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目覚めた日 午後3

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森から出ると、お父さんが待っていた。あれ、お父さん早くないすか。

「アメリア、マンティコアは?」
「倒したよ!これ!」

ぱっとマンティコアを出した。お父さんは驚いて目を見開いている。うんうん、いい反応ですな。

「これは…。いや、よくやったな、アメリア。これでお前も1人前だ!」

1人前になるの早くない?え、何度も言うけどね、私4歳なんだよ?それでなんで1人前になるためのテスト?みたいなのやらされたの?え、やっぱおかしいよね?まあ、特に怪我とかなかったからいいけどさ。

「さあ、早く帰ろう。今日は宴会だからな。」

宴会って、私が1人前になったから?…では無さそうだな、なんとなく。うーん、まどうでもいいか。宴会ってことは美味しいものとか出るってことだよね!よっしゃ!

「早く帰ろ、お父さん!」
「…そうだな、アメリア。」

そう言ってお父さんは私をもちあげて、肩にのせた。つまり肩車。

「お父さん、どうしたの?」
「いや、暫くこういう事してやれてなかったからな。」

うん、何となく悲しそうっていうか…寂しそう?なんだろう、ちょっと違う気がする…。ま、気の所為だな!うん!宴会か~。いやぁ楽しみだ。大人たちは酒を飲み、子供たちは…寝る?…まあどうなるかはわからんけど、これで村の人たちを把握できるだろうし。今日、記憶が戻った日なのに色々ありすぎ。濃い1日だった。だが寝ない。幼女とはいえ中身は高校生だからな。




「かんぱーい!」

あれから家に帰って、宴会の準備の手伝いをせられてお兄ちゃんと遊んで(遊ばされて)、そして今に至る。スキルを確認する暇がねぇ!確認くらいさせてよ。て思ってたら、酒飲んでほろ酔いな大人たちに絡まれる。

「アメリアー!お前今日マンティコアやったんだってなぁ!なかなかやるじゃねぇか!ガハハハ!」
「やるでしょ、ガバルさん!うちの娘はアイテムボックスまで持ってるんですよ!しかもあの聖剣を軽々持ち上げてみせた!」

お父さんどうしたの?え、なんでそんなテンション高いの?あれ、素はあのイケメンスマイルの時のじゃないの?それとも脳筋でもイケメンでもない元気系が素?

「ちょっとファーガス!あなたお酒弱いんだから少しは自重しなさい。」

あ、酒のせいか…。てかお父さんお酒弱いの?確かにちょっと顔赤いけど。顔に出なさすぎじゃない?てかまだ飲み始めたばっかでしょ?お酒弱いどころじゃないじゃん。ええ…めんどくさ。あ、それで「ガハハハ!」て笑ったガバルさん?て人は、いつもこのテンションらしい。馬鹿でかいジョッキを積み重ねてるよ、ものすんごい勢いで。そんな人が一杯目でキャラ変わるわけないし。…それよりね、それよりも気になんのがね、キャロお姉ちゃんとお母さんなんだよね。2人とも談笑しながらもう2人で一樽開けそうな勢いだよ。お父さんはめちゃくちゃ酒弱いのにお母さんはめっちゃ酒強いてどゆことよ。

「アーメーリーアー。狩りお疲れ様。疲れたでしょう?色々手伝ってもらっちゃって悪いわねぇ。」
「ちょっとキャロ。アメリアは疲れてるのよ?変に絡むのはやめてよね。」

キャロお姉ちゃんはほろ酔いで、お母さんはいつも通り。うん、酒強いんだねお母さん。私もそうでありますように。てかいい加減に休みたい。みんなうるさすぎ。なんか言い訳つけて出でこうとすると、お兄ちゃんがは行ってきた。

「お!今日の主役の登場じゃねーかぁ!」
「でかくなったじゃねぇかよ!」
「こりゃあ、寂しくなるな!」

大人たちがさっきより大声で盛り上がる。…寂しくなる?何のこと?首をかしげると、お兄ちゃんは大人たちに向かってにっこり笑った。その笑顔が狂気のようなものを孕んでいたように見えたのは気のせいだ。うん、気のせい気のせい。
と自分を納得させていると、お兄ちゃんがやって来て「ちょっと外に行こう。」と私の手を引いた。外に出てしばらく歩いて、村の高台に出た。高台って言っても広場みたいな、草原?みたいな…だめだ語彙力が足りない。とりあえずそこに座って、お兄ちゃんに後ろから抱きしめられる。夜風に吹かれながら、お兄ちゃんが話し始める。

「アメリア、僕は“騎士”って職業ジョブでね。もうすぐ、この村から出て王都に行って…そこで騎士団に入って仕事をしなくちゃならないんだ。」

あ、その宴会か…。主役って言ってたもんね。…寂しくなるっていうのは、もうちょっと出でてっちゃうからか。えー、記憶が戻ったばっかなのに…イケメンお兄ちゃんともちょっと一緒に居たかったかも。

「それで、もうあんまり時間がなかったから、少しでもアメリアと一緒に居たかったんだ。今日、疲れてたのに付き合わせてごめん。」


…それから、お兄ちゃんはこれからのこととか、今まであったこととか、色々話した。とても、静かな声で。少し、辛そうな声で。その落ち着いた声を聞いて、疲れがたまっていた私は、ゆっくりと夢の中に落ちていった。
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