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鬼ごっこと不良の王様

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「携帯電話といやぁ……そこのお前等、早く逃げた方がいいんじゃないか?」


園宮が誰に連絡したのかは知らないが、誰かしらが風紀に知らせているはずだ。

風紀委員はあの堅物の指揮が上手いのか、仕事が出来るからな……そろそろ誰かしらが見廻りに来るだろう。

俺の言葉の意味を察した親衛隊はすぐ様逃げ出した。

賢い選択だ。
元々、あいつ等は園宮に危害を加えるつもりじゃなかったしな。

ただ陰湿野郎が余計な事を吹き込んじまったから、あいつ等も園宮を排しようとするかもしれない。

そん時は……十条に責任を取らせっか。


で、その陰湿野郎はと言うと

嫉妬に顔を歪ませて園宮を睨み付けていた。


どうにも性格が歪んでんだよなぁ。


「てめぇは逃げなくていいのか?陰湿野郎」

「僕には逃げる理由がありませんから」


さも当然とばかりに気持ちの悪い笑みを向けられた。

頬を赤らめ、媚を売る目で見上げてくる顔には虫唾が走る。

昔から見続けて来た顔だ。

この期に及んでそんな顔が出来るとは…

いい度胸してやがる。
ちっとも好きにはなれねぇが。


「そうかよ。なら俺達はここから離れっか……行くぞ、園宮」


ソッチがここから離れないなら俺が離れるまでだ。

あの陰湿野郎は風紀委員が相手してくれんだろう。
そうでなければ、自分から近付き易い人間を見つけて目当ての奴に擦り寄るんだろうよ。


恐らくだが、陰湿野郎はツラが良くて後ろ盾がデカイ奴に愛されてぇんだと思う。

それも、この学校中のそういう・・・・奴にだ。


あれは【特別な人間に愛されている自分】に酔いたい人種だ。


あくまでも俺の推測だがな。

そう願うのは個人の自由だ。
園宮と俺に迷惑さえかけなければそれでいい。


まぁ園宮は確実に絡まれるだろうけどな……


園宮は転校生や風紀委員長かたぶつに気に入られているらしいし、何故か右京バカが毎日のように園宮に会いに行っているらしい。

それが陰湿野郎には面白くないに違いない。


自分より劣っていると思い込んでいる奴が、自分の欲望を叶えちまってるのが気に入らないんだろう。


完全に逆恨みだ


ああいう奴は自分が正しいと信じて疑わねぇからタチが悪ぃ。


コイツには手出しはさせねぇけどな


そう思いながら園宮の手を引いてその場を離れた。
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