小鳥遊医局長の恋

月胜 冬

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迷子の心

迷う蝶

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ーーー仕事復帰初日。

冬は師長へ謝罪をした。

「良いのよ…気にしなくて。あなたが有給休暇を取ってくれないと上が煩いから丁度良かったわ。」

師長は笑い特に深く詮索もしなかった事が冬にとってはありがたかった。

…まだ肌寒くて良かった。

長袖のセーターを着ていないと、痣が見えてしまう。青紫と黄色に変色し始めた皮膚は、まだ鈍い痛みを放っていた。

小鳥遊とは距離を置こうと考えていた。小鳥遊は冬を避けているような気がしたが、それで良いと冬は思った。いつものように、変わらない日勤の始まりに、小鳥遊はPCモニターに向かい、指示票を書いていた。

「月性さぁん。悪いけどそこの5㏄のシリンジ取ってくれるー?」

…はーい。

冬は返事をして、背伸びをしながら棚の上にあった注射器の箱を取ろうとした。

「月性さんより私の方が背が高いんで…」

笑った後輩が、ちらりと冬を見た。

「ちょっと!その手どうしたんですか?」

大きな声で言い、驚いた視線の先を辿ると、手首の痣が露わになっていた。

「あ…うん…ちょっと。」

冬は笑ってセーターの袖を引っ張り隠した。

「彼氏と緊縛プレイとかしてたりして。」

男性看護師が笑った。

「ちょっとそれってセクハラじゃない?」

後輩が男性看護師を睨みながらすかさず返した。

「そんなプレイが出来る相手がいれば良いんだけど。残念でした~。ただ手をチェストに挟んじゃったのよ。」

冬は笑いながらシリンジを後輩から受け取るとナースステーションを出て、病室へと向かった。その後ろ姿を小鳥遊はじっと見つめていた。

冬は昼休憩に入った。

「あれ?月性さんどこに行くんですか?」

後輩が聞いた。

「お天気良いから屋上でお弁当食べて来る。」

冬はバッグから弁当を出した。

「まだこんなに寒いのに?風邪ひいちゃいますよ?」

後輩が笑った。

…息が詰まりそう。

冬はお弁当を持って屋上へとあがった。

…誰も居ない…か。当たり前よね。

風はまだ冷たさを含んでいたが、日差しは屋上を隅々まで照らし、春の訪れを告げていた。

…春はもうちょっと先ね。

ポケットの中で、携帯が震えた。

(今泉:今オペ終わり。)

(お疲れ様です)

(今泉:お昼食べた?)

(屋上で今、食べようと思ってたとこ。)

(今泉:じゃあ僕も売店で何か買って行くね。)

(人目に付くから来ちゃ駄目よ。)

まだ少し肌寒いこともあって屋上は貸し切りだった。暫くすると今泉がやってきた。

「まずいですよ…人に見られたら…先生良いかも知れませんが、私が困ります。」

「大丈夫♪こんな寒空の中、ここに散歩に来る人なんて居ないよ。」

今泉は呑気に笑った。

「わぁこのお弁当トウコさんが作ったの?この唐揚げ頂戴。」

今泉は冬の弁当から唐揚げを摘まんで食べた。

「あっ!まだ良いですよって言ってないのに。」

冬は手を弁当の上に翳し、取られない様に隠した。

「ねぇ…僕の分も作って♪この間の肉じゃがも美味しかったし…。」

今泉はまだ弁当のおかずを狙っていた。

「私だっていつも日勤じゃ無いですし…。」

「大丈夫♪毎月、師長さんが律儀に勤務表をメールで送ってくれるから。」

…流石師長と言うべきか?

外堀埋め作戦が功を奏していた。

「師長まだそんなことしてたんですか?」

「うん…僕たちの愛を成就するためにね。」

…愛の成就って。

冬は思わず声を出して笑った。その隙を狙って、今泉は卵焼きを口に入れた。

「あー!卵焼きはいつも最後に食べたいから残してたのに~!もぅうう。」

冬が今泉を睨んだ。

「はい…じゃあ半分。」

今泉は口から半分だけ出た卵焼きを冬の前に差し出した。冬は笑ってその半分をお箸で摘まんで食べた。

「ちょっと…そこは普通口を使うところでしょう?お約束ですよトウコさん。」

「誰が見てるか判らないし嫌。私、先に食べて病棟に帰りますからねっ。」

そう言うと冬は黙々と弁当を食べ始めた。

「僕はオープンでも全然構わないんだけどなぁああああああ。僕たち付き合ってまぁぁぁす!」

大きな声が屋上に響いた。

「あっ…ちょっ…馬鹿っ…しーっ!しーっ!声でかいのよっ。公にされたら私が困るのっ!」

小鳥遊は、冬が屋上に弁当を食べに来ていると聞きつけ、少し前から屋上に来て、二人の様子を眺めていた。小鳥遊は、胸がジリジリと音を立てて焦げ始めるのが判った。



再び小鳥遊と今泉はオペで一緒になった。

「そう言えば、子猫はどうしましたか?」

さりげなく小鳥遊が聞いた。

「いやぁそれが、ちょっと外に出た隙に怪我をして帰って来まして驚きました。」

今泉は上機嫌だった。

…あ…あれは…あの時に着いた痣だったのか。

小鳥遊は動揺した。そんなに酷いとは思わなかったからだ。

…セーターを着ているのもその為なのか?休んでいたのも?

「それは知りませんでした。大変でしたね。今は大丈夫なのでしょうか?」

出来るだけ平静を保ちつつ聞いた。

「はい…休みの間は、僕が家でずっと付きっ切りで面倒を見てましたから。かなりショックだったみたいです。」

今泉は記録を書きながら答えた。オペ介助の看護師があらまた猫の話?と笑った。

「とっても美人で可愛い猫なんですよ。」

今泉は嬉しそうに言った。


ーーー 夜。


小鳥遊が家に帰ると冬が待っていた。激情のままに酷い事をしてしまった、あの夜の事を謝った。冬は何も言わず無表情のままだった。

「トーコさん腕を見せて下さい。」

小鳥遊は冬を抱き寄せ袖を捲った。

「大丈夫ですから…。」

冬は慌てて手をひっこめ、小鳥遊からパッと離れた。黄色味を帯びていたが、両手首にしっかりと跡が残っていた。それを見ると胸がとても傷んだ。子供染みた嫉妬で冬を犯してしまうなんて酷い事をしてしまったと激しく自分を責めた。

「それよりもあの時、私の話をきちんと聞いてくれなかった方がショックでした。」

小鳥遊との関係は仕事に差しさわりが出てしまっている事、今は混乱しているので、関係を解消したいと冬は静かに言った。

…関係解消。仕事に差し障ったら解消。

お互いに決めたルール。それは小鳥遊が聞きたくない言葉だったが、あんな酷い事を冬にしてしまった以上、仕方が無いと頭では理解しつつも、胸が潰れる思いがした。

…そうだった…仕事に差し障りがあるからと、冬はそれを常に心配していた。僕が冷静で居られないからだ。

「お互いに余裕が無いんだと思います。だから少し離れましょう?」

小鳥遊は、冬に付き纏う小峠の気持ちが今ならよく分かった。

嫉妬が体を焼き尽くしていた。それを冬に見せないように冷静を装う事も難しい程だった。

「これからあなたはどうするつもりですか?」

小鳥遊は胸が潰される様に苦しかった。冬の目には迷いが無かった。

「今までの…生活に戻るだけです。ただ、今泉先生の事をもっと知りたいんです。恋愛感情かどうか自分でも良く分かりません。お付き合いしようと思います」

…冬の中では、もう決まってしまったことなんだ。

「私にお付き合いしている人が居ても、それでも側に居てくれると言ってくれました。何度も断りましたけれど、それでも構わないと…。」

小鳥遊は思わずぎゅっと目をつぶった。それ以上聞くのは苦しかった。

「それに思いやりのある人で、一緒に居て楽なんです。」

「もし僕がこのままあなたと別れるのが嫌だと言ったら?」

「それでも今泉先生とお付き合いすると思います。」

冬はきっぱりと言い切った。小鳥遊がその昔、何人もの女性との間で、やって来たことを正々堂々と冬はやろうとしているのだ。

「僕はその案は受け入れかねます。」

小鳥遊は静かに言った。

「そうですか…仕方がありません。」

冬はとても辛く悲しそうな顔をしていた。

…最初から判っていた。冬は泣いたり喚いたりしない…あっさりと決断を下してしまう。

「先生?最後のお願い」

…僕のことを愛していると言いつつ、何故こんな選択があっさり出来るのか?あの夜以前から、冬は距離を置くことを考えていたのか?

「なんでしょう?」

…昔は同時進行で何人もの女性達との間でしていたことだ。冬の方が、よっぽど潔いではないか。

「さよならのキスがしたいの。」

…ああ 冬…あなたは自分から別れを告げたのに、なんて辛そうな顔をしているんだ?しかも最後のお願いもこんな些細なことなんて。

「…はい。」

冬はいつものように、小鳥遊の膝に乗って、自分の唇を押し付けるようにキスをし、貪る様に小鳥遊の舌と唇を絡め愛撫し、暫く目を瞑り…そっと離れた。

…先生…さようなら…愛してる。

そう言って冬は小鳥遊の膝から降り、合鍵をテーブルの上に置いた。そして荷物を纏めて振り返ることも無く玄関から出て行った。

―――パタン。

…あんなに愛しあったと言うのに…これで終わり?これで本当に終わりなのか?

小鳥遊は冬が出て行った玄関を暫く見つめていた。

あのようなことがあっても冬は小鳥遊が好きだった。しかし今泉にも確実に惹かれていた冬には、自分の気持ちに嘘などつけなかった。

ふたりと同時に付き合う…提案は容易に却下されることは判っていた。

それでも決断を下すのなら、隠したり、嘘をついたり、取り繕ったりするよりは、すぐに答えを出した方がお互いの為だ。

「どうでした?」

マンションに戻ると、心配そうに今泉は聞いた。冬は何も言わず首を振った。

「そうでしょうね…普通は…。」

冬は今泉の胸に顔を押し付けると、フローラルの優しい香りが冬を包み込んだ。

…これで良かったんだ。

既に不誠実な事をした上に、また嘘や誤魔化しを塗りたくっても仕方が無い。冬は自分の気持ちが判らなかった。

ただ判っている事は、ぽっかり開いていた心の隙間に、今泉の存在がそのまますっぽりとはまってしまい、違和感を全く感じないことだった。

―――数か月後。

あれ以来、何となく今泉と過ごすようになった。休みが合うと、旅行へ行ったり、映画やショッピング、スポーツなども楽しんだ。

少なくとも冬はこの“何となく過ごす関係”が楽だった。今泉は付き合っていると言いつつも、冬に全く干渉をしなかった。

「トウコさんが誰と肉体関係を持とうが、誰と付き合おうが、嫉妬はしない。あなたが僕と心で繋がっているから。」

冬はそれが都合も居心地も良かった。自分を飾らず、身の丈にあった付き合いが出来た。愛情なのか、ただの心地よさなのか自分でも未だに判らなかった。その気持ちを今泉にも伝えた。

「僕はあなたといたいから、一緒にいる。あなたも僕といたいから傍にいる…でいいと思うよ。」

今泉は気分を害した様子も無く笑った。そんな曖昧さを残してくれるところも一緒にいて楽だった。お互いの都合に合う時だけ会い、お互いの家を行き来した。

挿入以外で愛し合いたいと冬は今泉に提案した。

「肉欲系のあなたからそんな言葉が出るとは思わなかった」

今泉は面白がって一緒に試した。今泉が疲れて帰って来た日には、冬がゆっくりとオイルマッサージをしてあげたり、裸で添い寝をして温めたり、キスを沢山したり、手を繋いだり、お弁当やご飯を作ったりなど、冬は“挿入”以外での愛情表現を続けていた。

「トウコさんの料理,すっごく美味しい。幸せだなぁ。」

嬉しそうに食べる今泉を見ているのが好きだった。

「今までそんなこと言われたこと無いから、静さんには作り甲斐があるわ。」

そのたびに冬は嬉しそうに笑った。

「今度の日曜日は、一緒に映画に行こう♪その次の休みには、トウコさんの通う乗馬に付き合いたい。」

今泉は休みが合うと、ドライブやスキーなど冬と共に出かけた。ドライブ中も二人は手を繋いだり、キスをしたりした。

「なんか…高校生のデートみたいです。」

冬はどこでも手を繋いだり、キスをしたがる今泉に未だになれずにいた。

「僕はトウコさんと一緒に買い物へ行ったり、旅行したりするのが好きなんだ♪」

今泉はいつもニコニコしていて、優しかった。

セックスをする事を除けば、普通の年相応のカップルがするデートをしていた。冬には今泉が心の繋がりを大切にしようとしていることが良く分かった。

――― 早春。

冬の誕生日が来た。朝 起きると 隣に寝ていたナルシス王子も目を覚ました。

「トウコさん。お誕生日おめでとう。」

そう言って冬を胸に抱きしめた。

「あれ?何で私の誕生日を知ってるんですか?」

「付き合う前に僕聞きましたよ。覚えて無いの?」

…うん…全く。

「そうでしたけ?」

冬は思いだそうとしていた。

「そうでした。」

今泉は冬の頬にキスをした。

「今日はどっかへ食べに行こう!」

今泉の手がいつものように朝起きて冬の胸に伸びてきた。

「うーん。お家で良いんじゃないでしょうか?」

…ナルシス王子はおっぱい星人。

今泉は、冬の胸を触るのが好きだった。もぞもぞと蠢いていた今泉の手がぴたりと止まった。

「しまったぁぁぁ!!今日待機だったんだぁぁ…。」

布団の中で今泉は悶えるのを見て冬は声を出して笑った。

「いいわよ…気にしないで。」

麻酔科医でも、月に数回は夜間当直のようなものをする。緊急オペになった時には、病院から連絡が入るようになっていた。

「どうして…こんな日に限って。」

外傷などでオペになることもあるので、病院に30分以内に出勤できるように待機していなければならなかった。呼び出されるのは、月に1-2回程度だった。

「大丈夫よ。」

ただ、重なる時は2件のオペが同時にあったりするので、そのふたつを掛け持ちで見たりすることもあり、大きなオペでは明け方まで帰れず、そのまま日勤勤務となった。

「別にいいじゃ無い。まぁ当たらなかったらラッキーってことで。夕食作って待ってるわ。」

そう言って冬はキスをせがんだ。

「んー。チュッ。」

「ハイ。じゃあ今度はお返しちょうだい。」

…チュッ。

朝から蜂蜜のように甘くて、ベタベタとしていたが、冬も楽しかった。

…公にする事があったとしたら、それはそれで大変そうな気がする。

「あー神様…今日は当たりませんように。」

そう言うと、今泉はベッドから這い出して、風呂にお湯を入れた。

「ねぇトウコさん…一緒に入ろ♪」

…まだ ゴロゴロしていたい…です。

「今日もちゃんと仕事が出来るように僕と一緒に入って下さい。」

…はーい。

冬は生返事のままベッドにいた。


「月性さん大変!!」

冬は名字で突然呼ばれた。何かあったのかと思い、飛び起きて風呂場へ向かった。

「はい。 待ってました。」

今泉がニコニコしていた。

「朝から…驚かさないで下さいよ。」

心臓がドキドキして落ち着くまでに時間がかかった。二人で風呂に入り、朝食を済ませた。

…そして毎朝のお決まりのセリフ。

「トウコさん。格好良い僕と車で一緒に出勤しない?」

…だからしないっつーの!

日勤の時は同じ時間帯なので、今泉は車に乗って行くことを勧めたが、
流石にそんなことは、出来る筈もない。

「幾らあなたが格好良くてもそれは出来ない話です。」

冬の方が、先に部屋を出る。別れ際に必ずキスをする。

「トウコさん愛してる。」

「私も…。」

 …チュッ。

「じゃあ また夜に。」

「格好良い静さん。今日もお仕事頑張って下さいね。」

冬は毎日そう言って家を出た。

小鳥遊はオペ日で朝ーで病棟にあがり、患者の様子を見てから手術室へと向かった。偶然出勤途中の今泉に会った。

「今日はトウコさんのお誕生日なんで、無事に終わってくれるといいんですけれど。」

今泉は、朝からハイテンションだった。

…僕は…1年以上付き合っていたのに、誕生日も知らなかった。

小鳥遊はショックだった。

「そうでしたか…緊急オペが無いことを祈りましょう。」

と言って笑った。

―――夜。

冬の方が帰宅が遅かった。今泉は嫌な顔もせず、お惣菜を買ってきてご飯と味噌汁を自分で作り、冬を待っていた。

「遅くなってごめんなさい。」

「惣菜じゃ味気ないと思ったけど、お誕生日ぐらいはゆっくりして♪」

帰ってきたばかりの冬にキスをした。

テーブルの上には花とケーキが綺麗に飾られていた。誕生日プレゼントは、Cr●ftsmanの工具セットだった。

「僕も女の子とそれなりにデートをしてきたけれど、工具をプレゼントしたのは君が初めてだよ。」

と爆笑したが、冬はそれを見た瞬間、今泉に抱きついて大喜びだった。今泉に興奮して何度もキスをした。

「ほんと嬉しい!どうもありがとう。」

冬はちょっとのことなら自分で何でも直した。水回りの問題がなどがあっても大抵は冬がすぐに自分で直してしまい、色々なことを良く知っていた。
「僕のトウコさんは、その辺の男性よりも男性的だ。でも夜はセクシーでそのギャップが大好きだぁぁ。」

そのたびに冬をギュッと抱きしめた。食事が終わりふたりは寛いだ。

「今夜はいやらしいトウコさんを見たい…かも。」

そう言った矢先、緊急オペの呼び出しがあった。

「あー行きたくない…トウコさんと一緒にいたい。」

抱きついてくる今泉にほらほら…ちゃんと起きて待ってるからと言って
冬は送り出した。3時間程すると戻って来て、おもむろに冬のパジャマのボタンを外した。

「どうしたんですか急に…。」

冬は笑った。

「今日はとってもエッチな気分なんだ。」

ブラをしていないその胸にフェザータッチで触れた。冬の皮膚はぞわぞわと反応した。

…ベッド…いこう?

今泉は冬の体全体を隅々まで愛した。

…ああ…

「トウコさんの声はとってもエッチ。」

触れられるたびに冬の口からため息が漏れた。今泉はそれを聞くたびに優しく微笑んだ。舌はゆっくりと胸から腰骨、それから下腹部へと降りて行き、ヘアの無い丘へとたどり着いた。

「それにとても綺麗。」

花弁を開き、指で突起を静かに愛撫した。そしてゆっくりと指を冬の中へ入れていく。そのスポットを指の腹でゆっくり擦ると、快感が徐々に増していった。

…んん…んぁ。

冬の大腿部が痙攣し始め、足先がピンと伸びた。

「気持ちが良いの?トウコさん…その顔を見ていると、僕まで気持ちよくなってきちゃった。」

耳元で今泉は囁き、わざと音を立てて、指を動かして、

「ほら…ここが感じるのでしょう?ねぇ僕の顔を見ながら感じて?」

そう言って冬の目をみて微笑んだ。

「シズさ…ん…ぁあ…感じる…はぁはぁ…もう…いきたいの。」

快感に酔いしれる冬の顔を愛しそうに眺め、微笑んだ。愛液は止めどなく流れ、今泉の指を濡らし、シーツに大きな染みを作った。

「駄目だよ…もっと僕にいやらしいトウコさんを見せてくれなくっちゃ。」

今泉は甘い声で囁いた。冬は身もだえのけぞり、激しいキスを求めた。

「あぁん…あっ…あっ…あっ」

その度に冬は今泉の指を締め付けた。

「ああ…感じているんだね…僕の指にも伝わってくるよ。」

そう言って唇を貪りながら、指先で肩、胸、腰と丁寧に冬の皮膚に触れていく。

…クチュ…クチュ。

いやらしい音と、キスそして冬の甘い喘ぎ声が寝室に響いた。


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