上 下
15 / 16

やっべえな!?

しおりを挟む
「久しぶりじゃねぇか!最近見ないと思ったら…」
「うわっ!寄るな寄るな!」

ガバルおじちゃん…いや、ガバルさんだな。おじちゃんっていうのはなんか違和感。
んで、2人はなんの関係なんだろね

「そんなつれないこと言うなよ、俺とお前の仲じゃねぇか!」
「あーもー!寄るなって言ってるんだ、このヘンタイ!!」
「変態…。」

何があった、シグニール…。…あれ、シグニールの周りにまともな人いないじゃん。
聖剣を粗末に扱うお父さん、火の中にぶっ込むお母さん、変態(?)ガバルさん…。

「…2人は知り合いなのー?」

変態って呼ばれるようなことしたんだよね、ガバルさん。今すぐ何があったか説明せぇや。私無邪気だから、しっかり説明してくんないと分かんないよー?

「とりあえず!助けてくれ、アメリア!」

そんな悲痛な声あげないでよ。心が痛くなる。とりあえず、助けよう。ここで助けたりしなかったら私まで嫌われる。

「ガバルおじちゃん。シグニール嫌がってるから離してあげてね。」

ガバルさんをシグニールからひっぺがして、シグニールを庇って立つ。大人のくせにめんどくさい奴らばっかだな。

「ガバルおじちゃんはシグニールと友達?」
「まあな。ファーガスの野郎が毎回ボロボロにして持ち帰ってくるから定期的に俺が見てたって訳だ!」

ちょっとお父さん、毎回ボロボロにするって何事よ…。あ、でもそうか。投げられたり落とされたり色々酷い扱い受けてたって言ったっけ。で、なんで変態になるわけ?

「こいつはオレを見る度に鼻息荒くなるんだ。アメリアも気をつけた方がいいぞ。」
「そりゃあ、 聖剣シグニールってのは言わば伝説の剣な訳だが、俺ら鍛冶師からしちゃあ別の意味でも伝説だ。伝説の聖剣目の前にして興奮しねぇ鍛冶師がいるかよ!」

こっっっわ。いや、まあ言い分は分かるけどさ…。ふつーに怖いからね?お父さんだけじゃなくてガバルさんも近寄らせないようにしないと。思わず視線を逸らした。…って、素でドン引いてしまった。前に向き直ろうとすると後ろに引っ張られる。

「どうし、うわ…。」

どうしたの、と言いかけて思わずガチトーンで呟く。いや、ガバルさんが目をギラギラさせてすこーしづつこっちに近ずいて来んだよね。いやもう怖いの通り越していっそ気持ち悪いんだけど。じりじり後ずさる。…って、シグニール!さりげなく盾にしないで欲しいんだけど!

「あらぁ~。なにしてるの~?」
「ハリエットおばちゃん!た、助けて。」

2階から降りてきたハリエットおばちゃんにとっさに助けを求める。いつの間に2階に上がってたらしい。とりあえずこの変態おじさん何とかして。

ハリエットおばちゃんは、チラっとガバルさんの方をみてからにっこり笑った。そして、

「小さい子怖がらせたらダメでしょ~?」

と言って手刀を喰らわせる。見事に気絶してる…。え、まって、いつの間に移動したの?今さっきまで隣にいたのになんで3mくらい離れたガバルさんの後ろにいんの?

「すごい…。」
「あら~褒められちゃった。」

こっちも別の意味で怖いわ…。でもいーな、あれ。魔法なのかな?瞬間移動は憧れるよね。

「それじゃあ、お茶にしましょうか~。こっちよ~。」

マイペースだな。てかガバルさんここに転がしといで大丈夫なの?あっ、大丈夫そうですね。全く気にしてませんね、ハイ。

「じゃあ、シグニール。私達も行こ。」
「ああ。ありがとな、アメリア。」

はは、と笑い声をあげると、シグニールも笑った。あれ、既視感デジャヴ…。
ハリエットおばちゃんの後を追って奥に入ると、石で出来た鍛冶場とは裏腹に木で出来た明るい家だった。
おお、いいな。柔らかい雰囲気で。

「アメリア、おいで。」

お母さんが振り返って微笑む。いちいち綺麗だなぁ、もう。お母さんが動く度に1枚の絵みたいになるのやめて欲しいんだけど。目ぇ潰れそう。
とりあえず席について、紅茶をちょびっと飲む。うわ、この紅茶めっちゃ美味い!え、これまでに飲んだことないくらい美味いよ?

「おいしい。」
「そうでしょ~?オリヴィエちゃんの作る紅茶は世界一なのよ~。」

オリヴィエちゃん…。また新しい人。にしても美味いわ。入れ方も上手いんだろな。最高。

「クッキーもどうぞ~。」

……うっっっま。これは神様の食べ物もんだ。やべぇわ、これ。ほっぺたが落ちるとかの次元じゃない。頭取れる(?)。
紅茶と一緒に食べたらどうなんだろ。
………。

「…。」
「アメリア?どうしたの?」
「おい、ハリエット。アメリアが固まった。」
「あらぁ~。小さい子には刺激が強すぎたかしら~?」
「死んでるのか?」
「縁起でもないこと言わないでちょうだい、シグニール。」
「とりあえず元に戻しましょっか~。時間巻き戻した方がいいかしら~?水掛ける?解呪する?」
「解呪が一番楽だな。オレがやる。」

………。はっっっ!何、何事?…ええーと?紅茶とクッキーを一緒に頂いて、それで、それで…?記憶がない…。これのせいで!?とんだ悪魔の食べ物もんじゃねぇか!なんなんだよ!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

小さいぼくは最強魔術師一族!目指せ!もふもふスローライフ!

ひより のどか
ファンタジー
ねぇたまと、妹と、もふもふな家族と幸せに暮らしていたフィリー。そんな日常が崩れ去った。 一見、まだ小さな子どもたち。実は国が支配したがる程の大きな力を持っていて? 主人公フィリーは、実は違う世界で生きた記憶を持っていて?前世の記憶を活かして魔法の世界で代活躍? 「ねぇたまたちは、ぼくがまもりゅのら!」 『わふっ』 もふもふな家族も一緒にたくましく楽しく生きてくぞ!

退屈な人生を歩んでいたおっさんが異世界に飛ばされるも無自覚チートで無双しながらネットショッピングしたり奴隷を買ったりする話

菊池 快晴
ファンタジー
無難に生きて、真面目に勉強して、最悪なブラック企業に就職した男、君内志賀(45歳)。 そんな人生を歩んできたおっさんだったが、異世界に転生してチートを授かる。 超成熟、四大魔法、召喚術、剣術、魔力、どれをとっても異世界最高峰。 極めつけは異世界にいながら元の世界の『ネットショッピング』まで。 生真面目で不器用、そんなおっさんが、奴隷幼女を即購入!? これは、無自覚チートで無双する真面目なおっさんが、元の世界のネットショッピングを楽しみつつ、奴隷少女と異世界をマイペースに旅するほんわか物語です。

異世界楽々通販サバイバル

shinko
ファンタジー
最近ハマりだしたソロキャンプ。 近くの山にあるキャンプ場で泊っていたはずの伊田和司 51歳はテントから出た瞬間にとてつもない違和感を感じた。 そう、見上げた空には大きく輝く2つの月。 そして山に居たはずの自分の前に広がっているのはなぜか海。 しばらくボーゼンとしていた和司だったが、軽くストレッチした後にこうつぶやいた。 「ついに俺の番が来たか、ステータスオープン!」

神に同情された転生者物語

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。 すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。 悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

転生幼女の異世界冒険記〜自重?なにそれおいしいの?〜

MINAMI
ファンタジー
神の喧嘩に巻き込まれて死んでしまった お詫びということで沢山の チートをつけてもらってチートの塊になってしまう。 自重を知らない幼女は持ち前のハイスペックさで二度目の人生を謳歌する。

序盤でボコられるクズ悪役貴族に転生した俺、死にたくなくて強くなったら主人公にキレられました。 え? お前も転生者だったの? そんなの知らんし

水間ノボル🐳
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑ ★2024/2/25〜3/3 男性向けホットランキング1位! ★2024/2/25 ファンタジージャンル1位!(24hポイント) 「主人公が俺を殺そうとしてくるがもう遅い。なぜか最強キャラにされていた~」 『醜い豚』  『最低のゴミクズ』 『無能の恥晒し』  18禁ゲーム「ドミナント・タクティクス」のクズ悪役貴族、アルフォンス・フォン・ヴァリエに転生した俺。  優れた魔術師の血統でありながら、アルフォンスは豚のようにデブっており、性格は傲慢かつ怠惰。しかも女の子を痛ぶるのが性癖のゴミクズ。  魔術の鍛錬はまったくしてないから、戦闘でもクソ雑魚であった。    ゲーム序盤で主人公にボコられて、悪事を暴かれて断罪される、ざまぁ対象であった。  プレイヤーをスカッとさせるためだけの存在。  そんな破滅の運命を回避するため、俺はレベルを上げまくって強くなる。  ついでに痩せて、女の子にも優しくなったら……なぜか主人公がキレ始めて。 「主人公は俺なのに……」 「うん。キミが主人公だ」 「お前のせいで原作が壊れた。絶対に許さない。お前を殺す」 「理不尽すぎません?」  原作原理主義の主人公が、俺を殺そうとしてきたのだが。 ※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル表紙入り。5000スター、10000フォロワーを達成!

超越者となったおっさんはマイペースに異世界を散策する

神尾優
ファンタジー
山田博(やまだひろし)42歳、独身は年齢制限十代の筈の勇者召喚に何故か選出され、そこで神様曰く大当たりのチートスキル【超越者】を引き当てる。他の勇者を大きく上回る力を手に入れた山田博は勇者の使命そっちのけで異世界の散策を始める。 他の作品の合間にノープランで書いている作品なのでストックが無くなった後は不規則投稿となります。1話の文字数はプロローグを除いて1000文字程です。

処理中です...