覚醒勝王

桜苗

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始まりの始まり

やっぱり正義の主人公も悪役のラスボスなんていないもんだ

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【視点:アンバラ】
「うわぁぁぁ!」「きゃあああ!」
「来るなぁぁぁ!」
鳴り響く銃声に嘆きが湧く悲劇の叫び。そして、何よりも戦場と感じられる少年少女の死体。数十万人少年少女がこの戦場に行けばカオスが極まることだ。一秒、一秒ごとに人が数十人に死んでいく。俺もこの戦場に行ってみたかった。が、その戦場に行けないのが残念でしかたないのだ。
__本当に俺もこの戦場に行ってみてぇもんだ。
俺は体育館というかドームみたなところで数十万人少年少女を見送った。そのあとはザ・デスゲームって感じのモニターだらけの部屋で泣き喚く少年少女の哀れな姿と蹴りまくられた真っ二つの死体に銃に撃たれた死体を見るだけだ。その戦場のモニターの一つに目をとめたのがあった。あの不良男 マリシャス・ロストライトが映ってたモニターだ。顔を除いて全身血だらけだ。
_…あのイケメンフィルターを取り除けば顔も血だらけになるのでは?
イケメンキャラは血まみれの姿が禁じてるのか?正直腹が立った。しかし強いやつ弱いやつ関係なしの容赦ない剣技だった。首を真っ二つにすれば胴体を真っ二つ出来る剣技だった。数年は剣道やってたような剣技だった。さすが俺が面白い奴と思っただけであるわ。他にもたくさんの面白いと思った奴がいたがこいつだけはずば抜けている。
「さてと、そろそろ見ますか」
と言って、あるサイト(?)を念じた。これをみるとMMORPGのようなステータス表な気がした。久しぶりにMMORPGでもしたいな。そして、そのサイトはポイントが見えるランキングだ。つまり殺した人数が表すランキングだ。まだ数十分はかかっているからまだ一人か二人しか殺している人がいれば殺していない人もいるのだ。一位はもちろんあのマリシャスだ。しかもポイントは二千ポイントってどんだけ殺してんだ。俺は引いた。たった数十分しかかかってねぇのにこのポイントはいや、人数はまずいなと。
__いや、そうはならんやろ。
だが、なっているのが現実。これは認めたくない。ついでに二位と三位のやつもすでに千ポイントは超えていた。どいつもこいつも化け物だらけかよ…と額に汗が来そうだ。そして、四位を除いて他は百、五十だらけだった。そんな時
__こいつの順位は…下がってないな。
と三位の下、四位を見つめた。
四位 シェリア・オリエント。この《シェリア・オリエント》という名前はどっかの乙女ゲーム悪役令嬢とかなんとか。キャラ名なら聞いたことはあった。しかし、《アン●ンマン》や《ドラ●もん》、《野●し●のすけ》や《ト●ロ》みたいに存在しないはずの二次元のキャラ名が現れたことに俺は驚いた。キャラ名ってテレビの中に居るもんだと思ってた。その偶然とは素晴らしいものだな。それに、あの女には背筋が凍るほどの殺人ショー行ったのだ。数十分たった今でも背筋が冷たく感じる。
__あれはあれでぞくっとしたわ。
それは一位のマリシャスを超えるほどのそんな殺人ショーだった。

時は数分前にのぼる。シェリアは怪我をした少年 を姫抱っこして安全な所に運ぶのがモニターでも確認した。こりゃ正義感のある令嬢様ですこと。だが、俺はある事を過ぎった。
__そういや、あいつの最初見てなかったな。
俺はリモコンを巻き戻した。巻き戻したのはシェリアがあのトビラの先に行ったあとのところだ。なんだか幽霊が出てきそうな古い学舎だ。そこにはすでクロスボウで撃たれた少年がすでにいるところ。学舎の玄関の上には体格が小さく太い少年 ランブー・タンセンがすで待ち伏せたのだ。そして、彼女が出てきた。シェリアはどうやら死体に驚いているようだ。当たり前だ。こいつは外れてたかなと思った。がその時だったランブーがリロードし終えたように即座にクロスボウの矢をシェリアに向けた。これはいいタイミングだ。だが、シェリアは気づき即座に防がれた。俺は少し頭に?が出そうなほどだった。
__あいつ、どんな顔だった?
と別角度、玄関の先ら辺にあるカメラで確認した。シェリアが死体に近づいたところがシェリアが死体に近づいた時ランブーが矢を撃つ。のは分かったもののその時のシェリアの顔が見えなかった。おい、カメラ仕事しろよ。とイラつくも俺はリモコンすこし巻き戻し、シェリアの振り向いた顔を見る為に、なるべくコマ送りにした。だが、シェリアが振り向いたのはランブーが矢を撃つ前だった。まるで分かってたような振り向き方だった。そして、振り向いた時の彼女の顔は出会った時とは違う顔だった。特に瞳は角膜とともに瞳孔が狭まっていた。それを見た俺はぞくっとした。
__何だよあいつ、別人じゃねぇーか…
まるで全てを見切ってるような。お見通しようなそんな別人格だった。すると、時間切れかモニターの場面は現在、ランブーとシェリア。ついでの怪我をした少年 アーシア・ライディンが対等してた。どうやら口論をしているのだろう。いや違った。ランブーが一方的に頼み事をしてる。
__あれはまぐれだったのか?
現在のシェリアは角膜も瞳孔も広い。そして、何よりも女だ。正義感の強いまさに正統派令嬢の女だ。悪役令嬢のような角膜が狭い女でない。
__しっかし、ランブーの奴情けねぇな…
ランブーは自分のためにシェリア達を犠牲に従っているようだ。だが、そうはいかないのが人間だ。
_それはそうだよな誰もがはいはい犠牲になりますと言うのかなんだか。
すると、シェリアは無言で立ち上がった。立ったあともまだ無言だった。しかし、その無言の立ち方に何がおかしい所があった。俺はたまに転生系令嬢の漫画を読んでいる。本来の転生令嬢様なら『そんな訳にはいきません!私達には大切な人がいます!』と自分と他人を共有するような命乞いをする。まぁ主人公は悪くないがな。だが、シェリアは違った。圧はかけてない、正義感も感じない。怒りは感じるが…
__あ、これはヤバイ。
俺でもわかるほどに怒りだった。シェリアの後ろにいるアーシアにも察するほどの怒りだ。シェリアの表情は理性が壊される寸前の顔だ。
__ランブーの奴何を言ったんだ。
ここのモニターは大声、銃声を除いて他の音が聞こえないのだ。だから、表情、行動で読み取る事しかできないのだ。
__絶対これサイコパス向けだろ……
俺でも言うのかとないがこれでもサイコパスではない。むしろ常識人というか色んなに興味がありまくる言わゆるヲタクだ。究極進化したアニメヲタクと言われる可能性大だ。変態ともよく言われる。
__あ、刀抜いてる。
シェリアは何も言わず刀 にっかり青江を抜いた。俺はまじまじとモニターに近づいた。何かが起こる。そんな気がしてきた。シェリアは刀を構えた。そして、
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
怯えてたランブーは大声をあげた。モニターでも聞こえるほどの大声だった。クロスボウの矢は放った。しかし、その矢はシェリアに当たらなかった。アーシアにも当たらなかった。その矢はアーシアの数十センチの上に寄りかかってた木に当たった。しかも、位置はど真ん中。寄りかかってたアーシアは
「ヒィ!」
と言って座った位置をすりおろした。彼が言ってることは分からないがきっとそうだ。これは笑いモンだわと俺は笑った。だが、俺はある事に気づいた。いつの間にかシェリアが居なくなってたのだ。どういう事だ…。俺は何度も巻き戻した。彼女がどうやって避けたのか。彼女がどこに行ったのかも。しかし、彼女がどうやって避けたのかもどこに行ったのかも分からなかった。俺は諦めた。もう、俺は見る目がないのかと思ったさ。元に戻すといつの間にかシェリアは死んだランブーの上に立っていた。殺したあとのシェリアは呆然と目を閉じてた。
「え、はぁ!?」
思わず声を上げた。いや居たの!?しかも殺ってるし。何があったんだよ!?俺は急いで巻き戻した。ランブーが殺される寸前、いやクロスボウの矢が撃った直後に巻き戻した。
__また、コマ送りか!?
俺はコマ送りにした。今を振り返れば俺の行動は正しかったのかは分からない。いや、どちらかというと間違ったのかもしれない。クロスボウの矢が撃った直後だ。コマから見るとランブーがどこに行った。とような顔を周りを見渡した。その時だった。一瞬、黒い何かがランブーに襲いかかったのだ。いや、これは黒い何かではなくシェリアだった。シェリアはランブーの横に襲いかかったのだ。さらに目があの入り口付近で振り向いた時と同じだ目だった。シェリアは素早く刀をランブー太った体部分に当てた。いや、斬ったの方が正しい。しかも、奥深くに。斬られたランブーは斬られた腹を抑えた。今にでも倒れたら真っ二つになった。すると、シェリアとランブーが目を合わせた。その時のシェリアの顔は……なんと笑みだった。目は笑ってなく元気よく歯を見せてた。俺は一瞬、背筋が凍った。あれは本当に令嬢かと問いたいほど。これではまるで…獲物を狩る人だ。ピエロだ。令嬢でもなんでもないただ手段を選ばない狩人だ。そして、シェリアはランブーの首を斬った。真っ二つにとはいかなかったが。ランブーは倒れた。こんな血がいっぱいに出したりチラッと見えたが腸が飛び出てきたのだ。あんな状態だといかに死亡が確定だな。こりゃ…。その後だった。
「ふ、ふふ…」
モニターではあまりにも小さな笑い声だった。これはあくまでも笑いかけてる。大音量なら上手く聞き取れたらなと思ったその時。
「アハハハハハ!アはーっはっはっは!」
と満たされたかのように笑いだした。目を閉じながら。数秒くらいは続いたかな。シェリアは笑い終えたあとは静かにしばらくの間は猫背になった。まるで充電切れの機械人形のように猫背なったのだ、と。その後のシェリアはというと男のような発狂をした。自分が殺ったことに気づいてないかと思ったぜ。あと、今の無意識だったのか!とまたツッコミが入れたくなってきた。その時、シェリアの声を聞きつけたのか謎の飛び出した人への突然の襲撃。誰なのかは俺はみえなかったがその時もシェリアはまた無意識に人を斬り…いや、刺したのだ。今度は目を細めないで。しかも、心臓に突き刺したかその人は動かなかった。人から刀を抜いた後シェリアは吐き気を催す形で今は廃ビルでアーシアともに隠れてる。
__……あれは正当防衛というのか?
俺は今すぐに辞書で調べたいものだ。けど、ここを離れれば面白いもんが見られなくなるのは嫌だ。開いたポテトチップスを一個食べる。ついでに麦茶を一口。
「んぐ……ぷっはぁ」
一息つき俺は椅子に座った。
__気がつけばここは…化けもんが揃うところだな。
俺は失笑した。怖さを逃れるためだ。俺が何故か失笑したのかも怖さよりも何かが起こることだ。
_本来なら笑えないとこだが。俺にとっちゃぁ…
「笑えるさ。やっぱり正義の主人公と悪のラスボスなんていないもんだ」
そう、この世は正義などない。悪もいない。国も町も集落も世界もそんな奴はいない。ここにいる人共はそれを証明するための試験に立っている。殺し合えば騙され合うし蹴落とし合えば落とし合う。それが…
「ここの方針なんだよな」
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