無限高校球児〜監督も兼任!?甲子園優勝するまで終われません〜

黒林

文字の大きさ
上 下
13 / 31
1年目〜3年目 近藤 裕太編

秋の大会 二次予選

しおりを挟む
『打つことだけが点を取る手段ではない……か』


『はい……どう思いますか?』


 翌日の練習中、俺は山田監督に月末報告の内容を伝えていた。


『うーん……1つ思いつくのは小技かな』


『小技ですか。バントとか?』


『そうだ。後は走塁面だな。盗塁やエンドランとか、足を絡めた攻撃だと思う。実は俺も考えていたんだ』


『え!そうなんですか?』


『練習試合でバントのミスが多かったり、盗塁失敗が多かったり、公式戦で多用するにはまだ今のチームには難しいんだよ』


 確かに練習試合では積極的に盗塁やエンドランを試していた。バントも成功率が決して高いとはいえなかった。


『だから大会ではほとんど使わなかったんですね』


『そうなんだ。失敗するリスクが高すぎてな。小技が安定して使えるようになれば、うちのチームの勝率も上がってくるはずなんだけどな』


『秋の大会二次予選は明後日から始まるので、日数的に効果はすぐには期待できないですけど重点成長能力を変更しておきましょうか』


『そうだな。最初は走力の方から頼む』


『分かりました。明日の朝変更しておきます』









「今日のスタメンを発表する」  


 あっという間に秋の大会の二次予選がやってきた。抽選の結果、初戦は坪﨑つぼさき高校になっていた。夏の大会は2回戦敗退。今のうちなら、勝つ可能性は十分あり得る相手だ。


本日のスタメン


1番 セカンド   川内(2年 背番号4)

2番 センター   田中(2年 背番号8) 

3番 レフト    北野(2年 背番号7)

4番 ライト    秋田(2年 背番号9)

5番 サード    斎藤(2年 背番号5)

6番 キャッチャー 水谷(1年 背番号2) 

7番 ファースト  近藤(1年 背番号3)

8番 ピッチャー  石井(1年 背番号1)

9番 ショート   越後(2年 背番号6)



 スタメンは一次予選のときと同じだった。一次予選敗退後も8月中は打撃練習がメインだったので、みんなの打撃力は向上しているはずだ。早めに打って、先発の明を援護出来ればいいのだけど。







1回表 ツーアウト ランナー満塁


 まさかの初回から打席が回ってきた。しかも満塁。


 相手ピッチャーの立ち上がりを攻め、4番の秋田先輩のタイムリーで1点先生した。


 その後、相手ピッチャーは制球が定まらず連続四球で満塁となっていた。


 ここは是が非でも追加点が欲しいところだ。だが、無理に打ちにいって凡退して、制球が乱れてる相手投手を助けることはしたくない。


 とりあえずはファーストストライクが入るまでは様子見しかないな。


「ボール」


「ボール」


「ストライーク!」


 初球はストレートがアウトコースに外れた。2球目はカーブが高めに浮いてボール。3球目にストレートがど真ん中に投げられた。


 カウントワンストライクツーボール。もう1球待ちたい。だけど、今みたいにど真ん中に投げてカウントを取りに来ることも考えられる。そのボールだけは思い切って打ちにいくことにした。



『狙いの球種→ストレート

 打ち方  →センター返し

 成功確率 →40%』



 ピッチャーはセットポジションに入り、投球動作に入った。俺はそれに合わせてタイミングを取り始める。


「ボール」


 投げてきたのはカーブ。アウトコースに外れていたので手を出さなかった。


 これでカウントはスリーボールワンストライク。さすがに1球様子見だな。


「ボール、フォアボール」


 結局最後はストレートが明らかに高めに外れ、押し出しにより追加点が入った。打ってを点を取りたがったが仕方ないだろう。







「ゲーム!」


「「ありがとうございました!」」


 その後も打線は打ち続け、6対2で公式戦で初勝利することができた。


 俺は3打数1安打1打点2四球だった。ヒットは打てたがランナーがいない場面だったので、次はチャンスで1本打ちたいものだ。


「今日はよくやった!次の試合は明後日だ。今日は帰って疲れを取るように。特に先発した石井は明後日も投げてもらうから、しっかり休むんだぞ。では、解散」


 明は7回 被安打4 失点1 四死球2 奪三振5と好投した。まだ投げられそうだったが、明後日に備えて7回でマウンドを降りたのだった。


 その日、俺と明は今日の試合を振り返りながら意気揚々と帰宅するのだった。







「今日はそこまで疲れてないけど、もう寝よう」


 1日練習したときと比べると疲労感はあまりない。だが、明後日にはまた試合だし、体力はできるだけ回復しておきたい。


「………あれ?メールだ」


 携帯にはメールが届いていた。俺は開いて中身を確認した。





『神様  2021/09/03
 宛先:baseball.8989@anu.ne.jp
━━━━━━━━━━━━━━
 レベルアップじゃ!

 公式戦初勝利おめでとうなのじゃ!順調に進めているようでわしは嬉しいぞい。早速だがお知らせじゃ。条件を満たしたので、レベルアップしたぞい。それによって報酬も与えられるので、内容は下の方に書いておいたぞい。今後に生かすとよいぞい。では、またのぉ!


○チーム評価

 対外評価1→2(+1)


○報酬

 新入生推薦枠(県内2)獲得




「………何これ?」


 俺は明日山田監督にあったときに考えようと決め、思考を放棄してベットに入り横になるのだった。





『山田監督、昨日チームの対外評価の数値が上がりました』


『そうか!公式戦で初勝利したからそのおかげかもな』


『俺もそう思います。あと、報酬として新入生推薦枠?が獲得できたんですけど』


『え!?そういうことだったのか!』


 俺の報告に驚いた声が聞こえてくる。そこまで驚くようなことなのだろうか?


『えっと……そんなに驚くことですか?』


『あぁ、いきなり大声出して悪かったな。実は今日の朝校長から野球部の活躍を受けて、新入生の推薦枠を増やすという話をいただいていたんだ。もともとは枠は1つ用意してくれてたんだけど、いきなりもう1つ増えたから不思議に思っていたんだ』


 なるほど、それは俺でも驚くな。新入生推薦枠がこの時期にいきなり増えたと思ったら、それが神様の仕業だったなんて。


『でも、これってかなりありがたいことですよね?』


『そうだな。有望な選手がたくさん入ってきてくれたほうが甲子園優勝の可能性が高くなるからな』


 今後も数値が上がれば枠も増えるのかな。そういえば県内って書いてたけど、いずれは県外からも来るのか?その時は神様の力で引っ越しでもするのだろうか……。


 4月の新入生入部が、今から楽しみになってきたのだった。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

過程をすっ飛ばすことにしました

こうやさい
ファンタジー
 ある日、前世の乙女ゲームの中に悪役令嬢として転生したことに気づいたけど、ここどう考えても生活しづらい。  どうせざまぁされて追放されるわけだし、過程すっ飛ばしてもよくね?  そのいろいろが重要なんだろうと思いつつそれもすっ飛ばしました(爆)。  深く考えないでください。

第3次パワフル転生野球大戦ACE

青空顎門
ファンタジー
宇宙の崩壊と共に、別宇宙の神々によって魂の選別(ドラフト)が行われた。 野球ゲームの育成モードで遊ぶことしか趣味がなかった底辺労働者の男は、野球によって世界の覇権が決定される宇宙へと記憶を保ったまま転生させられる。 その宇宙の神は、自分の趣味を優先して伝説的大リーガーの魂をかき集めた後で、国家間のバランスが完全崩壊する未来しかないことに気づいて焦っていた。野球狂いのその神は、世界の均衡を保つため、ステータスのマニュアル操作などの特典を主人公に与えて送り出したのだが……。 果たして運動不足の野球ゲーマーは、マニュアル育成の力で世界最強のベースボールチームに打ち勝つことができるのか!? ※小説家になろう様、カクヨム様、ノベルアップ+様、ノベルバ様にも掲載しております。

処理中です...