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1年目〜3年目 近藤 裕太編
キャプテン
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夏の大会で敗戦後、チームには3日間の休みが与えられていた。昨年は心と身体を休めるため、授業が終わるとまっすぐ家に帰っていた。
しかし、今年は身体を動かしていないと落ち着かず、帰宅せずに一人室内練習場でバットを振っているのだった。
2日目からは星形と岩井が合流し、3人で打撃練習を行った。
「せっかくの休みなんだから、ちゃんと休んだらいいのに。ただでさえうちの部はほとんど休みなんてないんだからさ」
「いやー、そうなんすけど。なんか、家にいてもやることがなかったんすよね……」
「俺もです。だったら、身体を動かしたいと思いました」
俺が星形と岩井に声をかけると、2人が練習しに来たのは俺と同じような理由だった。
「それに……」
「ん?何かあったのか?」
星形が何か言おうとしたがやめてしまった。俺が気になって聞き返すと、思いもがけない人の名前が出てきた。
「いやー、実は昨日休みだったんで岩井と出かけてたんすよ。そしたら明先輩の姿を見かけて……」
「え!?どこかで買い物でもしてたのか?」
「いや、走ってました。明先輩も気付いてくれて少し話したんすけど、どうやら日課にしているランニングみたいだったす。話した感じ、春先から走り始めたらしいっす」
春先ってことは……春の大会予選で負けた頃だろうか。
「それを聞いて、なんだか休んでる場合じゃないなって思ったっす。岩井もそれを聞いてて同じように思ったみたいっす」
「エースだった人が負けた翌日も走ってるのに、俺たちは休んでるなんて知って、練習しなきゃと思いました」
「そうだったのか……」
明の姿は春の大会予選敗退以降、練習後に室内練習場で見ることはなかった。俺はもしかしたら明に何かあったのかといろいろと考えていたけど、とんだ杞憂だったみたいだ。明は俺の練習を手伝うことよりも、エースとしての自分の成長を優先しただけだったのだ。
『明はそんなヤワなやつじゃないもんな……』
「近藤先輩、なんで笑ってるんすか?気持ち悪いんすけど……」
「え?俺笑ってたのか……」
明の話を聞いて思わず笑ってしまっていた。明は俺の知ってる明のままだったからだ。そういうことなら俺も負けてられないな。
「先輩に気持ち悪いとか、お前そんなにボールを打ちたかったのか。岩井、星形にもう二箱追加で」
「はい、分かりました」
「ひどいっす!!」
3日間の休みが終わり、練習前に全員がベンチ前に集められた。
「久しぶりだな。今日から練習を再開する。秋の大会予選まで日数はそんなにはない。今日からしっかりと気合を入れ直して活動再開してくれ。では、新チーム始動の前に俺からキャプテンを発表する。新チームのキャプテンは近藤、お前だ」
「はい!」
「じゃあ近藤キャプテン、みんなに一言頼む」
俺は山田監督の横に移動して、話始めた。
「えー、山田監督から話があったように、この度新チームのキャプテンをやらせてもらうことになりました。自分たちの課題は得点力だと思います。夏は1点の重みを知りました。個々の打撃力の向上はもちろんですが、チームとして1点を貪欲に取りにいきたいと思います。まずは次の秋の大会では県大会出場を目指しています。これからよろしくお願いします」
『パチパチパチパチ』
拍手が終わったタイミングで山田監督が話始めた。
「えー、副キャプテンは石井と木下に任せる。石井は投手陣をまとめてあげてほしい。木下は近藤のサポートをよろしく頼む」
「「はいっ!」」
「今のままでは秋の大会で予選を勝ち上がるのは簡単にはいかないだろう。そこを達成するためには、残りの期間全員がレギュラーを取るつもりで全力で練習や試合に取り組んでくれ。競争が激しくなればなるほど、個々の力も向上していくはずだ。まずは、夏を全員で乗り越えるぞ」
「「はいっ!」」
「よし、じゃあ近藤キャプテン、練習を始めてくれ」
「はい!……じゃあ、ランニングからいくぞ!」
俺をキャプテンとして、今日から新チームが始動したのだった。
その日の夜、寝ようと思いベットに移動するとメールが来ていることに気が付いた。珍しいなと思いながら中身を確認した。
『神様 2022/07/07
宛先:baseball.8989@anu.ne.jp
━━━━━━━━━━━━━━
おめでとうなのじゃ!
キャプテン就任おめでとうなのじゃ!近藤裕太としてはこの1年が勝負の年になるのぉ。後悔のないように過ごすようにするのじゃ。早速だがお知らせがあるわい。キャプテン就任のお祝いに1つ、力を開放したから有意義に使うのじゃ。健闘を祈っておるぞい。
【先導する者】
『この力はキャプテンのみ発揮できる。試合での活躍具合によって、出場しているチームメイトの能力が変動する。試合出場時に、自動で発動します。途中で交代しても、ある程度効果は継続する』
「これは……結構責任重大だな」
俺の活躍によってはチームを鼓舞することが出来るだろう。しかし、その逆も考えられる。俺が相手投手に抑えられればチームの士気は下がり、苦戦は免れないだろう。
「他力本願じゃ目的は達成できないってことか。面白い、やってやるよ!」
神様からのメールを見て、俺は気合いを入れ直したのだった。
しかし、今年は身体を動かしていないと落ち着かず、帰宅せずに一人室内練習場でバットを振っているのだった。
2日目からは星形と岩井が合流し、3人で打撃練習を行った。
「せっかくの休みなんだから、ちゃんと休んだらいいのに。ただでさえうちの部はほとんど休みなんてないんだからさ」
「いやー、そうなんすけど。なんか、家にいてもやることがなかったんすよね……」
「俺もです。だったら、身体を動かしたいと思いました」
俺が星形と岩井に声をかけると、2人が練習しに来たのは俺と同じような理由だった。
「それに……」
「ん?何かあったのか?」
星形が何か言おうとしたがやめてしまった。俺が気になって聞き返すと、思いもがけない人の名前が出てきた。
「いやー、実は昨日休みだったんで岩井と出かけてたんすよ。そしたら明先輩の姿を見かけて……」
「え!?どこかで買い物でもしてたのか?」
「いや、走ってました。明先輩も気付いてくれて少し話したんすけど、どうやら日課にしているランニングみたいだったす。話した感じ、春先から走り始めたらしいっす」
春先ってことは……春の大会予選で負けた頃だろうか。
「それを聞いて、なんだか休んでる場合じゃないなって思ったっす。岩井もそれを聞いてて同じように思ったみたいっす」
「エースだった人が負けた翌日も走ってるのに、俺たちは休んでるなんて知って、練習しなきゃと思いました」
「そうだったのか……」
明の姿は春の大会予選敗退以降、練習後に室内練習場で見ることはなかった。俺はもしかしたら明に何かあったのかといろいろと考えていたけど、とんだ杞憂だったみたいだ。明は俺の練習を手伝うことよりも、エースとしての自分の成長を優先しただけだったのだ。
『明はそんなヤワなやつじゃないもんな……』
「近藤先輩、なんで笑ってるんすか?気持ち悪いんすけど……」
「え?俺笑ってたのか……」
明の話を聞いて思わず笑ってしまっていた。明は俺の知ってる明のままだったからだ。そういうことなら俺も負けてられないな。
「先輩に気持ち悪いとか、お前そんなにボールを打ちたかったのか。岩井、星形にもう二箱追加で」
「はい、分かりました」
「ひどいっす!!」
3日間の休みが終わり、練習前に全員がベンチ前に集められた。
「久しぶりだな。今日から練習を再開する。秋の大会予選まで日数はそんなにはない。今日からしっかりと気合を入れ直して活動再開してくれ。では、新チーム始動の前に俺からキャプテンを発表する。新チームのキャプテンは近藤、お前だ」
「はい!」
「じゃあ近藤キャプテン、みんなに一言頼む」
俺は山田監督の横に移動して、話始めた。
「えー、山田監督から話があったように、この度新チームのキャプテンをやらせてもらうことになりました。自分たちの課題は得点力だと思います。夏は1点の重みを知りました。個々の打撃力の向上はもちろんですが、チームとして1点を貪欲に取りにいきたいと思います。まずは次の秋の大会では県大会出場を目指しています。これからよろしくお願いします」
『パチパチパチパチ』
拍手が終わったタイミングで山田監督が話始めた。
「えー、副キャプテンは石井と木下に任せる。石井は投手陣をまとめてあげてほしい。木下は近藤のサポートをよろしく頼む」
「「はいっ!」」
「今のままでは秋の大会で予選を勝ち上がるのは簡単にはいかないだろう。そこを達成するためには、残りの期間全員がレギュラーを取るつもりで全力で練習や試合に取り組んでくれ。競争が激しくなればなるほど、個々の力も向上していくはずだ。まずは、夏を全員で乗り越えるぞ」
「「はいっ!」」
「よし、じゃあ近藤キャプテン、練習を始めてくれ」
「はい!……じゃあ、ランニングからいくぞ!」
俺をキャプテンとして、今日から新チームが始動したのだった。
その日の夜、寝ようと思いベットに移動するとメールが来ていることに気が付いた。珍しいなと思いながら中身を確認した。
『神様 2022/07/07
宛先:baseball.8989@anu.ne.jp
━━━━━━━━━━━━━━
おめでとうなのじゃ!
キャプテン就任おめでとうなのじゃ!近藤裕太としてはこの1年が勝負の年になるのぉ。後悔のないように過ごすようにするのじゃ。早速だがお知らせがあるわい。キャプテン就任のお祝いに1つ、力を開放したから有意義に使うのじゃ。健闘を祈っておるぞい。
【先導する者】
『この力はキャプテンのみ発揮できる。試合での活躍具合によって、出場しているチームメイトの能力が変動する。試合出場時に、自動で発動します。途中で交代しても、ある程度効果は継続する』
「これは……結構責任重大だな」
俺の活躍によってはチームを鼓舞することが出来るだろう。しかし、その逆も考えられる。俺が相手投手に抑えられればチームの士気は下がり、苦戦は免れないだろう。
「他力本願じゃ目的は達成できないってことか。面白い、やってやるよ!」
神様からのメールを見て、俺は気合いを入れ直したのだった。
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