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第二十六話 篠永和樹

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シゲさんと分かれ、これで異世界セイラシアに一人きりになった俺。
寂しいとは思うが、いずれは来る別れと思っていた。あの世の嫁さんと再会できればいいなと心から思う。

シゲさんとの別れが訪れたのなら試してみようと思うことが一つあった。
俺は始まりの草原の地にいま立っている。仮説を立てた。ユズリィとリナチを送り届けた令和日本とセイラシアを繋げたゲート。魔王の剣技『次元一閃』で作ることが出来た。
俺はそのゲートに弾かれてしまうため行き来することは出来ないが、それは体内に魔王ゼインという異界の者が存在するからではないかと思った。

三島の自宅に繋がっていたこの場所。同じく次元一閃で戻れるのではないか、再び行き来できるのではないかと考えたのだ。戻ったところで何をするのか分からないし、梨穂がいない令和日本に未練などないが、この時は好奇心が勝った。何も起こらなくても別にそれでもいい。

俺は収納魔法から『魔王の剣』を取り出し、抜いて振り上げた。
「『次元一閃!』」
空間が切れた。その向こうに見えるのは、かつての三島の自宅。
「思った通りだ。これを固定化し先の合言葉で普通に行き来できるよう魔法で!」
切れ目に魔法陣を組んで合言葉と時間が経過しないよう設定、ゲートを構築する。
「出来た…」
三島の自宅の庭へと。そして物置の扉を閉めて『魔王ゼイン』というとドアの向こうは先の草原。上手く行った…。

「しかし、どうしたものだろう」
今の俺は五十五歳の篠永俊樹ではなく、十八歳のトシだ。もう篠永俊樹は死んでいるのだから。
「時間が経過していないか、確認しよう」
急ぎ家の中に入り、時計を確認してテレビの電源も入れた。
「ううむ…。俺が首を吊ってからそんなに時間は経っていないか」
さらにネットで『人気アイパイパーのトシP死亡』のニュースを見た。俺はある程度遊歩道から外れて奥に行ったつもりだったけれど、天橋立を一望できる山頂行きのリフトに乗っていた観光客が翌日には見つけたらしい。その観光客には気の毒な事をしたな…。とにかく発見されたのなら、あとは警察が何とかしてくれただろう。

「さて、どうするか…」
今の俺は無戸籍だ。篠永俊樹の息子だと言って戸籍を取得しよう。認知などの書類だって俊樹本人の筆跡で書けるしな。
車の免許ももう一度取らないと…。色々と面倒なことが続くけれどやるしかない。学歴もリセットされるから高卒認定試験を受けて…。ともあれ、こちらの暮らしが落ち着くまでセイラシアには行かないでおこう。名前はどうしよう…。
思案の末、俺は『篠永和樹』にした。キラキラネームは嫌だったから無難に。

しばらくすると俺の葬儀を東海消防局が行ってくれたこと、ユズリィとリナチが俺の遺骨を引き取り納骨堂に入れてくれたことを知る。感謝してもしきれないが…現状の俺は消防局と彼女たちに何もお礼が出来ないし…。篠永和樹としての暮らしがある程度落ち着いたら考えよう。


その後、篠永俊樹の息子『篠永和樹』として戸籍は何とか取得出来て、自動車教習所に通いながら高卒認定試験も受けて合格。
シゲさんの遺産を譲り受ける際に世話になった弁護士と連絡を取り、篠永俊樹の遺産を息子として受ける手続き、相続税も含め、こいつは少々困難だったが何とかなった。
トシのスキルはそのまま使えるため、あらゆる外国語通訳の資格も取れるだろうが、それはおいおいに。

気が付けば、俺は二十歳になっていた。成人式は行きません。
無戸籍、無免許、無職、とにかく、無い無い尽くしで始めた篠永和樹としての人生、色々と慌ただしかったけれど、ようやく生活が落ち着き始めた。セイラシアには一度も行っていない。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

しばらくぶりに東京へ行くことにした。常連だった高級ソープランド『不夜城』に、もう美咲ちゃんは在籍していなかった。抱きたかったな…。小柄で可愛らしい顔立ち、ロリ巨乳、あそこに毛が生えていないという天使。
だけど美咲ちゃんが在籍していたとしても、俺は不夜城に行かなかっただろう。梨穂と出会った、あの場所へ行くにはつらすぎる。
それに現状、俺はいま無職だ。彼女もいない。俊樹とシゲさんの遺産を食いつぶして生活している。俊樹は俺自身とはいえ、こんな状況で女遊びもどうかと思うし、仕事が見つかって給料が出るまで女遊びはしないと決めていた。

向かうところは都庁、久しぶりにストリートピアノを弾こうと思った。
生活が落ち着くまで三島から出なかったので、ちょっと東京をぶらぶらするのもいい。
この旅が終わったら三島に戻って就職先を探すつもりだ。

久しぶりに訪れた都庁の展望台、あまり変わっていない。
土曜日の午後、多くの観光客がいた。ストリートピアノを弾く順番を記すシートに篠永和樹と書いて、しばらく展望台から見える風景を眺めていた。
さすがはストリートピアノの聖地、弾く人はみんな上手いな。
さて、そろそろ俺の順番だ。弾くのはアイドル☆レボリューション-虹色のローレライ-全体曲メドレーだ。和樹になってもアイレボへの愛は変わらずだ。というより、令和の歌はアイレボ以外知らない。

ピアノに着いて代表曲『虹色のローレライ』から始め、大ヒット全体曲『SOUL!』と続けて弾いた。やっぱり分かる人には分かるようで聞き入ってくれて、メドレー三曲目には手拍子が入った。嬉しいものだ。ピアノは和樹になってからも弾いていた。自宅には梨穂が買おうと言った中古のピアノが置いてあるから。人前で演奏するのは和樹になって初めてだ。

演奏を終えると大きな拍手をいただけた。俺は聴衆にペコリと頭を下げてピアノから離れると
「すいません」
老婆に話しかけられた。八十歳は越していそうな女性だ。
「はい、何でしょうか」
「これを弾いていただけませんか?」
黄ばんだ古い紙を渡された。楽譜なのだろうが…五線譜に記されているものではなく罫線のノートに数字や意味不明な記号、大なり小なりの縦線横線が横書きに羅列されている。これは当人オリジナルの楽譜だ。本人以外に読めるわけがないし他人に弾けるわけがない。
「ごめんなさい、戦争で亡くなった主人の作品なのです。ここなら弾ける人がいるかもしれないと思い、孫に連れてきてもらったのですが…」
全員断られたということか。しかし、俺には言語理解というスキルがある。どんな難解な暗号だって読めてしまう。
「大丈夫、弾けますよ」
「本当ですか!?戦争に行く前夜、主人が私に弾いて聴かせてくれたものなんです!」
こいつは責任重大だ。

お婆さんはお孫さんと一緒に都庁展望台を訪れていた。
「無理を言ってすみません」
お孫さんは三十歳くらいの綺麗な女性、名前を鹿沼八重子さんと言った。
「祖母はもう長くないのですが…どうしても亡くなった祖父の曲を死ぬ前に聴きたいと」
「いえ、これもまた縁でしょうから」
そうこうしているうちに俺の順番が巡ってきた。
少し耳が遠いお婆さん、絹江さんはピアノのすぐそばへと。鹿沼さんが支えて立っている。
「では聴いて下さい」
演奏を始めた。オリジナルの譜面、かつ戦時中に作られた個人作品。だけど弾きながら思ったけれど、すごくいい曲だ。当時、今の俺とそう変わらない年だった男性、明日には出征しなくてはならないなかで、どんな気持ちで愛妻にこの曲を弾いたのか。お孫さんがいるということは、当時幼い子供もいたのだろう。
絹江さんは大粒の涙を流して聴き入っている。良かった、言語理解スキルで読み取った楽譜に誤りはなかったようだ。この曲にアドリブを入れるのは無粋、楽譜通りに弾いた。
どんなに奥さんと子供を愛していたのか、曲を弾いている俺にも伝わってくるな。誰も知らない楽曲なのに、多くの人が聴き入っている。

演奏を終えると大きな拍手をもらった。絹江さんが俺の両手を握り
「ありがとう、ありがとう!」
「いえ、お役に立てて良かったです」
「亡くなったあの人にそっくり…。いい男だよ、貴方は」
「ありがとうございます。こんな嬉しそうな祖母を見るのは初めてです」
鹿沼さんも俺に涙を流しつつお礼を言ってくれた。
「そこまで言ってくれると俺も嬉しいですよ」

「ぐすっ、あの…」
鹿沼さんは涙を拭きつつ俺に名刺を渡してきた。
「改めて私は鹿沼八重子、声優プロダクション『那由多プロ』でマネージャーをしています。貴方に無限の可能性を感じました。当社からデビューしてみませんか?」
「え?」
これってスカウトなのか?
しかし、ピアノの腕と声優って、どう結びつくのか分からない。
だけど声優…。アイドル☆レボリューションのライブに行っていた俺にとっては興味がないわけがない。これってチャンスなんじゃないか。
「あ、あの…詳しいお話を伺ってもよろしいですか?」
この出会いは俺にとって転機になるのだった。

この日は鹿沼さんから名刺を受け取るだけだったけれど、翌日、同じく都庁展望台で待ち合わせをして、カフェで改めて話を聞くことに。今日は絹江さんと一緒ではない。
「今の声優はルックスも良くなくちゃだめ。それは女性声優に限ったことじゃないわ。篠永さん、貴方は飛び切り美男子というわけではないけれど、精悍な顔立ちをしている。面構えがいい。何というか…昔のお侍さんのような」
お侍ではないが、俺はセイラシアで魔物や賊徒相手に実戦を多く経験している。人の命を多く助けてきたけれど、同時に殺してもいる。何人かは覚えていない。シゲさんが体内に宿っていたせいか、賊徒を何のためらいもなく斬れた自分に驚いた。そして何のショックも引きずらない強靭な心にも。

「容貌は申し分なく、そしてあのピアノは本当に感動しました。貴方はエンターティナーとして才能が有り声優になる下地は十分、たとえ貴方に演技の経験が無いとしても、それは当方で仕込めます。どうでしょう、やってみませんか?」
「やらせてください」
「ありがとう!当社の社長も篠永さんのことを話したら興味を持ってくれたわ。これから時間大丈夫?」
「はい!」
こういうチャンスに巡り合って、決断まで時間を要すようではだめだ。
実を言うと、昨日スカウトされた時点で半ば決めていたことだった。


都庁から那由多プロの事務所はそんなに遠くなかった。最寄り駅は西新宿、俺なりに那由多プロのことを調べたけれど、創業は平成初期、今まで多くの声優を育て世に送り出した事務所。最近は養成所を併営している声優事務所も多いらしいけれど、この事務所に養成所はない。オーディション、そしてスカウトの権限を持つマネージャーの勧誘により所属タレントを迎い入れて育成している。俺は後者の方で縁を得られたわけだ。

事務所に着いた。雑居ビルのテナントくらいかと思ったら、結構大きな自社ビルだった。
新宿にこの規模のビルを構えられるって、結構すごいんじゃないかと思った。
「私が貴方のマネージャーを担当するわ。これから毎日レッスン漬け。一日も早く現場に出てもらわなきゃならないから」
「はい」
「さて、一階はレッスンルームと男女別のロッカールーム、シャワー室などがあるわ。二階は事務所と社長室、三階はスタジオと会議室、仮眠室がある」
「仮眠室が」
「ええ、やはりどうしても夜遅い仕事もあるからね。さ、社長室に着いたわよ」
「はい」
ううむ、怒涛の展開だな。本来なら今頃東京ぶらり旅を終えて三島に帰り、求人サイトでも眺めていただろうに。

「社長、お話していた篠永和樹さんをお連れしました」
「入りなさい」
社長室に入った。社長は立位で俺たちを出迎え、自分の向かいのソファーに座るよう促す。
「私が那由多プロ社長の三浦です」
「篠永和樹です」
歳は四十半ばくらい。中々の貫禄だ。
「ほう…」
三浦社長は俺の顔を見つめる。
「鹿沼くんの言う通りだ。とても二十歳そこそこの若者と思えない面構えだね。何というか明治の男というか…」
「恐縮です」
そりゃまあ…実年齢は還暦に近いし。

「で、芝居の経験は?」
「ありません」
「ふむ、鹿沼の言いようだと、かなりのピアノの腕前と聞く。あとでレッスンルームにあるピアノを弾いて聴かせてほしい」
「はい」
鹿沼さんを経て履歴書を受け取った社長、それを見て
「ほう、数か国語話せるのかね」
「はい、それに伴う資格はありませんけれど」
「私も英語とドイツ語は話せる。それで話していいかね?」
「はい」
俺と社長は英語とドイツ語で話した。途中でフランス語に切り替えてきたけれど対応できた。
「見事だ。他にはどこの国の言葉が話せる?」
「ロシア語、オランダ語、朝鮮語、中国語も話せます。もちろん書くことも出来ます」
三浦社長は満足げに頷き
「それは声優として大きな武器にもなるよ。それじゃレッスンルームに行こうか。ピアノと歌、そして課題劇をやってもらう」
「はいっ!」

レッスンルームに入ると、所属している声優たちがレッスンに励んでいた。
「おはようございますっ」
そう言うと先輩たちも『おはようございますっ!』と応えてくれた。芸事の世界に挨拶は大事ですからな。
「みんな、彼は篠永和樹、鹿沼マネージャーがスカウトしてきた若者だ。今から彼がこのプロダクションに属するほどの人材か試験するのでみなも見ていてくれ」
「「はいっ!」」
すごい…。アイレボの声優が二人いる。『虹色のローレライ』の上杉真亜奈役の仁科唯、『百華繚乱』の南日子役の斎藤ひとみ…。男性声優は知らないけれど何となく雰囲気でプロデビューしている人たちというのは分かる。
それにしても、社長と諸先輩たちの前でいきなり試験か。面白い。
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