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第一章
王の帰還、そして采配
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「ミモラ!!」
「ごきげんよう、お姉様。あらまぁ、随分仲間が増えたのね。まぁいいわ、そこの新しい子達、お姉様の足手纏いにはならないようにね」
変わらぬシスコン具合に私は苦笑いし、レイナさん達は顔を強張らせた。
「お姉様、陛下が帰ってきたわ」
「!!」
ついに戻られたのね……。
「それで、陛下は此度のこと、何と?」
私が尋ねると、ミモラは眉を顰めて息をつき、お父様が難しい表情で口を開いた。
「大変驚かれていたよ。勇者殿のことに関しても、ちょうど聖ミレニア国の国王の訃報を受けたばかりで、弔問準備の忙しい最中、王女が勝手に行ったこと。それを知らぬまま聖ミレニア国へと出国されたのだ驚くのも無理はない。王女も王太子も、三日間の謹慎という“大っ変”厳しい処分を言い渡されたよ」
皮肉めいた言い方をしたお父様に私は「三日ぁぁあ!?」と思わず声を上げた。
たったの三日なの!?
甘くない!?
単なるわがままで、魔王を倒してくれた勇者様を追放しておいて。
浮気した上、冤罪ふっかけて聖女認定された伯爵令嬢を追放しておいて。
三日!?
「アユムさん……」
「はい……。俺たちの命って……三日分で済むんですね……」
二人、ずしんと重い表情で頬を引き攣らせる。
「陛下は、追放されたのは聖女かも怪しい聖女だったからだとおっしゃった。王族を欺き続けていたのだから、致し方ない──と……」
お父様が虚空を睨みつける。
冤罪で追放しておいて致し方ない!?
そんなの有り!?
「あの……それで、城は無事ですか?」
そんなことを言われてお父様がやらかさないはずがない。
まだ牢に入れられてはいないということは、やらかす前にまたお母様が止めてくれたのだろうか?
「無事よ。城も、プレスセント伯爵家もね。お父様がキレ出す前に、珍しくお母様がキレちゃって、私とお父様でお母様を取り押さえたのよ」
「お母様が!?」
温厚で、いつもは止める側のお母様なのに!?
「“私の娘は、常に聖女であろうと努力を惜しまなかった、心の優しい、聖女らしい娘だ。侮辱することは許さない”──ってね。興奮状態にあったから、お父様が魔法で眠らせて、今部屋で休んでるわ」
「お母様……」
だからこの場にお母様がいなかったのか。
「私もミモラも同じ気持ちだよ。ティアラ、もういつでも出て来ればいい。すぐにでも魔法ロープを持って迎えに行こう。追放され、死んだとされたお前が生きていることを知った時のあの愚か者どもの顔は、見ものだろうな」
悪い顔でニタリと笑ったお父様。
イケおじは悪い顔をしても様になる。
あらためて、私は本当に家族に恵まれたのだと感じる。
私のことを信じて、愛してくれる父母、そして妹の元に転生してきて、本当に良かった。
「ありがとうございます、お父様。でも、もう少し待ってください。とりあえず“ヨミ”のボスを倒して彼らを元の世界に戻したら、そちらに戻りますね」
まずはアユムさん達を元の世界に帰さないと。
それと、カナンさんも、街に送って行ってあげなければ。
喧嘩をしたとはいえ、ご両親は心配されているでしょうし。
「あぁ。わかった。終わったら連絡をおくれ。すぐに迎えにいくから。くれぐれも、無茶はせんように」
「勇者様、お姉様のこと、お願いしますね!!」
ミモラの言葉に、アユムさんをチラリと見上げると、彼は深く頷いてから「任せてください」と返した。
「ティアラさんは、俺が守ります」
「アユムさん……」
二人はそんなアユムさんに満足げに頷くと「では、また」と微笑んで通信は切れた。
「ごきげんよう、お姉様。あらまぁ、随分仲間が増えたのね。まぁいいわ、そこの新しい子達、お姉様の足手纏いにはならないようにね」
変わらぬシスコン具合に私は苦笑いし、レイナさん達は顔を強張らせた。
「お姉様、陛下が帰ってきたわ」
「!!」
ついに戻られたのね……。
「それで、陛下は此度のこと、何と?」
私が尋ねると、ミモラは眉を顰めて息をつき、お父様が難しい表情で口を開いた。
「大変驚かれていたよ。勇者殿のことに関しても、ちょうど聖ミレニア国の国王の訃報を受けたばかりで、弔問準備の忙しい最中、王女が勝手に行ったこと。それを知らぬまま聖ミレニア国へと出国されたのだ驚くのも無理はない。王女も王太子も、三日間の謹慎という“大っ変”厳しい処分を言い渡されたよ」
皮肉めいた言い方をしたお父様に私は「三日ぁぁあ!?」と思わず声を上げた。
たったの三日なの!?
甘くない!?
単なるわがままで、魔王を倒してくれた勇者様を追放しておいて。
浮気した上、冤罪ふっかけて聖女認定された伯爵令嬢を追放しておいて。
三日!?
「アユムさん……」
「はい……。俺たちの命って……三日分で済むんですね……」
二人、ずしんと重い表情で頬を引き攣らせる。
「陛下は、追放されたのは聖女かも怪しい聖女だったからだとおっしゃった。王族を欺き続けていたのだから、致し方ない──と……」
お父様が虚空を睨みつける。
冤罪で追放しておいて致し方ない!?
そんなの有り!?
「あの……それで、城は無事ですか?」
そんなことを言われてお父様がやらかさないはずがない。
まだ牢に入れられてはいないということは、やらかす前にまたお母様が止めてくれたのだろうか?
「無事よ。城も、プレスセント伯爵家もね。お父様がキレ出す前に、珍しくお母様がキレちゃって、私とお父様でお母様を取り押さえたのよ」
「お母様が!?」
温厚で、いつもは止める側のお母様なのに!?
「“私の娘は、常に聖女であろうと努力を惜しまなかった、心の優しい、聖女らしい娘だ。侮辱することは許さない”──ってね。興奮状態にあったから、お父様が魔法で眠らせて、今部屋で休んでるわ」
「お母様……」
だからこの場にお母様がいなかったのか。
「私もミモラも同じ気持ちだよ。ティアラ、もういつでも出て来ればいい。すぐにでも魔法ロープを持って迎えに行こう。追放され、死んだとされたお前が生きていることを知った時のあの愚か者どもの顔は、見ものだろうな」
悪い顔でニタリと笑ったお父様。
イケおじは悪い顔をしても様になる。
あらためて、私は本当に家族に恵まれたのだと感じる。
私のことを信じて、愛してくれる父母、そして妹の元に転生してきて、本当に良かった。
「ありがとうございます、お父様。でも、もう少し待ってください。とりあえず“ヨミ”のボスを倒して彼らを元の世界に戻したら、そちらに戻りますね」
まずはアユムさん達を元の世界に帰さないと。
それと、カナンさんも、街に送って行ってあげなければ。
喧嘩をしたとはいえ、ご両親は心配されているでしょうし。
「あぁ。わかった。終わったら連絡をおくれ。すぐに迎えにいくから。くれぐれも、無茶はせんように」
「勇者様、お姉様のこと、お願いしますね!!」
ミモラの言葉に、アユムさんをチラリと見上げると、彼は深く頷いてから「任せてください」と返した。
「ティアラさんは、俺が守ります」
「アユムさん……」
二人はそんなアユムさんに満足げに頷くと「では、また」と微笑んで通信は切れた。
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