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第1章 前書き…?
第4話 どうするか
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「お、おおお俺の名前は、アレクシス・ベイクウェル!美しい方、俺と、ここ婚約してください!」
(…なんだこいつ)
ぐちぐち文句を言ってきたかと思えば、突然の告白(?)。
(情緒不安定…?)
〈単なる一目惚れですね。〉
(意味わからん)
賢者の言葉をばっさり切り捨てて、立ち上がる。アレクシスは、再び固まった。そんな姿を見つつ、思い出した。まだ自分の状況を全く把握できていない。
(賢者、とりあえずここどこ)
〈異世界…正確には地球の存在している宇宙とは別の宇宙にある星、です。〉
(分かりやすく)
〈かなり分かりやすく言ったつもりなんですが…えーと、元暮らしていたのは、地球ですよね〉
(うん)
〈地球の周りには宇宙がありますよね〉
(あった)
〈その宇宙とは、別の宇宙に存在するのが、この星です。〉
(別の、宇宙…?)
〈はい。この世界には、ものすごい数の宇宙が存在しているんです。わかりやすくいえばブドウみたいなものですね。ブドウのように、沢山の宇宙が隣接しているのです。〉
(ふーん。分かった。で、僕はなんでここにいる?)
一通り説明を聞いて、曖昧な返事をした。正直言って、理解はできていない。賢者が突っ込むより早く、質問を浴びせる。
〈落ちたからですよ〉
賢者はすぐに答えた。
(落ちた?なにに?)
〈時空の穴、です。今回は特例中の特例。特例どころか、異常ですよ。〉
(特例とか、異常とか、なに?)
〈宇宙同士はたまに繋がることがあるんですけどね、星同士が繋がることなんてほとんど…千年に一度くらいくらいの確率でしか繋がらないんです。しかもそれが人の通れるくらいに大きくなることなんてこれまでに多分5回くらいしかありません。その5回のうち人が落ちたことは…前に一度、あった、みたいです…。しかもそれが龍の星に繋がってたみたいですね…。〉
最後の方はもう独り言のようになっていたので、龍の星については突っ込まないでおいた。頭の中で情報を整理していると、アレクシスと ばっちり目が合う。瞬間に目をそらされる。そして、ちらちらこちらを見ながら、
「あの…」
と呟いた。
「なに」
「えっ。あ、あの!名前を、教えていただけませんか…。」
つぶやき声が聞こえていないと思ったのか、反応するとびくり、と肩を震わせて弱々しい声で答えた。何をそんなに恥ずかしがっているのか、真っ赤になっている。
「…悠」
「ハル…さん?」
「なに」
アレクシスは噛みしめるように名前を繰り返した。わざわざ「さん」をつけて。そして、急にニヤニヤし始めた。顔を赤らめている程度ならまだ可愛かったものの、ニヤニヤしているのは正直気持ち悪い。思い切り顔をしかめてアレクシスを見ると、慌てて口元を覆った。
「す、すみません。ハルさん。嬉しくて、つい…ニヤけました。」
「さん付け気持ち悪いから、ハルでいい。」
謝罪をスルーして、言った。
「…ハル…?」
「ん、」
ゆっくりと名前を呼ばれる。顔を見ると、アレクシスは思いきり顔に手を当てた。すごい、痛そうな音がした。
「俺のことは、アレクって呼んでくださいぃぃ…。」
(そんな痛かったのか)
さっきよりも弱々しい声でアレクシス、改めアレクが言った。
〈イチャイチャしないでください〉
(してない)
急に賢者が喋り出した。アレクと話していた間、前に時空の穴に落ちた記録を賢者が頭の中で展開していたが、スルーしておいた。うるさいし、意味わかんないし、鬱陶しくてしょうがなかったがキレそうになるのをなんとか堪えていた。目の前のアレクも大分鬱陶しいが、賢者ほどでもなかったから我慢した。やっと、鬱陶しい2人に解放されて実に嬉しい。
…と、いうか。こんなことしてる場合じゃない。状況把握はできたものの、現状の解決にはなっていない。今直面している問題は
(これからどうするか。住む場所、食べ物の確保、そして何より布団…寝る場所…!)
「どうするか…」
(…なんだこいつ)
ぐちぐち文句を言ってきたかと思えば、突然の告白(?)。
(情緒不安定…?)
〈単なる一目惚れですね。〉
(意味わからん)
賢者の言葉をばっさり切り捨てて、立ち上がる。アレクシスは、再び固まった。そんな姿を見つつ、思い出した。まだ自分の状況を全く把握できていない。
(賢者、とりあえずここどこ)
〈異世界…正確には地球の存在している宇宙とは別の宇宙にある星、です。〉
(分かりやすく)
〈かなり分かりやすく言ったつもりなんですが…えーと、元暮らしていたのは、地球ですよね〉
(うん)
〈地球の周りには宇宙がありますよね〉
(あった)
〈その宇宙とは、別の宇宙に存在するのが、この星です。〉
(別の、宇宙…?)
〈はい。この世界には、ものすごい数の宇宙が存在しているんです。わかりやすくいえばブドウみたいなものですね。ブドウのように、沢山の宇宙が隣接しているのです。〉
(ふーん。分かった。で、僕はなんでここにいる?)
一通り説明を聞いて、曖昧な返事をした。正直言って、理解はできていない。賢者が突っ込むより早く、質問を浴びせる。
〈落ちたからですよ〉
賢者はすぐに答えた。
(落ちた?なにに?)
〈時空の穴、です。今回は特例中の特例。特例どころか、異常ですよ。〉
(特例とか、異常とか、なに?)
〈宇宙同士はたまに繋がることがあるんですけどね、星同士が繋がることなんてほとんど…千年に一度くらいくらいの確率でしか繋がらないんです。しかもそれが人の通れるくらいに大きくなることなんてこれまでに多分5回くらいしかありません。その5回のうち人が落ちたことは…前に一度、あった、みたいです…。しかもそれが龍の星に繋がってたみたいですね…。〉
最後の方はもう独り言のようになっていたので、龍の星については突っ込まないでおいた。頭の中で情報を整理していると、アレクシスと ばっちり目が合う。瞬間に目をそらされる。そして、ちらちらこちらを見ながら、
「あの…」
と呟いた。
「なに」
「えっ。あ、あの!名前を、教えていただけませんか…。」
つぶやき声が聞こえていないと思ったのか、反応するとびくり、と肩を震わせて弱々しい声で答えた。何をそんなに恥ずかしがっているのか、真っ赤になっている。
「…悠」
「ハル…さん?」
「なに」
アレクシスは噛みしめるように名前を繰り返した。わざわざ「さん」をつけて。そして、急にニヤニヤし始めた。顔を赤らめている程度ならまだ可愛かったものの、ニヤニヤしているのは正直気持ち悪い。思い切り顔をしかめてアレクシスを見ると、慌てて口元を覆った。
「す、すみません。ハルさん。嬉しくて、つい…ニヤけました。」
「さん付け気持ち悪いから、ハルでいい。」
謝罪をスルーして、言った。
「…ハル…?」
「ん、」
ゆっくりと名前を呼ばれる。顔を見ると、アレクシスは思いきり顔に手を当てた。すごい、痛そうな音がした。
「俺のことは、アレクって呼んでくださいぃぃ…。」
(そんな痛かったのか)
さっきよりも弱々しい声でアレクシス、改めアレクが言った。
〈イチャイチャしないでください〉
(してない)
急に賢者が喋り出した。アレクと話していた間、前に時空の穴に落ちた記録を賢者が頭の中で展開していたが、スルーしておいた。うるさいし、意味わかんないし、鬱陶しくてしょうがなかったがキレそうになるのをなんとか堪えていた。目の前のアレクも大分鬱陶しいが、賢者ほどでもなかったから我慢した。やっと、鬱陶しい2人に解放されて実に嬉しい。
…と、いうか。こんなことしてる場合じゃない。状況把握はできたものの、現状の解決にはなっていない。今直面している問題は
(これからどうするか。住む場所、食べ物の確保、そして何より布団…寝る場所…!)
「どうするか…」
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