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クレア・デラクロワ著「夜は甘く妖しく」ハーレクイン文庫

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 大領主様の命令でそれぞれ先祖代々受け継がれてきた領地を継ぐために政略結婚した夫婦のお話。

 ヒーローがとにかく可愛いです。胸毛が生えてるけど。二十年ぶりに故郷に帰ってきて打ち捨てられた領地を見て、それでも感動して喜んで、親友と雪の中ではしゃいで、絶望的な状況なのに前向きに領地を立て直そうと頑張る姿が健気すぎて。おまけにお人好しで正直で義に厚くて美青年ときた。作中での言動も(ちょっと馬鹿っぽい感じはするけど)誠実そうでやっぱり可愛い。ので、ヒロインの刺々しい態度にものすごく胸が痛みました。ヒーローが悲しむと私も哀しくなってしまう、みたいな。
 ヒーローが夫婦としてうまくやっていけるように歩み寄ろうと頑張っているのにヒロインが頑なにヒーローを批判して撥ね付けて、そのくせヒーローが追ってこないと「やっぱり領地が大事なだけなんだ」って拗ねたりするもんだから中盤までかなりイライラするのですが、このヒロイン、終盤でヒーローに対する気持ちを自覚して認めたあとは、これまでの態度はなんだったんだっていうくらい可愛くなってびっくりでした。最後のほうの健気なヒロインを見ていると、それ以前の酷い言動がどうでもよくなってしまうくらい。まさに終わりよければ全て良し!みたいな。
 他に類を見ない魅力のあるヒーローがイチオシの作品だと思います。
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