平凡くんと【特別】だらけの王道学園

蜂蜜

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親衛隊隊長と風紀委員長

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「昼休みの一件で、君は夢咲永遠と接点を持ってしまった。
クラスは違うけれど、何かのトラブルに巻き込まれる可能性が高いから充分気をつけるんだよ?」

「はい」


相変わらず距離は近いままだし、先輩はさっきからずっと俺の頭を撫でている。

撫でられるのは嫌いじゃないが、俺にそんな事をするのは兄ぐらいなものだし、会うのが面接以来の先輩にこんな風に頭を撫でられるのは、正直言って慣れなくて戸惑う。


「………あの…先輩…撫でられるのは気持ちいいんですが……流石にちょっと…撫ですぎでは?」


折角先輩が心配してくれたのに、話の腰を折ってしまって申し訳ないが、今のままでは話に集中できない。


「ふふっ、気持ちいいんだ?良い事聞いちゃったなぁ。園宮の髪はサラサラで癖になりそう」

「……………………………先輩」

「ごめんごめん。さっきの話の続きだけどね、どんな些細な事でもいいから、困ったらいつでも相談して?」


え?



「え……え…俺が……相談してもいいんですか?」



こんな風に他人に優しくされたのが初めてだからどうしたら良いのか分からない。

素直に頷いてもいいんだろうか

先輩のような【特別】な人に、俺が頼るような事をしたら余計に事態が悪化するんじゃ


「いいよ。僕はね、園宮の事をとても気に入っているんだ……だから、変な遠慮とかしないで好きな時に連絡して。相談じゃなくても、雑談でも何でもいいから、ね?」


ここまで言ってくれているのに断る方が失礼な気がする。

それに、こんな風に優しくされて、心配して貰えた事がとても嬉しくて、甘えてしまいたい衝動には抗えそうになかった。


「あの……それじゃあお言葉に甘えて…」


躊躇いながらも携帯を鞄から取出して先輩と連絡先を交換する。

こうやって、事務連絡以外で家族以外の人と連絡先を交換したのは鷲杜以来だ。


登録された先輩の名前に嬉しくなって頬が緩んでしまう。


長年、家の中以外では誰とも関わらないでいる生活を続けていた為か、俺の表情筋はすっかり仕事をしなくなってしまっていた。

自分では感情を出しているつもりでも、他人から見ると無表情なんだとか。


でも今は多分、ちゃんと【嬉しい】っていう顔をしていると思う。


「雪先輩、ありがとうございます」










「………………………可愛いすぎてつらい」


何故か先輩は両手で顔を覆って天を仰いでいた。
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