聖女追放ラノベの馬鹿王子に転生しましたが…あれ、問題ないんじゃね?

越路遼介

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第2話 馬鹿王子レンドル

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「なぜ俺は…ここにいるんだ!?」

 知らない天井だった。左頬がひどく痛む。殴られたのか?

「この馬鹿者がぁ!」
「えっ?」
 ベッドで寝ていたようだが…何だ、この若僧は?某国民的RPGの王様みたいな服着て。
 生意気に髭など「ごぶぇっ」
 寝ていたらしいが襟首掴まれて強引に起こされた挙句に今度は右頬を殴られた。左利きか若いの。

「なんて馬鹿なことをした!聖女を、聖女様を追放するとはあっ!」
「……はい?」
「お前なんか、お前なんか生むのではなかった!この愚か者!」
「…………」

 おい、誰か説明してくれ。この某国民的RPGの王様と王妃様風体の若僧と小娘は何を言っているのか?
 周囲を見渡すと…これまた某国民的RPGのメイドと大臣らしきものが数名。
 みんな私をゴキブリみたいに見つめているけれど…聖女?

 待て待て、まだ慌てるような時間じゃない…。

 ええと、俺は昨日『聖女の私を追放するってかぁ!だったらこんな国見捨ててやる。滅んでしまえや!』の最終話を読み終えて、初めて作者に感想を書いて送ったな…。馬鹿王子へのざまぁ、清々しました!と。
 それで今日の朝、女房の和美が作った卵焼きとちくわの甘露煮に舌鼓、診察に入り、午前と午後、夕方に分娩…。

 夕食後に『聖女の私を~』を晩酌しながら第一話から読んでから寝て……あっ、あの胸の痛み…。

 あああ~心不全だわ!

 なんてこったい、一度くらい浮気したかったな…。俺ってば女は女房しか知らないんだ。
 五十五の若さで死んだか…。子供たちにクリニック任せたあとは和美と温泉にでもと思っていたのにな…。


「聞いているのかレンドル!」
 ああ?こっちは感傷に浸っているんだ。黙ってろ若僧。

 ……えっ、レンドルって…。おいおい、私は後藤茂一だ。野暮ったい名前だと子供のころは思ったが、長じてキラキラネームでなくてよかったと思ったよ。レンドルって、どんなキラキラ…。レンドル…。え?レンドル……?


「あの、すいません。鏡があったら…」
「ああ、よく見ろ!その目も当てられない馬鹿面を!」
 失敬な、私は日本一、いやさ世界一の産婦人科医だぞ。気功って、ズル使っていたけどな!


「……誰だ、この無駄に顔だけが整っている薄っぺらなガキは?」
「「お前だよっ!!」」
 レンドルの父と母なのか、豪奢な着物を着ている若僧と小娘が怒鳴った。


 いやいやいや待て待て待て、これはもう慌てなければならない時間だ。
 今まで聞いた話によると、自分の名前がレンドル、父がドラグナ、母がロネット、宰相がトルステン、国の名前がクレシェンド王国と云うことが判明した。
 さらに聖女の名前はアメリア、馬鹿王子を篭絡したのちに雲隠れした女がコーネリアと分かった。

「…………」
 こんなことがありうるのか?
 ここって、もしかして『聖女の私を追放するってかぁ!だったらこんな国見捨ててやる。滅んでしまえや!』の世界ですか?

 …はははは…
 …これ詰んだわ。
 せめて茶番断罪の前に転生しろよっ!もうダメじゃねえかぁぁぁ!


「この馬鹿を牢に放り込んでおけっ!」
「ちょっ、ちょっと待てよ親父!慌てるな!」
「あ?」
「「…………」」
 この時は自分も気づかなかったが室内にいた者は私が父たる王を『親父』と呼んでびっくりしていた。
「ここはだな、俺がアメリアの靴を舐めてでも聖女に復帰してもらうんだよ!給金は今までの倍で!とにかく謝りまくって復帰してもらうんだよ!俺のこと牢に入れている暇などある「ぷげぇ!」」
 また殴られた。痛い…。文明未発達の世界だから、国王とはいえゲンコツは強いってわけね。
「牢に連れていけ」


「ええいっ、話を聞けと云うんだ!」
 ああもう、じれったい。俺は自分の体を押さえていた、やたらデカい男の胸倉を掴み、足をひっかけて投げ飛ばした。
 ふっふっふっ、実は私、気功鍛錬の一環として幼少のころから柔道もやっていましてね。五段の腕前なのです。高校時代は全国大会で個人優勝もしていますよ!
 嫁の和美は女三四郎と呼ばれた女傑、自分より強い男でなければ嫁にならないと豪語する彼女を伴侶とするため苦労したんだから。五十五の中年男とはいえ、そんじょそこらの若い奴には負けませんよ。
 同じく飛びかかってきた女騎士も投げ落としました。どうやらこの世界では未知の武芸のようですね。驚いています。

「おのれ、歯向かうか!全員で取り押さえ……」
「話を聞けというのに!」
 イライラした俺は父王に一喝、すると自分が味わったことのない不思議なエネルギーが体から発せられた。何か威圧のような効果があり、みな俺を見て戸惑うやら怯えるやら。
「なっ、なんだ、レンドル…。お前、いつの間にこんな魔力を?」
「は?」

 魔力?それはおかしい。原作でレンドルは魔力を持っていない使えない王子だったのに。
 しかし、言われてみれば体の奥底に何か感じるぞ。どんどん湧き出てくる感じだ。
 後藤茂一として使っていた、あのエネルギーがさらに増幅しているというか…
 ……!そうかっ、俺自身が元から持っていた『気功』が、この世界では魔力なのか。

 それなら
「おい、そこの怪しげな坊主」
「え?」
 俺は父王ドラグナと共にいた怪しげな神官に声をかけた。
「お前だよ。マルトー教の信徒だろ。確か名前はノドスだったか?」
 人相が悪いが、マルトー教と王室を結ぶ重要な役を担っているキャラクターだったので、名前は察せられた。

「…殿下に愚僧程度の名前を憶えていてもらったのは光栄ですが怪しげな坊主とは、いささか心外にござ…」
「確認するぞ。この国の結界は五か所、五芒星の形でマルトー教の結界水晶が配置されており、中心地のこの王城から地脈で結ばれている。聖女アメリアは城内地下にある魔導水晶に魔力を放ち、送られた魔力をエネルギーとして、五か所の結界水晶が結界を生じさせていた。そうだな?」
「…いかにも」
「案内しろ」
「えっ?」
「アメリアがおらずとも、結界だけでも、この国に張ることが出来れば文句あるまい」
「見苦しい振る舞いはよせレンドル!」
「ああもう、うるさいな。出来なかったら、その時は処刑すればいいでしょう」
「なっ、なに?」
「連れていけ、ノドス」
「はっ、ははっ!」
「まっ、待て!お前は本当にレンドルなのか?不思議な体術、そして膨大な魔力をいつの間に!」
「父上、私も所詮、殴られなきゃ分からなかった愚か者ということですよ」
 そう『決まった!』と云うセリフを言って俺は部屋から出て城内地下にある魔導水晶の元へと歩いた。

「…………」
「どうなっているの、貴方…」
「分からん…。しかし、本当に出来るのか…。妃よ、我らも行ってみよう」
「はい」


 地下に入ると、あまり光も差さずに肌寒い。奥に行くとさらにだ。
 ここでアメリアは一人魔力を放ち、結界を張っていたのか。
 最奥の部屋に魔導水晶があった。父が言う。
「レンドル、本当に出来るのか?」
「やってみなければ分かりませんよ。それに、こんな重要な仕事を二十歳にも満たない少女一人にやらせるなんて、この国の男はどんだけ腑抜けなのか」
 父とノドスの顔に怒気が満ちた。どうやら、今の言葉はこの国の男には禁句のようだ。
 少女に助けられているということ。無駄にプライドだけは高い男には認められないことなのだろう。

「それほどまでに言うならやってみよ!出来なければ即座に廃嫡のうえ処刑してくれる!」
「ご随意に」
 そう、これは夢だ。俺が馬鹿王子レンドルに転生するなんて。睡眠中に高熱でも出したか?妙にリアルな夢だ。
 たとえ現実だとしても、俺は後藤茂一として堂々と生きた。元からオマケみたいな人生に悔いなどあるものか。

 そして俺は魔導水晶に触れた。水晶にはアメリアの指紋が残っていた。毎日苦労して魔力を放出していたろうに、あのレンドルの仕打ち。許せなかったろうな…。
(思えば初めて『気功』をフルパワーで使うかもしれないな…。アニメみたいに組んだ両手からビーム撃てたわけじゃないしな) 

 魔導水晶に俺の『気功』が吸い込まれていく。すごい勢いで吸われていくが生まれてから五十五年、練りに練ってきた『気功』の技。軽いものだ。

「おおおおお…!」
 父母、そして神官たちも驚いている。
 魔導水晶の横にあるモニターにはっきりと映った。国全体に結界が張られていく様子が。
 部屋の外から走ってくる足音が。マルトー教の信徒が報告に来た。

「申し上げますっ!国全体に結界が張られました!」
「レンドル、おぬし…!」
 父王は見事なくらい手のひら返しだ。母も喜んでいる。調子のいいことだ。
「こんなものか…。ノドス」
「はっ」
「アメリアは何日に何度、この結界を張るための魔力を放っていたのだ?」
「はい、三日に一度でございます。しかし殿下の魔力はアメリア嬢を凌駕しております。これほどの結界だと七日に一度で十分かと」
「そうか、今後の私の予定にそれを組み入れておくように」
「承知しました。新たな聖女…いやいや聖人レンドル様!」
「「聖人レンドル様!」」

「ようやったレンドル!さっきはすまなかったな。まさか、おぬしにこれほどの魔力が眠っていようとは!」
「ははは、それもアメリアと父上に殴り飛ばされたおかげですよ。殴られなければ分からない愚か者でしたゆえ」
「レンドル…!貴方を生んでよかったわ!」
 俺も実年齢五十五、調子のいいこの若い夫婦の手のひら返しにつまらんことは思うまい。

「父上、アメリアは自由にさせてあげてください。私の婚約者、そして聖女としての務め、窮屈だったと思います。今後はそんなものに縛られず生きてほしいのです」
「優しいのですね、レンドルは…。分かりました。そのようにいたしましょう。ねえ、貴方」
「そうじゃな。追跡隊はすぐに引き揚げさせる。しかし我が息子が聖人であったとは!わはははは!」

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 旅に出て間もないアメリア、後ろを振り返ってみると自分の結界より高密度なものが張られたことに驚いた。
「どっ、どういうこと、あの結界は!?」


 同じく、レンドルを篭絡したコーネリア、城下の宿に潜んでいたが張られた結界を見て唖然としている。
「なっ、なにこれ…!?こんな結界を張れる者がまだいたの?これじゃモンスターに蹂躙させて、この国を奪うというアタシら帝国の野望がパアじゃないの!」
 と、宿の窓からドーム型に張られた結界を見上げていると

「シューレ帝国の間諜コーネリア、いやナディア・コンシャットだな」
「…………!?」
 宿は兵に囲まれて、屈強な騎士がコーネリア、いやナディアの部屋に押し込んできた。
「スパイ容疑で逮捕する」
「くっ…!」
 どうして自分がスパイだと、そして本名と居場所まで分かったのだ。ナディアは訳が分からなかった。


 城中にいるレンドルの元に報告が入った。テラスに立ち、城下を見つめるレンドルに
「殿下の言う通りでした。先に殿下を篭絡した帝国の間諜ナディアが城下の宿に潜んでおり、先ほど逮捕したとのこと」
「そうか」
 反則的なやり方だとレンドルは思う。物語の情報で知っていたからだ。
 冷戦状態である隣国シューレ帝国、侵攻するには聖女が邪魔だ。
 その聖女を王国の手で放逐させて手に入れる。王国はモンスターたちに攻め込まれて国力衰退、そして攻め滅ぼすという絵図をレンドルは知っており、そして帝国はそれを実現させている。レンドルはその前に国民たちにつるし上げられて絞首刑だ。

「すまんなぁ、夢じゃないと分かったいま、そんな最期は嫌なんだよ…」
「殿下?」
「いや、こちらの話だ。この国の法では、女スパイは囚人たちのもとに放り込まれて凌辱されたうえ死であったな」
「はっ」
「それでは帝国に余計な怨みを買う。戦の発端になりかねない。実害は無かったのだから、その者の死を尊重せんと自裁させ、その亡骸を帝国に送り届けよ」
「承知しました」

 ふうっ、とレンドルはため息をついて、再びテラスから城下を見た。
「アメリア、これで君は魔女にならずに済む。仕返しなんて考えず、平和に暮らしてくれるといいんだがな…」

 追放された聖女には決まって、後を追いかけてくる騎士や隣国の王子が颯爽と現れてヒロインたる聖女を助ける、という展開があるものだ。聖女はそのヒーローの庇護を受けて、かつて自分が聖女をしていた国の滅亡を見ると云うのが『聖女追放』ラノベの流れだが、アメリアにはそんな都合のいいヒーローは登場しない。

 これが人気の要因にもなった。取ってつけたようなイケメンヒーローの助けなど必要としない追放後のアメリア。聖女から魔女になって、モンスターの群れを王国に襲わせるべく差配し、かつての母国の滅亡を見て高笑いするそんな女。
 これが読者の爽快感となって高い評価を受けたのだ。
 しかし、当事者となったレンドル、すなわち後藤茂一からすれば受け入れられる話ではない。


 しばらくすると間諜のナディアが自裁したという知らせが届いた。
 これで物語から大きく外れることになる。物語のラスト、ナディアとアメリアは再会し、馬鹿王子のことをあざ笑いながらティータイムだ。

「しかし、俺が物語の改変をするのはここまでだ。あとは、このオマケの人生、せいぜい楽しく過ごさせてもらおうかな」
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