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寮長と新しいルームメイトと危機管理
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優弦さんに案内された先の部屋には【藤涙 紫苑】と書かれたネームプレートが付いていた。
藤涙……確か、鬼ごっこで2位だった人だ。
他の『フジナミくん』かもしれないけれど、鬼ごっこの人なら凄い人と言う事になる。
あの人数から時間ギリギリ近くまで逃げ切ったんだもんな……凄い。
緊張しながらドアをノックする。
ドアを開けて俺達を迎え入れてくれた人は、何故か俺を見た瞬間に固まってしまった。
え、俺何かやらかしただろうか。
互いが見つめ合うという謎の間が出来てしまったが、今度こそ仲良くなる為にもと挨拶をした瞬間、藤涙君が物凄い勢いで話し始めた。
多分、とても褒めてくれたんだと思うんだけど、あまりの勢いに思わず一歩後退ってしまう。
内容も過大評価だったしな。
一向に止まる気配のない藤涙君に、とりあえず落ち着いて貰おうと、改めて話し掛けようとする俺の肩を叩いて、優弦さんが俺の前に出た。
そして、目にも留まらぬ早さで藤涙君の顔を鷲掴みにした
「夢じゃないから、少し黙ろうか?」
人の顔ってあんな簡単に掴んで持ち上げられる物だったっけ?
ああああ!足が浮いてぷらーんってなってる!
藤涙君は俺より背が高いし、優弦さんとほとんど身長変わらないのに……どうなってんの!?
止めようと優弦さんに手を伸ばして、今度は俺が固まる。
怖っ!!!
さっきまで下がっていた目尻は上がって目が据わってるし、上がっていた口角は下がっていて、まるで人形のような表情をしている。
長い前髪を耳にかける仕種はとても色っぽいのだが、人の顔鷲掴みにしながらやるの?
「で、落ち着いた?藤涙。まだならこのまま眠らせるけれど。煩いし」
永眠じゃないですよね?それ
「ちっとも落ち着けませんが、今眠るなんて勿体ない真似はできないので、大人しくしています……というか、さっきの声に出てました?」
「全部声に出てたね。
本当の事だけれど、あんなに矢継ぎ早に話しては園宮が怖がってしまうだろう。駄目だよ?」
「はい」
優弦さんと藤涙君が話している内容がさっぱり理解できないのは俺だけだろうか。
さっきのあれは誰が聞いたって過大評価だ。
未だに混乱から抜け出せない俺が助けを求めて後ろを振り返ると
百鬼先輩と西園寺先輩も戸惑った様に目を見開いていた。
藤涙……確か、鬼ごっこで2位だった人だ。
他の『フジナミくん』かもしれないけれど、鬼ごっこの人なら凄い人と言う事になる。
あの人数から時間ギリギリ近くまで逃げ切ったんだもんな……凄い。
緊張しながらドアをノックする。
ドアを開けて俺達を迎え入れてくれた人は、何故か俺を見た瞬間に固まってしまった。
え、俺何かやらかしただろうか。
互いが見つめ合うという謎の間が出来てしまったが、今度こそ仲良くなる為にもと挨拶をした瞬間、藤涙君が物凄い勢いで話し始めた。
多分、とても褒めてくれたんだと思うんだけど、あまりの勢いに思わず一歩後退ってしまう。
内容も過大評価だったしな。
一向に止まる気配のない藤涙君に、とりあえず落ち着いて貰おうと、改めて話し掛けようとする俺の肩を叩いて、優弦さんが俺の前に出た。
そして、目にも留まらぬ早さで藤涙君の顔を鷲掴みにした
「夢じゃないから、少し黙ろうか?」
人の顔ってあんな簡単に掴んで持ち上げられる物だったっけ?
ああああ!足が浮いてぷらーんってなってる!
藤涙君は俺より背が高いし、優弦さんとほとんど身長変わらないのに……どうなってんの!?
止めようと優弦さんに手を伸ばして、今度は俺が固まる。
怖っ!!!
さっきまで下がっていた目尻は上がって目が据わってるし、上がっていた口角は下がっていて、まるで人形のような表情をしている。
長い前髪を耳にかける仕種はとても色っぽいのだが、人の顔鷲掴みにしながらやるの?
「で、落ち着いた?藤涙。まだならこのまま眠らせるけれど。煩いし」
永眠じゃないですよね?それ
「ちっとも落ち着けませんが、今眠るなんて勿体ない真似はできないので、大人しくしています……というか、さっきの声に出てました?」
「全部声に出てたね。
本当の事だけれど、あんなに矢継ぎ早に話しては園宮が怖がってしまうだろう。駄目だよ?」
「はい」
優弦さんと藤涙君が話している内容がさっぱり理解できないのは俺だけだろうか。
さっきのあれは誰が聞いたって過大評価だ。
未だに混乱から抜け出せない俺が助けを求めて後ろを振り返ると
百鬼先輩と西園寺先輩も戸惑った様に目を見開いていた。
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