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寮長と新しいルームメイトと危機管理
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しおりを挟む「それじゃあ、園宮の荷物を移そうか」
散々撫で回して満足したのか、解放するなり何事もなかったかの様に告げて来た。
「俺達も手伝おう」
何と、寮長室への付添いだけではなく、引越しの手伝いまでしてくれると言う。
優しすぎて仏様に見えてきた。
心の中で百鬼先輩達に両手を合わせて拝んでおく。
それから部屋へと向かい、旅行用のボストンバッグに衣類や日用品を詰め込んでいく。
幸いと言っていいのかは分からないが、部屋に鷲杜は居なかったので、気を遣わずに引越し作業に集中できた。
ちなみに、鷲杜と副会長の親衛隊はお咎めなしだそうだ。
俺達以外に誰もその場を見ていないから証拠がないし、通報した俺が無傷だからね。
華柩先輩が風紀に通報したら動けるんだろうけど、あの人はそう言う回りくどい事は余程の事がない限りはしなさそうだ。
百鬼先輩の録音データにも、彼等の名前はないから証拠としては弱い。
鷲杜も見廻りが来る前にはあの場所から居なくなっていたらしいし。
今は要注意と言う事で落ち着いた。
下手に騒ぎにならなくて本当に良かった。
元々家から持ってきた荷物は少なかったので、然程時間は掛からなかった。
かさ張ったのは調理器具や調味料ぐらいじゃないだろうか。
「予想はしていたけれど、園宮は私物が少ないね」
「そうですか?必要な物はほとんど揃えて頂いているので、こんな物かなと思うんですが」
「園宮のその『普通』な考え方は大事にした方がいいよ。
ここの当たり前に馴染んでしまうと卒業してから大変な目に合うからね」
まるで眩しい物でも見るように目を細めた優弦さんに見つめられてたじろぐ。
ただでさえ優弦さんは綺麗な人なのに、そんな熱っぽい目で見られると、慣れていない身としてはどうしていいのか分からなくて困ってしまう。
戸惑って固まってしまったのを、優弦さんが言ってくれた言葉の意味がよく分からないと思われたのか、戸惑っている俺に百鬼先輩がそっと耳打ちして教えてくれた。
生徒の中には家具に拘る人もいるらしく、入寮する際に大掛かりな搬入作業が必要になる事があるのだとか。
ベッドとか、ソファとか、テーブルとか。
俺は特に家具への拘りはないし、買うお金もない。
ないならまだしも、学校側から支給してくれているのであればそれで充分だ。
そう伝えたらその場にいた三人に代わる代わる撫でられた。
相当苦労しているんだろうなぁ……俺なんかの頭でも役に立つならいくらでも撫でて欲しいと思って大人しく撫でられた。
そうして、纏めた荷物を手分けして抱え、新しいルームメイトが待つという部屋へと向かった。
散々撫で回して満足したのか、解放するなり何事もなかったかの様に告げて来た。
「俺達も手伝おう」
何と、寮長室への付添いだけではなく、引越しの手伝いまでしてくれると言う。
優しすぎて仏様に見えてきた。
心の中で百鬼先輩達に両手を合わせて拝んでおく。
それから部屋へと向かい、旅行用のボストンバッグに衣類や日用品を詰め込んでいく。
幸いと言っていいのかは分からないが、部屋に鷲杜は居なかったので、気を遣わずに引越し作業に集中できた。
ちなみに、鷲杜と副会長の親衛隊はお咎めなしだそうだ。
俺達以外に誰もその場を見ていないから証拠がないし、通報した俺が無傷だからね。
華柩先輩が風紀に通報したら動けるんだろうけど、あの人はそう言う回りくどい事は余程の事がない限りはしなさそうだ。
百鬼先輩の録音データにも、彼等の名前はないから証拠としては弱い。
鷲杜も見廻りが来る前にはあの場所から居なくなっていたらしいし。
今は要注意と言う事で落ち着いた。
下手に騒ぎにならなくて本当に良かった。
元々家から持ってきた荷物は少なかったので、然程時間は掛からなかった。
かさ張ったのは調理器具や調味料ぐらいじゃないだろうか。
「予想はしていたけれど、園宮は私物が少ないね」
「そうですか?必要な物はほとんど揃えて頂いているので、こんな物かなと思うんですが」
「園宮のその『普通』な考え方は大事にした方がいいよ。
ここの当たり前に馴染んでしまうと卒業してから大変な目に合うからね」
まるで眩しい物でも見るように目を細めた優弦さんに見つめられてたじろぐ。
ただでさえ優弦さんは綺麗な人なのに、そんな熱っぽい目で見られると、慣れていない身としてはどうしていいのか分からなくて困ってしまう。
戸惑って固まってしまったのを、優弦さんが言ってくれた言葉の意味がよく分からないと思われたのか、戸惑っている俺に百鬼先輩がそっと耳打ちして教えてくれた。
生徒の中には家具に拘る人もいるらしく、入寮する際に大掛かりな搬入作業が必要になる事があるのだとか。
ベッドとか、ソファとか、テーブルとか。
俺は特に家具への拘りはないし、買うお金もない。
ないならまだしも、学校側から支給してくれているのであればそれで充分だ。
そう伝えたらその場にいた三人に代わる代わる撫でられた。
相当苦労しているんだろうなぁ……俺なんかの頭でも役に立つならいくらでも撫でて欲しいと思って大人しく撫でられた。
そうして、纏めた荷物を手分けして抱え、新しいルームメイトが待つという部屋へと向かった。
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