友人とその恋人の浮気現場に遭遇した話

蜂蜜

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正直な話、俺は猿渡が好きではない。


美形を妬んでいる訳ではない。

『友達の恋人』に嫉妬する程俺は鬼頭に執着していないので、鬼頭が恋人といる時間を優先したからって猿渡を嫌いになったりもしない。

寧ろ、猿渡の話をする時の鬼頭はそれはもう綺麗なので、目の保養になっているぐらいだ。

俺が猿渡を気に入らない理由、それは………


猿渡アイツが鬼頭を裏切っているからだ


大学の内外問わず、猿渡が鬼頭じゃない奴と二人きりでいるのを何回も見た事があるし、構内でキスしてるのだって見た。

ディープキスは友達とはしないよな?

それに、何度も歓楽街のホテルがある方へと歩いて行くのを見た事があるから、多分それ以上の事もしている。
(まぁ、そこに関してはその場面を見た事がないから憶測の域を出ないんだけどな)


それでも、あれは間違いなく浮気だろう


どれだけ顔が良かろうと、人当たりが良かろうと、恋人を裏切るような奴はクズっていうのが俺の持論だ。

そして、猿渡はそのクズに当て嵌まる。


(クズだけど、鬼頭は猿渡が好きなんだよなぁ)

本当に理解できないが、二人にしか分からないお互いの顔があるんだろう。


恋人同士の事に口出しをするのは無粋だから、基本的には関わらない事にしている。

だが、猿渡の浮気現場を何度も目撃してしまっては、そうとも言えなくなってきたのだ。

(アイツに隠す気がないのか、俺の行く先々でキスしたりベタベタ触り合ったりしてるんだよな……何の嫌がらせだよ)

流石に見ていられなくなって、鬼頭に猿渡が浮気をしているかもしれないと何度かそれとなく話したが、本人はどこ吹く風といった感じで、全く意味を成さなかった。

『僕が直接その現場を見た訳じゃないから、彼を責める事はできないよ』

『まぁ、そうなんだけどさー。怪しいって疑った事はないの?』

『僕はね、疑って疲れるより、信じて疲れる方を選びたいんだよ。
だから、この目で見るまでは…明楽の口から直接聞くまでは、明楽を信じるって決めてるんだ』

『聖女かよ……』

『いや、僕は男なんだけど。普通の人間だし』


驚き過ぎて声に出ていたらしい。

俺なら疑って疑って、浮気の証拠を掴んで即別れるけどな……火のない所に煙は立たないっていうし。

鬼頭は顔だけじゃなくて考え方まで綺麗なようだ。


そんな鬼頭を裏切っている猿渡って、やっぱりクズじゃねーか?

何回考えても同じ結論に行き着くから、俺は永久に猿渡を好きになれないかもしれない。
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