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第十七話 ついに電話が!
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エッチ成分がございます。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
結局、その日は王都を発たず、神殿の寄宿舎に赴き、シスター四人といたすことになった。
入浴して体を清める時から、すでに房事は始まった。全員で入浴。四人のシスターが裸で俺の体を洗ってくれた。
十六歳の体にはあまりにも刺激が強くて一人のシスター、名はアマンダ、最初に神殿に訪れた時に会っている。アマンダが何も言わず猛り切ったナニを自分の中に入れた。興奮していた俺はたまらず蜜壺から寄せる快楽に抗しきれず射精してしまった。
「僧都様の子種、頂戴いたしました」
シスターアマンダはそのまま浴室を出て行ってしまった。何て作業的なんだ。
避妊の魔法は使っていない。閨房スキルもあるので俺が『孕んで』と思い射精したら妊娠してしまう。今の射精はそれだった。
だけど俺はベッドのうえで女の子を濃密前戯で責めたいのに!
しかし複数のシスターに触れられてしまうと十六の若い体は抗しようがない。二人目、三人目も俺から精液を得ると退室してしまった。最後に残ったのはシスターアンナ。四人の中で一番後輩だから最後になったようだ。
だから同じように俺のナニを自分の中に入れようとした時に
「待った!こんな作業のようなセックスは嫌だよ!せめてシスターアンナだけでもベッドで相手をしてくれよ。俺は種馬じゃないぞ!」
いや、三人のシスターの蜜壺も最高だったけれど、男としては形にもこだわりたい。
まあ、俺が早漏れなのも悪いけれど十六の若い体じゃ無理もないでしょ。
「す、すいません。私はそんなに房事には慣れていないので…」
そういうわけで入浴を済ませた俺とシスターアンナは寝室に。
「あの、私…実は初めてで…。先輩たちはシスターになる前に経験済みだそうですけど」
まさかの処女!?俺も初めてのことだ。
ベッドに横になってもらうと、さっきの作業のようなセックスとは別物に思えてくる。さきほど彼女が取った行動も先輩を真似たのだろう。
「なんて美しい性器なんだろう…」
「恥ずかしい、そんなこと言わないで…」
誰も見たことも触れたことのない性器、薄い陰毛、桃色の割れ目、まさに蕾み。
「あっ、ああ、やばい…」
「えっ?」
十六の若い体はシスターアンナの性器を見ただけで射精してしまった。本当に早漏れだ。盛大にシスターアンナの胸に精液がかかってしまった。
「ああ、貴重な子種が…」
「ご、ごめん。でも大丈夫、連発可能だから」
ティッシュは存在しないのでベッド脇に置いてある清潔な布で彼女の体にかかった精液を拭きとった。
「続けるよ」
「はい」
ようやく中身が五十五歳のおっさんが好きな若い娘の体舐め回しタイムが始まりました。
乳房、お腹、太もも、お尻、そして性器をペロペロと。ああ、美味しい。若い娘の体ほど美味しいものは無い。そう思いませんか。
「すっ、すごい…。自慰とは比べ物になりません…」
嫌がられるかなと思った、ねちっこさも受け入れてくれていて何より。
「入れるよ。お腹から力を抜いて」
「はい…」
経験者ぶったことを言ったけれど、彼女の膣にナニを当てた瞬間にまた出てしまった。本当に十六歳の体は敏感だ。
さらに続けて
「い、痛い…」
よくそれで上に乗ろうと思えたものだと思う。
「どうしてもしんどければ言ってくれ」
「い、いえ続けて下さい。私、子供が欲しいんです」
俺への愛情は先の三人のシスターのように無いのかもしれない。改めて、この世界の女性が子供を欲する本能を感じてしまう。改めて腰を動かす。ベッドのシーツに血が。本当に血が出るんだな…。都市伝説かと思っていた。
痛みから快楽に変わっていったか、シスターアンナは下から俺に抱き着いてきた。
「きっ、気持ちいい!自慰と比べ物になりません!あああっ」
閨房スキルを少しだけ使う。これなら射精のタイミングを調節できる。彼女の絶頂に合わせて出すのだ。
「な、何か来ます!すっ、すごいのが…」
全身が桃色に上気してきた。快楽に酔いしれ涙と鼻水、よだれも垂れ流し状態だ。そろそろかな。
「んっ、ああっ、あああっ…!」
「俺も出すよ、シスターアンナ」
「はっ、はい!私の中に子種をっ!」
シスターアンナの体が弓なりにしなった。絶頂に達したみたいだ。男冥利に尽きるなぁ…。
「はあ、はあ…」
ベッドで股を広げたままグッタリしているシスターアンナ。いい眺め。
出来れば、あと何発か出したかったけれど、これ以上は性欲処理だから遠慮しておこう。でもナニは正直で一向に萎えない。
「僧都トシ様…」
「ん?」
「まだ女が欲しいのなら続けて下さい…。セックスがこんなに気持ちいいことだなんて知らなかった…」
喜んで!その後、俺はシスターアンナの若い肢体を存分に楽しんだ。
翌朝、目が覚めたらシスターアンナが上に乗っかっていて夢中で腰を使っていた。
たぷんたぷんと乳房が揺れていて眼福。
「おっ、おはようございます、僧都トシ様!ごっ、ごめんなさい、朝からお勃ちになっているのを見て我慢できなくて!あっ、ああ!」
すっかりセックスに目覚めてしまったようだ。いえいえ、詫びることなんてございませんよ。それにしても清楚な見かけに似合わずすごい体力ですね。激しく腰を使っていても疲れを知らない。一発出した後は俺が後ろから攻めました。
情事後、一緒に朝食を取った。
「勘ですが、私の卵に僧都様の種が届いたと思います」
全員当たるはすだ。閨房スキルを使って『孕め』という意思を持ちながら射精したのだから。でも、これは言わない方がいいだろう。
「そうか」
「あの、この子に弟か妹を下さいね」
「君が望むなら。俺は諸国漫遊の旅に出るけれど、この国には定期的に帰ってくるから。転移魔法使えるからね」
「はい、楽しみにしております」
俺もだよシスターアンナ、美少女で巨乳に美尻、連れて歩きたいくらいだ。
シスターアンナを含めて、昨日セックスしたシスターたちと教皇に見送られて、俺は神殿を後にした。ニナ湖の船着き場へと向かう。城下町を歩き
『僧都か、出世したのう』
「ああ、だけどもう少し上手く立ち回りたかったな」
トシであることを露見しないため俺は『流浪の治癒師レッドクロス』に化けたと言うのに、あっさりバレた。徳行値で分かってしまうのは仕方ないけれど、エレナさんにも知られていたのは本当に予想外だった。女の勘というのは侮れないな。
しかも僧都なんて僧階を得た。消防士で言うなら齢十六で消防司令補だ。一車両のリーダーとなって火災現場に向かう立場だ。荷が重いよ。
『なに、僧都といっても律師とそう変わらんよ。トシが自発的に行わない限り経典の説法をする機会なんてないからのう』
「そう言ってくれると助かるよ。で…シゲさん、とりあえずニナ湖周辺の町や村に寄ろうと思うけれど、それも落ち着いたら、もう魔大陸に向かってはどうだろうか」
『そうじゃな、ここは東大陸なので、南大陸に渡り、そして南大陸南端の国ディアラバ王国から出発するのがいいだろう』
「まあ、長い旅になるだろうけど、楽しみだよ」
シゲさんが俺をセイラシアに呼んで、魔王級に鍛え上げてくれた理由。
それは現在の魔王軍と自分を討った勇者軍のその後を知ること。
しかし、全世界に魔道でネットワークを繋ぐギルド情報だと、シゲさんの娘アグリッサが新たな魔王となり、とうに勇者と聖女は討ち果たしたとあった。
その後は軍事行動をしておらず、先代魔王のシゲさんが暴れて奪いまくった領土を上手く統治しているのではと見込んでいる。それ以降の魔王軍の情報はない。勇者軍もだ。シゲさんとの最終決戦で勇者軍は半数以上討ち死にしたと言うし、勇者軍のリーダーである勇者スレイブと聖女カトレアは本当に討たれたのだろう。
『娘は慎重な性格よ。儂のように戦闘欲に駆られて動く阿呆じゃない。今は雌伏し富国強兵に務めているかもしれん。動くにしても、かなり先の話だろう』
「その光景は見られないかもな。俺もこの世界で生きられるのは、長くて六十くらいだろうし」
もちろん、そんな年になったら令和日本に帰り、もうセイラシアには戻らないつもりだ。
やはり最期は日本で日本人として死にたいから。
『なに、元から儂は死んでいる。こうしてトシと儂の死後のセイラシアを見られるだけでもありがたいことよ。のんびり行こうぞ』
「そうだな」
シゲさんとの話にひと段落着いたころ、湖の定期船が船着き場に来た。
飛行魔法の方が早くて便利だが、どうせならのんびりと旅を楽しみたい。
『おい、トシ、幟を忘れているぞ』
「あ、そうだった」
ハイゼル信徒の諸国漫遊の旅には背中に幟を立てる。『ハイゼル信徒、諸国漫遊中』と記されている幟で、これは立派な魔道具。複製不可であり帰還機能もついている。
この幟を背中に立てているだけで盗賊山賊は攻撃をすることは許されないと言う暗黙のルールがあるのだ。鎧袖一触出来るだろうけど無用な荒事は避けたいからな。
「さらば、ブルムハルト王国よ。まあ、自宅があるしシスターアンナを抱きたいから定期的に戻ってくるけど」
一度訪れた地は転移魔法を使えば一瞬で来られるからな。
「シゲさん、今夜の宿場町はうなぎの養殖やっているらしいぞ」
船内の掲示板にそう記されていた。
『じゃが、三島で食べられるうな重とは、とても比べ物にならんじゃろ。醤油が存在しないのだからのう』
「ああ、そうか…」
『せいぜい、輪切りにしたうなぎを塩焼きにしているくらいではないか』
それでも現地の人には大切な栄養源だろうな。
「ああもう、シゲさんが三島のうな重なんて言うから食べたくなってきたじゃないか」
うなぎは三島名物だからな。
『まあ、今回の目的である『可愛い女の子を恋人にする』は叶ったと思っていいだろうからな』
「うん、処女を抱いたんだぞ。嬉しくてならないよ。まあ、一緒に旅が出来る恋人には出来なかったけれど満足だよ」
そろそろユズリィとリナチから電話があるかもしれないからな。
今回のセイラシアでの冒険の目的、可愛い女の子と恋人になることも成就したようなものだし、三島に帰ろう。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
物置ゲートを使って三島の自宅へ。俺は十六の少年から五十五のイケオジに戻った。
本当に不思議な現象だな。俺の体もだけど、この時間が経過していないってのも。
「さてと、確か梨穂ちゃんを東京に送って、こちらに戻ってから間もなくセイラシアに行ったんだっな…。梨穂ちゃんとエッチしたいな」
物置から玄関へ。ただいまと言うも誰も答えない。当然だよな。
時刻は夕方、うな重を食べに行くにはちょうどいい時間帯だ。俺はシャワーを浴びた。
そしてシャワーから出てリビングのソファーに腰かけてスマホを眺める。LINEもメールもなし。俺の友達もだいぶ死んでしまったし、消防士のころの同僚とは連絡も取っていない。さびしい画面だこと。スマホを閉じようとしたところ着信
「…!ユズリィからだ」
スマホ画面には番号を登録した川澄ゆずり葉の名前が表示されていた。
「はい、もしもし、篠永ですが」
『……トシさん?』
「ユズリィ!」
『…!リナ、トシさんいたよ!』
替わって替わってという声が電話の向こうで聴こえ
『トシP!』
「リナチ…。元気か!」
『うん…うん…』
「セイラシアで言った通り、三島に戻ってきたよ。もっとも十六の少年ではなく、今の俺は五十五歳のおっさんだけどね…。電話してくれて嬉しいよ」
『ぐすっ、トシPに会いたいよ』
電話向こうでユズリィが『私も、私も』と言っているのが聴こえた。
「俺は構わないけれど、二人は大丈夫なのか?売れっ子アイドル声優なのに」
『うん、だから一度だけになると思う。ちゃんとお礼を言いたいし』
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
結局、その日は王都を発たず、神殿の寄宿舎に赴き、シスター四人といたすことになった。
入浴して体を清める時から、すでに房事は始まった。全員で入浴。四人のシスターが裸で俺の体を洗ってくれた。
十六歳の体にはあまりにも刺激が強くて一人のシスター、名はアマンダ、最初に神殿に訪れた時に会っている。アマンダが何も言わず猛り切ったナニを自分の中に入れた。興奮していた俺はたまらず蜜壺から寄せる快楽に抗しきれず射精してしまった。
「僧都様の子種、頂戴いたしました」
シスターアマンダはそのまま浴室を出て行ってしまった。何て作業的なんだ。
避妊の魔法は使っていない。閨房スキルもあるので俺が『孕んで』と思い射精したら妊娠してしまう。今の射精はそれだった。
だけど俺はベッドのうえで女の子を濃密前戯で責めたいのに!
しかし複数のシスターに触れられてしまうと十六の若い体は抗しようがない。二人目、三人目も俺から精液を得ると退室してしまった。最後に残ったのはシスターアンナ。四人の中で一番後輩だから最後になったようだ。
だから同じように俺のナニを自分の中に入れようとした時に
「待った!こんな作業のようなセックスは嫌だよ!せめてシスターアンナだけでもベッドで相手をしてくれよ。俺は種馬じゃないぞ!」
いや、三人のシスターの蜜壺も最高だったけれど、男としては形にもこだわりたい。
まあ、俺が早漏れなのも悪いけれど十六の若い体じゃ無理もないでしょ。
「す、すいません。私はそんなに房事には慣れていないので…」
そういうわけで入浴を済ませた俺とシスターアンナは寝室に。
「あの、私…実は初めてで…。先輩たちはシスターになる前に経験済みだそうですけど」
まさかの処女!?俺も初めてのことだ。
ベッドに横になってもらうと、さっきの作業のようなセックスとは別物に思えてくる。さきほど彼女が取った行動も先輩を真似たのだろう。
「なんて美しい性器なんだろう…」
「恥ずかしい、そんなこと言わないで…」
誰も見たことも触れたことのない性器、薄い陰毛、桃色の割れ目、まさに蕾み。
「あっ、ああ、やばい…」
「えっ?」
十六の若い体はシスターアンナの性器を見ただけで射精してしまった。本当に早漏れだ。盛大にシスターアンナの胸に精液がかかってしまった。
「ああ、貴重な子種が…」
「ご、ごめん。でも大丈夫、連発可能だから」
ティッシュは存在しないのでベッド脇に置いてある清潔な布で彼女の体にかかった精液を拭きとった。
「続けるよ」
「はい」
ようやく中身が五十五歳のおっさんが好きな若い娘の体舐め回しタイムが始まりました。
乳房、お腹、太もも、お尻、そして性器をペロペロと。ああ、美味しい。若い娘の体ほど美味しいものは無い。そう思いませんか。
「すっ、すごい…。自慰とは比べ物になりません…」
嫌がられるかなと思った、ねちっこさも受け入れてくれていて何より。
「入れるよ。お腹から力を抜いて」
「はい…」
経験者ぶったことを言ったけれど、彼女の膣にナニを当てた瞬間にまた出てしまった。本当に十六歳の体は敏感だ。
さらに続けて
「い、痛い…」
よくそれで上に乗ろうと思えたものだと思う。
「どうしてもしんどければ言ってくれ」
「い、いえ続けて下さい。私、子供が欲しいんです」
俺への愛情は先の三人のシスターのように無いのかもしれない。改めて、この世界の女性が子供を欲する本能を感じてしまう。改めて腰を動かす。ベッドのシーツに血が。本当に血が出るんだな…。都市伝説かと思っていた。
痛みから快楽に変わっていったか、シスターアンナは下から俺に抱き着いてきた。
「きっ、気持ちいい!自慰と比べ物になりません!あああっ」
閨房スキルを少しだけ使う。これなら射精のタイミングを調節できる。彼女の絶頂に合わせて出すのだ。
「な、何か来ます!すっ、すごいのが…」
全身が桃色に上気してきた。快楽に酔いしれ涙と鼻水、よだれも垂れ流し状態だ。そろそろかな。
「んっ、ああっ、あああっ…!」
「俺も出すよ、シスターアンナ」
「はっ、はい!私の中に子種をっ!」
シスターアンナの体が弓なりにしなった。絶頂に達したみたいだ。男冥利に尽きるなぁ…。
「はあ、はあ…」
ベッドで股を広げたままグッタリしているシスターアンナ。いい眺め。
出来れば、あと何発か出したかったけれど、これ以上は性欲処理だから遠慮しておこう。でもナニは正直で一向に萎えない。
「僧都トシ様…」
「ん?」
「まだ女が欲しいのなら続けて下さい…。セックスがこんなに気持ちいいことだなんて知らなかった…」
喜んで!その後、俺はシスターアンナの若い肢体を存分に楽しんだ。
翌朝、目が覚めたらシスターアンナが上に乗っかっていて夢中で腰を使っていた。
たぷんたぷんと乳房が揺れていて眼福。
「おっ、おはようございます、僧都トシ様!ごっ、ごめんなさい、朝からお勃ちになっているのを見て我慢できなくて!あっ、ああ!」
すっかりセックスに目覚めてしまったようだ。いえいえ、詫びることなんてございませんよ。それにしても清楚な見かけに似合わずすごい体力ですね。激しく腰を使っていても疲れを知らない。一発出した後は俺が後ろから攻めました。
情事後、一緒に朝食を取った。
「勘ですが、私の卵に僧都様の種が届いたと思います」
全員当たるはすだ。閨房スキルを使って『孕め』という意思を持ちながら射精したのだから。でも、これは言わない方がいいだろう。
「そうか」
「あの、この子に弟か妹を下さいね」
「君が望むなら。俺は諸国漫遊の旅に出るけれど、この国には定期的に帰ってくるから。転移魔法使えるからね」
「はい、楽しみにしております」
俺もだよシスターアンナ、美少女で巨乳に美尻、連れて歩きたいくらいだ。
シスターアンナを含めて、昨日セックスしたシスターたちと教皇に見送られて、俺は神殿を後にした。ニナ湖の船着き場へと向かう。城下町を歩き
『僧都か、出世したのう』
「ああ、だけどもう少し上手く立ち回りたかったな」
トシであることを露見しないため俺は『流浪の治癒師レッドクロス』に化けたと言うのに、あっさりバレた。徳行値で分かってしまうのは仕方ないけれど、エレナさんにも知られていたのは本当に予想外だった。女の勘というのは侮れないな。
しかも僧都なんて僧階を得た。消防士で言うなら齢十六で消防司令補だ。一車両のリーダーとなって火災現場に向かう立場だ。荷が重いよ。
『なに、僧都といっても律師とそう変わらんよ。トシが自発的に行わない限り経典の説法をする機会なんてないからのう』
「そう言ってくれると助かるよ。で…シゲさん、とりあえずニナ湖周辺の町や村に寄ろうと思うけれど、それも落ち着いたら、もう魔大陸に向かってはどうだろうか」
『そうじゃな、ここは東大陸なので、南大陸に渡り、そして南大陸南端の国ディアラバ王国から出発するのがいいだろう』
「まあ、長い旅になるだろうけど、楽しみだよ」
シゲさんが俺をセイラシアに呼んで、魔王級に鍛え上げてくれた理由。
それは現在の魔王軍と自分を討った勇者軍のその後を知ること。
しかし、全世界に魔道でネットワークを繋ぐギルド情報だと、シゲさんの娘アグリッサが新たな魔王となり、とうに勇者と聖女は討ち果たしたとあった。
その後は軍事行動をしておらず、先代魔王のシゲさんが暴れて奪いまくった領土を上手く統治しているのではと見込んでいる。それ以降の魔王軍の情報はない。勇者軍もだ。シゲさんとの最終決戦で勇者軍は半数以上討ち死にしたと言うし、勇者軍のリーダーである勇者スレイブと聖女カトレアは本当に討たれたのだろう。
『娘は慎重な性格よ。儂のように戦闘欲に駆られて動く阿呆じゃない。今は雌伏し富国強兵に務めているかもしれん。動くにしても、かなり先の話だろう』
「その光景は見られないかもな。俺もこの世界で生きられるのは、長くて六十くらいだろうし」
もちろん、そんな年になったら令和日本に帰り、もうセイラシアには戻らないつもりだ。
やはり最期は日本で日本人として死にたいから。
『なに、元から儂は死んでいる。こうしてトシと儂の死後のセイラシアを見られるだけでもありがたいことよ。のんびり行こうぞ』
「そうだな」
シゲさんとの話にひと段落着いたころ、湖の定期船が船着き場に来た。
飛行魔法の方が早くて便利だが、どうせならのんびりと旅を楽しみたい。
『おい、トシ、幟を忘れているぞ』
「あ、そうだった」
ハイゼル信徒の諸国漫遊の旅には背中に幟を立てる。『ハイゼル信徒、諸国漫遊中』と記されている幟で、これは立派な魔道具。複製不可であり帰還機能もついている。
この幟を背中に立てているだけで盗賊山賊は攻撃をすることは許されないと言う暗黙のルールがあるのだ。鎧袖一触出来るだろうけど無用な荒事は避けたいからな。
「さらば、ブルムハルト王国よ。まあ、自宅があるしシスターアンナを抱きたいから定期的に戻ってくるけど」
一度訪れた地は転移魔法を使えば一瞬で来られるからな。
「シゲさん、今夜の宿場町はうなぎの養殖やっているらしいぞ」
船内の掲示板にそう記されていた。
『じゃが、三島で食べられるうな重とは、とても比べ物にならんじゃろ。醤油が存在しないのだからのう』
「ああ、そうか…」
『せいぜい、輪切りにしたうなぎを塩焼きにしているくらいではないか』
それでも現地の人には大切な栄養源だろうな。
「ああもう、シゲさんが三島のうな重なんて言うから食べたくなってきたじゃないか」
うなぎは三島名物だからな。
『まあ、今回の目的である『可愛い女の子を恋人にする』は叶ったと思っていいだろうからな』
「うん、処女を抱いたんだぞ。嬉しくてならないよ。まあ、一緒に旅が出来る恋人には出来なかったけれど満足だよ」
そろそろユズリィとリナチから電話があるかもしれないからな。
今回のセイラシアでの冒険の目的、可愛い女の子と恋人になることも成就したようなものだし、三島に帰ろう。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
物置ゲートを使って三島の自宅へ。俺は十六の少年から五十五のイケオジに戻った。
本当に不思議な現象だな。俺の体もだけど、この時間が経過していないってのも。
「さてと、確か梨穂ちゃんを東京に送って、こちらに戻ってから間もなくセイラシアに行ったんだっな…。梨穂ちゃんとエッチしたいな」
物置から玄関へ。ただいまと言うも誰も答えない。当然だよな。
時刻は夕方、うな重を食べに行くにはちょうどいい時間帯だ。俺はシャワーを浴びた。
そしてシャワーから出てリビングのソファーに腰かけてスマホを眺める。LINEもメールもなし。俺の友達もだいぶ死んでしまったし、消防士のころの同僚とは連絡も取っていない。さびしい画面だこと。スマホを閉じようとしたところ着信
「…!ユズリィからだ」
スマホ画面には番号を登録した川澄ゆずり葉の名前が表示されていた。
「はい、もしもし、篠永ですが」
『……トシさん?』
「ユズリィ!」
『…!リナ、トシさんいたよ!』
替わって替わってという声が電話の向こうで聴こえ
『トシP!』
「リナチ…。元気か!」
『うん…うん…』
「セイラシアで言った通り、三島に戻ってきたよ。もっとも十六の少年ではなく、今の俺は五十五歳のおっさんだけどね…。電話してくれて嬉しいよ」
『ぐすっ、トシPに会いたいよ』
電話向こうでユズリィが『私も、私も』と言っているのが聴こえた。
「俺は構わないけれど、二人は大丈夫なのか?売れっ子アイドル声優なのに」
『うん、だから一度だけになると思う。ちゃんとお礼を言いたいし』
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