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1年目〜3年目 近藤 裕太編
新チーム始動
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「はぁー。暇だなぁ。」
試合後のミーティングで、2日間の休みが与えられた。入部してから昨日まで、ほとんど休みなく練習してきた。その反動もあってか、何もない日があっても過ごし方に困ってしまうのだ。
「そういえば、まだ6月の月末報告見てなかった」
1日は試合に負けたショックでメールのチェックを忘れてしまっていた。一夜開けて落ち着いた俺は、メールの確認をすることにした。
『神様 2021/06/30
宛先:baseball.8989@anu.ne.jp
━━━━━━━━━━━━━━
月末報告じゃ!
久しぶり、神様じゃ。元気にしとるかのぉ?今日で6月が終わるので、月末報告をするぞい。
◎個人能力値
近藤 裕太(1年)右投げ右打ち
※各数値の最大値は100
※下の()は補足説明
〇ポジション
ファースト21(+5)
他0
〇打撃
・ミート力 16(+2)
(バットにボールを当てる能力)
・スイング速度 16(+2)
(スイングの速さ)
・パワー 18(+2)
(打球速度、飛距離)
〇走塁
・足の速さ 17(+1)
(単純な足の速さ)
・走塁技術 9(+1)
(ベースランニングとスライディング)
・盗塁技術 4
(リード、スタート、スライディング)
〇守備
・肩の強さ 15(+2)
(距離)
・送球の正確性 15(+2)
(コントロール)
・握り変え 10(+2)
(取ってから握り変える早さ)
・捕球力 13(+3)
(球際の強さ)
・打球判断力 15(+3)
(ボールとの距離感、スタート)
・守備範囲 16(+2) (足の速さ+打球判断力)÷2
〇投手
・球速 98km/h
・制球力 8
・スタミナ 11
・変化球 なし
〇その他
・体力 27(+2)
(練習をする上で必要不可欠)
・精神力 19(+2) (様々な場面での度胸)
・サインプレー 10(+1)
(理解力)
・バント 12(+1)
(バントの技術)
◎チーム評価
※最大値は10
・投手力 1
・打撃力 2
・機動力 1
・守備力 2(+1)
・指導力 1
・対外評価 1
◎アドバイス
大会では投手の調子、球数に注意して早めの継投を心掛けること。
「投手の調子と球数か……」
3年生の2人がどちらも打ち込まれるとは正直思っていなかった。5月の練習試合では今回負けた小野田高校と同じぐらいの打力のチームと何度か試合をしたが、それなりに抑えていたからだ。
6月後半から実践を意識したシートバッティング(各ポジションに選手が配置され、試合と同じような雰囲気で行う打撃練習)では、確かに俺も何本かヒットは打ててはいたが……。
「山田監督に聞いてみるか。選手としての今の俺よりも、監督という立場でチームを見ている山田監督の方が気付いていることも多そうだし」
山田監督は何か気付いていたのだろうか……。
『そうか、そんなアドバイスが……』
『……そこまで落ち込む内容ですか?』
練習が再開され、俺は休み中に見たメールの内容を報告していた。報告を聞いた後の山田監督の声色から、かなり落ち込んでいるようだった。
『いや、正直先発ピッチャーは誰にするか当日の朝まで迷っていたんだ』
『え!?なんでですか?』
『実は6月半ば辺りから、3年生ピッチャーの2人が揃って調子を落としてな。経験もあるし、最後の大会というのもあって送り出したんだが……。そのアドバイスを聞いていたら先発ピッチャーは石井だっただろうな』
山田監督も2人の様子がいつもと違うことに気付いていたのか。気付いていても、それでも信じて送り出したなんて……。
『すいません。もう過ぎたことなのに、山田監督がそこまで落ち込むなら今回の内容はもう過ぎたことですし、伝えない方が良かったですね』
『いや、むしろ伝えてくれてスッキリしたよ。俺の感じていることは間違ってなかったことに気付けたからな。悔やむとすればそのアドバイスを試合前に聞けなかったことだな。来年は気をつけよう』
『そうですね。俺も今後はその日に確認することを徹底します』
山田監督はもう前を向いているみたいだった。この2日間は1、2年生だけでなく、監督にとっても必要な時間だったようだ。
『そういえば重点成長能力はどうします?』
『あぁ、それもあったな。守備力の数値は1上がっていたし、当初の目的に戻ることにするか。秋の大会までは、チームの武器を作るために打撃力を向上させていこう』
『分かりました。明日忘れずに変更しておきます』
次は秋の大会。甲子園に繋がる大事な大会なので、しっかり準備していかないといけないな。
秋の大会は県大会の前に一次予選と二次予選があって、どっちかで2勝しなければならない。一次と二次でチャンスは2度あるというわけだ。しかも、組み合わせによっては弱小校でも県大会にいくチャンスがあるのだ。
『そういえば秋の大会一次予選は8月のお盆の後でしたよね』
『今年は8月17日からだな。組み合わせ抽選会は7月30日だけどな』
『と、いうことは背番号が決まるのって……』
『7月30日までに決まるな。発表は試合の1週間前だが。あと、1か月切ったけど……まぁ、頑張れ』
そうだった。あっという間に予選が始まるんだった。しかも、俺が守るファーストはレギュラーだった斎藤先輩が2年生だから新チームに残っている。レギュラーから外れのは5人……。
『……頑張ります』
翌日、重点成長能力を打撃に変更した後、俺は死にものぐるいでバットを振り続けるのだった
試合後のミーティングで、2日間の休みが与えられた。入部してから昨日まで、ほとんど休みなく練習してきた。その反動もあってか、何もない日があっても過ごし方に困ってしまうのだ。
「そういえば、まだ6月の月末報告見てなかった」
1日は試合に負けたショックでメールのチェックを忘れてしまっていた。一夜開けて落ち着いた俺は、メールの確認をすることにした。
『神様 2021/06/30
宛先:baseball.8989@anu.ne.jp
━━━━━━━━━━━━━━
月末報告じゃ!
久しぶり、神様じゃ。元気にしとるかのぉ?今日で6月が終わるので、月末報告をするぞい。
◎個人能力値
近藤 裕太(1年)右投げ右打ち
※各数値の最大値は100
※下の()は補足説明
〇ポジション
ファースト21(+5)
他0
〇打撃
・ミート力 16(+2)
(バットにボールを当てる能力)
・スイング速度 16(+2)
(スイングの速さ)
・パワー 18(+2)
(打球速度、飛距離)
〇走塁
・足の速さ 17(+1)
(単純な足の速さ)
・走塁技術 9(+1)
(ベースランニングとスライディング)
・盗塁技術 4
(リード、スタート、スライディング)
〇守備
・肩の強さ 15(+2)
(距離)
・送球の正確性 15(+2)
(コントロール)
・握り変え 10(+2)
(取ってから握り変える早さ)
・捕球力 13(+3)
(球際の強さ)
・打球判断力 15(+3)
(ボールとの距離感、スタート)
・守備範囲 16(+2) (足の速さ+打球判断力)÷2
〇投手
・球速 98km/h
・制球力 8
・スタミナ 11
・変化球 なし
〇その他
・体力 27(+2)
(練習をする上で必要不可欠)
・精神力 19(+2) (様々な場面での度胸)
・サインプレー 10(+1)
(理解力)
・バント 12(+1)
(バントの技術)
◎チーム評価
※最大値は10
・投手力 1
・打撃力 2
・機動力 1
・守備力 2(+1)
・指導力 1
・対外評価 1
◎アドバイス
大会では投手の調子、球数に注意して早めの継投を心掛けること。
「投手の調子と球数か……」
3年生の2人がどちらも打ち込まれるとは正直思っていなかった。5月の練習試合では今回負けた小野田高校と同じぐらいの打力のチームと何度か試合をしたが、それなりに抑えていたからだ。
6月後半から実践を意識したシートバッティング(各ポジションに選手が配置され、試合と同じような雰囲気で行う打撃練習)では、確かに俺も何本かヒットは打ててはいたが……。
「山田監督に聞いてみるか。選手としての今の俺よりも、監督という立場でチームを見ている山田監督の方が気付いていることも多そうだし」
山田監督は何か気付いていたのだろうか……。
『そうか、そんなアドバイスが……』
『……そこまで落ち込む内容ですか?』
練習が再開され、俺は休み中に見たメールの内容を報告していた。報告を聞いた後の山田監督の声色から、かなり落ち込んでいるようだった。
『いや、正直先発ピッチャーは誰にするか当日の朝まで迷っていたんだ』
『え!?なんでですか?』
『実は6月半ば辺りから、3年生ピッチャーの2人が揃って調子を落としてな。経験もあるし、最後の大会というのもあって送り出したんだが……。そのアドバイスを聞いていたら先発ピッチャーは石井だっただろうな』
山田監督も2人の様子がいつもと違うことに気付いていたのか。気付いていても、それでも信じて送り出したなんて……。
『すいません。もう過ぎたことなのに、山田監督がそこまで落ち込むなら今回の内容はもう過ぎたことですし、伝えない方が良かったですね』
『いや、むしろ伝えてくれてスッキリしたよ。俺の感じていることは間違ってなかったことに気付けたからな。悔やむとすればそのアドバイスを試合前に聞けなかったことだな。来年は気をつけよう』
『そうですね。俺も今後はその日に確認することを徹底します』
山田監督はもう前を向いているみたいだった。この2日間は1、2年生だけでなく、監督にとっても必要な時間だったようだ。
『そういえば重点成長能力はどうします?』
『あぁ、それもあったな。守備力の数値は1上がっていたし、当初の目的に戻ることにするか。秋の大会までは、チームの武器を作るために打撃力を向上させていこう』
『分かりました。明日忘れずに変更しておきます』
次は秋の大会。甲子園に繋がる大事な大会なので、しっかり準備していかないといけないな。
秋の大会は県大会の前に一次予選と二次予選があって、どっちかで2勝しなければならない。一次と二次でチャンスは2度あるというわけだ。しかも、組み合わせによっては弱小校でも県大会にいくチャンスがあるのだ。
『そういえば秋の大会一次予選は8月のお盆の後でしたよね』
『今年は8月17日からだな。組み合わせ抽選会は7月30日だけどな』
『と、いうことは背番号が決まるのって……』
『7月30日までに決まるな。発表は試合の1週間前だが。あと、1か月切ったけど……まぁ、頑張れ』
そうだった。あっという間に予選が始まるんだった。しかも、俺が守るファーストはレギュラーだった斎藤先輩が2年生だから新チームに残っている。レギュラーから外れのは5人……。
『……頑張ります』
翌日、重点成長能力を打撃に変更した後、俺は死にものぐるいでバットを振り続けるのだった
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