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【1】きっかけは最初の街から。
06)採取結果と魔法収納の話。
しおりを挟む「おかえりなさい!お待ちしてましたよー!たくさん採取できましたか?」
ギルドの扉を開けるとフューリが待ち構えていた。ツェリディアが魔法収納から次々と取り出していく。薬草が大カゴ×2、袋×6、更に別の袋には日照草、月影草が。星夜草と月夜見草は対象外なので出してはいない。
「ちょ、どれだけ取ってきたんですかっ!しかも質がいいんですけど!!」
「アリオットくんが本当に相性良かったのよ。おかげで加護がついたわ」
「次々と見つかったのでカゴいっぱいになりました!」
会話のニュアンスが微妙にズレている気がする。これは説明するより見せた方が良さそうだ。
「アリオットくん、ギルドカード出して。フューリ、すぐにステータス情報更新してあげて。きっと面白いのが見られると思うよ」
ギルドカードの更新をしてもらっている間に査定も行う。最後に倒したゴブリンの素材も買い取って貰う為だ。
「薬草はこっちで道具屋の女将さんの所へ持って行くよ。離れられないでしょ?」
「助かります。ゴブリンの査定は明日でもいいですか?ザクセンさんが来るはずなので」
「了解、なら全部アリオットくんにつけておいて」
かしこまりました!と預かった素材をギルドの魔法収納に収める。魔法収納は時間停滞している為に長期の保管も問題はない。中で腐ってたりしたら大問題だ。
そもそもこの魔法収納を何の道具無しに使えるのはごく一部の人物だけだろう。魔道具には鞄型だったりボックス型だったりと様々な魔法収納道具があるので、それを利用する人の方が圧倒的だ。更に携帯可能な鞄型は高価な為に入手困難だったりする。ある意味冒険者にとっては憧れの道具なのである。
それをこの人は何の魔道具無し魔法収納を使っている。どういうことなんだ。装飾品にそれらしいスキルが付与されているのか。……にしては雰囲気が違うし。空間魔法の応用と話していたが、ホントに魔法だけであれを……?
魔法収納のやりとりをじっと凝視していたら気づいたらしい。
「さっきから私の魔法収納が摩訶不思議信じられないって顔してるねー」
「そりゃそうですよ!個人で魔道具無しで使ってる人、初めてですし!」
学校にもあったが、あれはボックス型と倉庫型だ。それぞれ容量が違う。モンスター素材や魔石・魔道具はボックス型に、倉庫型の方は入学式・卒業式などで使用する装飾品だったり、特殊な催事・儀式に使用する道具などがしまわれていたはず。古代から引き継がれてきた様な貴重な道具も多く、封印処理も施され、厳重に管理されていた。
ツェリディアのはどれだけの容量があるのか知らないが、いつ見ても不思議な光景だ。
「いやぁ、私ね生まれつき魔力がおかしいのよ」
「は?」
ツェリディアが指輪を1つ外しテーブルに置くと、スっとこちらに差し出してきた。
「その指輪、爪先でちょんっと触れてみて」
軽く、軽ーーくよ??と念には念を入れて忠告される。
恐る恐る指を伸ばす。触れた瞬間にグラリと力が抜ける。身の内から何か吸い込まれる気がして瞬時に指を離す。
「な!!」
「私の装飾品、全て魔力を抑える為の物でね。爪先で触れてそれなのよ」
指輪を嵌め直しているが、彼女はものともしない。
「馬鹿みたいな魔力でね、ついこの間まではこんなに装飾品つけなくても抑える方法があったんだけど、とある任務の際に切られてしまったの。私が待っている指令はそれの解決に関する事」
腰に下げた剣をさすっている。先程の戦闘には使っていなかったが、持ち歩く程に大事な物なのだろう。
それに膨大な魔力持ち故にか、物心ついた頃には人の魔法をしてみたり、身体強化してみたり、更には魔道具の仕組みを理解してやってみたら出来た、という。言い方が軽いけど、とんでもないことをしていると思う。
結局その指令は今のところまだ来ていない様だ。
「えーっと、そんな重要なこと、僕に話して良かったんですか?」
「うーん、まぁ機密ってわけでもないし?」
私が信頼してるから問題ないでしょ、と笑っている。いや、それでいいのかこの人。……というかますます謎なんだが。
ちなみにお兄さんがいるそうで、そちらはそちらで生まれつき馬鹿みたいな筋力の持ち主だという。一体どういう家系なの。
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