどたどしく話す小鳥遊は動揺していた。
「あのですから…他の医局長さん達との親睦会的なことになったわけで…。」
…あ…さっきまでのデカチンがショボチンになった。
それを見ると冬は噴き出しそうになったが必死で堪えた。
「うちの病棟からは、僕と小峠先生と…。」
と口ごもった。
…やっぱり二人だけじゃ無かったんだな。さては若手も呼び出したな。
冬は直感的にそう思った。
「二次会的なものが、その場所だったんですけれど…。」
病院で見る素敵な小鳥遊とは、大違い。
「1時間ぐらいで、その後は各々で解散になり…。」
その姿も何だか、可愛らしくて仕方が無い。
冬は、言い訳ばかりする小鳥遊の口を塞いだ。
「センセ?私は先生の言い訳よりも、先生が欲しいの。」
冬は、小鳥遊をベットの上に押し倒すと、馬乗りになって甘く囁いた。
「言い訳してる暇があったら、私を抱いて、気持ちよくさせて?」
「ああ…トーコさん。」
冬が挑発したことで、久しぶりに激しい夜になった。
+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:
ここ1-2週間程、冬は気もそぞろで様子がおかしかったが、今朝の冬は特に変だった。今泉に今日は弁当持ちなのかどうか、同じことを2度も聞いた。
(なんかちょっとトウコさんおかしいですね?)
今泉は朝食を慌ただしく食べながら、ちょうど反対側に座り食後新聞を読んでいる小鳥遊と眼で会話をした。
(ええ…何かおかしいですね。)
「今日ちょっと早めに出ます。行ってきます。」
それぞれ二人とキスを交わし、出かけた冬。玄関のドアが閉まった途端に今泉が、言った。
「昨日は自分の部屋で誰かと電話を長くしていたんですよね…。」
小鳥遊は新聞を読みながら、
「そうですね…あの人の長電話なんて、今まで一度だって見たことが無いですね。」
ふたりとも冬の行動がおかしいことに気が付いていたが、原因が特定できなかった。窓を覗いた今泉が小鳥遊に言った。
「先生…ほら…また電話してる。」
駅の方へ歩く冬は、携帯で誰かとしゃべっているようだった。
「暫く様子を見てから本人に聞いてみましょうか…。」
小鳥遊が言った。
「でも…トウコさんの事だから、何かあっても、僕達には相談しないんじゃないですかね?」
(もしかして…浮気。)
二人で顔を見合わせた。
…ないない…トウコさんに限っ…て。
澱んだ沈黙
「僕は一日中病棟に居ますから、トーコさんを観察してみます。何か分かったらメールします。」
いつもなら、患者を待たせない冬だったが、担当患者のコールも取らずぼっーとしていた。
「月性さん?ナースコール。山田さんがまた頭が痛いって。」
患者のお迎えの連絡をCT室から受けていたのにも関わらず、すっかり忘れていた。
「月性さんだったらいつもすぐ来てくれるのに、病棟忙しのかな…と思って。」
技師が病棟まで患者を連れてきた。患者をリハビリに連れて行くのも忘れ、PTが病棟まで迎えに来たり、いつもの冬ならしないミスだった。
(ねぇ…今日の月性さんおかしくないですか?)
(なんかボーっとして変よね?)
看護師同志からのささやきが小鳥遊にも聞こえた。いつもならすぐに終わらせるカルテの記入も、PCの前で暫く物思いに耽っている様子だった。
そんな調子で冬は何とか昼まで過ごした。
「お昼行ってきます。」
小鳥遊は冬に声を掛けようとしたが、弁当を持ちさっさとどこかへ消えた。
(小鳥遊:大丈夫ですか?)
(大丈夫です。)
(小鳥遊:今どこですか?)
その後、返事は来なかった。休憩から戻って来て、少し良くなったようだった。家に帰って来てからも冬は何となく元気が無いように見えた。
そろそろ今年も夏休みの予定を決める時期だった。夕食の時間。二人が話している間も、聞いていない様に見えた。
小鳥遊と今泉は、冬が気が付くまで沈黙を続け、その顔を眺めていた。1-2分程経って、冬はやっと気が付いた。
「毎年ホストファミリーの所へ行ってるの。もう今年で最後にしようと思って。2週間ならマイアミかカルフォルニア辺りへ行こうかと思って。」
冬はふたりの心配をよそににっこりと笑った。
「ヌーデストビーチのメッカですね。」
小鳥遊は満面の笑みを浮かべた。
…さすがはエロ大王。鋭いな…。
「別にヌードにならなくても良いんですよ。それに、60-70代の人が多いですし、若い人はちらほらでしたし、そんな想像する様な素敵な場所でも無いですよ。」
冬は話し出すといつもの冬に戻っていた。
「え!トーコさん行ったことがあるんですか?」
小鳥遊がその話にすぐ食いついたので、今泉も笑った。
「ええ…そんなに多くは無いですが、友人がビーチの割と近くに住んでいたものですから。」
「小鳥遊先生。目がキラキラし過ぎですよ。」
今泉は笑った。
「トーコさん…ぜひ一緒に行き…。」
小鳥遊がウキウキしだしたのを見て、冬は言い終わらないうちに話し出した。
「あー…非常に残念なお知らせがあります!私が行ってたところは、Dr.Erosは即出禁ですね。」
今泉が爆笑した。
「見た目で戦闘態勢に入ってる人はビーチに入れないんで♪ビーチによって細かいルールは違うんですが、私が行ってたところはそうでした。」
「じゃあ僕なら平気ってことですね。」
今泉が笑った。
「はい。入りたい放題ですね。」
冬が言うと、今泉は声を出して笑った。
「やった…ムラムラしても、分からないってこういう時はラッキー♪」
…なんか…静さんもはしゃいでる?
ふたりのはしゃぎようを見て冬は笑った。
「酷い…僕だけのけ者…。」
小鳥遊は少し寂しそうだった。
「小鳥遊先生はどうするんですか?」
今泉が小鳥遊に聞いた。
「僕はトーコさんと一緒が良いですけれど…。」
「えーっ。去年で分ったでしょう?田舎だし何も無くて面白く無かったでしょ?ジェスとジェフは喜ぶと思うけれど…。」
…また来るのか…。メンドクサイな。
冬がため息をついた。
「あーーーーーー!!!!そう言うことかっ!!」
今泉が突然大きな声を出したので冬と小鳥遊は飛び上がった。
「日本人カップル…後で国籍不明のアジア人って変わってましたが…もしやあれって。」
小鳥遊が笑って言った。
「実はそのもしやだったんです。」
よくそんな大胆なことが出来ましたねと今泉は驚いた。
「うわー凄げー。1年後に知った真実。僕感動しました。鳥肌立った~!!」
今泉は、興奮していた。ちょっと後でもう一度動画見て確認してみよう♪とはしゃいでいた。冬は慌てて絶対秘密にしておいて下さいねと念を押した。
「いやぁ…これホント誰かに言いたくて仕方がねーって感じです。」
早速携帯を出して、動画サイトをチェックし始めた。
「絶対だめです。」
小鳥遊と冬が同時に言った。
冬が早朝と、深夜にどこかへ電話を毎日掛けている謎は深まるばかりだった。
「最近何か悩んでいることでもあるんですか?」
1週間程過ぎたある日小鳥遊はいよいよ気になって冬に聞いた。
「何でですか?別に何も無いですよ。」
そう言って笑ったが、ここ最近は夜も余り眠れて居ないようだった。真夜中にキッチンでお茶を飲んでぼーっとしている姿をよく見かけると今泉も話して居た。
「そうですか。」
小鳥遊はそれ以上は聞かなかった。今泉も冬に聞いたが、返事はいつも同じだった。家に居る時は、自分の部屋にこもりがちになり、声を掛けると、少し疲れているのと答えるだけだった。一緒に居る時間が長い今泉も何か考え込むような冬をよく見かけたため、そのたびに声を掛けたが、何でもない大丈夫と言うだけで、何も聞き出せなかった。
小鳥遊と冬がいつものように愛しあった後、冬は小鳥遊の胸で眠っていた。真夜中過ぎに、小鳥遊はふと誰かの話声で目が覚めた。そっと覗くとキッチンで冬が電話で話していた。
「そう…私が行くまで頑張って欲しいと思っていたけれど…。ねえ…あの子の傍に電話を持っていて欲しいの…声が聞きたい。」
冬は流暢な英語で話した。待っている間に段々と冬の声が涙で湿っていく。
「本当に毎日電話してごめんなさい。」
冬はティッシュで鼻をかんだ。
「Sandie?聞こえてる?もう…頑張らなくて良いのよ。エリックやあなたのママがお迎えに来てくれるわ。心配…ない…わ。I love you so much.
bye…Sandie.あなたは…とっても…いい子…だわ。
ジェス? お別れ…させてくれてあ…りが…とう。苦しまない様に…してあげて。私…ホントに…一人になっちゃったわ…今でも…辛い…の。今年も…行くから……いやよ!何で…そんなこと言うの?ジェス酷いわ…お願い…もう来るな…なんて…そんなこと言わないで…。お願い…だから…。」
携帯を持ったまま冬が声をあげて泣いていた。
「トーコさん…?」
小鳥遊が声を掛けた。冬が電話を切り振り返った。
「Sandieが…死ん…じゃうの。ジェスは…もう私に来るなって…。私が…来るところじゃ…ない…って。あなたにはGakuが…いる…って。」
冬の眼からは、大粒の涙がポロポロと頬から零れ落ち、それを拭こうともしなかった。その顔は悲痛で歪んで痛々しかった。
「先生…私はどうすれば良いの?どうしたら良いの?」
そう言うと冬は再び泣き崩れた。ここ数週間で、Sandieの具合が突然悪くなり、獣医に連れて行くと、悪性腫瘍で余命宣告をうけたこと。
Sandieはエリックと冬が出産に立ち会った馬であり、エリックが亡くなった後は、冬が毎日面倒をよく見て、訓練も付きっきりでしていたことなどを小鳥遊に話した。
冬はエリックとの最後の思い出が消えてしまうことに深い悲しみを感じていた。ジェスは夏までSandieが持てば冬に最後に合わせてあげたいと思っていたらしいが、それもかなわず、痛みが酷いため、安楽死をさせることにしたと。ジェスにとっても非常に辛い選択だった。
冬は去年もジェスにもうここには来なくて良いと言われ、情緒不安定になっていたことを小鳥遊は思い出した。
「トーコさん…僕も静さんもついてますから...。」
小鳥遊は、冬の肩をしっかりと抱きしめた。
…こんな取り乱した冬を見るのは初めてだ。
子供のようにいつまでも泣いていた。
「さぁ…もう…寝ましょう。」
小鳥遊は冬を抱き上げベッドへ連れて行った。
…そうだ去年の夏、冬がSandieに乗っている動画があった。
小鳥遊は、携帯で撮った動画を冬に見せた。朝もやの中を冬とSandieが走る姿が、まるで映画のワンシーンの様に美しく映し出されていた。それを見ると、冬は再び泣いた。
「…せんせ?」
見上げた冬の目は涙で濡れていてきらきらとしていて、まるで頼りない少女の様に思えた。
「…はい。」
「私が…寝るまで抱きしめていて…。」
小鳥遊は静かに頷いた。
「僕はあなたの傍に居ますから。」
冬は小鳥遊にぴったり体をくっつけて眠った。そんな冬を見てとても愛おしく、いじらしく思った。
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