平凡くんと【特別】だらけの王道学園

蜂蜜

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親衛隊隊長と風紀委員長

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料理が並んだ所で、委員長が改めて自己紹介をしてくれた。

名前を覚えていなかったから、正直助かる。


百鬼 征一郎なきり せいいちろうという。
所属は2年A組で、今期の風紀委員長を努めている」


よろしく、と頭を下げられたので、こちらからも頭を下げて『よろしくお願いします』と返した。

こっちは見た目通りの、真面目で真っ直ぐな人のようだ。


「コイツは西園寺 恋。副委員長だ」

「よろしくな~」


まさかの副委員長だった。

驚いたせいで多少つっかえてしまったが、西園寺先輩にも『よろしくお願いします』と返した。


見ているだけでお腹がいっぱいになりそうな量を次々と平らげていく二人を眺めながら、俺も自分の弁当に箸を伸ばす。

昨夜下味を付けて仕込んでおいたから、豚の生姜焼きにしっかりと味が付いていて、我ながら上出来だと自画自讃しながら黙々と咀嚼する。


ふと視線を感じて顔を上げると、委員長と目が合った。

このタイミングで呼出した本題に入るのだろうか?


「その弁当は、園宮が作っているのか?」


違った。


「はい。家は決して裕福とは言えないので、節約できる所はするようにしているんです」


元々、メルヘン思考が強い母に半ば強要される形で菓子類は作っていたのだが、中学生になり、薔薇ノ宮で寮生活をしようと決めた時から、料理も教えて貰って作るようになった。

洗濯や日用品の買物もその時に覚えた。


【特待生】は授業料だけでなく、教材費等、卒業までに発生する学業に関する費用は全て免除される。
なので、食費や日用品にかかる費用だけが我が家の口座から引落され、俺の口座には小遣いが振込まれる。
家の口座から引落される額は、出来るだけ抑えたいから節約を兼ねて自炊している。

それが食堂で食事を取らない理由の半分。


もう半分は、大勢の中、独りで食事を取る事が苦痛だからだ。


部屋で一人で食べるのと、大勢の中で独りにされて食事を取るのとでは全く違う。


あんなに惨めな気持ちになる事はない。



鷲杜は俺が作る弁当を気に入ってくれていて、いつもS組の教室で食べていたから、結局、食堂では食事ができないまま友達ではなくなってしまった。


友達が出来たら……今度こそ食堂で一緒に食べてみたい。
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