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今、クレアお姉ちゃんはなんて言った?


「ミコ様ご存知ないですか?勇者の話。」


黒髪黒目が勇者。
じゃあ私は?

姿が変わっているけれど、私だって黒髪黒目の人間だ。


「勇者は名前だけしか分からない、かな。」


なんだろう、これは私に関わるすごく大事な話な気がする。


「勇者とは異世界の人間です。
魔王を封印するために他の世界から1人、神様が送ってくれるのだとか。
今までの勇者は全員、その世界で死んだ人間みたいですけれど。」

まっずい、私が勇者の線が濃くなってきた。
魔王を、封印する。
…え?この幼女ボディーで?



「勇者ってなにかすごい力があったりするの?」


チート的なやつってどうなんだろう。


「勇者の力は特殊です。
精霊の魔法のように特殊です。
どんな力を使えるかはその勇者の保持している物によります。
過去の勇者では、大剣を持った勇者だとどんなものでも斬ろうと思えば簡単に斬れてしまったり、メリケンサック?を持った勇者が拳で魔王を封印したりですかね。」


なんでこの世界にメリケンサックなんて言葉が存在してるんだよっ!
怖いよ!武道派すぎるでしょ勇者!


「後大きな特徴は魔王を封印できることですね。」



「魔王を、封印?」


倒さないの?


「はい、封印です。
魔王はですね、我々の攻撃が一切効かないんですよ。
魔王以外の魔物や魔族なら効くんですがねぇ。」


え?普通にヤバくない?
魔王に攻め込まれたら終わりでは?


「あっ、魔王は絶対に魔王の城から出てこないので安心してください。
我々が魔王の城へ向かわない限り、魔王と戦闘に陥ることはまずありませんから。」

私の表情を見て察したのか慌ててクレアお姉ちゃんが修正する。


「あれ?じゃあなんで魔王を封印しようとしてるの?
お互いに関わらなければいい話じゃないの?」


「…お互いに関わらずにいれたら、良かったんですけどねぇ…。
魔王は魔物や魔族たちを生み出し、指示を出して人の村や街を襲っている張本人なんですよ。
だから封印しないと…」

「…魔物たちを生み出し指示を出している魔王がいる限り、永久的にこちらを襲ってくる。」


「そういうことです。」


「じゃあ、勇者でも魔王を倒せないの?」


「まず無理と言われています。
勇者の特殊な魔法も魔王には一切効きませんから。
唯一効くのが勇者の封印のみです。」


ほえぇ、封印。
…私にそんなすごい力があるのかな。

というか、

「クレアお姉ちゃん、なんか…詳しくない?」


「封印はあくまで一時的なもの、魔王は200年周期くらいで封印がとけてまた人を襲ってくるんですよ。
だからこそ、ご先祖さま達が未来の私達のためにたくさんの文献を遺してくれたんです。」

この世界の人にはこれが常識みたいだ。
…これ、クレアお姉ちゃんが詳しいと言うより私が知らなすぎるだけみたい。


「じゃあ、魔王は今封印がとかれている状態なんだね。」

だから私がこのタイミングでこの世界に来た、のかな。

「はい、とかれてます。
ですが、ミコ様心配することはありませんよ。

我が国のとある森林の中で、勇者様と思われる黒髪黒目のを発見し、現在保護しておりますから。」


…うーん、妙だよねこれ?



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メリケンサックという言葉が浸透しているのは、当時の勇者が片っ端から魔族をぶん殴っていた事が文献に書かれていたからとかいないとか…。
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