平凡くんと【特別】だらけの王道学園

蜂蜜

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寮長と新しいルームメイトと危機管理

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「お見苦しい物をお見せしました」

リビングに付いてすぐ、床に額を押し付けて謝る。

あんな物を見せられて気分がいいはずがない。
百鬼先輩達にもどの面下げて会っていいのか分からない。

謝る俺に藤涙が慌てて顔を上げるように言ってくれた。
何て良い奴なんだろう。

顔を上げて藤涙を見ると、一瞬だけど目を見開いて驚いた顔をしていた。
多分今、俺はとても情けない顔をしているからだと思う。

「見苦しくなんかない!!寧ろ最高のご褒美だったよ!!ありがとう、園宮!」

よく分からないけど、藤涙なりにフォローしてくれてるんだろうな……やっぱり良い奴だ。

「ほんと……か?俺なんかが優弦さんみたいな綺麗な人と…あ……あんな…気持ち悪かったんじゃないか?」

「(何その縋るような目、可愛すぎるし僕以外の攻め候補にどんどん見せて行って欲しい。
そしてハグとかキスとかされて欲しい。と言うか園宮だから最高なんだよ?分かって?)
園宮以外は認めないが?」

「?えっと……ありがとう…で合ってる?」

嫌悪はされていないと思っていいのか分からなくて、情けないが藤涙本人に答えを求めてしまう。

「合ってるよ。どうせならソファに座って話さない?すぐ眼の前にあるのに床に座るなんて勿体ないよ」

「………うん」

何て優しいんだろう。
あんな醜態を見せたと言うのに、罵りも責めたりもせず、笑い掛けてくれるだけじゃなくて話相手にまでなってくれるらしい。

鷲杜の事があるから信用していいのかまだちょっと分からないけれど、藤涙は違うといいなと思った。


「(うんって…返事しただけなのに可愛いく見える最推し最高だな。
それにあの顔!!あまり表情が変わらない人みたいだけど、さっきからエロい顔とか泣きそうな顔とか不安そうな顔とか今のはにかんだ顔とか!!!ご褒美過多で鼻だけじゃなくて毛穴全部から出血しそう)
麦茶しかないんだけど、用意するから待ってて」

「えっ…それなら俺がっ…」

「いいのいいの、部屋替わったばっかりで疲れてるでしょ?今日は僕にやらせてよ」

「そうする。ありがとう、藤涙」

(最推しの微笑みプライスレス!!!!)

突然、藤涙が顔を覆って天を仰いだ。
前にも見た事あるんだけど……この学校では常識的な行動なのかな?


それから、お互いに手探り状態ながらも話をして夜まで時間を過ごした。

藤涙は聞くのも話すのも上手で、初めて会ったのに一緒にいて凄く楽しい。
ちょっと時々分からない事言ってたり、謎の動きをするけど……基本は優しくて良い奴だと思う。

部屋替えをした理由を話したら自分の事のように怒ってくれたし。
『やっぱりアンチじゃないか、あの野郎!』って聞こえたけど、俺への文句ではなさそうだったからいい…かな?


藤涙と友達になりたいなと思った俺は、チョロ過ぎるだろうか。
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