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第六章 第二節

深い夜(レナとタカシ)

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布団に入り、タカシとレナは横になって寝ていた。隣にはミーがイビキをかいて爆睡している。その更に横にナオヤが寝ている。ミーを真ん中に川の字で寝ています。

レナ
「タカシの記憶は、見てきた物がいっぱいあって、凄いね。タカシの記憶のどれを感じても、ワクワクする。」

タカシ
「そうか?しかし、レナの記憶は薄ぼんやり見たものが、ちょっとあるだけで後はアンナ姉さんの温かなぬくもりと感情ばかりだな。」

レナはニコニコしながら
「へへへ。アンナ姉さん、温かかったなぁ。今頃、どうしてるかな?おにぎり食べてるかな?」

タカシ
「…。レナ?本当は気付いているよな?アンナ姉さんは…。」

レナはそれでもニコニコしながら
「うん。多分ね。親方様にきっとね。…。でも、確かめた訳じゃ無いし、それに、いつまでも私の中にアンナ姉さんの温かなぬくもりは残ってるから。」

タカシ
「お前強いな。俺なんか、つまらない事で大変な事をやらかす処だったよ。」

レナ
「私をこの世界に呼んだ時の事?でも、そのお陰で私は今、ここに居る。タカシと一緒に居る事が出来ている。視える眼で色んな物を視る事が出来る。素敵な世界に、素敵な人の中に呼んでくれて、ありがとう。タカシ。」

タカシは照れ臭そうに
「素敵な人って。俺なんかは未だ未だ、師匠やケンジさん、ナオヤにだって比べたら未熟な雑魚だよ。」

レナ
「あら?天才魔導士なんではなくて?」

タカシ
「あれは、だから、んー何て云うか、ポテンシャル?そうそう、才能が天才的なんだよ。」

レナ
「今の実力が天才なんじゃないんだ?」

タカシ
「だから、その、何だ、もういいや寝よう。おやすみなさい。」

レナ
「あ、逃げた。おーい。ターカーシー?」

少し離れた処からナオヤの声が
「うんうん。そうかそうか。タカシは俺の方が上だと認めてるのか。そうかそうか。」

タカシ
「ん?誰が上だって?お前の名前なんか出したかな?聞き間違えじゃないのかな?」

ナオヤ
「いーや。ハッキリと聞きました。ナオヤさんは凄い魔導士です。俺なんか足元にも及ばない凄い魔導士ですと。」

タカシ
「何言って、って痛てーなおい。ミー。イキナリ何すんだよ。」

ミー
「くかぁー。くかぁー。」

タカシは、寝惚けたミーのキックを顔面に喰らってしまったのでした。

タカシは又々不貞腐れてしまい
「もう寝る。おやすみなさい。」

レナもちょっぴり不機嫌に
「うん。おやすみなさい。」

ナオヤはごきげんな様子で
「はいはい。おやすみなさい。明日からは、此の偉大なる先輩魔導士のご指導が受けられる、ありがたーい日々が始まるのだ。心して寝るが良い。」

タカシは無視して眼を閉じる。
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