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チャアは起き上がってホワイトボードの前で、教師がやるように手をヒラヒラさせた。
「あのなあ、そんくらいの値上がりでガタピシするような会社ならとっくに潰れてら。テディの家業は4代続いてんだろ。輸送業は原油価格が高下するたびに儲けを出す仕組みを作ってんだよ。ゲームで言うなら経験値を上げてるのさ。で、そのノウハウを後継に渡して経営を続けてる。後継者はレベルアップしたアカウントからゲームを始められるのと同じだ。だから素人が叶わねーんだよ」
「テディが嘘を言うとは思えない」
「ははん。奴を問いつめてみな。多分あいつはこう言うぞ。『嘘は言ってない。原油が値上がりしたせいで友人が減ったのは本当だ』。お前な、原油が値上がりすると何が起こるか知らないのか?」
「輸送費が上がるから・・・」
「物価が上がる。それで困るのは、誰だ?収入が一定額の人間だろ。収入が減るに等しいからな。最たるのが学生ローンやら奨学金で暮らしている学生だ。特に自立したばかりの学生はインフレに対して経験値が0だ。で、学生はどうするか?金のかかるパーティは控えてバイトに励む。結果、テディの遊び相手が減る」
「・・・・それはそれでおもしろいね。水面の波を追っていたら、同じ震源から派生した水面下の波にいきなり襲われるようなものかな」
「そうだな。物価が上がる原因は運送業の仕業でもあるから、その恩恵に与ってぬくぬく暮らしてるボンボンは悪口の一つも言われるだろうし、家業が上手くいってない時に、友人までに誘いを断られたらこの世の終わりみたいに感じるかもしれない。だが、それはもし、テディがなにも知らなければだ。あいつには年上の兄弟がいるよな。兄ちゃんが先に同じ経験をしたのをテディは知ってるはずだ。今更友人が減ったのを動揺したり悲しんだりするわけねーんだよ」
「・・・・・なるほどね。確かにテディは、嘘は言ってない。原油価格が上がって友人が減ったっていう事実を述べただけだ。それに対して僕が勝手にテディに同情した」
「バカめ。それがテディの思惑なんだよ。つーか、お前に頼み事をして断られたから、同情をひくっていう奥の手をだしたんだろ。原油の話を出す前になんか頼まれなかったか?」
「CEOになってくれって言われて断った」
「な。それがテディのやり方なんだよ。大体な、もしテディの親の会社が破産したとしても、テディに友人がいなくなるわけねえだろ。あいつはコールドリーディングの天才だ。いつでもどこでも誰とでも友人になれる」
「あのなあ、そんくらいの値上がりでガタピシするような会社ならとっくに潰れてら。テディの家業は4代続いてんだろ。輸送業は原油価格が高下するたびに儲けを出す仕組みを作ってんだよ。ゲームで言うなら経験値を上げてるのさ。で、そのノウハウを後継に渡して経営を続けてる。後継者はレベルアップしたアカウントからゲームを始められるのと同じだ。だから素人が叶わねーんだよ」
「テディが嘘を言うとは思えない」
「ははん。奴を問いつめてみな。多分あいつはこう言うぞ。『嘘は言ってない。原油が値上がりしたせいで友人が減ったのは本当だ』。お前な、原油が値上がりすると何が起こるか知らないのか?」
「輸送費が上がるから・・・」
「物価が上がる。それで困るのは、誰だ?収入が一定額の人間だろ。収入が減るに等しいからな。最たるのが学生ローンやら奨学金で暮らしている学生だ。特に自立したばかりの学生はインフレに対して経験値が0だ。で、学生はどうするか?金のかかるパーティは控えてバイトに励む。結果、テディの遊び相手が減る」
「・・・・それはそれでおもしろいね。水面の波を追っていたら、同じ震源から派生した水面下の波にいきなり襲われるようなものかな」
「そうだな。物価が上がる原因は運送業の仕業でもあるから、その恩恵に与ってぬくぬく暮らしてるボンボンは悪口の一つも言われるだろうし、家業が上手くいってない時に、友人までに誘いを断られたらこの世の終わりみたいに感じるかもしれない。だが、それはもし、テディがなにも知らなければだ。あいつには年上の兄弟がいるよな。兄ちゃんが先に同じ経験をしたのをテディは知ってるはずだ。今更友人が減ったのを動揺したり悲しんだりするわけねーんだよ」
「・・・・・なるほどね。確かにテディは、嘘は言ってない。原油価格が上がって友人が減ったっていう事実を述べただけだ。それに対して僕が勝手にテディに同情した」
「バカめ。それがテディの思惑なんだよ。つーか、お前に頼み事をして断られたから、同情をひくっていう奥の手をだしたんだろ。原油の話を出す前になんか頼まれなかったか?」
「CEOになってくれって言われて断った」
「な。それがテディのやり方なんだよ。大体な、もしテディの親の会社が破産したとしても、テディに友人がいなくなるわけねえだろ。あいつはコールドリーディングの天才だ。いつでもどこでも誰とでも友人になれる」
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