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38. 天使の仕返し
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さあ、編入2日目です。
正直、昨日は思った以上に色々なことが起きました。たった半日しか学院にはいなかったのに。
今朝も、マリとお仕度シスターズによって身支度を整えられます。昨日マリの宣言した通り、対ローナ様仕様にしています。どこがそうなのかと聞いたところ、
「男子目線より、女子目線を意識しました。女子にしか判らない映えポイントを重点的に攻めましたわ」
と。実際どの辺がそうなのか説明してくれそうでしたが、朝の貴重な時間ですからそれは後に聞きましょう。
「制服よーし! 髪型よーし! すべてよーし!」
大きな姿見の前で、マリのチェックを受けます。満足そうに微笑むその様子にホッとしますわ。
今日の髪型も凝ってますね。両サイドが細い三本の三つ編みになっていて、後ろで三重のリボンのように編み込まれています。そして、銀に色石の細工がされたバレッタが留められています。ぱっと見シンプルそうですが、手が込んでいるのが判りますね。絶対一人では出来ない変わり編み込みですもの。そうなのね? これが女子目線の映えポイントなのですね? 勉強になりますわ。
「ところで、シュゼット様、先日セドリック様から頂いたキャンディーですけど、これ凄い人気らしいですわよ? 特に苺キャラメルが大人気なのですって。セドリック様にしては、良いチョイスですね?」
小さなテーブルの上に置いてある球体ガラス瓶に、綺麗な包み紙が煌めいています。そうなのですね? そんなに人気のキャンディーなんですね?
「物凄くメルヘンな造りの可愛いキャンディーショップなんですよ! 放課後なんて女学生達で一杯らしいですわ。お二人であのお店に行ったのでしょうか? あの二人がショップに行ったら騒がれそうですわね? ほら、殿下は一目瞭然ですけど、しゃべらなければセドリック様もそこそこイケメンですからね?」
マリさん? セドリック様のこと、結構ディスっているような気がしますけど? でも、キャンディーショップで(多分、ワイワイしながら)選んでいるお二人を想像したら、温かい気持ちになってきました。
「マリ、キャンディーを持って行きたいから少し分けて下さい。苺キャラメル? 多分お二人とも召し上がっていないわよね? ランチの後に頂きましょう」
私は、ガラス瓶の蓋を開けて幾つかのキャンディーを摘み、お仕度シスターズにそれを渡すと、ご苦労さま、もう大丈夫よと声を掛けました。シスターズは嬉しそうにキャンディーを受け取ると部屋を退室していきました。
昨日は送って頂いたり、ご心配をお掛けしたので、皆さんにお詫びのお菓子を持って行くのです。それに追加してキャンディーも持って行きましょう。
「ええと、エーリック殿下、カテリーナ様、セドリック様、念のためローナ様? にも一応ね、それから、ハート先生の分」
お菓子の入った小さな紙袋を数えます。中身は、持ち運びに耐えられるようにキャラメリゼナッツのソルトクッキーにしました。以前お出しした時、エーリック殿下は随分気に入って下さったようですし、ハート先生も甘みを抑えたクッキーですから召し上がって頂けるでしょう。セドリック様とカテリーナ様は……スイーツ全般お好きなようですから、こちらも喜んで頂けると思います。
「なっ!? ハート先生!?」
可愛いナプキンにキャンディーを包んでいたマリの手がピクッと止まりました。
「お嬢様? ローナ様とハート先生にもお渡しするのですか?」
眉間に深いシワを寄せたマリが、低い声で聞き返しました。
この二人の事になると、マリはすこぶる機嫌が悪そうに見えます。特に、ハート先生には特別に敵対心が湧くようですけど。
「ローナ様には、ほら、一応静養室迄ご案内して頂きましたしね? それに、自分からターゲットだと宣誓して頂きましたモノ。探す手間が省けたということと、効果的な仕返しの方法を教えて下さった事への感謝ですわ」
私はニヤリとして、マリの方を向きました。
「効果的な仕返しの方法? ですか?」
同じようにニヤリとしたマリが言いました。二人ともワルイ顔をしていると思います。
「ええ。ローナ様の様な自尊心プライドの高い表裏があるタイプには、表では太刀打ち出来ないような完璧令嬢で対応することにしました。あの方は学業が優秀なのでしょう? ならそれも潰して差し上げますわ。それに見た目だけでなく仕草や佇まいや、ダンスでもですわ。とにかく、試合場にも上がらせないようにします」
「鬼です! ここに天使の皮を被った鬼がいますよ!!」
マリがワザと怯えるような表情を作りました。言い過ぎではなくって? まったく、女優ですわね。
「でも、お嬢様、表はそれでいくとして裏はドウシマスカ? 結構手ごわいかもしれませんよ?」
「そこよ。彼女は、自尊心プライドの高さを自覚していないから、相手に対して自分を貶おとしめつつ、マウントを取って来るという高等スキルを使ってくるわ。自分がこんなことをするのは、あの方の為。あの方の為にワタシにコンナコトをにさせる貴方が悪いの! っていうね」
マリの手元にはナプキンで可愛く包まれたキャンディーの包みが出来ました。クッキーの袋と一緒に手提げ袋入れてくれます。準備万端ですわ。
部屋を出て玄関に向かいます。後ろから鞄と手提げ袋を持ったマリが、シズシズと続きます。玄関ホールにはお母様とマシューが、見送りの為待っていて下さいます。
お母様は、昨日の事があるので無理はしないでね。と優しくキスをしてくれます。マシューは、昨日セドリック様に送って頂いたことに対して、体調不良ならば仕方が無いとしつつも、男性にはどなたであってもお気を付けください! と念押しをされました。そうですね。そう言われると思っていました。
笑顔で、マリと一緒に馬車に乗り込みます。行って参ります。と小窓から手を振り、さっきの続きを話しましょう。二人キリですから遠慮はいりませんわ。
「ですからね、彼女の弱点は何を置いてもヤツフェリックス殿下ですから。ヤツに一番近いロイ様とオーランド様と直接情報交換ができる位になって、彼女の居場所を頂いちゃいましょう。ってどう?」
多分、物凄く黒い笑顔だったと思います。
「ここに悪役令嬢がいますよー!! 天使の皮を被ってますよー!!」
マリが芝居がかった声で叫びました。まあ、さっきは鬼でしたけど、今度は悪役令嬢なのね? でも、ローナ様と私だったらどちらが悪役令嬢なのでしょう? 今の状況はどちらもヒロインとは言い難いですけど?
「私が悪役令嬢ならば、ローナ様がヒロインかしら?」
「そうですねぇ、お嬢様にその気を起こさせたローナ様も相当ですからね。ヒロイン枠としては、良いと思いますわ。それに、その作戦なら相当堪こたえるでしょうね。でも、お嬢様? ひとつ心配があります」
「心配? 何かしら?」
マリがきりっとした表情で、私の顔を指差しました。ちょっと、マリサン失礼ではなくって?
「お嬢様? その作戦、成功したら、絶対婚約者に選ばれると思いますよ? だって美貌の賢い、振る舞いも申し分のない完璧令嬢で、その上側近にも評判の良い婚約者候補なんですから?」
「あ・・・」
腕組みをしたマリが困ったよう首を捻りました。さて、ローナ様への仕返しには良い案でしたが、最終的に困った方向に行きそう……。
「でも、今はこの作戦でいきましょう。ローナ様お一人への作戦ですし、まだ候補者も公にされていない段階ですから。何とかする時間はあと2年ありますからね。それよりも、お嬢様?」
はい? 何でしょう? と小首を傾げて正面を見ます。
「今日、ハート先生にお菓子をお渡しするのですか? というかお会いになるのですか?」
マリの目が座っています。ちょっと怖いですわよ?
「そうよ。昨日お水を持たせて頂いたでしょう? 尤も、飲んだのは貴方ですけど」
そうですわ。お水は結局マリが一気飲みしましたけどね。
「ちっ!!」
舌打ちしましたわよ。
「お嬢様! いいですか? ハート先生とお会いするときには、絶対、ぜーったい! どなたかと一緒にお会いするようにして下さい! そうですわ、エーリック殿下とご一緒が良いです! 約束して下さいますか!?」
なに? なんで? でも、マリの必死の形相に頷くしかありません。
「わ、判ったから。必ずエーリック殿下とご一緒するわ(出来る限りですけど)」
鼻息も荒いマリは、どうもハート先生に怒っているような? 何かされたのでしょうか?
「マリ? 貴方、ハート先生と何かあったの? まさか---告白!?」
「そんな事! あるワケ無いじゃないですか!!!!」
盛大に怒られました。マリさん、コワイデス。
正直、昨日は思った以上に色々なことが起きました。たった半日しか学院にはいなかったのに。
今朝も、マリとお仕度シスターズによって身支度を整えられます。昨日マリの宣言した通り、対ローナ様仕様にしています。どこがそうなのかと聞いたところ、
「男子目線より、女子目線を意識しました。女子にしか判らない映えポイントを重点的に攻めましたわ」
と。実際どの辺がそうなのか説明してくれそうでしたが、朝の貴重な時間ですからそれは後に聞きましょう。
「制服よーし! 髪型よーし! すべてよーし!」
大きな姿見の前で、マリのチェックを受けます。満足そうに微笑むその様子にホッとしますわ。
今日の髪型も凝ってますね。両サイドが細い三本の三つ編みになっていて、後ろで三重のリボンのように編み込まれています。そして、銀に色石の細工がされたバレッタが留められています。ぱっと見シンプルそうですが、手が込んでいるのが判りますね。絶対一人では出来ない変わり編み込みですもの。そうなのね? これが女子目線の映えポイントなのですね? 勉強になりますわ。
「ところで、シュゼット様、先日セドリック様から頂いたキャンディーですけど、これ凄い人気らしいですわよ? 特に苺キャラメルが大人気なのですって。セドリック様にしては、良いチョイスですね?」
小さなテーブルの上に置いてある球体ガラス瓶に、綺麗な包み紙が煌めいています。そうなのですね? そんなに人気のキャンディーなんですね?
「物凄くメルヘンな造りの可愛いキャンディーショップなんですよ! 放課後なんて女学生達で一杯らしいですわ。お二人であのお店に行ったのでしょうか? あの二人がショップに行ったら騒がれそうですわね? ほら、殿下は一目瞭然ですけど、しゃべらなければセドリック様もそこそこイケメンですからね?」
マリさん? セドリック様のこと、結構ディスっているような気がしますけど? でも、キャンディーショップで(多分、ワイワイしながら)選んでいるお二人を想像したら、温かい気持ちになってきました。
「マリ、キャンディーを持って行きたいから少し分けて下さい。苺キャラメル? 多分お二人とも召し上がっていないわよね? ランチの後に頂きましょう」
私は、ガラス瓶の蓋を開けて幾つかのキャンディーを摘み、お仕度シスターズにそれを渡すと、ご苦労さま、もう大丈夫よと声を掛けました。シスターズは嬉しそうにキャンディーを受け取ると部屋を退室していきました。
昨日は送って頂いたり、ご心配をお掛けしたので、皆さんにお詫びのお菓子を持って行くのです。それに追加してキャンディーも持って行きましょう。
「ええと、エーリック殿下、カテリーナ様、セドリック様、念のためローナ様? にも一応ね、それから、ハート先生の分」
お菓子の入った小さな紙袋を数えます。中身は、持ち運びに耐えられるようにキャラメリゼナッツのソルトクッキーにしました。以前お出しした時、エーリック殿下は随分気に入って下さったようですし、ハート先生も甘みを抑えたクッキーですから召し上がって頂けるでしょう。セドリック様とカテリーナ様は……スイーツ全般お好きなようですから、こちらも喜んで頂けると思います。
「なっ!? ハート先生!?」
可愛いナプキンにキャンディーを包んでいたマリの手がピクッと止まりました。
「お嬢様? ローナ様とハート先生にもお渡しするのですか?」
眉間に深いシワを寄せたマリが、低い声で聞き返しました。
この二人の事になると、マリはすこぶる機嫌が悪そうに見えます。特に、ハート先生には特別に敵対心が湧くようですけど。
「ローナ様には、ほら、一応静養室迄ご案内して頂きましたしね? それに、自分からターゲットだと宣誓して頂きましたモノ。探す手間が省けたということと、効果的な仕返しの方法を教えて下さった事への感謝ですわ」
私はニヤリとして、マリの方を向きました。
「効果的な仕返しの方法? ですか?」
同じようにニヤリとしたマリが言いました。二人ともワルイ顔をしていると思います。
「ええ。ローナ様の様な自尊心プライドの高い表裏があるタイプには、表では太刀打ち出来ないような完璧令嬢で対応することにしました。あの方は学業が優秀なのでしょう? ならそれも潰して差し上げますわ。それに見た目だけでなく仕草や佇まいや、ダンスでもですわ。とにかく、試合場にも上がらせないようにします」
「鬼です! ここに天使の皮を被った鬼がいますよ!!」
マリがワザと怯えるような表情を作りました。言い過ぎではなくって? まったく、女優ですわね。
「でも、お嬢様、表はそれでいくとして裏はドウシマスカ? 結構手ごわいかもしれませんよ?」
「そこよ。彼女は、自尊心プライドの高さを自覚していないから、相手に対して自分を貶おとしめつつ、マウントを取って来るという高等スキルを使ってくるわ。自分がこんなことをするのは、あの方の為。あの方の為にワタシにコンナコトをにさせる貴方が悪いの! っていうね」
マリの手元にはナプキンで可愛く包まれたキャンディーの包みが出来ました。クッキーの袋と一緒に手提げ袋入れてくれます。準備万端ですわ。
部屋を出て玄関に向かいます。後ろから鞄と手提げ袋を持ったマリが、シズシズと続きます。玄関ホールにはお母様とマシューが、見送りの為待っていて下さいます。
お母様は、昨日の事があるので無理はしないでね。と優しくキスをしてくれます。マシューは、昨日セドリック様に送って頂いたことに対して、体調不良ならば仕方が無いとしつつも、男性にはどなたであってもお気を付けください! と念押しをされました。そうですね。そう言われると思っていました。
笑顔で、マリと一緒に馬車に乗り込みます。行って参ります。と小窓から手を振り、さっきの続きを話しましょう。二人キリですから遠慮はいりませんわ。
「ですからね、彼女の弱点は何を置いてもヤツフェリックス殿下ですから。ヤツに一番近いロイ様とオーランド様と直接情報交換ができる位になって、彼女の居場所を頂いちゃいましょう。ってどう?」
多分、物凄く黒い笑顔だったと思います。
「ここに悪役令嬢がいますよー!! 天使の皮を被ってますよー!!」
マリが芝居がかった声で叫びました。まあ、さっきは鬼でしたけど、今度は悪役令嬢なのね? でも、ローナ様と私だったらどちらが悪役令嬢なのでしょう? 今の状況はどちらもヒロインとは言い難いですけど?
「私が悪役令嬢ならば、ローナ様がヒロインかしら?」
「そうですねぇ、お嬢様にその気を起こさせたローナ様も相当ですからね。ヒロイン枠としては、良いと思いますわ。それに、その作戦なら相当堪こたえるでしょうね。でも、お嬢様? ひとつ心配があります」
「心配? 何かしら?」
マリがきりっとした表情で、私の顔を指差しました。ちょっと、マリサン失礼ではなくって?
「お嬢様? その作戦、成功したら、絶対婚約者に選ばれると思いますよ? だって美貌の賢い、振る舞いも申し分のない完璧令嬢で、その上側近にも評判の良い婚約者候補なんですから?」
「あ・・・」
腕組みをしたマリが困ったよう首を捻りました。さて、ローナ様への仕返しには良い案でしたが、最終的に困った方向に行きそう……。
「でも、今はこの作戦でいきましょう。ローナ様お一人への作戦ですし、まだ候補者も公にされていない段階ですから。何とかする時間はあと2年ありますからね。それよりも、お嬢様?」
はい? 何でしょう? と小首を傾げて正面を見ます。
「今日、ハート先生にお菓子をお渡しするのですか? というかお会いになるのですか?」
マリの目が座っています。ちょっと怖いですわよ?
「そうよ。昨日お水を持たせて頂いたでしょう? 尤も、飲んだのは貴方ですけど」
そうですわ。お水は結局マリが一気飲みしましたけどね。
「ちっ!!」
舌打ちしましたわよ。
「お嬢様! いいですか? ハート先生とお会いするときには、絶対、ぜーったい! どなたかと一緒にお会いするようにして下さい! そうですわ、エーリック殿下とご一緒が良いです! 約束して下さいますか!?」
なに? なんで? でも、マリの必死の形相に頷くしかありません。
「わ、判ったから。必ずエーリック殿下とご一緒するわ(出来る限りですけど)」
鼻息も荒いマリは、どうもハート先生に怒っているような? 何かされたのでしょうか?
「マリ? 貴方、ハート先生と何かあったの? まさか---告白!?」
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