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王城にて10

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ウィリエルお姉ちゃんとの茶会は警戒していたほどやばいものでもなかった。
ただ庭に出てウィリエルお姉ちゃんの膝に座らされて、ウィリエルお姉ちゃんに差し出されたクッキーを食べるだけである。

 
「!ウィリエルお姉ちゃんこれ美味しい!」


「そうかそうか良かったのぉ、これも食べるかえ?」


もはや久しぶりに孫が遊びに来て嬉しいおばあちゃんの反応のようなものが返ってくる。
そしてそれを微妙な顔で見ているクレアお姉ちゃん。


「なんというか…複雑です。」

クレアお姉ちゃんがこれを止めて来ないあたり危険なことは無いだろうしまあいっか。

私は差し出されたクッキーを食べながらひたすら感想を言い、それを見て嬉しそうに微笑みながら新しいクッキーを勧めてくるウィリエルお姉ちゃん。
そしてそれをひたすら微妙な顔で見続けるクレアお姉ちゃん。


こんな空気でお茶会は終わった。

「…さて、お茶会も終わったことですし私達は騎士寮に帰還してもよろしいでしょうか。」

「まだ時間はあるだろう?
ミコよ今度は妾とボードゲームでもどうじゃ?」

ボードゲームかぁ、ちょっとくらいならいいかなぁと私が思っていると、

「…あなたの手口はわかってるんですよウィリエル様。
このままズルズル引き伸ばして騎士寮に帰れなくなる時間まで居させて王城に泊まらせたいのでしょう?」


ニヤリと笑ってウィリエルお姉ちゃんは一言。

「少し違うのぉ、泊まらせて共にご飯を食べ共にお風呂に入り共に寝ようとしていただけじゃ。」


「悪化してるじゃないですか!?」


「安心せよ、クレアも一緒じゃ。」


「どこも安心出来る要素がなかったんですけど!!?」


クレアお姉ちゃん…今まで苦労してそうだなぁと他人事のように思う。


「えっと、ウィリエルお姉ちゃん。
また来るから今日は帰ってもいい?
騎士のみんなにも会いたいし…ね?」



「ええそうしましょうミコ様!」

返事が早いよクレアお姉ちゃん!
気持ちがわかりやすいっ!



「…まあよしとしよう。
また来るという言質もとったしのぉ。」


ちょっと不満そうだが良しとされた。
…泊まってもいいんだけどクレアお姉ちゃんがあそこまで必死だと、流石にね。


「また来るといいミコ、クレア。
妾はいつでもそなた等を歓迎しよう。」


そう言って微笑む姿はさっきの暴走していた人とは思えないほど淑女にみえた。

「ミコ様、ウィリエル様に挨拶をしましょう。」

ボソッとクレアお姉ちゃんから耳打ちされる。

「またねっ、ウィリエルお姉ちゃん!」

幼女的行動も板に付いてきたなぁ…。


「…お持ち帰りしたいのう。」


「ダメです。」

1秒もない速度で止めが入っている。
私が居なかった頃の2人はこういうやり取りを沢山していたんだろうなぁ。

クレアお姉ちゃんと庭から王城へと入り、入り口の馬車へ向かおうとした途中、見知った人が私たちを待っているようにたっていた。


「…直人お兄ちゃん?」


「やあミコ、さっきぶりだねぇ。」
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