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第七章 第一節

家路の道中

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二台の車に分かれ皆で家路に就く。
殆ど一本道で、滅多に分かれ道も無い。
が、暫くして分かれ道に差し掛かった時、前を走るユキナの車のスピードが落ちる。

ナオヤ
「ん?どうしたんだろう。ユキナさん。」

タカシ
「ナオヤ、本当に解らないのか?だとしたら、白い歯が光ってるな?」

レナ
「フフフ、バカの塊ね」
「タカシには解るの?」

タカシ
「勿論。ナオヤ、ユキナさんの車の後に続いて。」

ナオヤ
「なんか、レナちゃんの言い方にトゲがあるんだけど?」
「まぁ、付いてくしかないでしょ」

そう云うと、再び速度を上げたユキナの車の後に続くナオヤ。

ミーは不思議そうな趣で
「何処に向かってるの?家の方角とは違うよね?タカシ、勿体振らずに教えてよ。」

タカシ
「ふむ。教えて進ぜよう。」
「ズバリ、市場です!」

ナオヤは眼を丸くする
「そうか、カレーか。なる程な。」

ミーは、頬を膨らませて
「何よ。二人だけで解っちゃって。タカシなんて、もう結婚してあげないんだからね。フン。」

レナ
「はい。言質取りました。結婚しないのね。」

ミー
「あ~。ズルイ~。レナちゃん、ズルイ~。」

ナオヤ
「まぁ、まぁ。それより、市場で例のカレーの材料を買い出しに行くんだろ。」

タカシ
「その筈だ。ユキナさんの特製、ABFには、海鮮の具が必要だからな。」

ミーは、未だ膨れた頬で
「何それ?単なるシーフードカレーでしょ?」

ナオヤ
「ちっちっち。単なるシーフードカレー無かれ。シーフードABF全部掛けカレーとは、米が見え無い様に全てのライスにシーフードのカレーを皿いっぱいに掛けた上に、特大海老フライを二本載せた物である。其の海老フライにはなんと。」

ナオヤとタカシでハモる
「半熟玉子が乗っている」

レナとミーもハモる
「美味しそーう」

ナオヤの運転する車の中では、そんな楽し気な話で盛り上がっていた。
しかし、ユキナの車の中ではどうなのでしょう。
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