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私の心の薬箱
溺愛にとろかされて
しおりを挟む波乱のパーティから一年。
私たちはたくさんの証人が見守る中、変わることのない確かな愛を誓い合った。
誓いのキスがファーストキスになろうとは、一年前は思いもしなかった。
『結婚まで口へのキスはしない』
そんな今時珍しい堅物な雪兎さんの方針で、私達は健全なお付き合いを重ねてきた。
「ふふっ」
「どうした、海月」
入浴を終えて新居の寝室に足を踏み入れた雪兎さんが、ベッドに座って思い出し笑いをする私を見て首を傾げた。
「誓いのキスの後の雪兎さんの顔を思い出してしまって。ふふっ」
「笑うな」
誓いのキスで赤く染まった雪兎さんのあの顔は、私にとって一生忘れられない思い出になった。
「雪兎さん、可愛かったです」
「お前なぁ……そういう事言ってると──」
「ひゃぁっ!?」
ドサリ──。
私の身体は雪兎さんによって押し倒され、ふかふかのベッドの上へと沈んだ。
目の前には色気を孕んだ雪兎さんの顔。
胸元から覗く白くたくましい胸板。
ほのかに香る私と同じシャンプーの匂い。
「もう、我慢はしないから。覚悟しろよ? 花嫁さん」
「~~~っ」
そして私は、この不器用で分かりづらい溺愛にとろかされるのだ。
永遠に、変わることなく。
END
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