愛欲の炎に抱かれて

藤波蕚

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運命のきみをこの腕に

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 カーテンの隙間から差し込む、爽やかな朝の日の光を浴びながら、腕の絡みついた引き締まった背が、動いている。背中から続く腰には足が巻き付いていて、腰は淫猥に動いていた。今、彼は愛しい人のナカを突き上げていた。ベッドの上、一人のアルファと一人のオメガが激しく愛の交合をしていた。腕の中で艶かしい喘ぎを漏らしているのは、最近結婚したばかりの可愛いオメガ。再婚禁止期間中でも彼のことを愛していたけれど、結婚してからは、彼の愛はさらに情熱を増していた。寝室に響くのはベッドが激しく軋む音と、艶っぽい喘ぎ声、荒い吐息。
「はあんっ、んんっ、はあっ、はあっ、んっ、んっ、んぅ、あ、かりさんっ、気持ちいいっ、すごいっ、ああっ、んっ、んっ、やあんっ」
「理人くん、可愛いよ……。もっと、もっとねだって、私を欲しいって言ってみなさい」
 喜熨斗の腰に巻き付いた足は天井に伸びて、彼の腰の動きに合わせてゆらゆらと揺れている。
「あっ、㬢さんっ、もっとっ、もっと、奥を、突いてえっ、いいっ、気持ちいいっ、あんっ、んっ、ふぅんっ、ふぅっ、ああんっ」
 ぱちゅぱちゅと腰を打ちつけるたびに、淫らな水音がする。
「ああ、いいよ……。もっと奥だね? 突いてあげる。ふっ、ふぅ、はあっ……」
「ふぅん、ふぅ、んっ、んっ、ああっ、いいっ、すごいっ、あかりさん、好きっ、もっとっ、あんっ、好きぃっ」
「俺も、君が好きだ……っ! 君のナカはいいっ……。はーっ、はーっ、はーっ、ふぅっ……」
 唇が触れ合って、惹かれるようにキスをする。角度を変えて、何度も吸い合う。喜熨斗の腰の打ちつけが激しくなる。
「んんんんっ! あっ、んむぅっ、んっ、んっ、んっ、んっ」
「はあっ、んっ、む、ふっ、は……、ん、ふ……」
 彼の背中にしがみつく理人の腕に力が入る。
「ああっ、イッちゃうっ、イクッ、イクッ、ねえ、あかりさんもっ、イこっ? 俺のナカにっ、出してっ、いっぱいっ、出してえっ!」
「ああ、出すよ……っ」
 理人のナカがきゅんきゅんと喜熨斗のモノを締め付けた。理人の体がビクンビクンと痙攣し、達した。
「ああああっ!」
「ううっ……!」
 喜熨斗が理人の上に倒れ込む。二人は互いの熱くなって汗ばんだ体を抱きしめ合った。注ぎ込まれる精液の温度に、体を震わせる理人の首筋にキスをした。それから数十分が経って、萎えたモノを引き抜く。理人のナカに縋るに絡みつかれて、名残惜しかったが時計を見ると七時、もう時間だった。理人の唇に軽くキスをして、喜熨斗は起き上がった。息の整わない理人を抱き上げて、一緒にバスルームへ。汗で濡れた体を洗い流し、理人は部屋着に、喜熨斗はスラックスにシャツと着替えて、ダイニングテーブルにはお手伝いさんが作った朝食が並んでいる。いただきます、と二人手を合わせて、食べ始める。
「やっぱり、横井さんの作るご飯美味しいね」
「俺は君の作ったご飯の方が好きですけどね」
 そうですか、と照れて俯く理人を嬉しく思いながら、見つめた。やっと自分のものに出来た、愛しくて可愛いオメガ。先日のヒートで彼の頸を噛み、痕を残した。名実ともに彼は喜熨斗のオメガになった。しばらくは二人きりの時間を過ごしたいと思っている。早く二人が初めてヒートを過ごした別邸に行って、心ゆくまで愛しい理人を堪能したい。しかし、仕事を片付けるまでの我慢だと自分に言い聞かせている。最近軌道に乗り始めた事業が忙しいのと、もう一つ片付けなければならない仕事があった。理人を人身御供にして会社を大きくしようとした春夏冬家と、理人と結婚しておきながら蔑ろにした蕗谷家を潰すこと。会社を買収して乗っ取ろうと思っている。旨みは大してないが、理人にした仕打ちを考えれば、妥当なところだろう。春夏冬家も蕗谷家も、会社を失って路頭に迷えばいい。このことは理人には伝えていない。喜熨斗が勝手にやることだ。機嫌良く朝食を終えて身支度を始めると、理人が近づいてきて、手伝う。喜熨斗のネクタイを締めている理人の顔が、妙に赤かったので喜熨斗はなんとはなしに訊ねた。
「理人くん、顔が赤いね」
「……その、㬢さんが、出したのが……、垂れてきて……」
 その場に押し倒したくなったが、グッと堪えて、キスするだけに留めた。
「今夜は覚悟しておいてください」
「今夜も、じゃないですか……」
 仕事を終えて家に帰ってきたら、一緒に食事して一緒に風呂に入って、それから熱くて濃密な愛の時間を過ごす。それが喜熨斗の一番の幸せだった。それを守るために喜熨斗はなんでもしようと、心に誓った。愛しいオメガを強く強く抱き締めた。
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みんなの感想(2件)

Madame gray-01
2023.09.15 Madame gray-01

エッチな感じが好きでした〜〜〜💕

昭彦は理人が喜熨斗と愛し合って感じ易くなった体が惜しくなったんでしょうかね?
自己中のアホですけどね…

理人と喜熨斗が幸せになって良かったです!

2023.09.15 藤波蕚

Madame gray-01 様

明彦はどっちかというと
自分しか知らないはずの理人が
他の誰かのモノになったのが気に食わなかった、
という感じです。
身勝手な嫉妬と独占欲ですね。
自分だって他に恋人が居るのに……という。

きのりひは運命なので……笑
幸せになる道しかありません💓💓💓

感想ありがとうございました🫶🏻🫶🏻🫶🏻

うてな

解除
うらのトトロ

一気に作品に引き込まれて良かったです。
ざまぁ部分も読みたかった。
ただ、登場人物の名前の読めなかったのが残念でした。

2023.09.15 藤波蕚

うらのトトロ様

読んで頂いてありがとうございます。
感想嬉しいです。

名前に関しては
難読の名前をあえて選んで書いたのですが
ふりがなを振っておけば良かったですね
読みづらくて申し訳ありません🙇🏻‍♀️🙇🏻‍♀️🙇🏻‍♀️🙇🏻‍♀️

初投稿なので
ふりがなをふるという発想というか
そういう機能があることを分かってませんでした

今日ふっておきますので
気になられたら読み返して見てください

うてな

解除

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