そして俺は召喚士に

ふぃる

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221話 当日を迎え②

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 もはや道とは到底呼べない、山のふもとの森の中。
 山へと集まり溜まる、魔力の高まりを感じる。
 けど、前を歩かせてるロロは何の反応もキャッチしていない。連合メンバーの活躍によるものなのだろう。
 そしてショウヤは後方、荷物を背負ってついてきてる。

「どうかしたか?」
 ショウヤの事を気にしてるのに気付かれてか、声を掛けられる。
「いや、やっぱなんか俺が楽してるような感じがさ……。」
 今やロロを維持し続ける程度なら何ら問題無い。それにこの場所の魔力の影響だろうか、普段よりさらに消耗が少なく感じる。
「さっきも言っただろ、より戦力になれるお前の体力温存の為だ。」
「それは分かってる、けどさ……。」
 理屈で分かるのと心境的なものはまた別な訳で、どうしても居辛さというものがある。

 警戒をロロに任せ、受け取ったアナログ地図と、GPSの位置を参照する。
 地図には5箇所の目印。ソウクロウがやってるのを見た事がある陣と同じ、円周上の配置だ。そこに術のマーカーであり増幅器である杭を設置するのが目的。
 1つ赤く協調されてる目印、それが俺達の指示場所だ。


「大体の位置でいいんだよな?」
「あぁ、そう聞いてる。」
 ショウヤの返答を聞きながら、地図とGPSを交互に見て場所をチェックする。
 赤い印とGPS、双方とも同じ場所にある…と思う。
「じゃあこの辺りで、えっと……。」
 本体である杭と共に、杭を保護する簡易結界も設置する。その為のスペースを、周囲から探す。
 傾斜ではあるが、土の露出した隙間の場所。あの場所なら使えるだろう。

 ショウヤが荷物を下ろし、包みを解く。
 術の掘られた木の大杭1本と、札と小杭がいくつか、そして打ち込むためのハンマー。
 …よく持ち運べたな、なんて感心してる場合じゃない。ショウヤがハンマーを手に取る。
「最初だけ、そのデカいの支えててくれ。」
「おっけ。」
 隙間の中央付近に杭を軽く刺し、支える。1度、2度と振り下ろされるハンマーによって、杭が土に沈んでいく。
 …それと共に、ロロの探知に変化あり。

「待って。何か来る。」
 ショウヤが杭に力を入れてみる、が簡単には倒れないくらいには刺さった。
「十分だ。あとはオレだけでやれるから、そっちは頼む。」
 地面の下、龍脈の流れに乗ってきたのだろうか。
 近くの地面が直線状に、ワープゲートのように黒く染まる。
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