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偽り

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 彼女の視線を受け止めたまま、国王がゆっくりと両手の指を組む。

「アレクシア嬢。……残念だよ。本当に、残念だ。きみはすでに、望んだ通りの自由を与えられていたというのにね」

 困ったように笑みを深め、彼は続けた。

「スウィングラー辺境伯家は、東の国境を守護する要。その後継者であったきみの能力を、国王たる私が正しく把握していなかったと思うかい?」

 その言葉に、国王の隣にいたローレンスが驚愕の表情を浮かべる。アレクシアは、咄嗟に目を細めた。

 ――きみが対外的に『可憐で愛らしい理想の令嬢』を演じていたお陰で、陛下にきみの本当の姿を報告しても、まるで信じてもらえなかった僕の苦労を、少しはわかって欲しいんだよ。
 ――陛下は今でもきみのことを、『両親の離縁と辺境伯家の継承権剥奪に傷ついて、自暴自棄になっている哀れな令嬢』だと思っているんだ。

 数日前に聞いた、ローレンスの言葉を思い出す。いかにも本当らしく聞こえたそれが真実であると、一体誰が保障できるというのか。それが、伝聞であるならなおさらだ。

 そして、今こうして目の前で語られる国王の言葉には、まるで偽りの気配がない。ゴールドアンバーの瞳も、その身を巡る魔力の流れも、どこまでも静かに落ち着いたものだ。
 国王は、どこまでも静かな口調で続ける。

「きみたちを逃がしてやれるものなら、そうしてあげたかったよ。それが、彼の望みだったから」
「彼……?」

 呟いた彼女に、国王がうなずく。

「きみの祖父、スウィングラー辺境伯デズモンド。エッカルト王国から、きみの両親の離縁を打診されたとき、彼は私にこう言ったんだ。――自分は最愛の妻を亡くしたときから、すべてを間違い続けてきた。息子の教育を誤り、その代償をすべて幼い孫娘に背負わせてしまった。これが、最初で最後の機会。この世界に生まれてきた喜びも楽しみも、何ひとつ知らない孫娘を血まみれの人生から解放し、ごく普通の少女として自由に生きる道を選ばせてやっていただきたい、と」

 嘘だ、と咄嗟に思う。
 そんなはずはない。デズモンドがアレクシアに求めていたのは、いつだって『スウィングラー辺境伯家の完璧な後継者』という人形であることだけだったのだ。

「彼の話を聞いて、私は尋ねた。そんなやり方では、大切な孫娘を傷つけ、恨まれるだけではないのか。しかし、それでいいと彼は答えた。あの娘には、自分を憎む権利がある。むしろ、憎んでくれたほうが好都合だ。自分を憎めば、あの娘は従者とともに逃げる道を選びやすくなるだろう。ウィルフレッド・オブライエンならば、これから孫娘がどんな生き方を選ぼうと、必ず守れる。スウィングラーの新たな後継者には、自分が責任を持って新たな側近を用意するゆえ、どうか孫娘たちのことは見逃してやっていただきたい」

 視界の端で、ウィルフレッドの肩がわずかに揺れる。
 ……傷ついた。
 デズモンドに捨てられたアレクシアは、たしかに傷ついて、彼を憎んで――そして、ウィルフレッドとともにスウィングラー辺境伯家から逃げ出したのだ。

(わたし、は……)

 混乱する。
 今まで信じてきたことを根底からひっくり返す国王の言葉を、すべて否定して耳を塞いでしまいたい。なのに、彼は淡々と言葉を紡ぐ。

「デズモンド殿の奥方は、きみやエイドリアン殿と同じ髪と瞳の、とても強く美しい女性だった。……彼女は数十年前、幼い我が子を暗殺者から庇って亡くなったのだよ」

 アレクシアは、首を小さく横に振る。
 知らない。そんな話は、聞いたことがない。

「最愛の妻が命がけで守った息子を甘やかすことしかできず、ろくでもない男に育ててしまったデズモンド殿は、きみが美しく成長していく姿を見るたび、恐ろしくてたまらなかったそうだ。妻と同じ髪と目をした孫娘が、いつか妻と同じように、あっけなく命を奪われてしまうのではないか――」

 だから、デズモンドはアレクシアに徹底した教育を施した。
 人の血と死にまみれた戦場でも、権謀術数渦巻く貴族社会でも、誰にも頼らずひとりで生きていくことができるように。
 ……けれどそれは、アレクシアから人間らしい感情を奪い、命じられるままスウィングラーのために戦う人形にしてしまっただけだった。

 デズモンドは後悔したのだ、と国王は言う。

「自分は、必ず孫娘よりも先に死ぬ。彼女の父親である息子は役立たず。ならば、自分にできることは、老いた庇護者を喪っても生き延びられるだけの力と、絶対に裏切らない守護者を孫娘に与えることだけだ。デズモンド殿は、そう言っていた。……アレクシア嬢」

 一度言葉を切って、国王はアレクシアを見た。

「デズモンド殿のやり方は、たしかに間違っていたのかもしれない。けれど彼は、誰よりもきみを愛していたよ」
「……愛?」

 からからに渇いた彼女の喉から、掠れた声がこぼれる。引きつった笑みを浮かべ、アレクシアは言う。

「世迷い言は結構。以前、王太子殿下にも申し上げましたが、わたしの望みはただひとつ。こちらの従者とともに、王家ともスウィングラー辺境伯家とも関わり合いにならずに生きていたい。それだけです」

 頭が、ひどく痛む。息がしにくい。これ以上、何も考えたくなかった。
 アレクシアにとって、王家とスウィングラー辺境伯家の人間の言葉は、信じるに値するものではない。彼らが口にするのは、嘘ばかり。たとえどれほど本当らしく聞こえたところで、鵜呑みにすれば自分たちが馬鹿を見るだけだ。
 一拍置いて、国王がため息交じりに口を開く。

「先ほども言ったけれどね。それは、無理というものだ。……アレクシア嬢。きみがただ美しいだけの令嬢であれば、我々と関わり合いにならない人生を選べたかもしれない。だがきみは、誰かのために戦うことにしか生きる意味を見出せない人間だ。違うかな」

 静かな問いかけに、彼女は咄嗟に返す言葉を失う。

「デズモンド殿の後継者教育は、きみから自分自身のために生きる意思を奪ってしまった。きみは、自分以外の誰かのためにしか生きることができない、壊れた子どもだ。だが――たとえどんな理由があったとしても、大義のない力の行使はただの暴力に過ぎない。きみがこれからも戦い続ける人生を選ぶなら、この国の秩序を司る我々と、決して袂を分かつことはできないのだよ」
「や、め……」

 アレクシアは無意識に耳を塞ぎかけたが、国王は容赦がなかった。

「スウィングラー辺境伯家にいた頃には、スウィングラーの民を。そして今は、たったひとりの味方である従者を守ることでしか生きていけない。それはきみ自身が、きみという人間を無価値だと、誰にも愛される価値のない、取るに足らない存在だと思っているからではないのかな」

 いやだ。聞きたくない。

「きみは私を哀れだと言ったが、本当に哀れなのはきみ自身なのだと自覚すべきだ。主従契約を結んでいる従者でなければ、心から信じることができない。他人と深く関わり合って、無価値な自分を知られるのが恐いのだろう。その絶望から目を逸らすために、きみは簡単に自分自身を危険に晒す。……きみの人生に巻き込んだ従者に対する言い訳が、欲しかったのではないのか。自分は、こんなにがんばっています。だからどうか、あなたのために生きることを許してください――」
「やめろ!!」

 きつく目を閉じ、アレクシアは叫んだ。

「なん、で……っ、なんで、そんなこと……っ!!」
「現実を見なさい、アレクシア・スウィングラー! ウィルフレッド・オブライエンは――きみが選んで育てた少年は、今、不幸なのか!? 彼が、きみの命と人生を自分のために犠牲にしろと、一度でも望んだか!!」

 びく、と震えた彼女の体を、誰かがさらうような勢いで抱きしめる。……ウィルフレッドの、におい。伝わる体温はたしかに温かいのに、彼の腕も震えていた。
 違うだろう、と国王が言う。

「ウィルフレッドくんを、『アレクシア・スウィングラーのせいで不幸になった哀れな少年』だと思っているのは、きみだけだ。彼は、自分自身の意思できみを守るためにここにいる。そんなことは、きみ自身が一番わかっているのではないのか」
「……っ」

 カタカタと細かく震え続ける彼女の手首を、ウィルフレッドが指の痕が残りそうな力で掴む。
 痛くて、熱い。その感覚だけが、今のアレクシアが縋れるものだった。

「アレクシア嬢。己の罪悪感から逃れるために、人生のすべてを彼に押しつけるのは、もうやめなさい。きみの大切な従者の強さを、過信するな。彼とて、まだ未成年の子どもなんだ。今の彼に、きみの人生をすべて背負えるほどの強さはない」

 その言葉にウィルフレッドの体が強張ったけれど、彼は何も言わなかった。
 ……卑怯な大人の、上辺ばかりを取り繕った言葉なら、アレクシアは社交用の笑顔ひとつでいくらでも聞き流せる。
 けれど、今国王が口にしているのは、すべて本当のことだった。
 だから、こんなにも痛くて辛い。目を背け続けてきた真実を突きつけられるのは、これほどまでに心を抉るものなのか。

「きみは生涯、過去の呪縛から逃れられない。その運命から逃れようとするのは、もうやめるんだ。逃げずに、正面から食らい尽くせ。血まみれの過去に怯えるだけの、哀れな被害者でい続けるな。臆病な逃避も、愚かで哀れな自己犠牲も、きみの人生には必要ない」

 息が、苦しい。全身が痛い。

「何も、知らないくせに……! わたしたちのことなんて、何も……っ」

 目を閉じたまま吐き出した彼女の言葉に、国王が静かに返す。

「そうだね。きみたちの苦悩も悲しみも、私には何ひとつわからない。想像することも難しい。だが、きみたちが今までどんなふうに生きてきたのか、どんな選択をして今ここにいるのかは知っているよ。デズモンド殿が、教えてくれたから。……付け加えるなら、きみたちがシンフィールド学園に在籍することを黙認するよう、私に要請してきたのもデズモンド殿だ」

 アレクシアは、目を見開いた。
 王太子との邂逅のあと、なぜ学園側が彼女たちに干渉してこようとしないのか、不思議に思わなかったわけではない。けれどそれは、ただ面倒ごとを避けたいという大人の処世術だとばかり思っていたのだ。
 あの学園での生活がすべて、デズモンドの意思に支えられていたものだというのなら――

「アレクシア嬢。ウィルフレッドくん。きみたちにとって、シンフィールド学園での生活は楽しいものではなかったか? 信頼できる教師と、同年代の級友たちとともに過ごす時間は――スウィングラー辺境伯家で戦うばかりの日々よりも、ずっと幸せだったのではないのかな」

 幸せ、だったのだろうか。あの日々は。
 最初の頃は、ただ新たな人生を送るための学びの場としか考えていなかった。けれど、あそこはアレクシアが生まれてはじめて頼れる大人や、友人と思える者たちと出会えた場所だ。担任教師のエリックや、親しくしてくれているジョッシュ、キャスリーン。彼らだけではなく、ほかの級友たちにだって、危険な目になど遭って欲しくない。

 そんなふうに、シンフィールド学園での生活は、『ウィルフレッドとそれ以外』だったアレクシアの世界に、少しずつ新たな価値観を与えていった。たくさんの驚きと小さな喜びの積み重ねは、たしかに幸せと定義するべき時間だったのかもしれない。

 けれど、わからない。
 今まで、自分自身の幸せなど望んだことがないから、それが本当に幸せなのか判断できない。

「……ふたりとも、顔を上げなさい」

 国王の命令に、ウィルフレッドの腕が少し緩んだ。
 ゴールドアンバーの瞳が、いまだ混乱したままのアレクシアを映す。

「きみは、私と同じものは見られないと言ったね。ならば、きみは私を見ているといい。そして、私が誤った道を進んだときには、きみたちが止めるんだ。何しろ、私はこの国の王だからね。私のこれからの選択次第では、きみたちの大切な学友らも無事では済まなくなる」
「……どんな、脅迫ですか」

 掠れきった彼女の問いに、国王はうっすらと笑って言った。

「ただの事実だよ。――あぁ、それから。まだ公表していないけれど、我が国でも飛行補助魔導武器は、概ね実用化できるレベルまで開発が進んでいる。もっとも、相当なじゃじゃ馬らしくてね。それを使いこなすことができる魔導兵士は、まだ近衛所属の十八名しかいないんだ」

 アレクシアの戦利品をちらりと見ながら言われた事実は、さほど驚くようなことではない。良質の魔導鉱石を豊富に産出するランヒルド王国では、魔導武器の開発が盛んである。他国が実戦投入してきた技術が、この国でまるで研究されていないというのは、まずあり得ないことだ。

 この国の上層部は、すでに実用段階までできあがっている飛行補助魔導武器を得ていながら、その存在をまったく外部に漏らすことなく、周辺諸国に対する示威行為にすら使わずにいたわけか。
 少なからずほっとしていた彼女に、国王は底の見えない目を向け、ゆるりと笑みを深めた。

「彼らのうち四名は、現在この王宮の警護に残っている。ほかのメンバーには、敵方に飛行魔導兵士の存在が報告された時点で、スウィングラーの増援に向かわせる手はずを整えてさせいたんだが……。いざ出立という段になって、きみが一足先に現着したという報告が入ってね。せっかくだから、彼らには別の任務に当たってもらうことにした」

 別の、と呟いたアレクシアは、目を見開く。
 ランヒルド王国に宣戦布告してきた七カ国連合にとって、彼女が撃墜した十二名の飛行魔導兵士は、おそらく勝利を確実なものにするための切り札だった。それを突然失ったと知らされて、冷静にそれを受け入れることができるだろうか。

 彼女が考えを巡らせるより先に、会議室の扉をノックする音が響いた。国王の許可ののち、近衛の制服を着た魔導兵士が姿を現す。完璧な敬礼ののち、彼は張りのある大きな声で言った。

「ご報告いたします! 飛行魔導兵士部隊隊長より報告! 七カ国連合宗主国ラウティオ首都スラッカにおいて、ウルマス教大神殿の破壊に成功! これより帰投するとのことです!」

 ウルマス教は、この大陸の東方諸国が多く国教としている宗教だ。リベラ平原を奪うため、七カ国連合が持ち出してきたものである。その総本山直轄の大神殿を破壊したという報告に、側近たちが歓喜の声を上げ、国王は穏やかな口調で応じる。

「素晴らしい。これで我が国は、名実ともに立派なウルマス神の敵となったわけだね」
(この……人は……)

 違う。
 彼は、今までアレクシアが相対してきた大人たちとは、まるで違う種類の人間だ。息を詰めて見つめる彼女に、国王が言う。

「ようやく、あちらが宣戦布告をしてきてくれた。これからは我が国も堂々と、降りかかる火の粉を払うために最大戦力を投入できる。――アレクシア嬢」

 どこまでも静かな口調で、彼は告げた。

「きみが奪取してくれた敵方の飛行補助魔導武器を解析すれば、我が国の研究開発に大きく寄与することだろう。改めて、心より感謝する」
「……はい」

 少し、考える時間が欲しい。焦っているつもりはなかったけれど、さすがにことを進めるのが性急すぎたようだ。
 未熟だな、と自省したアレクシアは、そこで自分の足下ですよすよと眠っている少年の存在を思い出した。彼については王太子に対処を丸投げするつもりだったが、こうなった以上国王に任せるのが筋というものだろう。

「陛下。申し遅れましたが、こちらの少年は、リベラ平原を襲撃してきた飛行魔導兵士のひとりです。ただ、彼の自己申告によれば、敵陣営が使用している飛行補助魔導武器の運用実験における被検体であるとのことでした。彼の同胞より与えられた呼称は、七十八号。ご覧の通りの未成年であることに加え、彼自身には我々に対する敵意がなかったため、わたしの一存で保護して参りました」

 沈黙が落ちた会議室に、少年の健やかな寝息だけが響く。

「たしかに彼は、敵陣営におけるエース級の飛行魔導兵士ではありますが、それ以前に非人道的な児童虐待の被害者です。できるだけ寛容な措置をお願いいたします」
「……ちょっと待ってくれるかい、アレクシア嬢」

 びしっと片手を上げた国王の頬が、どことなく引きつっている。

「私の記憶違いでなければ、きみは先ほど王太子に、民間人の少年を保護したと言っていなかったかな?」
「はい。国際条約で未成年の実戦投入が認められていない以上、彼を捕虜として扱うのは不適切ですから」

 それがどうした、と応じた彼女に、なぜか国王が頭痛を堪えるように眉間を揉む。

「うん。そうか。……でもね、アレクシア嬢。いくら未成年の子どもとはいえ、そんな危険人物を連れてくるのであれば、やはり事前に一言、その旨の報告はしてほしかったよ」
「はい。申し訳ありません」

 たしかにこれは、形式上の問題のみクリアすれば構わないと判断したアレクシアのミスだ。素直に詫びた彼女は、無防備に眠る少年にちらりと視線を向けた。……目を閉じていると、一層幼い風情になって、ただの可愛らしい子どもにしか見えない。
 なんだか不安になったアレクシアは、改めて国王を見る。

「陛下。先ほど申し上げた、リベラ平原防衛に対する報酬の変更をお願いします。わたしが保護してきたこの少年に、ランヒルド王国の市民権を与えていただきたい。その上で、彼の保護及び監督に関する権限を、すべてわたしに委任してほしいのです」
「なんだって?」

 思わず、というふうに眉根を寄せた国王に、アレクシアは言った。

「これほど見目のいい、戦闘能力保障付きの少年です。いずれ、その身の振り方について、みなさまの間で争いが生じましょう。――まぁ、ぶっちゃけて申し上げるなら、わたしは自分が戦場で拾ってきた子どもが、あなた方の食い物にされるところは見たくないのですよ。もちろん、この国の未来のために、可能な限りの協力はいたします。けれど、あなた方が彼に対して理不尽な振る舞いをすることは、断じて許さない」

 にこりとほほえみ、彼女は告げる。

「愚かな子どもの、傷のなめ合いと思っていただいて結構。ただ、わたしは幼い頃、あなた方のお仲間だった方に『ピンヒールで踏んでくれ』と請われたときから、可愛らしい子どもに対する貴族男性の良識には、一切期待しないことにしているのです」
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