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1年目〜3年目 近藤 裕太編
前世の俺と今の俺
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「ふぁー、よく寝た。早く着替えて朝飯食わないと……あれ?」
俺は眠たい目を擦りながら携帯に目を向けると、メールが来ていることに気付いた。まさかとは思って、確認するとやはり神様からの返信だった。
『神様 2021/04/17
宛先:baseball.8989@anu.ne.jp
━━━━━━━━━━━━━━
初めてメールしてくれたのぉ!
神様じゃ。よくぞ、メールしてくれたのぉ。今後もどんどんメールしてくるのじゃぞ。
さて、先程のメールの件だが、頭の中から聞こえた声は気のせいではない。まぁ、新たな君の力の1つと言っても過言ではないのぅ。能力や熟練度によって、いろいろと変化してくる様になっておるのじゃ。君が成長することで、その力は君の願望を叶えるための手助けとなってくれるはずじゃ。今後も修練を怠るでないぞ。
そうそう、いつになったら山田監督に話しかけるんじゃ?早く協力関係を築いて、チームを育てていったほうが良いと思うぞ。
君はまだ与えられた力のほとんどを使いこなせていない。よく考えているようだこうどうするのじゃぞ。では、またな。達者でのぅ。
「与えられた力をほとんど使いこなせてない、か。」
そもそもどんな力が与えられたのかすら分かってないんだ。それなのに使いこなせという方が、無理があるというものだ。
「……さすがに前世の俺と話すしかないか」
神様の言う通り、甲子園優勝を目指すためにはこのままではいけない。今日こそ腹を括って覚悟を決めるしかない。俺はどうやって話を切り出したら前世の俺がビックリしないか、いろいろな考えに頭を巡らせるのだった。
「失礼します」
「おぉ、早速だが入ってくれ。話をしよう」
チャンスはいきなりやってきた。今日も昨日に続いて紅白戦を行い、終了後に監督が一人ひとりと面談する時間をとったからだった。
ちなみに結果は3打数1安打1四球だった。ヒットを打った相手投手は2年生だったが、先輩から綺麗にセンター前ヒットを打てたのは素直に嬉しかった。
「あー、そこの椅子に座ってくれ。どうだ練習には慣れたか?」
「はい、先輩たちが優しく指導してくださるので、充実した日々を過ごしています」
「そうかそれは良かった。早速だがいろいろと話すことがある。この2日間の試合結果は7打数1安打1四球でノーエラーか。うちのチームは打力が物足りないからな。スイングも悪くなかったし、この調子でしっかりアピールを続けてくれることを楽しみにしてるよ」
その後も他に守ったことがあるポジションについて、投手経験の有無、自分の伸ばしたい部分等、いろいろなことについて聞かれた。
「俺から聞きたいことはこんなところかな。最後に近藤から、俺になにか言いたいことはあるか?」
この機会を逃したら、またしばらくこの件について聞けない気がする。俺は、覚悟を決めて質問することにした。
「監督に確認したいことがあります。神様って信じてますか?」
「…………んー、まぁいるとは思うかな。神社とかでおねがいしたりもするし……」
俺のいきなりの質問に面食らったようで、少し間があいて答えが返ってきた。
「実はその神様の力で近藤くんの身体に入ってしまいました。俺の前世は山田監督です。記憶ももっています」
「……あっはっはっは!いきなり、何を言い出すかと思えば、そんなユーモアのあることを言ってくるとは思わなかったよ」
山田監督は俺の発言に大笑いしていた。そりゃあ、俺が逆の立場でも思わず笑ってしまうような話だった。
「父の名前は隆史、母の名前は由恵。初恋の相手の名前は杉本 歩美。中学校時代のあだ名はヤッスー。高校時代に通ったラーメン屋は味噌一番本店。大学時代のバイト先は駅近の焼肉屋さん。最近の悩みは練習試合をどう組んだらいいか分からない」
俺はパッと思いついた過去から現在にかけて、本人しか知りえない情報を口にした。俺の話を聞いて山田監督は口をあんぐり開けて、固まってしまった。
「まだ何か有りますか?」
「……俺の秘密を1つ教えてくれ」
「今住んでいるアパートの隣に住んでいる女性とあわよくば仲良くなって、ご飯に行きたいと思っている、でどうですか?」
「ちなみに前世ではその人とはどうなったんだ?」
「その人には彼氏がいることに気付いて諦めます。ちなみに一生独身です」
「まじか……。聞きたくなかったな……」
山田監督は苦笑いを浮かべながら、どうしたものかと考えている様だった。
「分かった。信じよう。もう少し詳しく今の状況について話してくれないか?」
俺は前世で後悔を残して死んだこと、その際強く願うことで過去の教え子の高校球児に転生したこと、今わかっている特殊な力、甲子園優勝するまで終わることができないことなど、なるべく漏れがないように丁寧に説明した。
俺が話終わると、山田監督は一言も喋らず、考え事を続けていた。3分ほど経ったところで観念したかのように大きくため息をこぼす。
「よくわかってないけど、よくわかった。お前の言うことは全面的に信じることにした。それで、俺はこれからどうしたらいいんだ?」
「それは……」
確かにどうしたらいいのだろう。神様からはとりあえず山田監督と話して……たしか、チームを育成するって言ってた気がする。でも、今の状況でどうやって?
「ええっと、そこはまた神様に聞いてみようと思います。とりあえず今日は山田監督と信頼関係を築くことが目標でしたので」
「そうか。なら、もし今後何か俺にできることがあれば教えてくれ。甲子園優勝するためなら俺も全力で協力させてもらう」
「ありがとうございます。一緒に頑張っていきましょう!」
無事に理解してもらえて、協力を約束してもらうことができた。
帰ったら早速神様と相談して、今後の動きについて決めなきゃいけないな、と考えるのだった。
俺は眠たい目を擦りながら携帯に目を向けると、メールが来ていることに気付いた。まさかとは思って、確認するとやはり神様からの返信だった。
『神様 2021/04/17
宛先:baseball.8989@anu.ne.jp
━━━━━━━━━━━━━━
初めてメールしてくれたのぉ!
神様じゃ。よくぞ、メールしてくれたのぉ。今後もどんどんメールしてくるのじゃぞ。
さて、先程のメールの件だが、頭の中から聞こえた声は気のせいではない。まぁ、新たな君の力の1つと言っても過言ではないのぅ。能力や熟練度によって、いろいろと変化してくる様になっておるのじゃ。君が成長することで、その力は君の願望を叶えるための手助けとなってくれるはずじゃ。今後も修練を怠るでないぞ。
そうそう、いつになったら山田監督に話しかけるんじゃ?早く協力関係を築いて、チームを育てていったほうが良いと思うぞ。
君はまだ与えられた力のほとんどを使いこなせていない。よく考えているようだこうどうするのじゃぞ。では、またな。達者でのぅ。
「与えられた力をほとんど使いこなせてない、か。」
そもそもどんな力が与えられたのかすら分かってないんだ。それなのに使いこなせという方が、無理があるというものだ。
「……さすがに前世の俺と話すしかないか」
神様の言う通り、甲子園優勝を目指すためにはこのままではいけない。今日こそ腹を括って覚悟を決めるしかない。俺はどうやって話を切り出したら前世の俺がビックリしないか、いろいろな考えに頭を巡らせるのだった。
「失礼します」
「おぉ、早速だが入ってくれ。話をしよう」
チャンスはいきなりやってきた。今日も昨日に続いて紅白戦を行い、終了後に監督が一人ひとりと面談する時間をとったからだった。
ちなみに結果は3打数1安打1四球だった。ヒットを打った相手投手は2年生だったが、先輩から綺麗にセンター前ヒットを打てたのは素直に嬉しかった。
「あー、そこの椅子に座ってくれ。どうだ練習には慣れたか?」
「はい、先輩たちが優しく指導してくださるので、充実した日々を過ごしています」
「そうかそれは良かった。早速だがいろいろと話すことがある。この2日間の試合結果は7打数1安打1四球でノーエラーか。うちのチームは打力が物足りないからな。スイングも悪くなかったし、この調子でしっかりアピールを続けてくれることを楽しみにしてるよ」
その後も他に守ったことがあるポジションについて、投手経験の有無、自分の伸ばしたい部分等、いろいろなことについて聞かれた。
「俺から聞きたいことはこんなところかな。最後に近藤から、俺になにか言いたいことはあるか?」
この機会を逃したら、またしばらくこの件について聞けない気がする。俺は、覚悟を決めて質問することにした。
「監督に確認したいことがあります。神様って信じてますか?」
「…………んー、まぁいるとは思うかな。神社とかでおねがいしたりもするし……」
俺のいきなりの質問に面食らったようで、少し間があいて答えが返ってきた。
「実はその神様の力で近藤くんの身体に入ってしまいました。俺の前世は山田監督です。記憶ももっています」
「……あっはっはっは!いきなり、何を言い出すかと思えば、そんなユーモアのあることを言ってくるとは思わなかったよ」
山田監督は俺の発言に大笑いしていた。そりゃあ、俺が逆の立場でも思わず笑ってしまうような話だった。
「父の名前は隆史、母の名前は由恵。初恋の相手の名前は杉本 歩美。中学校時代のあだ名はヤッスー。高校時代に通ったラーメン屋は味噌一番本店。大学時代のバイト先は駅近の焼肉屋さん。最近の悩みは練習試合をどう組んだらいいか分からない」
俺はパッと思いついた過去から現在にかけて、本人しか知りえない情報を口にした。俺の話を聞いて山田監督は口をあんぐり開けて、固まってしまった。
「まだ何か有りますか?」
「……俺の秘密を1つ教えてくれ」
「今住んでいるアパートの隣に住んでいる女性とあわよくば仲良くなって、ご飯に行きたいと思っている、でどうですか?」
「ちなみに前世ではその人とはどうなったんだ?」
「その人には彼氏がいることに気付いて諦めます。ちなみに一生独身です」
「まじか……。聞きたくなかったな……」
山田監督は苦笑いを浮かべながら、どうしたものかと考えている様だった。
「分かった。信じよう。もう少し詳しく今の状況について話してくれないか?」
俺は前世で後悔を残して死んだこと、その際強く願うことで過去の教え子の高校球児に転生したこと、今わかっている特殊な力、甲子園優勝するまで終わることができないことなど、なるべく漏れがないように丁寧に説明した。
俺が話終わると、山田監督は一言も喋らず、考え事を続けていた。3分ほど経ったところで観念したかのように大きくため息をこぼす。
「よくわかってないけど、よくわかった。お前の言うことは全面的に信じることにした。それで、俺はこれからどうしたらいいんだ?」
「それは……」
確かにどうしたらいいのだろう。神様からはとりあえず山田監督と話して……たしか、チームを育成するって言ってた気がする。でも、今の状況でどうやって?
「ええっと、そこはまた神様に聞いてみようと思います。とりあえず今日は山田監督と信頼関係を築くことが目標でしたので」
「そうか。なら、もし今後何か俺にできることがあれば教えてくれ。甲子園優勝するためなら俺も全力で協力させてもらう」
「ありがとうございます。一緒に頑張っていきましょう!」
無事に理解してもらえて、協力を約束してもらうことができた。
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