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出会い編
コミュ障魔女の買い溜め
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ギルドからでた私はお店がたくさんある方へと向かう。
また一週間家に籠るため、その期間の食材を買い溜めするのだ。
(あっ、今日は野菜が安い。少し多めに買って…あとお肉と魚はあんまり期限がもたないから少なめに、それと…。)
3年も続けていれば、買い物もだいぶ慣れてきた。店員さんとの会話は慣れないけれど。
「あら、魔女のお嬢ちゃんかいね。いつもたくさん買ってくれて助かるよ。」
この優しそうなおばあさんは、いつも食材を買っているお店の店主、パウラさんだ。
おばあちゃんが亡くなってから何かと私を気にかけてくれて、たまに商品を安くしてくれたりする、優しい人。
「いえ、お世話になって助かっているのは私の方、なので。」
「いいんだよ。子供は大人に甘えてなんぼってもんだからね。」
「…。」
(私、背が小さくても成人してるのに…。子供…。)
歳の割に成長が遅いことを少し、いやかなり気にしていた私は、ダメージを受けながら買い物を済ませた。
その時、パウラさんの旦那さんが帰ってきた。
「おお、魔女さん来てたのかい。」
畑仕事から帰ってきたみたいで、作業服を着ている。
性格はパウラさんに似ていてふわふわした優しい人だ。
「もう帰りますが、お邪魔してます。」
ぺこりとお辞儀をしておく。
「そうなのかい。
...そういえば、今は瘴気が酷いんだってね。魔女さんも気をつけるんだよ。」
「ああ、王太子様が浄化にくるん、でしたっけ。」
さっきリーシェさんと話した話だろう。
「そうそう、その話だ。王太子様だけでなく英雄様も来るって話だけどな。」
「英雄、様?」
「そう、英雄クロード様だよ。」
どうやら、王太子様だけでなく英雄様も来るらしい。
英雄、クロード様は、龍討伐数は過去最多の人と呼ばれているほど強く、ずるい手を嫌う、まっすぐな人物と言われている。
その性格のせいで、過去に賄賂を渡されようとしても絶対に受けとらず、それを王に告発して素晴らしい忠臣と言われたとか何とか。
まあとにかくすごい人である。
「...街が、賑やかになりそう、ですね。」
なんにせよ、街が活気づくのはいいことだろう。
瘴気も解決しそうだし。
「そうだねぇ。っと、長話をしてすまないね。今日も沢山買ってくれてありがとうね。また来るんだよ。」
「…はい。」
身長のダメージを少し引きづりながら、私は外を出た。
そしてこの時
(英雄様に王太子様...私には関係の無い話だなぁ。)
と思っていた私を、1週間後の私はぶん殴ってやりたい気持ちでいっぱいだった。
また一週間家に籠るため、その期間の食材を買い溜めするのだ。
(あっ、今日は野菜が安い。少し多めに買って…あとお肉と魚はあんまり期限がもたないから少なめに、それと…。)
3年も続けていれば、買い物もだいぶ慣れてきた。店員さんとの会話は慣れないけれど。
「あら、魔女のお嬢ちゃんかいね。いつもたくさん買ってくれて助かるよ。」
この優しそうなおばあさんは、いつも食材を買っているお店の店主、パウラさんだ。
おばあちゃんが亡くなってから何かと私を気にかけてくれて、たまに商品を安くしてくれたりする、優しい人。
「いえ、お世話になって助かっているのは私の方、なので。」
「いいんだよ。子供は大人に甘えてなんぼってもんだからね。」
「…。」
(私、背が小さくても成人してるのに…。子供…。)
歳の割に成長が遅いことを少し、いやかなり気にしていた私は、ダメージを受けながら買い物を済ませた。
その時、パウラさんの旦那さんが帰ってきた。
「おお、魔女さん来てたのかい。」
畑仕事から帰ってきたみたいで、作業服を着ている。
性格はパウラさんに似ていてふわふわした優しい人だ。
「もう帰りますが、お邪魔してます。」
ぺこりとお辞儀をしておく。
「そうなのかい。
...そういえば、今は瘴気が酷いんだってね。魔女さんも気をつけるんだよ。」
「ああ、王太子様が浄化にくるん、でしたっけ。」
さっきリーシェさんと話した話だろう。
「そうそう、その話だ。王太子様だけでなく英雄様も来るって話だけどな。」
「英雄、様?」
「そう、英雄クロード様だよ。」
どうやら、王太子様だけでなく英雄様も来るらしい。
英雄、クロード様は、龍討伐数は過去最多の人と呼ばれているほど強く、ずるい手を嫌う、まっすぐな人物と言われている。
その性格のせいで、過去に賄賂を渡されようとしても絶対に受けとらず、それを王に告発して素晴らしい忠臣と言われたとか何とか。
まあとにかくすごい人である。
「...街が、賑やかになりそう、ですね。」
なんにせよ、街が活気づくのはいいことだろう。
瘴気も解決しそうだし。
「そうだねぇ。っと、長話をしてすまないね。今日も沢山買ってくれてありがとうね。また来るんだよ。」
「…はい。」
身長のダメージを少し引きづりながら、私は外を出た。
そしてこの時
(英雄様に王太子様...私には関係の無い話だなぁ。)
と思っていた私を、1週間後の私はぶん殴ってやりたい気持ちでいっぱいだった。
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