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第二章
世界を超えて
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「きゃぁ!? 何!?」
「!? 歩!?」
目の前に、アユムさんによく似た男女が映し出された。
特に女性の方は目元がアユムさんそっくり。
もしかして、この人たちが──。
「父さん……母さん……!!」
──アユムさんのご両親……!!
「え、何々? どうしたの父さん母さん、そんな大きな声出し──てぇぇぇえっ!?!?」
「うわぁっ!? 歩兄ちゃん!?」
な、なんかアユムさんに似てる男の子二人組まで出てきた!!
アユム兄ちゃん、ってことは……アユムさんのご兄弟?
「兄さん……。紬……。はは、本当に……つながった……」
呆然と目の前に映し出された人々を見て空笑いする。
「一体どうなって……」
混乱した様子のお母様に、アユムさんが「魔石の力だよ」と興奮した感情を抑えるかのように静かに答えた。
「ティアラさんが、魔王の城まで行って、魔力がない相手にも通信できる魔石を取ってきてくれたんだよ」
「ティアラさん?」
きょとんとしてから、アユムさんの隣で見守っていた私に視線が映った。
それに連動するように、ほかの皆さまの視線も私に集中する。
「俺の大切な──婚約者だよ」
少しだけ照れ臭そうに私を紹介してくれたアユムさんに、胸がきゅっとなる。
「婚約者ぁぁぁあああ!?」
「ちょ、歩兄ちゃんどういうこと!? もうそんな仲なん!?」
「アユム、あなたちゃんとお相手のご家族には承諾を得たの!? まさか順番すっ飛ばして結婚しようとかしてないわよね!?」
「まだ二十にもなっていないお前でも良いと、お相手のご両親は言ってくださったのか!? はっ!! それともお前まさか……反対されて攫ってきたんじゃ……」
「してないからな!?」
独特なノリのご家族ね……。
まぁでも、心配よね。
久しぶりに顔を見たと思えば婚約してたとか。
しかもアユムさん、向こうで言うとまだ未成年だし……。
私は一歩進み出ると、背筋を正してアユムさんの家族に向けてカーテシーをした。
「初めまして。アユムさんのご家族の皆様。私はティアラ・プレスセントと申します。この国の聖女で、国の代表をしております。アユムさんは、私に正式にプロポーズをしてくださって、私の両親にもすぐに婚約の許可を得に来てくださいました。こちらでは十八歳はすでに成人。むしろ二十三の私の方が嫁ぎ遅れというのが、今のこの世界の貴族の常識です。アユムさんは勇者様ですし、公爵位を賜っておりますし、今、頑張って領地や国、この世界についてのお勉強をされているので、父や母も心配することなく、この人ならばと言っております」
心配する、それどころかあのウェルシュナ元殿下から私を救ってくれたアユムさんを、父も母も妹のミモラも絶対的に信頼している。
それはもう、二つ返事で「是非とも娘をよろしく!!」だったわ。
ふと自身の姿を見下ろせば、ドレスにはべとべとの返り血。
あぁ、しまった、このまま来たのだったわ。
魔石を見つけたのがうれしくてつい……。
初めましてで紹介された自分の息子の婚約者が血まみれって、ホラー、よね……。
失敗したわ。
「ご挨拶が遅くなって申し訳ありません。しかもこのような血まみれの姿で……。脳筋で、年上で、嫁ぎ遅れの私ですが、どうかアユムさんとの結婚を許していただけますでしょうか?」
ご両親がこんなヤバそうな女は反対だとおっしゃるならば、仕方がない。
一度説得はあきらめて、出直そう。
しっかりとした淑女になって、それから再び結婚を申し込もう。
「ティアラさん……。父さん、母さん、ティアラさんがこんなに血まみれなのは、俺のために魔石を取りに魔物がうようよする魔王城に一人乗り込んだからなんだ。俺の捨ててきたものを取り戻そうとしてくれた。危険を顧みず。……いつも俺を救ってくれる、大切で、俺がたった一人、守りたい人なんだ」
「アユムさん……」
真剣な黒の双眸が彼の家族に向かう。
こんな風に大切に思ってくれる人だから、私も、彼を大切にしたいと思うのよね。
たとえ認められなくても、何度もわかってもらえるように時間をかけ──「おめでとう」──へ?
今、何っつった?
「んまぁ~~、こんなに突然婚約なんて思ってなかったから驚いたけど、母さん大賛成よ!!」
え?
「父さんも大賛成だぞ? そのためにそっちに行ったんだろう? 歩は」
え、ちょ……。
「俺も。弟に先越されたのは悔しいけどさ、歩には幸せになってほしいし」
待っ、え、あの!?
「こんな綺麗な人が義理の姉ちゃんになるなんて最高だし、俺も賛成!!」
えぇ……軽い……。
良いの? こんなので。
お前みたいな血まみれホラー女にうちの息子はやらん!! とかあるんじゃないの!? 普通!!
それが日本の結婚挨拶の常識で、伝統行事しょう!?
「ティアラさん、うちの歩を、どうぞよろしくお願いします」
そう頭を下げたお父様に続いて、お母様も、そしてお兄様と弟様も続く。
「あ、あの、反対とか……」
「反対? あるわけがない。だって息子は、あなたといたいからこの世界から去ったんです。そうまでして一緒にいたい人と、本当にそれが叶う。親としては、これ以上ない喜びです」
子どもの幸せは親の幸せ、とはこういうものなのか。
それは、私の父母が二つ返事で了承した理由と同じなのね、きっと。
「父さん……。……ありがとう」
「お父様、お母様、お兄様、弟様。皆様の大切なご家族、必ずや私が幸せにしてみせます……!!」
ダンジョンでは甘やかされていた分、これ以上ないほどにドロドロに甘やかして、幸せにしてみせるわ!!
「ははっ、頼もしいな、歩」
「違うよ兄さん」
「ひゃぁっ!?」
からかうようにお兄様が言った言葉を否定し、私を抱き寄せたアユムさんの耳はほんのりと赤らんでいて、心なしか腕に力が入っている。
それでも彼は、まっすぐにご家族を見て、言った。
「俺が、幸せにするんだよ、この人を」
「アユムさん……」
あぁ、この人に出会えて、良かった。
この人を愛して、本当に良かった。
心がほっこり温まる。
「式は一週間後。ぜひ、通信で参列くださいまし」
「えぇ、ありがとうございます。あぁ……アユムの結婚式を本当に見ることができるなんて……」
目ににじんだ涙が、お母様がどんな思いでアユムさんを送り出していたのかを物語っている。
自分のお腹を痛めて生んだ大切な子どもですものね。
きっと親なら見たいはずだわ。そんな子どもの晴れ姿を。
……前世の私は──叶えてあげられなかったけれど。
「それじゃ、そろそろ通信切るね。また連絡するよ」
「あぁ。しっかり頑張りなさい」
お父様の言葉に力強くアユムさんが頷いて、通信は切れた。
「……」
「……」
「……ティアラさん」
「?」
「……ありがとう」
頬を伝うしずくを、私は気づかないふりをしてから「はい」と静かに答えた。
「!? 歩!?」
目の前に、アユムさんによく似た男女が映し出された。
特に女性の方は目元がアユムさんそっくり。
もしかして、この人たちが──。
「父さん……母さん……!!」
──アユムさんのご両親……!!
「え、何々? どうしたの父さん母さん、そんな大きな声出し──てぇぇぇえっ!?!?」
「うわぁっ!? 歩兄ちゃん!?」
な、なんかアユムさんに似てる男の子二人組まで出てきた!!
アユム兄ちゃん、ってことは……アユムさんのご兄弟?
「兄さん……。紬……。はは、本当に……つながった……」
呆然と目の前に映し出された人々を見て空笑いする。
「一体どうなって……」
混乱した様子のお母様に、アユムさんが「魔石の力だよ」と興奮した感情を抑えるかのように静かに答えた。
「ティアラさんが、魔王の城まで行って、魔力がない相手にも通信できる魔石を取ってきてくれたんだよ」
「ティアラさん?」
きょとんとしてから、アユムさんの隣で見守っていた私に視線が映った。
それに連動するように、ほかの皆さまの視線も私に集中する。
「俺の大切な──婚約者だよ」
少しだけ照れ臭そうに私を紹介してくれたアユムさんに、胸がきゅっとなる。
「婚約者ぁぁぁあああ!?」
「ちょ、歩兄ちゃんどういうこと!? もうそんな仲なん!?」
「アユム、あなたちゃんとお相手のご家族には承諾を得たの!? まさか順番すっ飛ばして結婚しようとかしてないわよね!?」
「まだ二十にもなっていないお前でも良いと、お相手のご両親は言ってくださったのか!? はっ!! それともお前まさか……反対されて攫ってきたんじゃ……」
「してないからな!?」
独特なノリのご家族ね……。
まぁでも、心配よね。
久しぶりに顔を見たと思えば婚約してたとか。
しかもアユムさん、向こうで言うとまだ未成年だし……。
私は一歩進み出ると、背筋を正してアユムさんの家族に向けてカーテシーをした。
「初めまして。アユムさんのご家族の皆様。私はティアラ・プレスセントと申します。この国の聖女で、国の代表をしております。アユムさんは、私に正式にプロポーズをしてくださって、私の両親にもすぐに婚約の許可を得に来てくださいました。こちらでは十八歳はすでに成人。むしろ二十三の私の方が嫁ぎ遅れというのが、今のこの世界の貴族の常識です。アユムさんは勇者様ですし、公爵位を賜っておりますし、今、頑張って領地や国、この世界についてのお勉強をされているので、父や母も心配することなく、この人ならばと言っております」
心配する、それどころかあのウェルシュナ元殿下から私を救ってくれたアユムさんを、父も母も妹のミモラも絶対的に信頼している。
それはもう、二つ返事で「是非とも娘をよろしく!!」だったわ。
ふと自身の姿を見下ろせば、ドレスにはべとべとの返り血。
あぁ、しまった、このまま来たのだったわ。
魔石を見つけたのがうれしくてつい……。
初めましてで紹介された自分の息子の婚約者が血まみれって、ホラー、よね……。
失敗したわ。
「ご挨拶が遅くなって申し訳ありません。しかもこのような血まみれの姿で……。脳筋で、年上で、嫁ぎ遅れの私ですが、どうかアユムさんとの結婚を許していただけますでしょうか?」
ご両親がこんなヤバそうな女は反対だとおっしゃるならば、仕方がない。
一度説得はあきらめて、出直そう。
しっかりとした淑女になって、それから再び結婚を申し込もう。
「ティアラさん……。父さん、母さん、ティアラさんがこんなに血まみれなのは、俺のために魔石を取りに魔物がうようよする魔王城に一人乗り込んだからなんだ。俺の捨ててきたものを取り戻そうとしてくれた。危険を顧みず。……いつも俺を救ってくれる、大切で、俺がたった一人、守りたい人なんだ」
「アユムさん……」
真剣な黒の双眸が彼の家族に向かう。
こんな風に大切に思ってくれる人だから、私も、彼を大切にしたいと思うのよね。
たとえ認められなくても、何度もわかってもらえるように時間をかけ──「おめでとう」──へ?
今、何っつった?
「んまぁ~~、こんなに突然婚約なんて思ってなかったから驚いたけど、母さん大賛成よ!!」
え?
「父さんも大賛成だぞ? そのためにそっちに行ったんだろう? 歩は」
え、ちょ……。
「俺も。弟に先越されたのは悔しいけどさ、歩には幸せになってほしいし」
待っ、え、あの!?
「こんな綺麗な人が義理の姉ちゃんになるなんて最高だし、俺も賛成!!」
えぇ……軽い……。
良いの? こんなので。
お前みたいな血まみれホラー女にうちの息子はやらん!! とかあるんじゃないの!? 普通!!
それが日本の結婚挨拶の常識で、伝統行事しょう!?
「ティアラさん、うちの歩を、どうぞよろしくお願いします」
そう頭を下げたお父様に続いて、お母様も、そしてお兄様と弟様も続く。
「あ、あの、反対とか……」
「反対? あるわけがない。だって息子は、あなたといたいからこの世界から去ったんです。そうまでして一緒にいたい人と、本当にそれが叶う。親としては、これ以上ない喜びです」
子どもの幸せは親の幸せ、とはこういうものなのか。
それは、私の父母が二つ返事で了承した理由と同じなのね、きっと。
「父さん……。……ありがとう」
「お父様、お母様、お兄様、弟様。皆様の大切なご家族、必ずや私が幸せにしてみせます……!!」
ダンジョンでは甘やかされていた分、これ以上ないほどにドロドロに甘やかして、幸せにしてみせるわ!!
「ははっ、頼もしいな、歩」
「違うよ兄さん」
「ひゃぁっ!?」
からかうようにお兄様が言った言葉を否定し、私を抱き寄せたアユムさんの耳はほんのりと赤らんでいて、心なしか腕に力が入っている。
それでも彼は、まっすぐにご家族を見て、言った。
「俺が、幸せにするんだよ、この人を」
「アユムさん……」
あぁ、この人に出会えて、良かった。
この人を愛して、本当に良かった。
心がほっこり温まる。
「式は一週間後。ぜひ、通信で参列くださいまし」
「えぇ、ありがとうございます。あぁ……アユムの結婚式を本当に見ることができるなんて……」
目ににじんだ涙が、お母様がどんな思いでアユムさんを送り出していたのかを物語っている。
自分のお腹を痛めて生んだ大切な子どもですものね。
きっと親なら見たいはずだわ。そんな子どもの晴れ姿を。
……前世の私は──叶えてあげられなかったけれど。
「それじゃ、そろそろ通信切るね。また連絡するよ」
「あぁ。しっかり頑張りなさい」
お父様の言葉に力強くアユムさんが頷いて、通信は切れた。
「……」
「……」
「……ティアラさん」
「?」
「……ありがとう」
頬を伝うしずくを、私は気づかないふりをしてから「はい」と静かに答えた。
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