5 / 110
寮長と新しいルームメイトと危機管理
5
しおりを挟む
【寮長室】
ここに来るのは2ヶ月振りだ。
ノックしてから数秒、開いたドアから優しい雰囲気の青年が出て来た。
臣 優弦さん
ふんわりとした艶やかな茶色い髪に、黒いアーモンド型の瞳。
常に目尻を下げ口元を緩ませているからか、彼の顔を見るとこちらの警戒心が緩む気がする。
【寮長は安全な人】
そう思わせてくれるだけの絶対的な安心感が眼の前の彼にはあるのだ。
優しい笑みと彼が纏う穏やかな雰囲気がそう思わせるんだと思う。
「珍しいお客様だね。今日はどうしたのかな?」
あとこの声もか。
甘さを含んだ優しい声音と、少しだけのんびりした話し方にも安心する。
やっぱりこの人が怖いって想像できないなぁ。
「お久し振りです、寮長。今日はお願いがあって来ました」
流石に俺の部屋替えのお願いを、百鬼先輩達にする訳にはいかない。
頭を下げる俺を見た寮長は、優しい声で入室を促してくれた。
「話は中で聞こう。そこの二人も一緒にどうぞ」
寮長に続いて部屋にお邪魔すると、リビングに案内された。
白くて大きいソファとテーブルが真っ先に目に入る。
「そこ座って待ってて。紅茶でいいかな?」
「え……あっ!お茶なら俺が淹れましょうか?」
「お客様なんだから気を遣わないの。
気にしてくれるなら、今度は遊びに来てよ。その時は園宮が淹れたお茶、飲ませてくれるかな?」
「はい。あの……ありがとうございます」
「うん、どういたしまして」
彼が笑うとふわりと言う言葉が浮かぶ。
それぐらい、寮長が目を細めて微笑む姿は可憐でどこまでも綺麗だった。
寮長に言われた通り、真っ白いソファに腰掛けて彼が来るのを先輩方と待つ。
うわ……凄いふかふか。お尻が沈む。
風紀委員会室の革張りのソファもかなり座り心地が良かったけど、これはこれで中々。
お金持ち学校だとこういう備品にも拘るのかな。
初めて入った寮長室が物珍しくてついキョロキョロしてしまう。
作りは俺達の部屋と変わらないけど、一人部屋だからかな、部屋の物が統一されてて見ていて気持ちいい。
シンプルなデザインの白やベージュの家具を選ぶ辺りに、寮長の優しい人柄が滲み出ている気がする。
しばらくしてから、4人分のカップを乗せたトレイを持った寮長がやって来た。
紅茶のいい香りがする。
「お待たせ。熱いから気を付けてね」
「ありがとうございます。頂きます」
息を吹き掛けて冷ましながらカップの中の紅茶を一口だけ口に運ぶ。
うまっ
ここに来るのは2ヶ月振りだ。
ノックしてから数秒、開いたドアから優しい雰囲気の青年が出て来た。
臣 優弦さん
ふんわりとした艶やかな茶色い髪に、黒いアーモンド型の瞳。
常に目尻を下げ口元を緩ませているからか、彼の顔を見るとこちらの警戒心が緩む気がする。
【寮長は安全な人】
そう思わせてくれるだけの絶対的な安心感が眼の前の彼にはあるのだ。
優しい笑みと彼が纏う穏やかな雰囲気がそう思わせるんだと思う。
「珍しいお客様だね。今日はどうしたのかな?」
あとこの声もか。
甘さを含んだ優しい声音と、少しだけのんびりした話し方にも安心する。
やっぱりこの人が怖いって想像できないなぁ。
「お久し振りです、寮長。今日はお願いがあって来ました」
流石に俺の部屋替えのお願いを、百鬼先輩達にする訳にはいかない。
頭を下げる俺を見た寮長は、優しい声で入室を促してくれた。
「話は中で聞こう。そこの二人も一緒にどうぞ」
寮長に続いて部屋にお邪魔すると、リビングに案内された。
白くて大きいソファとテーブルが真っ先に目に入る。
「そこ座って待ってて。紅茶でいいかな?」
「え……あっ!お茶なら俺が淹れましょうか?」
「お客様なんだから気を遣わないの。
気にしてくれるなら、今度は遊びに来てよ。その時は園宮が淹れたお茶、飲ませてくれるかな?」
「はい。あの……ありがとうございます」
「うん、どういたしまして」
彼が笑うとふわりと言う言葉が浮かぶ。
それぐらい、寮長が目を細めて微笑む姿は可憐でどこまでも綺麗だった。
寮長に言われた通り、真っ白いソファに腰掛けて彼が来るのを先輩方と待つ。
うわ……凄いふかふか。お尻が沈む。
風紀委員会室の革張りのソファもかなり座り心地が良かったけど、これはこれで中々。
お金持ち学校だとこういう備品にも拘るのかな。
初めて入った寮長室が物珍しくてついキョロキョロしてしまう。
作りは俺達の部屋と変わらないけど、一人部屋だからかな、部屋の物が統一されてて見ていて気持ちいい。
シンプルなデザインの白やベージュの家具を選ぶ辺りに、寮長の優しい人柄が滲み出ている気がする。
しばらくしてから、4人分のカップを乗せたトレイを持った寮長がやって来た。
紅茶のいい香りがする。
「お待たせ。熱いから気を付けてね」
「ありがとうございます。頂きます」
息を吹き掛けて冷ましながらカップの中の紅茶を一口だけ口に運ぶ。
うまっ
61
お気に入りに追加
465
あなたにおすすめの小説

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!

Q.親友のブラコン兄弟から敵意を向けられています。どうすれば助かりますか?
書鈴 夏(ショベルカー)
BL
平々凡々な高校生、茂部正人«もぶまさと»にはひとつの悩みがある。
それは、親友である八乙女楓真«やおとめふうま»の兄と弟から、尋常でない敵意を向けられることであった。ブラコンである彼らは、大切な彼と仲良くしている茂部を警戒しているのだ──そう考える茂部は悩みつつも、楓真と仲を深めていく。
友達関係を続けるため、たまに折れそうにもなるけど圧には負けない!!頑張れ、茂部!!
なお、兄弟は三人とも好意を茂部に向けているものとする。
7/28
一度完結しました。小ネタなど書けたら追加していきたいと思います。

もしかして俺の人生って詰んでるかもしれない
バナナ男さん
BL
唯一の仇名が《 根暗の根本君 》である地味男である< 根本 源 >には、まるで王子様の様なキラキラ幼馴染< 空野 翔 >がいる。
ある日、そんな幼馴染と仲良くなりたいカースト上位女子に呼び出され、金魚のフンと言われてしまい、改めて自分の立ち位置というモノを冷静に考えたが……あれ?なんか俺達っておかしくない??
イケメンヤンデレ男子✕地味な平凡男子のちょっとした日常の一コマ話です。

花屋の息子
きの
BL
ひょんなことから異世界転移してしまった、至って普通の男子高校生、橘伊織。
森の中を一人彷徨っていると運良く優しい夫婦に出会い、ひとまずその世界で過ごしていくことにするが___?
瞳を見て相手の感情がわかる能力を持つ、普段は冷静沈着無愛想だけど受けにだけ甘くて溺愛な攻め×至って普通の男子高校生な受け
の、お話です。
不定期更新。大体一週間間隔のつもりです。
攻めが出てくるまでちょっとかかります。

過保護な不良に狙われた俺
ぽぽ
BL
強面不良×平凡
異能力者が集まる学園に通う平凡な俺が何故か校内一悪評高い獄堂啓吾に呼び出され「付き合え」と壁ドンされた。
頼む、俺に拒否権を下さい!!
━━━━━━━━━━━━━━━
王道学園に近い世界観です。

黄色い水仙を君に贈る
えんがわ
BL
──────────
「ねぇ、別れよっか……俺たち……。」
「ああ、そうだな」
「っ……ばいばい……」
俺は……ただっ……
「うわああああああああ!」
君に愛して欲しかっただけなのに……

なんで俺の周りはイケメン高身長が多いんだ!!!!
柑橘
BL
王道詰め合わせ。
ジャンルをお確かめの上お進み下さい。
7/7以降、サブストーリー(土谷虹の隣は決まってる!!!!)を公開しました!!読んでいただけると嬉しいです!
※目線が度々変わります。
※登場人物の紹介が途中から増えるかもです。
※火曜日20:00
金曜日19:00
日曜日17:00更新

転生したが壁になりたい。
むいあ
BL
俺、神崎瑠衣はごく普通の社会人だ。
ただ一つ違うことがあるとすれば、腐男子だということだ。
しかし、周りに腐男子と言うことがバレないように日々隠しながら暮らしている。
今日も一日会社に行こうとした時に横からきたトラックにはねられてしまった!
目が覚めるとそこは俺が好きなゲームの中で!?
俺は推し同士の絡みを眺めていたいのに、なぜか美形に迫られていて!?
「俺は壁になりたいのにーーーー!!!!」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる