16 / 21
016
しおりを挟む
「はぁああああああっ!!」
裂帛の気合と同時に振るわれる拳は衝撃波を生み、多くの影を吹き飛ばす。
鉄格子の檻に人型の影は炸裂した瞬間に、まるで水のように弾け消える。すぐさま鉄竜は己の周囲を取り囲むように襲い掛かる影へと視線を向け、地面を思い切り踏み抜いた。
爆発音を響かせるほどの一撃は辺りに強烈な圧力と風力を生み出し、有象無象と言わんばかりに影は為す術なく飛ばされていく。
倒せど、倒せどきり無く現れ出でる影。倒したら倒した分だけ出現する影を見つめ、鉄竜は舌打ちをする。
「クソッタレが! よえぇくせにキリがねぇぞ! どうなってやがる!」
『ウフフフ、無駄よ、無駄。貴方がどれだけ影を倒そうとも、私の精神に居る限り、貴方は影と永遠に戦い続ける事になる。どれだけ倒したって、貴方がここを出る事は無いわ。いずれ影に飲まれて、貴方という存在が消滅するだけよ』
「ここはてめぇの世界じゃねぇ! 姫の世界だろ! お前みたいな狂人が踏み入れていい場所じゃねぇんだよ!」
鉄竜は襲い掛かる影を殴り飛ばしながら叫ぶ。だが、エリザベートは声高らかに笑った。
『強がりだけは認めてあげる。けど、貴方がここを出る事は出来やしない! ここは精神世界。貴方は私に吸収された。その意味が分かってるの?』
「…………」
エリザベートの指摘に鉄竜は思わず舌打ちを打つ。
そう、この精神世界。姫の心の中。ここに来たのは常識では入る事すらも出来ない世界だ。
けれど、それを可能にしたものが一つだけある。それこそが、吸血鬼の持つ吸血だ。
血とは『生命の源泉』である。人間が妖魔、全ての生命が持つ生命の設計図。それを他者から吸い取り、奪う。それこそが、吸血。つまり、血を吸うということは、吸血対象の万物を知り、万物を奪う事。
その行為を介し、鉄竜は姫の精神に入り込み、鉄竜の肉体と精神が完全に分離してしまったのだろう。
となれば、現実の鉄竜がどうなっているか、なんて想像が付く。
考えれば考えるほど、状況は悪い。けれど、鉄竜は微塵も不安感など無かった。しかし、後ろに居た姫は違った。
「鉄竜……大丈夫なのか?」
「……心配すんな、姫」
鉄竜はチラリ肩越しに姫を見つめ、安心させる為にニコリと笑った。
「あっちには俺と同じで、無鉄砲なバカがもう一人居る。どうせ、アイツの事だ。俺の言う事なんて聞きやしないで戦う奴が居る。だから、心配はいらねぇよ! そいつは――俺なんかよりもずっとずっと優秀だ」
『それは、あの女かしら? あの女に何が出来るの? 戦う力も持ってないのにねぇ~』
小馬鹿にするような言葉に鉄竜は鼻で笑った。
「ハッ! お前は何一つ理解してねぇよ。戦い方なんてのは何も腕っ節だけじゃねぇよ。戦い方ってのはいくらでもあるんだよ!! だから、てめぇはここで俺と遊んでりゃいいんだよ、エリザベート!!」
□
「それが、あの妖魔の正体です」
「大した観察力だ。数少ないヒントから真相を手繰り寄せる……君は魔術師になる才能を持っているよ」
愛は今回の件に関する妖魔の話を全てした。
それこそが、今回の一連の事件の真相だ。あの妖魔の正体。エリザベート・バートリーの悪霊が引き起こしたたった一人の少女の悲劇だ。
悪霊と化し、吸血鬼としての側面を持った狂気を持つ血の伯爵夫人が巻き起こした四百年引き起こされ続けた事件だ。愛がその真実に辿り着いたのは、闇との遭遇のときだ。
あの時、彼女は二つの人格で揺れ動いていた。それはきっと、エリザベートとしての彼女と姫としての彼女。その両者がまだせめぎ合い、しのぎを削っていたのだろう。
だからこそ、あれだけ存在そのものが不安定だった。それに、違和感はずっとあった。
時には凛々しく、時には強気で、時には酷く弱気で。個性と呼ぶにはあまりにも大きな変化。
そして、闇が現れ、彼女は大きく変わってしまった。きっと、あの時、エリザベートに完全に支配されてしまったのだろう。つまり、姫とエリザベートは同一人物であり、別人格を持つ人間という事になる。
その真実にたどり着き、愛は疑問点が浮かんだ。
「……獅子堂さんは全部を知ってる上で賭けを申し込んだって事ですよね?」
「ああ、そうさ。元々、あの妖魔はずっと僕が追っていた。そこに彼がやってきた。驚いたよ。彼を始めて見たとき。まさか、町に二人も吸血鬼が居る、という事実にね。それと同時に恐怖もしたよ」
正義はタバコを一つふかし、息を吐いた。
「もしも、吸血鬼二人が結託でもしたらどうしようとね。実際は全く違う結果になった。彼女が記憶を失っていた事さ。元々、エリザベート自体は魔術教団でも400年追い続けていた」
「そうなんですか?」
「ああ。しかし、その尾を掴む事が出来なかったんだ。400年もの間ね。その理由は恐らく、悪魔憑きという現象のせいだろうね」
「人格の入れ替わり……それによって、人間であり、妖魔でもあったから、ですか?」
「そういう事さ。僕たちが追えるのはあくまでも妖魔だけ。関係の無い一般人には手を出せない。エリザベートはそれを理解していたのだろう。だからこそ、人間としての己と妖魔としての自分を常に入れ替え続けていた。存在自体を不明瞭にする為にね」
正義の言葉を聞き、愛は眉間に皺を寄せた。
「魔術師たちは、関係の無い一般人には手を出せない。けれど、獅子堂さんはその流儀じゃない。おかしくないですか? 獅子堂さんは関係があるなら、殺すんですよね?」
「ああ、その通りさ。だから、僕は彼女を狙った。確証は無かった。けれど、彼女だろうという目算は400年あった。だから、僕が名乗り出て、彼女を狙ったんだ。そんな時に、君たちが現れた。驚いたよ。まさか、妖魔と妖魔が友情を育もうとしていた事実にね」
正義は意外そうに目を丸くし、新たなタバコを口に咥える。そして、火を点けながら、口を開いた。
「どうしてだい? どうして、彼は、いや、彼だけじゃない。君もそうさ。妖魔であろうとも、君はどうして彼女に手を差し伸べた? 妖魔だと、分かっていたんだろう? それが僕には理解できなかった」
正義はタバコの煙をふかしてから、更に言葉を続けた。
「何故、人類に仇なす妖魔を助けようとする?」
愛は正義の質問を頭の中で反芻する。
理解出来る。何故、人々を傷つける妖魔を助け、友情を育んだのか。そんな答えはたった一つ。
「私は――困っている人が居たら助けるからです」
「……その生き方はあまりにも歪んでいる、そうは思わないのかい? 人が人を助ける事には限界がある。人の力には限界があるんだ。君の言葉を聞く限りだと、まるですべてを救いたい――そう、正義の味方でありたい、そう聞こえてならない。僕はそれは不可能だと思う」
「ええ、不可能だと私も思います」
愛は正義の言葉に確かに頷いた。正義の味方。テレビの中にだけ存在するすべてを救うヒーロー。
そんなものこの世には居ない。それを愛は分かっている。
世界を見てもそうだ。今、こうして愛が話をしている間に、苦しんでいる人は世界中に居る。
貧富の差、紛争地域、飢餓。様々な要因が人々に蝕み、命を落とす。その全員を救うという考えはあまりにも傲慢で、行き過ぎた願いだ。
「私は全員が全員を救える。そうは思いません。勿論、獅子堂さんの意見だって私には良く分かります。人を守る事がどれだけ大変で、辛い事かなんて、テツくんが身を持って教えてくれる。いつだって、私を守る為に命を捨ててる。その背中を私は一番見てる。だから、守る事がどれだけ難しいかも分かってるつもりです。でも――」
それだけの現実は確かにある。けれど、それ以上に愛は――。
愛は真っ直ぐ正義を見つめ、堂々と口を開いた。
「救う事を諦める事だけはしたくないんです。私の王がそうしてくれるように、私の主が諦めないように、私がそれを諦めちゃいけないんです。彼は私を恩人って言うけれど、私だって彼は大恩人です。彼は私に命をくれた。一番やりたくない方法で私という命をこの世に残してくれた」
「私の王……まさか、君は……」
「…………」
愛は何も言わずに己の上半身を纏う衣服のボタンを一つ、また一つと外し、胸元を晒す。
左の胸元。そこに烙印はあった。ドクン、ドクンと脈動し、血脈のように流れるSのルーン文字。愛はそれを慈しむように、愛おしく撫で、口を開いた。
「私は一度死んでいます。けれど、この烙印が私の命を繋いでくれた。テツくんと契約を交わして、私は今ここに居る。そんな彼が人を救う事に一生懸命になってる。だったら、私が、その生き方を教えた私が、その生き方を否定しちゃいけないんです。正義の味方であろうとは思わない。ただ目の前で助けを求める人を助けたい。それが私たちが人を救う理由です。そして、絶対にそれを曲げるつもりもありません」
「…………そうか。それが君たちの流儀か……。なるほど、道理で彼からは強い意志を感じたんだ」
「獅子堂さん?」
正義はどこか悟ったかのような眼差しをしてから、タバコを一気に吸い、吸殻を地面に落した。
「君たちはどこか昔の僕に似ている。昔、僕が求めていた姿に。正義の味方を本気で志していた頃を」
「獅子堂さんはその道を目指していたんですか?」
「ああ。僕は妖魔に家族を殺されている。だから、妖魔に奪われる人たちの事は良く分かるんだ。そして、そんな人たちを二度と生み出したくなかった。だから、僕は魔術師を志した。それならば、皆を守れる正義の味方になれる、と信じて」
正義の言葉を愛はボタンを留めつつ、真剣に耳を傾ける。
「けれど、現実はそういかなかった。魔術師になったとしても、妖魔を殺す事は難しい。非常識の塊だ。彼らを根絶やしにする事なんて僕には出来ないし、妖魔を狩る事だって難しいほどだ。そのときに僕は悟ったよ。ただの人には多くの人が救えないんだって。だからこそ、僕は悪魔になろうと思った。人が多くの人を守る為には、人をやめる必要があった」
「だから、妖魔に絡んだ人も根こそぎ命を奪っていったんですか……」
「そうさ。勿論、中には君たちと似たような事言う人も居た。けれど、僕は大を生かす為に小を殺し続けた。それはきっと正しい……いや……正しいなんて答えなんて出やしないものだと僕自身も良く分かっている。けれど、多くの人を救うにはそれしか道は無い」
大を生かす為に小を殺す。か、大を生かす為に小を生かす。
このどちらかが正しいかなんてきっと、神にすら分からない。だからこそ、正義はその悪魔の道を選んだ。
それを責める事も、同情をする事も、愛はしない。だって、それが彼の選んだ道で正解なんて無いのだから。
愛が何も言わずに居ると、正義は更に言葉を続ける。
「君たちの理想と僕の理想。それはどちらも究極は同じだ。だからこそ、僕は君たちの考えを否定する。人を救う事なんて出来やしない。ましてや、妖魔なんてね」
「……そうかもしれない。けど、それは――私たちだけだったら、の話です」
「どういう意味かな? それは」
と、正義が言った瞬間。愛はすぐに膝を折り、地面に膝をぴったりと付け、深く、深く頭を下げた。
そう――彼女は目の前の敵に向かって、土下座をした。
「お願いします、テツくんに協力してください」
「なっ……君は恥というものを知らないのか? 敵に向けて頭を下げ、理念の違う人間に頭を下げるなんて」
「恥をかかずに、人が救えるんですか!?」
「なっ……」
愛は勢い良く頭を上げて、正義を真っ直ぐ睨み付けた。
「これは確かに愚かで惨めな行為だと思います。でも、私からすれば、たった一人の友達を救うために下げる頭ならいくらでもあります。泥水を啜ったって、頭を蹴られたって、何度も、何度も頭を下げます。だって、私には出来る事はそれだけだから!」
「君は……何故、そこまで彼の、友達の力になろうとする? 己が惨めだと分かっていて、何故、誰かを救う事にそこまで躍起になる?」
「助けたいからです!! 私にとって助けたいテツくんと姫ちゃんはかけがえの無い大切な友達だから! 例え、過ごした日数は少なくたって、たった一日だけだったとしても――友達は絶対に見捨てない!!」
その言葉を聴いた瞬間に、正義は目を見開き、愛を見つめる。
何故、そんなにも驚いているのか、理解できなかったが、愛はすぐに深く頭を下げた。
「私はテツくんみたいに戦える訳じゃない。姫ちゃんみたいに辛い気持ちを知っている訳じゃない! 獅子堂さんみたいに、長く生きて、世界を知っている訳じゃない!! でも、それでも、誰かを助けたいなら、私は――何だってやってやる! それが私――恋久保愛だから!!」
恋久保愛は普通の女の子だ。
鉄竜のように――類まれな身体能力と腕力、再生能力を持ち合わせない。
姫のように――辛く苦しい過去を持たず、本当の弱者の気持ちを分かってあげられない。
正義のように――妖魔と戦い続けて得た経験からなる考え方も持ち合わせていない。
ない、ない、ない。愛は何も持ち合わせていない。けれど、それでも愛にだって出来る事はある。
諦めたくないのだ。何も出来ない、何も持っていないからといって、何もしないのは、嫌だった。
だから、愛はもう一度深く、深く頭を下げた。
「だから――お願いします!! 私たちに力を貸してください!! 姫ちゃんを救うには――私だけじゃ絶対に出来ないんです!! 獅子堂さんの力が、必要なんです!!」
「……そうか。君は末恐ろしいよ。きっと、妖魔なんかよりもずっとね」
正義はゆっくりと愛に近づき、膝を折ってから、愛に手を差し出した。
「……今回だけは折れてあげるよ。その代わり、ちゃんと僕の目で見極める。もし、あの吸血鬼が賭けに負けたんだとするのなら、僕はためらわずに彼と君の命を奪う。それが絶対条件だ」
「あ……それで充分です。賭けは絶対にテツくんが負けるはずなんてありませんから」
愛は正義の手を握り、立ち上がり、すぐに口を開いた。
「でも、きっと状況は芳しくありません」
「何故、分かるのかな?」
「私はテツくんの眷属ですから、向こうから私の状況が分かるように――私でもかすかにテツくんの事は分かるんです。さっきからずっと、テツくんの様子がおかしいんです。だから、一つだけ。出来るか、出来ないか、言ってもらっても良いですか?」
愛はポケットからあるものを取り出し、それを正義に見せながら、身振り手振りで伝える。
それを聞いていた正義は目を見開いた。
「なるほどね……コレが僕の物だと君は分かっていたのか……。ああ、勿論。それは可能だ。しかし……そんなものが何の役に立つのかな?」
「必ず必要になります。もし、テツくんが倒れていたら……絶対に必要になるんです」
もし、エリザベートに鉄竜が敗北しているとするのなら、その可能性は一つだけ。それも一番最悪の可能性だ。万が一、それが起こっていたのなら、眷属である愛の力が確実に必要になる。
愛の真っ直ぐで真摯な眼差しを見たであろう正義は小さく頷いた。
「ああ、分かった。しかし、それを作るには君にも代償を払う必要がある。魔術というのは必ず代償が必要になるんだ。君に、それは払えるかな?」
「それなら、元より払うつもりです。それに――私の血じゃないと、意味がありませんから」
「……君の覚悟は確かに受け取ったよ。なら、遠慮なくやらせてもらうよ」
そう言うとすぐに正義は胸ポケットからサバイバルナイフを取り出し、愛目掛けて突き刺した――。
裂帛の気合と同時に振るわれる拳は衝撃波を生み、多くの影を吹き飛ばす。
鉄格子の檻に人型の影は炸裂した瞬間に、まるで水のように弾け消える。すぐさま鉄竜は己の周囲を取り囲むように襲い掛かる影へと視線を向け、地面を思い切り踏み抜いた。
爆発音を響かせるほどの一撃は辺りに強烈な圧力と風力を生み出し、有象無象と言わんばかりに影は為す術なく飛ばされていく。
倒せど、倒せどきり無く現れ出でる影。倒したら倒した分だけ出現する影を見つめ、鉄竜は舌打ちをする。
「クソッタレが! よえぇくせにキリがねぇぞ! どうなってやがる!」
『ウフフフ、無駄よ、無駄。貴方がどれだけ影を倒そうとも、私の精神に居る限り、貴方は影と永遠に戦い続ける事になる。どれだけ倒したって、貴方がここを出る事は無いわ。いずれ影に飲まれて、貴方という存在が消滅するだけよ』
「ここはてめぇの世界じゃねぇ! 姫の世界だろ! お前みたいな狂人が踏み入れていい場所じゃねぇんだよ!」
鉄竜は襲い掛かる影を殴り飛ばしながら叫ぶ。だが、エリザベートは声高らかに笑った。
『強がりだけは認めてあげる。けど、貴方がここを出る事は出来やしない! ここは精神世界。貴方は私に吸収された。その意味が分かってるの?』
「…………」
エリザベートの指摘に鉄竜は思わず舌打ちを打つ。
そう、この精神世界。姫の心の中。ここに来たのは常識では入る事すらも出来ない世界だ。
けれど、それを可能にしたものが一つだけある。それこそが、吸血鬼の持つ吸血だ。
血とは『生命の源泉』である。人間が妖魔、全ての生命が持つ生命の設計図。それを他者から吸い取り、奪う。それこそが、吸血。つまり、血を吸うということは、吸血対象の万物を知り、万物を奪う事。
その行為を介し、鉄竜は姫の精神に入り込み、鉄竜の肉体と精神が完全に分離してしまったのだろう。
となれば、現実の鉄竜がどうなっているか、なんて想像が付く。
考えれば考えるほど、状況は悪い。けれど、鉄竜は微塵も不安感など無かった。しかし、後ろに居た姫は違った。
「鉄竜……大丈夫なのか?」
「……心配すんな、姫」
鉄竜はチラリ肩越しに姫を見つめ、安心させる為にニコリと笑った。
「あっちには俺と同じで、無鉄砲なバカがもう一人居る。どうせ、アイツの事だ。俺の言う事なんて聞きやしないで戦う奴が居る。だから、心配はいらねぇよ! そいつは――俺なんかよりもずっとずっと優秀だ」
『それは、あの女かしら? あの女に何が出来るの? 戦う力も持ってないのにねぇ~』
小馬鹿にするような言葉に鉄竜は鼻で笑った。
「ハッ! お前は何一つ理解してねぇよ。戦い方なんてのは何も腕っ節だけじゃねぇよ。戦い方ってのはいくらでもあるんだよ!! だから、てめぇはここで俺と遊んでりゃいいんだよ、エリザベート!!」
□
「それが、あの妖魔の正体です」
「大した観察力だ。数少ないヒントから真相を手繰り寄せる……君は魔術師になる才能を持っているよ」
愛は今回の件に関する妖魔の話を全てした。
それこそが、今回の一連の事件の真相だ。あの妖魔の正体。エリザベート・バートリーの悪霊が引き起こしたたった一人の少女の悲劇だ。
悪霊と化し、吸血鬼としての側面を持った狂気を持つ血の伯爵夫人が巻き起こした四百年引き起こされ続けた事件だ。愛がその真実に辿り着いたのは、闇との遭遇のときだ。
あの時、彼女は二つの人格で揺れ動いていた。それはきっと、エリザベートとしての彼女と姫としての彼女。その両者がまだせめぎ合い、しのぎを削っていたのだろう。
だからこそ、あれだけ存在そのものが不安定だった。それに、違和感はずっとあった。
時には凛々しく、時には強気で、時には酷く弱気で。個性と呼ぶにはあまりにも大きな変化。
そして、闇が現れ、彼女は大きく変わってしまった。きっと、あの時、エリザベートに完全に支配されてしまったのだろう。つまり、姫とエリザベートは同一人物であり、別人格を持つ人間という事になる。
その真実にたどり着き、愛は疑問点が浮かんだ。
「……獅子堂さんは全部を知ってる上で賭けを申し込んだって事ですよね?」
「ああ、そうさ。元々、あの妖魔はずっと僕が追っていた。そこに彼がやってきた。驚いたよ。彼を始めて見たとき。まさか、町に二人も吸血鬼が居る、という事実にね。それと同時に恐怖もしたよ」
正義はタバコを一つふかし、息を吐いた。
「もしも、吸血鬼二人が結託でもしたらどうしようとね。実際は全く違う結果になった。彼女が記憶を失っていた事さ。元々、エリザベート自体は魔術教団でも400年追い続けていた」
「そうなんですか?」
「ああ。しかし、その尾を掴む事が出来なかったんだ。400年もの間ね。その理由は恐らく、悪魔憑きという現象のせいだろうね」
「人格の入れ替わり……それによって、人間であり、妖魔でもあったから、ですか?」
「そういう事さ。僕たちが追えるのはあくまでも妖魔だけ。関係の無い一般人には手を出せない。エリザベートはそれを理解していたのだろう。だからこそ、人間としての己と妖魔としての自分を常に入れ替え続けていた。存在自体を不明瞭にする為にね」
正義の言葉を聞き、愛は眉間に皺を寄せた。
「魔術師たちは、関係の無い一般人には手を出せない。けれど、獅子堂さんはその流儀じゃない。おかしくないですか? 獅子堂さんは関係があるなら、殺すんですよね?」
「ああ、その通りさ。だから、僕は彼女を狙った。確証は無かった。けれど、彼女だろうという目算は400年あった。だから、僕が名乗り出て、彼女を狙ったんだ。そんな時に、君たちが現れた。驚いたよ。まさか、妖魔と妖魔が友情を育もうとしていた事実にね」
正義は意外そうに目を丸くし、新たなタバコを口に咥える。そして、火を点けながら、口を開いた。
「どうしてだい? どうして、彼は、いや、彼だけじゃない。君もそうさ。妖魔であろうとも、君はどうして彼女に手を差し伸べた? 妖魔だと、分かっていたんだろう? それが僕には理解できなかった」
正義はタバコの煙をふかしてから、更に言葉を続けた。
「何故、人類に仇なす妖魔を助けようとする?」
愛は正義の質問を頭の中で反芻する。
理解出来る。何故、人々を傷つける妖魔を助け、友情を育んだのか。そんな答えはたった一つ。
「私は――困っている人が居たら助けるからです」
「……その生き方はあまりにも歪んでいる、そうは思わないのかい? 人が人を助ける事には限界がある。人の力には限界があるんだ。君の言葉を聞く限りだと、まるですべてを救いたい――そう、正義の味方でありたい、そう聞こえてならない。僕はそれは不可能だと思う」
「ええ、不可能だと私も思います」
愛は正義の言葉に確かに頷いた。正義の味方。テレビの中にだけ存在するすべてを救うヒーロー。
そんなものこの世には居ない。それを愛は分かっている。
世界を見てもそうだ。今、こうして愛が話をしている間に、苦しんでいる人は世界中に居る。
貧富の差、紛争地域、飢餓。様々な要因が人々に蝕み、命を落とす。その全員を救うという考えはあまりにも傲慢で、行き過ぎた願いだ。
「私は全員が全員を救える。そうは思いません。勿論、獅子堂さんの意見だって私には良く分かります。人を守る事がどれだけ大変で、辛い事かなんて、テツくんが身を持って教えてくれる。いつだって、私を守る為に命を捨ててる。その背中を私は一番見てる。だから、守る事がどれだけ難しいかも分かってるつもりです。でも――」
それだけの現実は確かにある。けれど、それ以上に愛は――。
愛は真っ直ぐ正義を見つめ、堂々と口を開いた。
「救う事を諦める事だけはしたくないんです。私の王がそうしてくれるように、私の主が諦めないように、私がそれを諦めちゃいけないんです。彼は私を恩人って言うけれど、私だって彼は大恩人です。彼は私に命をくれた。一番やりたくない方法で私という命をこの世に残してくれた」
「私の王……まさか、君は……」
「…………」
愛は何も言わずに己の上半身を纏う衣服のボタンを一つ、また一つと外し、胸元を晒す。
左の胸元。そこに烙印はあった。ドクン、ドクンと脈動し、血脈のように流れるSのルーン文字。愛はそれを慈しむように、愛おしく撫で、口を開いた。
「私は一度死んでいます。けれど、この烙印が私の命を繋いでくれた。テツくんと契約を交わして、私は今ここに居る。そんな彼が人を救う事に一生懸命になってる。だったら、私が、その生き方を教えた私が、その生き方を否定しちゃいけないんです。正義の味方であろうとは思わない。ただ目の前で助けを求める人を助けたい。それが私たちが人を救う理由です。そして、絶対にそれを曲げるつもりもありません」
「…………そうか。それが君たちの流儀か……。なるほど、道理で彼からは強い意志を感じたんだ」
「獅子堂さん?」
正義はどこか悟ったかのような眼差しをしてから、タバコを一気に吸い、吸殻を地面に落した。
「君たちはどこか昔の僕に似ている。昔、僕が求めていた姿に。正義の味方を本気で志していた頃を」
「獅子堂さんはその道を目指していたんですか?」
「ああ。僕は妖魔に家族を殺されている。だから、妖魔に奪われる人たちの事は良く分かるんだ。そして、そんな人たちを二度と生み出したくなかった。だから、僕は魔術師を志した。それならば、皆を守れる正義の味方になれる、と信じて」
正義の言葉を愛はボタンを留めつつ、真剣に耳を傾ける。
「けれど、現実はそういかなかった。魔術師になったとしても、妖魔を殺す事は難しい。非常識の塊だ。彼らを根絶やしにする事なんて僕には出来ないし、妖魔を狩る事だって難しいほどだ。そのときに僕は悟ったよ。ただの人には多くの人が救えないんだって。だからこそ、僕は悪魔になろうと思った。人が多くの人を守る為には、人をやめる必要があった」
「だから、妖魔に絡んだ人も根こそぎ命を奪っていったんですか……」
「そうさ。勿論、中には君たちと似たような事言う人も居た。けれど、僕は大を生かす為に小を殺し続けた。それはきっと正しい……いや……正しいなんて答えなんて出やしないものだと僕自身も良く分かっている。けれど、多くの人を救うにはそれしか道は無い」
大を生かす為に小を殺す。か、大を生かす為に小を生かす。
このどちらかが正しいかなんてきっと、神にすら分からない。だからこそ、正義はその悪魔の道を選んだ。
それを責める事も、同情をする事も、愛はしない。だって、それが彼の選んだ道で正解なんて無いのだから。
愛が何も言わずに居ると、正義は更に言葉を続ける。
「君たちの理想と僕の理想。それはどちらも究極は同じだ。だからこそ、僕は君たちの考えを否定する。人を救う事なんて出来やしない。ましてや、妖魔なんてね」
「……そうかもしれない。けど、それは――私たちだけだったら、の話です」
「どういう意味かな? それは」
と、正義が言った瞬間。愛はすぐに膝を折り、地面に膝をぴったりと付け、深く、深く頭を下げた。
そう――彼女は目の前の敵に向かって、土下座をした。
「お願いします、テツくんに協力してください」
「なっ……君は恥というものを知らないのか? 敵に向けて頭を下げ、理念の違う人間に頭を下げるなんて」
「恥をかかずに、人が救えるんですか!?」
「なっ……」
愛は勢い良く頭を上げて、正義を真っ直ぐ睨み付けた。
「これは確かに愚かで惨めな行為だと思います。でも、私からすれば、たった一人の友達を救うために下げる頭ならいくらでもあります。泥水を啜ったって、頭を蹴られたって、何度も、何度も頭を下げます。だって、私には出来る事はそれだけだから!」
「君は……何故、そこまで彼の、友達の力になろうとする? 己が惨めだと分かっていて、何故、誰かを救う事にそこまで躍起になる?」
「助けたいからです!! 私にとって助けたいテツくんと姫ちゃんはかけがえの無い大切な友達だから! 例え、過ごした日数は少なくたって、たった一日だけだったとしても――友達は絶対に見捨てない!!」
その言葉を聴いた瞬間に、正義は目を見開き、愛を見つめる。
何故、そんなにも驚いているのか、理解できなかったが、愛はすぐに深く頭を下げた。
「私はテツくんみたいに戦える訳じゃない。姫ちゃんみたいに辛い気持ちを知っている訳じゃない! 獅子堂さんみたいに、長く生きて、世界を知っている訳じゃない!! でも、それでも、誰かを助けたいなら、私は――何だってやってやる! それが私――恋久保愛だから!!」
恋久保愛は普通の女の子だ。
鉄竜のように――類まれな身体能力と腕力、再生能力を持ち合わせない。
姫のように――辛く苦しい過去を持たず、本当の弱者の気持ちを分かってあげられない。
正義のように――妖魔と戦い続けて得た経験からなる考え方も持ち合わせていない。
ない、ない、ない。愛は何も持ち合わせていない。けれど、それでも愛にだって出来る事はある。
諦めたくないのだ。何も出来ない、何も持っていないからといって、何もしないのは、嫌だった。
だから、愛はもう一度深く、深く頭を下げた。
「だから――お願いします!! 私たちに力を貸してください!! 姫ちゃんを救うには――私だけじゃ絶対に出来ないんです!! 獅子堂さんの力が、必要なんです!!」
「……そうか。君は末恐ろしいよ。きっと、妖魔なんかよりもずっとね」
正義はゆっくりと愛に近づき、膝を折ってから、愛に手を差し出した。
「……今回だけは折れてあげるよ。その代わり、ちゃんと僕の目で見極める。もし、あの吸血鬼が賭けに負けたんだとするのなら、僕はためらわずに彼と君の命を奪う。それが絶対条件だ」
「あ……それで充分です。賭けは絶対にテツくんが負けるはずなんてありませんから」
愛は正義の手を握り、立ち上がり、すぐに口を開いた。
「でも、きっと状況は芳しくありません」
「何故、分かるのかな?」
「私はテツくんの眷属ですから、向こうから私の状況が分かるように――私でもかすかにテツくんの事は分かるんです。さっきからずっと、テツくんの様子がおかしいんです。だから、一つだけ。出来るか、出来ないか、言ってもらっても良いですか?」
愛はポケットからあるものを取り出し、それを正義に見せながら、身振り手振りで伝える。
それを聞いていた正義は目を見開いた。
「なるほどね……コレが僕の物だと君は分かっていたのか……。ああ、勿論。それは可能だ。しかし……そんなものが何の役に立つのかな?」
「必ず必要になります。もし、テツくんが倒れていたら……絶対に必要になるんです」
もし、エリザベートに鉄竜が敗北しているとするのなら、その可能性は一つだけ。それも一番最悪の可能性だ。万が一、それが起こっていたのなら、眷属である愛の力が確実に必要になる。
愛の真っ直ぐで真摯な眼差しを見たであろう正義は小さく頷いた。
「ああ、分かった。しかし、それを作るには君にも代償を払う必要がある。魔術というのは必ず代償が必要になるんだ。君に、それは払えるかな?」
「それなら、元より払うつもりです。それに――私の血じゃないと、意味がありませんから」
「……君の覚悟は確かに受け取ったよ。なら、遠慮なくやらせてもらうよ」
そう言うとすぐに正義は胸ポケットからサバイバルナイフを取り出し、愛目掛けて突き刺した――。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説

婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています

王女殿下の死神
三笠 陣
ファンタジー
アウルガシア大陸の大国、ロンダリア連合王国。
産業革命を成し遂げ、海洋発展の道を進もうとするこの王国には、一人の王女がいた。
エルフリード・ティリエル・ラ・ベイリオル、御年十六歳の少女は陸軍騎兵中尉として陸軍大学校に籍を置く「可憐」とはほど遠い、少年のような王族。
そんな彼女の隣には、いつも一人の少年の影があった。
リュシアン・エスタークス。
魔導貴族エスタークス伯爵家を継いだ魔術師にして、エルフリード王女と同い年の婚約者。
そんな彼に付けられた二つ名は「黒の死神」。
そんな王女の側に控える死神はある日、王都を揺るがす陰謀に遭遇する。
友好国の宰相が来訪している最中を狙って、王政打倒を唱える共和主義者たちが動き出したのである。
そして、その背後には海洋覇権を巡って対立するヴェナリア共和国の影があった。
魔術師と諜報官と反逆者が渦巻く王都で、リュシアンとエルフリードは駆ける。
(本作は、「小説家になろう」様にて掲載した同名の小説を加筆修正したものとなります。)

女神様、もっと早く祝福が欲しかった。
しゃーりん
ファンタジー
アルーサル王国には、女神様からの祝福を授かる者がいる。…ごくたまに。
今回、授かったのは6歳の王女であり、血縁の判定ができる魔力だった。
女神様は国に役立つ魔力を授けてくれる。ということは、血縁が乱れてるってことか?
一人の倫理観が異常な男によって、国中の貴族が混乱するお話です。ご注意下さい。
おにぎり屋さんの裏稼業 〜お祓い請け賜わります〜
瀬崎由美
キャラ文芸
高校2年生の八神美琴は、幼い頃に両親を亡くしてからは祖母の真知子と、親戚のツバキと一緒に暮らしている。
大学通りにある屋敷の片隅で営んでいるオニギリ屋さん『おにひめ』は、気まぐれの営業ながらも学生達に人気のお店だ。でも、真知子の本業は人ならざるものを対処するお祓い屋。霊やあやかしにまつわる相談に訪れて来る人が後を絶たない。
そんなある日、祓いの仕事から戻って来た真知子が家の中で倒れてしまう。加齢による力の限界を感じた祖母から、美琴は祓いの力の継承を受ける。と、美琴はこれまで視えなかったモノが視えるようになり……。
第8回キャラ文芸大賞にて奨励賞をいただきました。

転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?
サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。
*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる